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「トム・ダウド いとしのレイラをミックスした男」を観た<★★★★☆>

2006年04月09日 08時22分08秒 | 映画レビュー
「トム・ダウド いとしのレイラをミックスした男」<★★★★☆>

[監][製]マーク・モーマン
[出]トム・ダウド レイ・チャールズ  エリック・クラプトン
オールマン・ブラザーズ・バンド レス・ポール
[制作データ] 2003米/アップリンク[上映時間] 90分

このドキュメンタリー映画の主人公はミキシングエンジニアであり、
プロデューサーであるトム・ダウドという人物。
いっぱしのロック通を気取る私ですが、
知らなかった、と正直に告白しておきます。
しかし、この映画を見て、いかにプロデューサーやエンジニアが
音楽を作る現場で影響力があるかがよくわかった。

このトム・ダウドという人は、レコーディングの黎明期から活躍し、
レコーディングしたアーティストはセロニアス・モンク、
レイ・チャールズ、ボビー・ダーリン、ジョン・コルトレーンから
アレサ・フランクリン、オーティス・レディング、
それにロック畑ではクリーム、オールマン・ブラザーズ・バンド、
レーナード・スキナード、ロッド・スチュワート…。

モンクと、レイ・チャールズと、クラプトンと、
ロッド・スチュアート? そしてコルトレーン?
とにかく、あらゆるジャンルのアーティストと仕事をしていて、
しかもクラプトンをして「僕よりもはるかに音楽に詳しい人。
もっとも大切にしなくてはならない人」と言わしめる。
まぁ、希に見る音楽のスーパーマンでしょう。

この映画はドキュメンタリーで、当時の記録映像と、
本人の語りで様々なアーティストとの仕事の様子が描かれますが、
ほんとうに気さくで、自然体で、とにかく音楽のことだけを
考えている人という感じ。でも彼がいなければ
「いとしのレイラ」のセッションはなかった。(キッパリ)。
こういう数人の天才が、ジャズやロックを育てたんだなー。
ロックの歴史を作ったのは表舞台のアーティストだけではなく
アーティストたちを支えたこういう天才たちのお陰でもあるんだな。

タイトルにもあるロックの名曲「いとしのレイラ」が録音された
マスターテープを数十年ぶりに倉庫から出し、
録音されたチャンネルごとに立ち上げて
トム・ダウドが解説する短いシークエンスがあるが、
まるで宝物を発見した小学生のようだ。
目がキラキラ。嬉々としてトラックごとの音を聞き、
「おお、これはデュアンのスライドだ」「これがエリック」
「ベースのトラックを見つけたぞ、ここでドラムが入るはず、ほら」
といいながらどんどんライブでミックスをはじめてしまう。
「そうだ、もういちどミックスしてしまおう」と
すでに70歳を過ぎた老人が、一瞬にしてロック少年になる。
その感性の若さは、まさに圧巻だった。ロックな人生である。

音楽関連の方、見逃したではすまされない逸品です。

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