元京都大学学長で、ゴリラ学者の権威、山極壽一さんに、どうしてもコロナ禍のことを聞きたいと思って企画したインタビューでしたが、非常に実り多く、たくさんお話しいただいた内容がどれも素晴らしかったので3回にわたってのインタビューとなりました。今回はパート1で、まずはずばり、コロナ禍の影響についてうかがいました。
なんとなく、テレワーク、インターネット、などの電子デバイスでステイホームのネガティブ面を補償しつつ、逆にプラス面もある、と考えていましたが、ゴリラ学者から見れば、我々が想定しているよりも遥かに悪影響の大きい、禍々しい事態であるようです(しかも今も続いてます。今後も続くかもしれません)。
というのも、とにかく「場を共有する」ということが我々人類にとって最も重要であって、それは感染症のリスクとイコールなわけです。
たとえばともに食事をする、ということは、相手への絶対的な信頼を示す。だからともに食事をすることは、家族や恋人、そして友情を育む基本なわけです。
なぜそうか。それは食事とは「毒殺」というもっとも容易な殺人方法が起こりうる場だから。もっと遡って言えば、食事とは争いの元凶であり、人間以外の動物が食事を共にすることはほとんどない。ゴリラなどの類人猿に「おねだり行動」をすると食べ物を分けてもらえることはあるが、人間のように、わざわざ食べ物をほかの人がいるところに持って来て、一緒に食べる、という行動をする動物はいないようです。
こうした場の共有から、共鳴が生まれ、やがて思いやりながら協業するという人間ならではの所為が生まれてくる、ということをわかりやすくお話しいただきました。
ぜひごらんください。
総合地球環境学研究所所長〈インタビュー〉コロナ禍は人間らしさの源泉である 「共鳴」を妨げる | 総合地球環境学研究所 山極壽一所長 Part1