坂本龍一のOut of Noiseという新作アルバムを毎日聴いている。
もはや家族には文句を言われているぐらいだが、何度聞いても飽きることがない。
いや、素晴らしいアルバムだと思います。
特に一曲目と二曲目が好きです。
ところで、坂本龍一の自伝がタイミング良く出たので読んでみました。
いろいろ面白かったな。坂本龍一の音楽がどこから来たのか、そしてYMO以降のソロが、どうして僕にぴんと来なかったのか、も分かった気がする。
いくつか、膝を打った点をメモしておきます。
●坂本氏の祖父は経済界の実力者で、父は編集者、母は帽子をつくるモガ。なるほど。
●ピアノと作曲を小学校から習う。ピアノは自由学園系の幼稚園でみんなで習っていた。小学校のタイミングでもったいないということで、習いに行き始めた。途中でピアノの先生から作曲のレッスンに行くことを勧められた。中学校でベートーベンのスコアなどを読んでいる!
●ビートルズとストーンズに衝撃を受けた。ストーンズとは意外だったが、あまりにヘタで、これが圧倒的に凄いと思ったそうだ。ジョン・ケージなどのアヴァンギャルドを好む坂本氏のルーツは、ストーンズのすごい下手さに衝撃を受けた点があるとか。
●新宿高校時代は学生運動。芸大では、すでに音楽で仕事。意外なことに、フォークの友部正人のバックでピアノを弾いたりしていたそうだ。
●高校時代、すでに芸大の作曲科には入れる、と言われるぐらいだった。
●YMOは細野さんに呼ばれて三人でコタツを囲んで結成したい、と。その時坂本氏はまだバンドに入ったことがなかったので、バンドが怖かったとか。
●YMOは、入ってみたら人気が出てしまって、YMOを憎むようになった。二人との軋轢、確執が強くなっていった。
●矢野顕子との結婚は、彼女の才能を十全に発揮させるため、男気で結婚したような面がある、と坂本氏。
●YMO以降のソロは、ポップ、売れることを意識した。しかし結局それはポップではなかった。ポップっていうことをやめたBTTBぐらいから、逆によくなった。Energy Flowはとても売れたが、あっさりと作った曲。ポップっていうのはやっぱりわからない。
●YMOの再結成は、乗せられてしまった感じ。三人とも不愉快そうだった。
●いまの再々結成は、細野、幸宏のスケッチショーを見ていて、置いてきぼりにされた感じで寂しかった。でアプローチしたら、いっしょにやることになった。いい感じでやっている。
●9.11はかなり衝撃だったようだ。
●坂本龍一氏をして、「これからCDを作って売るだけで暮らしていくのは無理になってくると思う」と。音楽業界、ミュージシャンのありかたが大きく変わっている時だと思った。