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【無料】NHKスペシャル 被曝治療83日間の記録 ~東海村臨界事故~
みました。1時間もない番組です。
しかも2013/10/31現在、どなたでもNHKオンデマンドで無料で見られます。
http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2013052026SA000/
なんとなくナニカのバラエティーを見る時間を使って、
ぜひご覧いただきたいと思います。
この番組は福島原発の前の東海村での臨界事故についての
治療のドキュメンタリーですが、311以降、福島原発がこうなった今は
決して作れないのではないでしょうか。
2つのことを強く感じました。
1つは医療と尊厳ある死という問題で、
東海村臨界事故では、家族の意向もあり、
そして忖度するに、原子力事故のレベルを上げないために(死亡者が出るとあがる)
ギリギリまで、採算度外視の生命維持が行われました。
この番組では、むしろ被爆治療よりも、
致死性の病気と、それに対して医療スタッフは何ができるのか、
それを自らに問う、ということを主題として作られています。
それだけでも十分に重く、考えさせられるテーマです。
看護婦や医師がカメラを正面に置いて語る言葉が
胸の深い部分に突き刺さってきます。
私は30代だった弟を脳腫瘍で失ったので、
特にクオリティ・オブ・ライフという視点は強く感じます。
2つめにして、この番組がそこまで意図しなかったこと、
しかし福島以降の私たちに、容赦なく強く剥き出しで突きつけたことは、
「放射線被曝による健康被害とはどういうものか」ということです。
この事故で亡くなった大内さんは年間許容量の2万倍の放射線を浴びたと言います。
放映時の基準は年間1mシーベルトでしょうか?
2万mシーベルト、20シーベルト?
致死的な放射線を浴びた大内さん。
その放射線による障害はDNAがバラバラに破壊され、
今後新しい細胞が作られないという障害でした。
当初しかし歩いて入院し、普通に会話していた大内さんですが
ちょっと焼けてしまってかな、という程度の赤い色の皮膚は
再生しないため時間がたつにつれて皮膚ははがれ落ちて全身がガーゼにつつまれ
肺に水は溜まり呼吸困難に陥り挿管による人工呼吸となり。
消化管からの出血がとまらず、一日に10リットルに水分が失われ、
妹さんからの輸血で白血球の移植が成功したにもかかわらず、
内部被曝による体内からの放射線により、健康なはずの白血球にも以上がで、
眼からも出血。
「これは何なんだろう、というぐらい酷い状況」と看護婦。
「ガーゼに包まれたぼろぼろになった体がある、それが機械に囲まれている。
大内さんを守るためにやっていると思えないと、とても絶えられない状況」。
そして体内の異常の最後は免疫系が狂い、自らの白血球を免疫系が攻撃。
そんな83日間だった。
放射線障害が、どれだけ怖ろしいのか。
とりわけ幼児、子どもなど、細胞分裂が激しい若い人たちに
どれだけの悪影響があるのか。
本当のことを知りたいと心から思う。
ひょっとして、本当のことを言ったら
パニックになるから、いわずにいるのではないか、とも思うのだった。
朽ちていった命―被曝治療83日間の記録 (新潮文庫) | |
NHK「東海村臨界事故」取材班 | |
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