大江戸散策徒然噺 Introducing Japanese culture and history

豊かな歴史に彩られた日本の文化と歴史を紹介

お江戸名園シリーズ~小石川後楽園(旧水戸徳川家大名庭園)光國が愛した天下の名園~【小石川】

2010年12月09日 23時13分07秒 | お江戸名園シリーズ
徳川御三家の一つである水戸徳川家のお江戸上屋敷であった小石川後楽園は東京の中で最も保存状態のいい大名屋敷です。後楽園の東京ドームに隣接しているにもかかわらず、都心の喧噪から隔絶したように静かな佇まいをみせています。

春日通りにそってつづく屋敷塀の向こう側に、静かな佇まいを感じさせる鬱蒼とした木々の重なりが眼に飛び込んできます。塀を廻りこむようにしてかなりの距離を歩き、やっと正門に辿りつきます。

小石川後楽園正門

秋深まる今日、木々の葉の色づきが12月初旬までは十分楽しめる小石川の大名庭園は最後のあでやかさで見るものを愉しませてくれました。水戸徳川家の上屋敷であった小石川後楽園の歴史的な事象については、すでにご承知のことと思いますので、あえて詳しい説明は割愛させていただき、その代わりに艶やかな秋の装いを纏った庭園の様子を画像でたっぷりと愉しんでいただきたいと思います。

艶やかな紅葉と白壁

四季折々に趣ある姿を愉しませてくれるのが日本の庭園の特徴ではないでしょうか。山紫水明の世界を回遊式庭園の中に繊細な心づかいで描きあげる日本庭園の手法は、季節が移ろうごとに日本人の心に宿る精神世界を具現化しているように思えるほど計算し尽くされたものだと考えます。

例外なくここ水戸徳川家の庭園も計算し尽くされた美しさが感じられます。庭園の中心に置かれた大泉水を囲むように、精神世界が処々に配置され、四季折々に訪れるものを飽きさせない美の世界を造り出しています。
それでは秋色薫る美の世界へご案内いたしましょう。

秋から冬へと季節が移ろう頃、園内には可憐な「冬桜」の花が柔らかい秋の陽射しの中で花弁を開いていました。

冬桜

まずは渡月橋をわたり朱色が鮮やかに映える通天橋へと歩を進めていきましょう。常緑樹の木々の間に色鮮やかな朱を流し込んだように紅葉の赤が映えています。

通天橋と紅葉

通天橋の擬宝珠の向こうに紅葉の色づきが秋の趣を添えています。

通天橋と擬宝珠紅葉

通天橋をわたるとうっそうとした木々に覆われるように「得仁堂」が静かな佇まいを見せています。この得仁堂には光國18歳の時、史記「伯夷列伝」を読み感銘を受け、伯夷(はくい)叔斉(しゅくせい)の木造を安置しています。

得仁堂

得仁堂から木々の間を縫うように進んでいくと目の前に中国風の橋が現れます。水面に映る姿が満月のように見えることから「円月橋」と呼ばれています。明の儒学者「朱舜水」の設計と言われています。

円月橋

円月橋を後に園内を一望できる高台「八卦堂跡」を辿り、緩やかな坂をおりて梅林へと向かいましょう。梅林を抜けて神田上水跡の流れを越えると、前方に九八屋の休憩所が現れます。

八卦堂跡から見る紅葉
神田上水跡
神田上水から見る紅葉
黄葉と九八屋
九八屋

九八屋の前方には鏡面のような大泉水の水面がひろがり、その水面に周囲の木々が姿を映しています。大泉水の池端を飾る美しい秋の彩りの画像をお楽しみください。

 

 

 



大泉水の美しい水面にしばし別れて、園の一番奥に位置する「内庭」へと向かいましょう。内庭には中之島を配した池が静かな水面を湛え、静かな空気に包まれています。東京ドームを借景にしたような光景が広がっています。

内庭と東京ドーム

内庭の処々に秋の装いを感じさせる紅葉がまるで赤色の水彩を流したように目に飛び込んできます。



内庭から深山幽谷を思わせる木曽川沿いの遊歩道を進み、再び大泉水が見える紅葉林へと戻ってきます。ここからは大泉水に浮かぶ蓬莱島が俯瞰できます。



ほぼ園内を一周し、「一つ松」へと戻ります。園内の紅葉は今週末くらいまでは十分に楽しめるはずです。是非、訪れてみてはいかがでしょうか。

雪吊りが施された一つ松

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