ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~金色の暁光~

2012-10-18 | 散華の如く~天下出世の蝶~
帰蝶「また、それ…」
殿の口癖。
“大概人は、心気働かし、良しとせん”
(心と気の働かぬ者はどこへも勤まらん、詰まらぬ人間よ)
信長「見ていて、飽きぬ」
帰蝶「殿ほどではございません」
ふんっと、幼子が顔を隠すように、殿の胸に顔を埋めたら、
おでこに、柔らかいもの当たった。
「ん?」
と、殿の胸が膨らんどる。ななななんと、私よりもたわわに。
「あの…ちょっと、よろしいですか?」失礼致しまする…と、
殿の胸を、さわさわ、おさわりして、
信長「バレたか…」
殿は、こういう御茶目をなさるのが好きだった。
帰蝶「こ、これ…!?」
胸の膨らみを、恐る恐る、引っ張り出した。
しゅる…、殿の懐に暖められていた黒布が、
ひらり、
黒蝶が羽を伸ばすように広がった。
「ぐ、軍旗!?」
黒地に、殿の家の、織田木瓜紋が眩しく金色に輝いていた。
「な、なんと美しい…」初めて見た、漆黒の軍旗。

私はそれを、上に、天に、光に、かざして見た。
「必ずや、殿に、光輝(名誉)もたらしましょう」
信長「それは、そなたの旗(手柄)じゃ」
帰蝶「私の旗…」
信長「これが、そなたを妻に持つ、誉れ」
帰蝶「あ、ありがとう存じます」
この時、私のわだかまりが、生駒との事も、嫉妬も、不安も全て、
金色の暁光に溶けて流れ、正室として覚悟が芽生えた瞬間だった。


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