ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

ガラスのハートの野郎ども

2011-05-17 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
そんな、先に逝っちまった女を想う歌に、
義経「歌…歌う奴ってのは、皆そうなのか?」
斯波「あん?」
池田「…」
義経「いや…」もしかしたら、これが斯波の触れちゃいけねぇ部分かも…と思い直し「いい声だ…」と斯波が何か答える前に、言葉を切った。
池田「声(音)には、魂が宿るといいますから」
斯波「なッ!?」
池田「いえ…」と斯波の言葉を続かないうちに「心に、沁みます」と感想だけを述べた。
斯波「…なぁ、池田」を呼んで、やっぱり「何でもねぇ…」と不器用に話を中断したから、
池田「フッ」と笑って「土岐さんから、聞いたんでしょう?」と斯波の背中に問い質した。
斯波「あぁ…わりぃ」と背中で小さく謝った。
義経「…4年前」の事を、池田の着物をグイッと掴んで「すまない…」と謝った。
池田「なぜ…お二人が謝るんです?世の中、仕方のない事の方が、多い…」と空を見上げた。
義経「能子を拾い上げた時、こう叫んだんだ…“代わりに”死なせろって。それって…」
斯波「…」
池田「クッ」と苦笑して「代わりって…」そんな彼女の泣き叫ぶ姿を想像した。
義経「俺は、神様じゃねぇんだぞ…出来っかよ。そんな事…」ググッと、さらに力を込めた。
池田「神じゃないから…その手で、生きた人を、救えるんじゃないですか?」
斯波「…」舵を持つ手に力が入って…、ぐらりと船が揺れた。
義経「俺に、説教…すン…な」船が揺れた拍子に、池田の着物から手が外れ…
池田「あ…」
斯波「どしたッ!?」と振り返ったら、
義経の顔を覗き込み、池田「お説教の最中に、寝る人がいますかね?」と肩をすくめた。
斯波「坊主に説教なんて馬耳東風だ」と開き直って、前に向き直した。
池田「そうですね…」フッと懐から平家蝶紋の青いショールを取り出し、義経の首に掛けた。
斯波「池田ッ」と再び名を呼び、前を向いたまま舵を取り「能子を…」
池田「え…?」
斯波「泳がせろ」と、こちらに向き「なっ」ニヤッと笑った。
池田「フッ…」その斯波の笑みを信じて「了解しました」と強く深く頷いた。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。