ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

男の生き様と死に際

2011-08-04 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
与一「二度も、同じ手は食いません」
巴「生意気なッ」
与一「よく、注意を受けます」
巴「それって、直ってないってことでしょッ」ふぅ…呆れた。ゆっくりしゃがんで薙刀を拾って、子供たちが悪戯しないよう、しっかり刃を収めて…隅の方に寝かせて、置いた。
そして「しばらく、封印…ね」と愛刀に優しく語り掛けた。
与一「…」ヒリッと、今頃になって左頬が痛くなってきた。左手で頬を触れてみたら、腫れていた。この人の子なら…きっと、剛力だなと、また偏見と先入観でモノを考えてしまって、苦笑した。また注意をされそうだからだ。
巴「ねぇ、アンタの奥さんは?」
与一「…。ただ今、別居中です」と義経さんの真似して、答えたら、
バッ、チーンッ!
案の定…
巴「早く、連れ戻しなさいッ!」頬を打たれた。
与一「ッ…」これは、しっかり受けておかない…「はい」…いけない注意だな、と。
巴「ったく、男って…」ふぅとため息を付いて「でも、戦で死ねてよかった…」
与一「…」巴さんは、知っているのだろうか…?
義仲さんの死後、従者をしていた巴さんのお兄さん…中原 兼平さんが、
“これが、男の死に様だ”
と口に刀を含み、馬から飛び降りた。その勢いに任せ腹まで掻っ捌き、絶命した。彼らは、俺たちに戦での男の生き様と死に際を見せ付けた。両者ともに見事な死だった。二人の死により、粟津の合戦は終わった。男なら、どちらの死を臨むのだろう?
俺は…、
“戦線離脱しなッ”
…この目では、
巴「あの人…自刃を勧めても拒んだわ。それが、答えよ」
最期、戦って死にたいとそう言っていた。その通りになった。それで、よかった。
そして、彼でよかった…、与一を見た。
与一「…」うつむく事しか、出来なかった。
巴「ただ、”木曾に帰りてぇ…”って事は、叶わなかったわ」と苦笑した。


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