ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

親父の背

2011-05-15 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「お酒、ありがとうございます」と礼をして、
池田「美味しかったです。御馳走様でした」と、店を出ようとしたら、
親父「アンタら…」池田の腕をグイッと引っ張って、真剣な眼差しで「頼んだよ」と言った。
池田「…」不意を食らって斯波に胸倉を掴まれた場面を思い出し「もちろんです」と頷いた。
義経「あぁ…」親父も感じてるんだ。斯波の香り…嗅覚に触れる香りではなく、感覚的な香りで、それが危なかっしく、淋しい香りで…「分かってます」とかく脆いことを…。
三人は居酒屋を出て、暗い夜道を歩き、船番所に向かった。
義経「いい親父さんだな」
斯波「…。親父の一人だ」
義経「親父の、一人?」
斯波「あぁ。親父が早く逝っちまってから…何かと、お節介な親父になった」と顎を上げた。
池田「頭が上がらない、という感じでしたね」と笑ったら、
斯波「チッ」と舌打ちして「いつまでも、でっかい野郎で…」と面白くなさそうな顔をした。
池田「越えられない父の背…というやつですか」暗がりで、斯波の表情が影って見えた。
その暗い表情を払拭させるため、斯波「フンッ」と鼻で笑った。
義経「親父の背中を越えるのは、ガキって相場は決まってる」と遠くを見たから、
斯波「なんだ、もう越されたか?」
義経「ガキだと思っていたら、いつの間にか視線と視野を一緒にしてきやがる」
池田「いいですか?そのお子さん、ほっといて?」
義経「誘ったのはおめぇだろ。それに、今頃、与一とオネンネしてるよ」
池田「え?」
義経「夜泣き防止の子守班だ」
斯波「隆坊が…子守ぃ?」
池田「夜のお楽しみ、邪魔しちゃ…」斯波と顔を見合わせ「悪いでしょう」と俺を睨んだ。
義経「俺を詰問すンな!あいつらが勝手にやってる事だ」
池田「…。自らの意思で行動している…か」と呟いた。
斯波「あん?」
池田「義経さんの、側室の…」
義経「繭子?」
池田「えぇ。松殿と対峙した時、そう言っておられました」


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