通でがんす

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(旧ブログタイトル:通じゃのう)

スペクトラム作品集

2024年05月02日 | 音楽
深夜23時から早朝5時まで、NHKラジオが毎日放送している深夜番組『ラジオ深夜便』。
午前2時台は、ロマンチックコンサート。
今日はジャパニーズ・ロック、スペクトラム作品集じゃった。

いや~、この時間枠でスペクトラムの特集をやってもらえるとは、夢にも思わんかった。
わしの知る限りじゃったら、2020年7月25日、作詞家の故・山川啓介(やまかわ けいすけ)の特集で、「サンライズ(SUNRISE)」を取りあげてもろうたくらいじゃったけぇの。





今日は、スペクトラム作品集についての話でがんす。





スペクトラムは、ホーンセクション(トランペット×2、トロンボーン)を中心にした、ブラスロックバンド。

メンバーは、以下の8人。

トランペット、ボーカル:新田一郎(ニッタ・イチロー)。
トランペット:兼崎順一(カネザキ・ジュンイチ。またはカネザキ・ドンペイ)。
トロンボーン:吉田俊之(ヨシダ・トシユキ)。
ベース、ボーカル:渡辺直樹(ワタナベ・ナオキ)。
ギター、ボーカル:西 慎嗣(ニシ・シンジ)。
キーボード:奥 慶一(オク・ケイイチ。またはオク・ケーイチ)。
ドラムス:岡本郭男(オカモト・アツオ)。
パーカッション:今野拓朗(コンノ・タクロー)。
(注:名前のカタカナ表記は、LPレコードの表記による)

リーダーの新田は、渡辺プロダクションの所属。
伊丹幸雄(いたみ さちお)のバックバンド:ロックンロール・サーカス、あいざき進也(しんや)のバックバンド:ビート・オブ・パワー、そしてキャンディーズのバックバンド:MMP(ミュージック・メイツ・プレイヤーズ)に参加。

新田は、キャンディーズのマネージャーだった大里洋吉(おおさと ようきち)が立ちあげたアミューズに移籍。
同じくアミューズに所属するサザンオールスターズの初期の楽曲に、ホーンアレンジなどで参加。
元ワイルドワンズの渡辺茂樹(わたなべ しげき)の弟で、MMPのメンバーだった渡辺や、同じくMMPのメンバーだった兼崎とスペクトラムを結成し、1979年8月にデビュー。
スペクトラムは、70年代前半に流行した、ブラスロックのシカゴ、フュージョンバンドのブレッカー・ブラザーズの影響を受けている。



(「サンライズ(SUNRISE)」レコードジャケット)

スペクトラムといえば、古代ローマの戦士を思わせる甲冑(かっちゅう)、北欧のバイキングのようなかぶり物など、当時の金額で1000万円かけたという、ド派手で金ピカな衣装。
西のロック系ボーカルに、渡辺のAOR系ボーカル、そして、新田のファルセットボーカル(アグネス・チャンみたいな声!)。
そして、ホーンセクションの3人と、ギター、ベースの計5人が最前列に並び、演奏しながら、トランペットはもとより、ギター、ベースまでも回して、振り付けを合わせて踊るというパフォーマンスをステージで繰り広げる。
ビジュアル面を重視し、見る者に強烈なインパクトを与えた。

1981年9月、武道館での解散コンサートを最後に、2年間の活動に幕を閉じる。



この日放送された曲目は、以下の8曲。

1.アクトショ-(ACT-SHOW)
2.トマト・イッパツ(TOMATO IPPATSU)
3.イン・ザ・スペース(IN THE SPACE)
4.フ・ラ・イ(F・L・Y)
5.ミーチャン・ゴーイング・トゥ・ザ・ホイクエン(ミーチャン GOING TO THE HOIKUEN)
6.サンライズ(SUNRISE)
7.夜明け(アルバ)
8.ナイト・ナイト・ナイト(NIGHT NIGHT KNIGHT)

この時間枠は、ふつうなら最低でも10曲はかけるところを、たったの8曲。
曲数は少なくなるが、シングル(短縮版)バージョンを2曲(4・5曲目)に抑えて、あとはアルバム(長尺)バージョンにこだわっての選曲。
本当に、ありがとうございました。



最後に、曲紹介を簡単にしておこう。


1.アクトショ-(ACT-SHOW)
(1stアルバム『スペクトラム(SPECTRUM)』A面1曲目)


タイトルは「アクトショ-」だが、歌詞は「アクシュショウ(=握手しよう)」となっている。

アクシュショウ アクシュショウ カルイキモチデ with me
アクシュショウ アクシュショウ wake up baby

(作詞:宮下康仁(みやした やすひと))


ソレニシテモ、コノ カシカード ヲ ハジメテ ミタトキハ、ビックラコイタ モンジャ。
カタカナ ト エイゴ ダケデ カカレタ カシカード ナンテ、ソレマデ ミタコト ナカッタケェノ。
アノカオ アノカオ………ケ ケ ケッ!



2.トマト・イッパツ(TOMATO IPPATSU)
(1stアルバム『スペクトラム(SPECTRUM)』B面3曲目)


スペクトラムのデビューシングル曲であり、彼らの代表曲のひとつであり、そして、解散コンサートで最後を飾った曲でもある。

フタリノ アサハ ネムイ セナカヲムケ チョイト

(作詞:宮下康仁)


歌詞に「シビレタ アサハ TOMATO」とあるところから、新田が「トマト(というタイトル)一発でいきましょう」と提案。
これを聞いた担当者が「トマト」でなく、「トマト一発」と聞き違えたため、「トマト・イッパツ」というタイトルになったという。
ウソ ノ ヨウナ ホントウ(?)ノ オハナシ。



3.イン・ザ・スペース(IN THE SPACE)
(2ndアルバム『オプチカル・サンライズ(OPTICAL SUNRISE)』A面4曲目)


テクニクス(Technics)のコンポーネント・ステレオ「ザ・スペース(THE SPACE)」のCMで使われた曲である。

君ゆけば 空が動く
はらはらと 心動く

(作詞:宮下康仁)




(1stアルバム『スペクトラム(SPECTRUM)』レコード帯裏面より)



4.フ・ラ・イ(F・L・Y)
(3rdシングル、両A面)


2ndアルバム『オプチカル・サンライズ(OPTICAL SUNRISE)』A面2曲目でもある。

時計仕掛 狭クナッタ 夢ハ フワフワ
波瀾万丈 金ピカピカ Fantasy 答エハ

(作詞:Mabo)



5.ミーチャン・ゴーイング・トゥ・ザ・ホイクエン(ミーチャン GOING TO THE HOIKUEN)
(3rdシングル、両A面)


2ndアルバム『オプチカル・サンライズ(OPTICAL SUNRISE)』B面1曲目でもある。

インストゥルメンタル曲で、当時、保育園児だったミーチャンとスペクトラムのメンバーとの会話が入っている。
武道館で行われた解散コンサートでは、保育園を卒業して小学校に入学したことが、ミーチャン自身の声で報告された。
そして、『スペクトラム スーパー・リミックス1991』の「トマト・イッパツ(Live Power Mix)」では、ミーチャンの「アタシ、もう、高校生だよ」に対して、新田は「お兄ちゃん、知らなかったなぁ」と、旧いギャグで返している。
ちなみに、ミーチャンとは、アミューズの創業者・大里洋吉の娘さんである。

広島でいうと、「あっちゃん」こと西田篤史(にしだ あつし)のラジオ番組「あっちゃんのSay春ing(せいしゅんアイエヌジー)」のテーマソングに、この曲が使われとったんじゃの。



6.サンライズ(SUNRISE)
(2ndアルバム『オプチカル・サンライズ(OPTICAL SUNRISE)』B面3曲目)


プロレスラーのスタン・ハンセンの入場テーマ曲として使われていたことで有名。
そのせいか、テレビ番組の乱闘シーンなどでは、今でもこの曲のイントロが使われることも。

汚れていないその手で
時代のページを開け
おれたちが行くあとから
目覚めた都市(まち)がつづく

(作詞:山川啓介)



7.夜明け(アルバ)
(3rdアルバム『タイム・ブレイク(TIME BREAK)』B面1曲目)


セイコー(SEIKO)の腕時計・アルバ(ALBA)のCMで使われた曲である。



(3rdアルバム『タイム・ブレイク(TIME BREAK)』レコード帯裏面より)



8.ナイト・ナイト・ナイト(NIGHT NIGHT KNIGHT)
(4thアルバム『セカンド・ナビゲーション(Second Navigation)』A面1曲目)


3rdアルバムまでは、アルバム全体として統一したイメージで作られ、作曲はスペクトラム名義だった。
ところが、この4thアルバムは、スペクトラムの各メンバーが作った40曲以上の中から選ばれた11曲で作られているため、作曲はメンバー個人の名義となる。
同時に、曲としての完成度は高いが、アルバム全体としては統一の無いものとなった。

その4thアルバムの巻頭を飾ったのが、「ナイト・ナイト・ナイト(NIGHT NIGHT KNIGHT)」(作曲:渡辺直樹)。





以下、余談。


唯一、残念じゃったのが、5thシングル「夜明け(アルバ)」のB面、「やすらぎ(Love for You)」がオンエアされんかったこと。
アルバムバージョンはインストゥルメンタルじゃが、シングルバージョンは歌入りで、しかも、無伴奏=楽器を使わずに歌う、全編英語詩のアカペラ。
次回があれば(あることを願います!)、是非ともオンエアして欲しいもんじゃ。



↓「やすらぎ(Love for You)」については、こちら↓

「SPECTRUM スペクトラム やすらぎ」YouTube





【参考文献】

「日本ロック元年」『昭和40年男 2020年12月号』クレタパブリッシング 62ページ






今日は、スペクトラム作品集について話をさせてもろうたでがんす。

ほいじゃあ、またの。



(文中、敬称略)
コメント
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