植物越冬メモ

散歩中に見つけた熱帯植物を紹介していきます。。

猪苗代湖

2020年06月20日 | 東北植物
福島県・猪苗代湖にいってきました。


記録的暖冬でも、猪苗代湖など積雪の多い地域ではまだ桜の開花は先の様ですが、ヤマザクラや東北のピンク色が特徴の彼岸桜が有名となっています。冬季は湖周辺で-9℃といくらか冷え込む地域です。それでも、周囲の村-10℃や市の-12℃と比較すると冷え込み具合がいくらか安定しているのがわかります。




記録的な暖冬2020年により桜前線が北上した北日本。標高の高い磐梯山・会津方面では遅いものの、徐々に北上しつつあります。冬季の最低気温は福島県南部の中では低い傾向があり、積雪量も多く2月中は風雪が吹き付ける厳しい気候となっています。観光名所として会津・南会津地方では、国内湖面積4位の猪苗代湖が有名である。


天空村では、桜並木が見頃であり集落や村などでも満開の状態であり、ドライブを楽しませてくれました。福島県は東北1位の県内面積を誇り気候もいわきでは安定して、高く気候による地域差もあるのが特徴です。次いで、前回紹介した石巻・仙台が高くビワ・カンキツの栽培が可能となっています。



また、内陸性気候であり涼しい気候を好む、モミやユミツバキなどの日本海側や雪国のが見られます。驚いたのは、スギの植林数の多さで、崖地や田畑の周りでは実生苗が多く発芽しているのが見られます。空中湿度や日当たり具合冬季の安定した寒さが常緑針葉樹では不可欠なのがわかります。


センリョウは、積雪の多く日本海側でも多く見られるclimate(-10℃)で那須高原が枯死限界温度となっている。アオキ、ヤツデ、シラカシも耐寒性-15℃で山間部のからっ風にも負けずに生育する事ができる。また、こういった生育環境が限られる地域では、植栽種一覧表など作成する事がリゾート施設では必要になると思われる。


平地の桜




シラビソの幼株だろうか?亜高山帯で東北中部なので。


車では制限域があり、ハクチョウやオオタカなどの絶滅危惧が心配(に)含まれる保全活動の配慮の影響かなと思われる。池にはクチボソやニゴロブナや外来種のコクチバスが生息している様だ。また、ボートや釣りエリアも局所的に限られている為注意が必要だ。


ヤツデの大株
推定樹齢30年のヤツデ。ヤツデのアオキの様にナンゴクアオキ(属名・)もあるのか不明だがしっかり調べていきたい。積雪は多い地域なので冬季もなんとか越している模様。また、雪国ではここまで生育良好なのは、珍しいとか。伊豆のインドゴムノキの様な感じで厳しい日本の寒さに耐えてきたのだろうか。


ユッカ・グロリオサ
若干・養分不足で黄色気味だが越冬した分、充実した様で幹・葉とも通常株より厚く肉厚な印象を受ける。本種の高い耐寒力に改めて驚いた。しかし、1箇所どまりで他には見られなかった。その為、猪苗代湖の様な積雪の多い地域で生育するには、幹高が低く株が有利だと思われる。(風雪も考慮)


コクチバスが釣れる場所(Micropterus dolomieu)かは不明だが。許可またはサイズや生息有無の目的で調べていきたい。コクチバス(スモールマウバス)が別名であり、小川や水流の強い地域でも繁殖・遡上できる品種であり関東北部の河川や東北南部のため池に分布は集中している。


・世界のバス
フロリダバス(Micropterus floridanus) ブルーギル(Lepomis macrochirus)
3倍体バス
ノーザンバス(M.s salmoides) ウォールアイ(Sander vitreus)

ホワイトバス(Morone chrysopa) スズキ(シーバス) Lateolabrax japonicus
カナダ~北米。耐寒力ある。   おなじみ海洋バス

ストライプバス(Morone saxatilis) ピーコックバス(Chicla temensis)
               熱帯観賞魚 南米原産・アマゾン川流域



池底が少し、よどんで見えないが、おそらくワームなどで垂らせば吸い付くと思われる。こんな身近な小川にも在来種の脅威が迫っていると思うとぞっとしてしまう。バスにもいくつか種類があり国内には4種(スズキを含め)が生息しているのが特徴である。水流が激しい地域にもバスは小型ならがいる。


崎川橋の周辺には、川辺を好むヤナギ属や野生桜をみる事ができた。写真の幹肌に白い模様が混じる野生桜は東北地方に多い耐寒種のヒガンザクラ属(Cerasus subhirtella)系統の野生種だと思われる。その為、開花時期はソメイヨシノよりも遅く、5月下旬には生育・開花し始めるだろう。高山種のマメザクラ系統(Cerasus incisa var.incisa)は6月上旬に開花する。鉢植えにも向いている。


幹高5メートルぐらいで生育は早く旺盛。日当たりはあまり関係なく環境適応は高い。近くには、この木から芽吹いた実生苗がしっかり生育していた。猪苗代湖周辺にも自生・生育しているので耐寒性は高い。ヤマザクラ系統(Cerasus amasakura)と交雑すれば耐寒性・花つき良い観賞株ができるのではと思われる。

宮城・ヤシ越冬

2019年09月18日 | 東北植物
 東北地方では福島県いわきに次いで、温暖な宮城県・石巻とヒートアイランド現象で温暖な仙台のヤシ・亜熱帯性植物の越冬について調査を行った。冬季の最低気温は、-6℃程度でありクライメートゾン9aの植物なら場所等と選べば越冬できる地域である。


シュロ


(しかし、東北なので緯度がより北であり、山の吹きおろしや寒波によって、関東と比べると体感気温・厳寒期の平均気温が寒い)ので注意が必要である。









シュロは、学名()は、他のヤシよりも寒さに強く東北地方・石巻までなら実生繁殖が可能のヤシである。福島県いわき・茨木県ひたちなか~関東以西では、海沿いの景観樹としてワシントンヤhシやカナリーヤシがみられる。
しかし、より寒さの厳しい地域では、アカマツクロマツとシュロを用いた植栽がメインとなっている。


自然繁殖したシュロ 石巻・松島


自生アオキ


多肉?


斑入りヨシチクとパンパスグラス

関東以西~九州で栽培されるビワも生育していた。鹿児島・指宿では2月の厳寒期でかかわらず葉を展開させており驚いた。耐寒性は-10℃程あり東北・石巻や仙台が北限とされている。特に枝の枯れ込み等もなく元気そうだ。葉が密に茂っており樹勢も問題ない。生産地が(長崎・鹿児島・宮崎)と温暖な地域に多いのは、2月に開花し幼果が結実するサイクルの為、冬季約-3℃以下の低温にあたると幼果が凍害を受ける為である。



 
また、-5℃以下の低温にさらわれると幼木が枯死・枝の枯れ込みがみられる。その為、東北~関東の寒冷地(みなかみ・那須・秩父・奥多摩)では南側のひだまり下で栽培するのが良い。


宮城・仙台のヤシ農家

ココスヤシがメインで(ワシントンヤシ・ビロウ・アオノリュウゼツラン・ユッカエレフェンティペス)などを栽培・生産している。場所がやや寒冷の為ビロウは1本、ココスヤシは復活中であった。ユッカは、風の影響を受ける地域では上部が枯れていたが他の株は元気であった)




北限のココスヤシ

南米アルゼンチン原産の羽状ヤシで耐寒性は-10℃程度で寒さに強い。北限の仙台では東北の寒い季節風の影響を受け葉がダメージを受けが、夏には復活というサイクルの様だ。(関東南部のフェニックスロベレニーの露地栽培の生長サイクルと似ている)この為、仙台の寒さに耐えるが、場所をいくらか考慮しないと衰弱してしまう様だ。枯死している株は1株ほどだったので、春に植栽し根づかせば東北仙台でも越冬する事が分かった。






ジョオウヤシ
ジョオウヤシは残念ながら生きている株はなかった。寒さの強いハイブリット種(クイーンパーム)なのか不明だが何年かは越冬できていた様で時の寒波で枯死した模様。東北でジョオウヤシが生育できたら宮崎の様な景観がつくれるが・・・。







北限のユッカ・エレファンティペス

やや仙台ではリスクがある様で、風が当たる場所に植栽された株は、上部が枯れて根本から復活中の様だ。しかし、東京多摩地域の寒波-7℃がきた際にダメージがでたので東北でも同様な結果だったのが疑問である。また、仙台よりも寒い栃木県那須地域でも軒下で無傷で越冬する為、耐寒性は-8℃(防寒下では-9℃)といった具合だろうか。最低-9℃台の八王子でも植栽(軒下)を見たので。



復活中

東北の北限ビロウ


 看板前は風が遮る事ができる為か、越冬して問題なく生育していた。おそらく日本では最北のビロウヤシである。北限の自生地は九州の宮崎・青島だが越冬できている事に驚いた。場所は、良好で車通りのよい道路近くと市街地の為仙台の中でも比較的温暖な場所だと思われる。


しかし、耐寒性は-4℃とクライメートゾーン9bに値する。その為、養生・防寒しているが枯死した株も多く見られた。ちなみに仙台はクレイメートゾーン8b?である。



ヤシ科の植物は生長点がなくなると枯死してしまう。ビロウは、仙台では軒下や場所(風が当たらない)など考慮する必要がある事が分かった。

ソテツ



最北のアオノリュウゼツラン

無傷で問題なく生育・展葉をしていた。東京の寒波(-9℃)でも乾燥下では越冬できた例がある。仙台では、(軒下)などで越冬できる様だ。また、耐寒性アカベ(agave)?は関東では最も寒さの厳しい栃木・那須でも葉先は傷みながらも、越冬した例がある。






北限のユッカ・グロリオサ

本種は、耐寒性が最もあるユッカ(Yuka)である。耐寒性は、-8℃程であり問題なく生育できている。地を這うように生育する為、寒さの影響を受けにくい事も関係していると思われる。北限は、-10℃になる栃木県那須や日光・岩手県・石巻が北限である。

宮城県 仙台


宮城県 町




東北地方 ヤシ編

2018年06月15日 | 東北植物


東北地方でも温暖な福島県いわき市にいっていました。四倉海岸付近には、ココスヤシがずらりと植栽されている。また、実もなっている。




マツバギクの紫花が、なんともエキゾチックな感じである。潮風、乾燥に強い数少ないグランドカバープランツの一つ。南米原産なので花色は鮮やか花で、屋外でも東北以南であれば、多くの地域で越冬可能なようだ。


実が、ぱらぱらと落ちている。南国ヤシやソテツをはじめ、亜熱帯果樹のビワやカンキツ類の栽培、常緑広葉樹のクスノキなど自生状況が見られるのはこのあたりである。




実生苗のココスヤシが生えている。タマシダも越冬したようだ。タマシダは無霜地帯なら越冬可能だが・・・。温暖ないわきなら場所が良ければ越冬可能なようだ。また、東北でも温暖ないわき市ではココスヤシが実生繁殖可能なようだ。



場所により東北なので、やや冷える為か若干痛みが見られる株もある。



売店(道の駅 四ツ倉にはココスヤシの小苗が栽培されていた)






東北の冬は、寒いイメージがありますが、いわき市は年間を通して温暖な地域である。
周囲は、常緑広葉樹のクスノキやダブノキなど西日本に多い樹木が中心に生えているのが分かる。



柑橘類では、耐寒性が最も強いユズはいわきから青森まで栽培されている。
しかし、温暖な気候を好む為、東北地方ならの太平洋沿い(石巻、仙台、南相馬、福島、いわき)などが向いている。



いわきでもビワの栽培も見られた。また、亜熱帯果樹の一つのビワも長崎や鹿児島など暖地多いが。-10℃以下になる那須でも植栽例が見られる。





ソテツも植栽されていた。屋根に近い場所に植えられているのでいわきでは軒下なら植栽できるようだ。ついでに、いわきフラワーセンターにも行った。。




ワシントンヤシは、四倉が北限なようだ。とくにダメージわ見られなかった。
耐寒性は-5℃~6℃である。関東では、福生市の米軍基地近くのワシントンヤシ並木もある。





カナリーヤシも植栽されていた。ワシントンヤシと同じく四倉が北限である。葉先に若干痛みが見られる。





こちらは、別の株。場所により痛みがあまりない株もある。





ついでにいわきフラワーセンターにいってきた。
まわりには、コルジリネやニユーサイラン、アツバキミガヨランなど南国植物も見られた。


冬寒かった為か、若干葉が少ないが元気に開花中。東北地方などは、温暖地でも霜が降りるのでハイビスカスの代わりにノウゼンカズラ、キョウチクトウ、クチナシ、ネムノキ、タイタンビスカスが向いている。(いわきではアメリカデイゴも越冬できるかも)






ベニバナトチノキは花が鮮やかで温帯樹だが、どこか南国風。ヤシと組み合わせるといいかも。





ブーゲンビリアも開花中。



温室内であれば、このように元気に生育し、開花できる。また、いわきは東北地方では最も温暖地の為、他の地域と比べると冬季の暖房費がかからない。


ニューサイランもいわきでは越冬可能なようだ。葉先に若干痛みがある株も見られた。(茶色や緑色の葉の品種は耐寒性がある。)



葉先に痛みが見られた株



アップ


コルジリネも植栽されていた。本種はコルジリネの中では最も耐寒性のある品種も一つでいわきフラワーパーク以外にも民家の庭木として3カ所ほど植栽されていた。




ギョリュウも植栽されていた。樹形などから、オーストラリアのオージプランツのような乾燥地の植物の感じがするので、寒冷地でも耐寒ヤシと一緒に植栽すると良いかも。



シュロ









アツバキミガヨランも植栽されていた。ユッカの中では最も耐寒性も強い品種の一つで、ユッカは高温・乾燥下を好む種類なので、寒い地域では生育期温度不足が心配されるが、本種は、環境適応性が高い地域なので東北では、石巻あたりが北限とされている。(書物や調査によるが)









クスノキも植栽されていた。福島県のいわき市が自生北限地とされている。おそらく(-10℃~12℃)あたりが越冬の限界温度と思われる。





斑入りリュウゼツランも若干痛みが見られるが越冬可能なようだ。