作って遊ぼう&学校の応援

 小学校でオモチャを身近な材料で作っています。また、最近プログラミングで学校支援アプリを制作しています。

地域学校協働本部を創る手順

2018-08-28 08:55:15 | 社会に開かれた学校
 新学習指導要領が告示されました。これから小中学校では地域の皆さんが学校の教育に参画して、たくさんの地域学校協働活動を行うために、地域と学校の協力体制、つまり地域学校協働本部を整備することが、社会教育法に規定されました。
 そこで、その本部をどのように創るかについて示したものです。



 

理論編〔「社会に開かれた教育課程」と「学校を核とした地域づくり」のつながり〕

2018-08-19 15:14:32 | 社会に開かれた学校

〔パソコンサイト〕

 今から述べることは、国立教育政策研究所社会教育実践研究センター「地域学校協働活動推進のための地域コーディネーターと地域連携担当教職員の育成研修ハンドブック」第2章理論編「地域学校協働活動の推進と人材育成についての考え方」2地域と学校の連携・協働の在り方(1)「社会に開かれた教育課程」と「学校を核とした地域づくり」のつながり(執筆者:岡山大学大学院教育学研究科教授 熊谷愼之輔 氏)から転記した内容です。表記内容を理解するうえで大変参考になるものです。〔読みやすくするために、少し加工してあります。〕※筆者の了解を得ています、

 本文を直接読みたい方はここをクリックしてください。表記冊子がダウンロードできるページに移ります。ページに移ったら全体版《地域学校協働活動推進のための地域コーディネーターと連携担当教職員の育成研修ハンドブック》か分割版《第2章理論編2.地域と学校の連携の在り方》をダウンロードしてください。

「社会に開かれた教育課程」と「学校を核とした地域づくり」のつながり

ア 「地域づくり」と「学校づくり」のつながり

「社会に開かれた教育課程」と「学校を核とした地域づくり」のつながりを理解するには、まず「地域づくり」と「学校づくり」がつながっていることをおさえておく必要があります。「地域づくり」と聞くと、「学校づくり」とは関係ないと思われる方も多いでしょう。しかし、学校を舞台にして、大人と子供や、大人同士の「人間関係のつながり」、専門的にいうと「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」を豊かにすることが学校も地域もよくすることにつながっていることを見落としてはなりません。もう少しいうと、他者への「信頼」、お互い様という「互酬性の規範」、人びとの間の「絆」がソー シャル・キャピタルです。 このソーシャル・キャピタルは、目に見えるものではありませんが、教育とは互いに影響し合っています。例えば、子供にとって“家庭・家族とのつながり”、“地域社会・近隣社会とのつながり”、“学校・教師とのつながり”という三つの「人間関係のつながり」が豊富なものであるとき、子供たちの学力形成に積極的な影響を与えることが多いと報告されています。つまり、「地域、家庭、学校と子供とのつながりの多さが、今日の子供たちの学力に大きな影響を及ぼしている」のです。また、学力のみならず、ソーシャル・キャピタルが豊かな地域(都道府県)では不登校率が低く、さらには高等学校の中途退学率や校内暴力発生率の低さとも強い相関がみられることも指摘されている。 このようにみると、ソーシャル・キャピタルを豊かにし、よい「地域づくり」をしていくことが、子供たちにもプラスに影響し、よい「学校づくり」につながっていると考えられています。逆に「学校づくり」に保護者や地域住民が関わることは、子供だけでなく、大人自身の育ちや「地域づくり」にもつながっているともいえます。 つまり、ソーシャル・キャピタルを通して、「地域づくり」と「学校づくり」は密接につながっているのです。 そうだとすると、「めざす子ども像」を考えていくことは学校の課題だけでなく、地域の課題でもあると認識する必要があります。もう少しいうと、どんな子供に育てたいかは、学校と地域の共通課題となるため、学校にかかわる大人たち同士で「めざす子ども像」についてもビジョンを共有していくことが肝要になってくるのです。

イ 計画的で継続的な「学校を核とした地域づくり」の推進
 こうしてみると、地域と学校のつながりを強め、「地域づくり」と「学校づくり」を循環させて、相乗効果を上げていく必要があることがわかります。だからこそ、 学校側に「地域とともにある学校づくり」への転換を求めるだけでなく、地域に対しても、学校を核とした協働の取組を通じて、地域の将来を担う人材を育成し、自立した地域社会の基盤の構築を図る「学校を核とした地域づくり」の推進を促していくことが重要です。つまり、「地域とともにある学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」は改革の両輪なのです。 ただし、「学校を核とした地域づくり」は、「地域とともにある学校づくり」に 比べて、すぐには成果を実感できないものです。学校・家庭・地域の連携協力において、「学校支援」という「地域とともに ある学校づくり」の主なねらいの成果が認識される時期と、それによって地域の教育力そのものが向上するといったねらいが浸透する、「学校を核とした地域づくり」 の成果が実感できる時期には、一定のタイムラグが存在します。だからといって、学校にとって成果が実感しやすい「学校支援」を中心とした取組に偏り、「学校を核とした地域づくり」の視点や取組が疎かになれば、「地域づくり」 と「学校づくり」の好循環を生み出せなくなります。「地域づくり」にとって、学校と地域の連携・協働はじっくりと効き目が出てくる“漢方薬”にたとえられます。だからこそ、「学校を核とした地域づくり」は、「地域とともにある学校づくり」以上に、意図的な処方箋をもって計画的・継続的に取り 組むことが求められます。

ウ 「学校づくり」と「地域づくり」をつなぐ軸となる「社会に開かれた教育課程」
  そのためには、学校の“教育課程”とつながることが有効です。教育課程とリンクするからこそ、「学校を核とした地域づくり」を意図的・計画的・継続的に推し進めることができます。そうした意味でも、次期学習指導要領の特質の一つとして、「社会に開かれた教育課程」が示されたことの意義は大きいのです。「社会に開かれた教育課程」は、中央教育審議会教育課程部会の教育課程企画特別部会において議論がなされ、平成27(2015)年8月26日に「教育課程企画特別部会論点整理(案)」として発表されました。 その基本的な構想は、以下の3点にまとめられる。

① 社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会づくりを目指すという理念を持ち、教育課程を介してその理念を社会と共有していくこと。
② これからの社会を創り出していく子供たちが、社会や世界に向き合い関わり合っていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化していくこと。
③ 教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること。

 まず、①の「よりよい学校教育を通じてよりよい社会づくりを目指すという理念」には「学校づくり」と「地域(社会)づくり」がつながっていることがしっかりとおさえられています。さらに、「教育課程を介して」には、そうしたつながりを強化し、理念を共有していくのは、“教育課程”に他ならないことが示されています。こうしてみると、先ほど、「地域とともにある学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」は改革の両輪であると指摘しましたが、この両輪をつなぐ「軸(シャフト)」になるのが、「社会に開かれた教育課程」といえるでしょう。

 ②に関連して、教育課程については、「『何を知っているか』という知識の内容を体系的に示した計画に留まらず、『それを使ってどのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか』までを視野に入れたものとして」、構造的な見直しを行う必要も述べています。つまり、学校での「学習」と現実社会の「生活」とを統合し、「知の総合化」をはかる教育課程が目指しているのです。
 ③の「社会に開かれた教育課程」の実施については、「学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させる」必要があり、さらにそれを「保護者や地域の人々等を巻き込んだ『カリキュラム・マネジメント』」によって運営していくことが示されています。たしかに、「社会に開かれた教育課程」を推進していくには、学校内だけではなく、保護者や地域の人々等を巻き込んだ「カリキュラム・マネジメント」の確立が重要になります。その意味では、これからの地域連携担当教職員は、地域との窓口というより、教務関連の校務分掌に位置付けていく方が有効かもしれません。 さらに、「社会に開かれた教育課程」の実現には、学校・家庭・地域といった、いわば“ヨコ”の連携による「カリキュラム・マネジメント」に加えて、子供の発達を 踏まえた学校種間の“タテ”の連携による「カリキュラム・マネジメント」も求めら れてこよう。学校という場を核にした地域づくりを進めるには、子供の発達を意識した異学年・異年齢・異世代間での交流や学びあいの機会をつくっていく必要があります。そのためには、小・中、さらには保幼・小・中・高といった“タテ”の連携による中長期的な「カリキュラム・マネジメント」の視点が不可欠なのです。このようにみると、「地域とともにある学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」を推進していくには、「社会に開かれた教育課程」が軸となって双方をつなぎ、「学校づくり」と「地域づくり」を循環させ、相乗効果を上げていく必要がある。そして、この「社会に開かれた教育課程」を実現するうえでのカギを握っているのが、“タテとヨコ”の「カリキュラム・マネジメント」と位置づけることができるでしょう

エ 地域における中高生の出番づくりの意義
 ところで、これまで学校・家庭・地域の連携協力というと、「地域(大人)から学校(子供)へ」の支援を連想し、一方向の取組に偏ってしまいがちでした。しかし、実社会や実生活とのかかわりを重視した「社会に開かれた教育課程」となれば、地域の中で子供たちに出番や役割を積極的に設け、活躍を承認していくという「学校から地域へのベクトル」も含んだ取組を展開していくことも重要になってきます。双方向性のある取組が、協働を生み、学校・地域づくりを促す。 とくに後者のベクトルでは、地域で中高生の「出番と役割と立場」をつくる取組が効果を発揮すると考えられます。これは、彼らを“支援”の対象としてではなく、これからの地域をともに支える“パートナー”として捉え、彼らの出番づくりを地域で意図的・計画的・積極的に推し進めていく取組に他なりません。このような取組を通して、地域の人間関係のなかで、中高生を中心に「あてにする-あてにされる」という相互関係を生み出し、彼らが「役に立っている」、「必要とされている」と実感することが、自己肯定感や自己有用感の向上につながり、成長を促していくでしょう。 こうした中高生の出番づくりの際、彼らにとって年少の子供たち、あるいは年長の大人たちとの交流や学びあいの場面を積極的に取り入れてほしい。児童期の子供たちにとって、発達の先にいる中高生たちとの交流、そして中高生にとって若者(大学生)や地域の大人たちとの交流は、彼らの中に「あこがれ」の対象を生み出し、お互いの活力も増していくと考えられます。このように中高生の出番づくりに、異年齢・異世代間の交流を取り入れることで、“ヨコ”だけでなく、“タテ”の視点にもつながっていきます。こうしてみると、中高生の出番づくりは、“タテとヨコ”のマネジメントによって、「あてにする-あてにされる」関係を地域の中に創造していく、正に「学校を核にした地域づくり」の取組といえるでしょう。 とくに、中高生の出番といっても、当日だけの手伝いでは彼らのやらされ感も高まるでしょう。彼らを“パートナー”とするのなら、事前の企画段階から彼らとかかわっていく方が効果的なはずです。そうだとすれば、 「事前参画」という大事な学びのプロセスを見逃してはなりません。例えば、こうした重要性に着目し、「事前参画」、さらには「ふり返り」を「社会に開かれた教育課程」の一環として組み込んでみるのも面白いでしょう。

オ サービス・ラーニングの可能性
 それに関連して最後に、「サービス・ラーニング(以下、SLと略)」の導入について提案しておきましょう。SLは、学校の教育課程、とりわけ教科で学んだ学習と地域の社会奉仕活動(サービス活動)とを組み合わせた体験的な学習方法である。例えば、教科で学んだことを、「総合的な学習の時間」等を利用して、地域で生かして実践し、さらにそれらの体験を振り返ることで、子供たちは学校で学んだ知識を生活と結びつけ、「知の総合化」を図ることができます。
 我が国の現状にひきつけてみると、学校現場にボランティア活動が積極的に導入されてきていますが、「なぜ、今日は海岸でごみ掃除をするのか?」、「なぜ、老人ホームでお年寄りの方々とふれあうの?」など、子供たちの疑問の声もしばしば耳にします。その場合、「ボランティア活動だから」と教師も返答に窮してしまいがちです。 しかし、SLの手法を取り入れた教育実践の場合、単なるボランティア活動ではなく、子供たちが教科で学んだことを踏まえて地域で実践することになり、こうした疑問や問題も解消していくと思われます。こうしたSLを企画し、実践するには地域の力が不可欠です。そのため、SLは、「コミュニティのニーズ」に応じた地域課題を出発点としています。つまり、地域住民のニーズにもとづいたサービス活動でなければ、SLにはならない。しかも、地域住 民や保護者の協力がなければ、その活動を子供たちが地域で実際に取り組んでいくこともできません。だからといって、地域だけでSLに取り組むのは難しいことです。というのも、SLは学校の教育課程とつながっており、企画していくにはどうしても教師の力が必要となるからです。このようにみると、SLの取組は、学校(教師)と地域 (地域住民・保護者)が力を合わせないと実践できない。だからこそ、SLは、学校に関わる大人同士の「協働」を生み、「地域とともにある学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」を推進し、双方の循環を促す有効な手法と考えられます。

 本文を直接読みたい方はここをクリックしてください。表記冊子がダウンロードできるページに移ります。ページが表示されたら《地域学校協働活動推進のための地域コーディネーターと地域連携担当教職員の育成研修ハンドブック》の全体版をダウンロードするか、部割編《第2章理論編2.地域と学校の連携の在り方》をダウンロードしてください。

 


これからの学校と地域の在り方

2018-08-11 22:18:12 | 社会に開かれた学校

 新しい学習指導要領が告示されて、先行き不透明な社会を生きる子どもたちに必要な教育とは何かが示されました。子供たちの生きる力を育むだけでは十分とはいえません。薄れてきた人と人との“つながり”を結び合わせ、それを資源として社会づくりに向かう方向性が示されています。とても学校だけでできることではありません。地域住民総出で子供たちの育成に取り組むことで、“つながり”ができていくことになります。

 人口が減少することは仕方のないことです。しかし、30~40年後、その中で心豊かに生き抜いていく子供たちを目指して、今、どんな教育が必要かを考えて行きましょう。

〔PCサイト〕

 

 

 


 平成29年3月31日に新学習指導要領の告示がありました。これからの10年間に向けての教育を指し示すものです。これから「これからの学校と地域の在り方が変わります。」と題して話をしますが、皆さん「どうして変わらなければならないんですか?」という答えを求めて読んでいただけたらと思います。

 

  このパワーポイントシートを作成した熊本県統括コーディネーターの自己紹介です。

  熊本県では、県教育委員会に5人の県統括コーディネーターを配置して、地域学校協働活動の推進と地域学校協働本部の整備について、熊本市を除く県下全域をカバーして取り組んでいます。

 

  話の中に出てくる“コミュニティ・スクール”と“学校応援団など”について説明します。

 コミュニティ・スクールは、法律にしたがって市町村教育委員会が学校または関連した複数の学校を指定します。その機能は地域住民の学校経営への参画です。学校運営協議会を開いて学校経営の基本方針を承認したり、学校や地域の課題に対してその解決に向かって話し合い(協議)をして、共通の目標に向かって協働して取り組みます。
 熊本版コミュニティ・スクールは、その趣旨を活かして、校長先生が作ります。

  学校応援団は、地域住民が授業などの教育活動や教育環境整備などの支援、忙しい先生のお手伝いをする仕組です。
 学校支援地域本部やコミュニティ・スクールの“〇〇コミュニティ”も同じ仕組です。

 

  突然ですが、この図は見たことありまあせんか?平成26年5月に発表されたもので、「消滅可能性都市」の日本地図です。20~40歳未満女子人口(人口再生産力)が2010-2040の30年間に半減する自治体を“消滅可能性都市”として発表しました。その減少率を橙・赤・紫で色分けしました。


 北海道や東北地方は厳しい状況ですね。九州地図を見てください。私たちの地域も厳しい状況です。80%以上減少する紫色もあります。

 

  熊本県の30年間の市町村別の人口推計増減率のグラフです。45市町村のうち、増加するのは3つの自治体です。あとはすべて減少します。

 熊本県全体としては、推計増減率-19.2%です。

 では具体的な数字をご覧ください。

 

 


 自分の住んでいるところ、自分の生まれたところが気になるのではないかと思います。

 増加をするのは、熊本市の周辺の3市町です。熊本市も減少します。

 各市町村の自治体は“人口ビジョン”を作成して、2060年までに持続可能な人口に落ち着くように取り組んでいます。

 

 自分の町の30年後が想像できますか!

 30年後というと小学生中学生が30~40歳台の働き盛りです。


 これからの社会は、人口減少はある程度仕方のないことです。世代別に見ると高齢者が増加して、生産年齢人口が減少してきます。悪いことだけではありません。これからの技術革新は想像もできないくらい便利になるでしょう。外国の人が日本の隅々まで増加しています(グローバル化)。仕事の面でも今ある仕事がなくなる、例えば“自動車の運転手”は確実になくなるといわれています。今はない職業もいっぱいあるはずです(雇用環境)。

 30年後の世界は急速で、予測不能な世界です。

 そんな社会に生きる子どもたちに、これから、どのような教育が必要でしょうか!

 

  消滅可能性都市が発表されたのが、一番上の平成26年5月でした。

 この衝撃は大変大きく、国もすぐ動きました。4ヶ月後の平成26年9月に国は、“まち・ひと・しごと創生本部”を立ち上げました。本部長は安部総理大臣、副本部長は石破当時の創生大臣でした。全国の自治体で“人口ビジョン”が作成されたのはここを起点としています。

 教育では、平成27年3月に“教育再生実行会議第6次提言”がありました。ここは総理大臣の諮問機関で、国の施策の決定の方法が変わってきました。これまでは文部科学省で施策を決めていましたので予算が付くかわかりませんでしたが、今回からは施策を内閣府で決めるので、予算が付くことは決まっていて国会さえ通過すれば必ず実行される施策というわけです。

 それによると、
 これからの学校教育では、「教育がエンジンとなって地方創生を目指します。」
 「教育の力で地域を動かす。」地域を変えていこうという目標です。
 「この地域の未来を担っていく子どもたちを育て、この地域で生きがいを持って生きる・誇りを持って生きる子どもたちを育てます。」

 その手段は、具体的には
 「全ての学校のコミュニティ・スクール化」と「学校と地域をつなぐコーディネーター等の人材配置」です。

 文部科学省では、平成27年4月その諮問を受けて12月まで中央教育審議会で検討して詳細な施策を決定しました。翌年の1月にはそれを実施する推進計画を発表しました。

その計画にしたがって、H28.12次期学習指導要領等の改善の方策について中央教育審議会答申がだされて、実際H29.3にはその告示がありました。

H29.4にはコミュニティ・スクール関係の法律が改正され、また、“地域と学校の協力体制の整備”が社会教育法に規定されて、先の“提言”が、実際に動き始めることになりました。


  ここでは、新しい学習指導要領がどのように改訂されるのかを紹介します。今回の改訂では、新たに学習指導要領の総則の冒頭に“前文”が記されました。これはこれまでの学習指導要領には無かったことです。

 なぜ、前文が設けられたかについては 「新学習指導要領を定めるに当たっての考え方を明確に示したこと」
 「その理念を社会に広く共有されるよう」に設けられました。

 したがって、この前文の内容をここでしっかり読んでみたいと思います。

 

  左側の文字が前文です。右側の文字は、前文を箇条書きにまとめたものです。

 「これからの学校には」で始まる文章です。「こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ」とあるのは、前文の前段に教育基本法第一条教育の目的・第二条教育の目標が記述されているからです。つまり「不易な教育」を示しています。その不易な教育をしつつ、その後に続く文章が”今日的な課題”に対応した教育目標ということになります。それを右側に箇条書きでまとめてみました。

 〔自分の良さや可能性を認識すること〕〔他者を尊重して、その人々と協働することによって、社会の変化を乗り越える〕そして自身の〔豊かな人生を切り拓き〕〔社会の創り手となる〕そんな力を育成する教育が求められています。

 「教育課程を通して」で始まる文章です。上の今日的な課題に対応した教育目標を、教育課程を通してどう実現していくかです。「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創る」という理念を共有するとは、児童生徒を取り巻く大人たちに、この教育目標をしっかりわかってほしい、これによって、将来の社会づくりにつながっていくということを共有して、ここに育つ子どもたちに、どのような学習内容がいいか、どのような資質や能力が求められるかを考えてほしいのです。学校はそれを受けて、ここならではの教育課程を編成します。それが社会に開かれた教育課程です。どのように学ぶかは社会と連携及び協働して学びます。この一連のつながりが“社会に開かれた教育課程の実現”となってきます。

 「学習指導要領とは」で始まる文章です。ここには学習指導要領の役割の一つとして、教育水準を全国的に確保することがある。「また」から後の文章で、その地域ならではの“教育活動の更なる充実”をうたっています。ここに今日的な教育課題に向けた教育を位置づけてください。

 「生徒が学ぶ・・・・」で始まる文章では、“子どもたちの教育は、児童生徒に関わる全ての大人に期待される役割です。”ということを述べられています。

 前文を解説してきましたが、今日的な課題に対して、今このような教育が求められているということです。もし何もしなければ、30年後は住むべき地域が廃墟に向かっているかもしれません。持続可能な社会を創るには、今の子どもたちが自らどのような社会を目指すのかを考え、自らの手で社会の担い手となることが必要です。

 総理府や文部科学省は、全ての学校・地域にコミュニティ・スクールの〇〇協議会を持つことと、全ての学校をカバーする学校と地域が協力する体制の整備を勧めています。これは何かというと、前文に書かれていることを実現する仕組みとして提案されています。

 “理念を共有する”とありますが、〇〇協議会は学校と地域の皆さんが協議する場です。ここを活用して“共有”を図ってください。更にそこでは「地域の子どもたちに必要な資質や能力とは何か」「どのようなことを考えさせたいのか」「体験させたいのか」「・・・」など学習内容や教育目標を協議して決めてほしいのです。また、協議会の皆さんには、地域の色々な人々と協議して理念の共有を図ってほしいのです。共有した皆さんが教育の一端を担ってもらえたら、理念と活動が地域に広がっていきます。どのように学ぶかは、地域の皆さんには、学校教育に参画してもらって、地域学校協働活動をいっぱい取り入れてほしいと思います。

 協議会で決まった内容を受けて、学校が“社会に開かれた教育課程”を作成します。

 この教育課程を実施するときには、どの学校も“学校と地域の協力体制”が整備されることで実施が可能になります。この整備は“教育委員会の仕事”として規定されました。

 まとめると、教育課程の実施まで〔〇〇協議会→社会に開かれた教育課程→地域学校協働活動〕という準備の流れができます。皆さんはそれぞれの立場で何に取り組んだらいいかおわかりましたか。

 それでは、これからの学校と地域の在り方について図で説明してみます。

 

 


 左側が学校です。ここにコミュニティ・スクールの〇〇協議会があります。右側が地域です。水色の〇で表したのが、地域の住民・各種団体などの皆さんです。地域の皆さんは“緩(ゆる)やかなネットワークで結ばれた仕組み”の学校に協力する体制を持ちます。これを地域学校協働本部と名づけました。具体的には、地域の個人や各種団体の代表者が集うところと解してください。

 この機能については、まず学校が「こんなことのできる人に来てほしい」と本部に求めます。すると本部は会議を開いて“誰がどの団体が引き受けるか”を決めます。この会議をコーディネート会議といいます。決まった団体個人が学校に行って、地域学校協働活動を行います。この一連の流れを“コーディネート機能”といいます。本部はこのコーディネート機能の他に、“たくさんの地域学校協働活動を処理できること”“継続的な仕組みであること”の3つを備えなければなりません。

 実際は、学校には「社会に開かれた教育課程」があるので、地域学校協働活動にも年間計画が作成されます。それを年度初めに本部に提出すると、コーディネート会議は一回で済みます。そこで一年分を地域の皆さんで分担してもらいます。

 次は"人”です。学校には地域との連携を担当する人がいれば窓口を一本化することができます。本部には求めを受け取ったり会議を開いたりなど専門的な担当者が必要です。それをコーディネーター(地域学校協働活動推進員)といいます。

 こんな活動をしていると、地域の皆さんから「私たちも子どもたちの活動を計画していますが、子供たちはあんまり参加してくれません。学校はもっと協力してほしい。」と言われます。学校は遊びや部活動を優先させていませんでしたか?これからの学校は地域で行われる教育活動・地域活動に協力しなければなりません。

 例えば、学校に本部の掲示板があって「ボランティア募集」の貼紙があるとします。朝貼られると夕方には応募者が集まります。学校は地域で子供たちがボランティアをすることを勧めてほしいのです。そうすると、学校は手伝ってもらうだけではなく双方向の関係になります。

 そうなった姿が次の将来の図です。

 

 


 地域で教育活動や地域活動が展開されてくると、地域で地域学校協働活動が行われてきます。

 本部への人を求める請求が学校からだけでなく、地域の個人や団体からも出されるようになってくるので、本部は地域の中心に描くのが適切です。これが、地域の教育力が回復された状況となります。

 こうなると学校は地域の団体のひとつになって、地域学校協働活動の負担が減少して、学校は本来の取り組むべき不易な教育に専念できるようになっていきます。

 これが、地域学校協働本部の将来の姿です。

 

 


 次は“社会に開かれた教育課程”をどう作成するかの一案を説明します。

 ここに育つ子どもたちに必要な教育で地域の皆さんの連携・協働して取り組むものとしては、"郷土学習"が最適と思われます。これまで総合的な学習の時間は、各教科で培った力を総合的な学習に取り組む課程で生きて働く力に高めるためのもので、何に取り組んでもよかったのですが、そこに郷土学習を当てはめることになります。

 まず、協議会で赤の枠で囲まれた部分を協議して決めていきます。「身に付けさせたい力」とあるのは、「育てたい資質や能力」です。「学ばせたいこと」は、「学習内容」のことです。

 それを学校が受け取り、郷土学習の計画を作成します。実際は1時間毎の計画や数時間の一括りの計画まで作る必要があります。

 最後の緑の枠が地域協働活動をする役場・役所の○○課や個人名を記述します。

 この一連の計画は、〔地域で育てる〕を基盤にしているので、小中連携だけではなく幼保小中高大連携で作成されることが望ましいですから、地域単位の教育計画としてほしいと思います。

 

 


 これは、前シートの内容を提案するときの参考とした熊本県産山村の資料です。ここでは平成23年にはこの様な教育がすでに行われていたということです。先見性があり“驚き”です。

 

 


 では、毎日の授業ではどのようにすればよいかですが、今回の改訂でが「主体的・対話的な深い学び」というアクティブ・ラーニングが推奨されています。

 なぜ、これが推奨されているかは、前文に記されていた「これからの子どもたちに求められている力(今日的な教育目標)」と並べて書いてみるとわかります。

 「主体的」ということは、「自分の良さや可能性を認識」ということです。

 「対話的」ということは、「他者を尊重、人々と協働、社会の変化を乗り越え」ということです。

 「深い学び」ということは、「豊かな人生を切り開き、社会の創り手となる」という成し遂げた姿となります。 

 この授業スタイルは、先行き不透明なこれからを切り開いていく“過程”そのものです。

 授業の全てをこれによって行うというわけではありません。必要な時にこの授業スタイルを取り入れてほしいと思います。

 

 


これからの教師に求められる資質・能力についてお話します。

 先のシートで、児童生徒に求める力について説明してきましたが、これに先立って、この力は“これからの教師に求められる力”でもあります。指導する側がそうでなければ指導できないからです。

 「カリキュラムマネジメント」を考えてみましょう。自分やこの学校の教育指導はどうだったのかを振り返る場面で“授業公開”を考えてください。私もかつてそうでしたが“授業を公開する”ことは敬遠しがちでした。しかし、公開することで、自分自身ではわからないことを気づいてもらえるし、新たな提案を受けることができます。研究としては望ましい方向なのです。この共同研究こそがこれから求められる教育研究の在り方です。教師は他の教師を尊重するだけでなく、他の地域の皆さんなどとも連携協働して、仕事や生活を推進していく姿勢が求められてます。

 そこにこれまでになかった“新たな発見”や“新たな道”が開けたりということが生じると思われます。これからの子どもたちに求められる力を、教師が自ら“率先して”求めていく姿勢が必要です。

 

 


 これで、お話をおわりますが、いかがでしたか!

 途中で「何で、変わらなければならないんですか!」「これから、どのような教育が必要ですか!」という質問を投げかけていましたが、自分なりの答えが心に思い浮かべることができたでしょうか。ここにブルーの空欄を設けましたが、本来はここに、その答えを記入して“まとめ”としたいところですが、「主体的、対話的で深い学び」の実践研究の中で、そこを教師がまとめてしまうと、これまでの個々や集団の思考が無駄になってしまう、その答えは“一人一人違った答えがある”ということです。まとめよりその一人一人の考えを知ることがその授業の評価ということです。そのことを、この“END”シートで表現してみました。

  ご清聴ありがとうございました。

 

 次の2つのシートは参考資料です。もっと詳しく学びたいという方は、検索ワード、アドレス、QRコードから覗いてみてください。

 

また、作者が管理しているサイトも紹介しています。 

 

 

 

 

 

 次は「熊本県統括コーディネーターの活用をお願いします。」というシートです。

 

 よろしくお願いします。

 

 

 

 

〔PCサイト〕