老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1224;見送る

2019-09-09 04:46:05 | メトロノーム
見送る

先日、92歳の登婆さんは病室で永眠され、二人の息子が見送った。

「見送る」という言葉からいろいろな情景が浮かぶ。

・出勤する夫を玄関先で見送る妻は何を思う
新婚当時は、手作りの夕飯を作り、夫の帰りを待った。
いまは、夫を見送った後で、外出し自由に時間を楽しむ妻

・集団就職列車をホームで見送る母親の不安な気持ち
中学の同級生が二人、蒸気機関車列車に乗り、東京の小さな会社に就職した。
いなりと海苔巻が入った包みを母親はそっと渡していた

・逢っているときは愉しいが恋人が乗った終電をホームで見送る切なさ

・「雨がやんだらお別れね」と2階の窓から後姿を見送る女性の泪

・長い間、病を患い、闘い終えた穏やかな母の顏を見送る悲哀(かなしさ)と安堵の気持ちが複雑に混じり合う
眠っているような死に顔。言葉をかけたらいまにも目を覚まし起きてきそうな顔。
多くの死に顔を見てきた。
ほんとうに最期は穏やかな安らかな表情で逝きたい、と願う。
静かに眠るご遺体(老いびと)に向かい合掌したあと、頭髪を撫でながら「お疲れ様」「がんばったね」などと言葉をかける。
ケアマネジャーの仕事は、「見送り」で終わりとなる。
亡くなった老いびとから何を学んだのか、何を感じとったのか、もう一人の自分に向き合う。