IR/カジノ推進会議とりまとめに対するパブコメ全文(はたともこ/2017.8.31提出)

カジノに断固反対の立場で、意見表明します。

まず、2017年8月28日の名古屋における公聴会での、私はたともこの意見表明全文を示します。


元参議院議員のはたともこ です。

私が、「カジノ」に、強く反対する理由について、以下5項目、申し述べます。

第一に、カジノは、客に大損をさせ胴元だけが儲かる、公序良俗・社会正義に反する

悪辣ビジネスである、という点です。


提供する商品・サービスを消費者に喜んで購入してもらい、

事業者と消費者がウィンウィンの信頼関係を構築するのがビジネスの基本です。

近江商人の「三方よし」=「売り手よし・買い手よし・世間よし」こそ、企業のモラルです。


しかし、カジノは、客に損をさせ、客から金銭を「巻き上げる」悪辣ビジネスです。

参加者が必ず財産的被害を受ける「マイナス・サムゲーム」「不正なゲーム」です。

カジノの売り上げは数千億円とも言われていますが、

それは「買い手」である客の、損の総額なのです。


客に、良質の商品・サービスを提供する、「商人道」に反するもので、

社会に害悪をもたらし、まともな経済人が相手にすべきものではありません。


第二に、カジノは、現に刑法で、刑罰をもって禁止されている重大犯罪である、という点です。

現行の刑法185条は賭博を禁止し、刑法186条1項は常習賭博を禁止し、

2項で、賭博場開帳図利罪と博徒結合図利罪を規定しています。


特に重大であるのは、刑法186条2項の「賭博場開帳図利罪」です。

1950年の最高裁大法廷判決でも、賭博場開帳図利罪は、

「自ら財物を喪失する危険を負担することなく、

専ら他人の行う賭博を開催して利を図るものであり、

その本質を、反倫理性、反社会性を有するものである」と判示しています。

 
また、今回のIR推進会議でも、刑法の井田良教授が、

「その事業により、運営主体が、ひとり私腹を肥やす」不正義を、指摘しています。


そして、あろうことか、

賭博場開帳で金儲けをすることが良いことだという暴力団と同じ発想で、

総理大臣自らが、カジノ・賭博場開帳を、

アベノミクス・成長戦略の目玉にしているではありませんか。

品性下劣で、最低最悪の成長戦略と言わざるを得ません。


第三に、外国人観光客から、お金を巻き上げることが「おもてなし」なのか、という点です。

外国人観光客に「損」をさせて、金銭を巻き上げることが、

「おもてなし」であるはずがありません。日本の品位を、落とすだけだと思います。


第四に、ギャンブル依存症の問題です。

カジノを認めないことが最大の依存症対策です。


公営ギャンブルについては、IR推進会議のとりまとめも踏まえ、

マイナンバーカードで入場制限を行い、

パチンコ店については、「特殊景品」と「三店方式」による現金への換金を禁止して、

賭博性を排除し、警察利権の「遊技場」から、本来の遊技場・ゲームセンターにすべきです。


第五に、カジノは、一部の勢力の利権のためのものであり、

多くの国民・市民にとっては、全く必要ない、という点です。

カジノは国民・市民にとって、百害あって一利なし、です。


米国のカジノ専門業者の標的は、「日本人富裕層」です。

彼らの利権のために、これまで刑罰で禁止してきた常習賭博と、賭博場開帳を、

合法化しようとする政権の下劣さには、呆れるほかありません。


カジノは、客から金銭を巻き上げ、胴元だけが儲かる、

公序良俗・社会正義に反する悪辣ビジネスである、と重ねて申し上げて、

私の意見表明と致します。(以上)

 

さらに、公聴会で、意見表明の後の質疑応答において、

私はたともこは、2つの項目について質問しました。


第一は、カジノ業者の「控除率」についてです。

IR推進会議のとりまとめ資料の試算では、

カジノのGGR、粗収入、これはカジノの総売り上げから、客への払戻金を引いた、

カジノの胴元の収入、取り分のことのようですが、

カジノのGGRは年間1488億円と試算されています。


先日、IR推進本部に電話で、このカジノの控除率、ハウスエッジというようですが、

カジノの総売り上げから客への払戻金を引いた、胴元の取り分、GGRは、

カジノ総売り上げの何パーセントにあたるのか、を問い合わせたところ、

公表されていないのでわからない、という答えでした。

なぜ、控除率について政府自ら調査しないのか、説明してください。


一般的には、5パーセントから10パーセントらしいのですが、

世界最高水準のカジノ規制と言うなら、

ぼったくりカジノは最低最悪ということになると思います。

カジノ管理委員会は、カジノ業者の「控除率」を厳正に管理するつもりがあるのか、

説明を求めます。


第二は、賭博罪等の違法性阻却についてです。

7月18日の第8回IR推進会議で、刑法の専門家である井田良教授が意見表明されています。

井田教授は、賭博罪の違法性阻却のためには、

賭博行為が束として持ち得る弊害の除去ないし極小化が必要だとして、

第一に、不正な行為ないし不正なゲームが行われることにより、

競技者・参加者が財産的被害を受けるおそれがあること、

第二に、その事業により運営主体がひとり私腹を肥やす不正義が生じること、

第三に、ギャンブルの持つ依存作用ないし中毒効果により

参加者・競技者がその生活の基盤を破壊されるおそれがあること、

この3点の弊害が除去ないし極小化されることが担保、保障されるところで初めて、

それは合法化されると考えるべきだと、発言されています。

IR推進本部は、この井田教授の意見と同じ見解だということでよろしいでしょうか。


井田教授は、その上で、法務省が示した8つの考慮要素とIR推進本部の方向性で、

合法化を挫折させ得るような問題点を発見することはできなかったと言っておられますが、

私は、この井田教授の発言はおかしいと思います。


年間1488億円も参加者・競技者に財産的被害を与えるカジノは、

不正なゲームそのものであり、

民間事業者であるカジノ事業者が、ひとり私腹を肥やすという不正義に変わりはない、

と私は思いますが、IR推進本部の考えはいかがですか。(以上)

 

私はたともこは、公聴会のために、質問を5項目用意していましたが、

当日は2項目しか質問できませんでしたので、残りの3項目について、記します。


その1、外国人観光客について

外国人観光客を長期滞在させて、損をさせ、大金を巻き上げることが、

「おもてなし」になるとは到底思えません。

どうして、これが「おもてなし」になるのか、説明してください。


また、外国人観光客が何人くらいカジノでゲームに参加して、

GGRに占める外国人の割合は何%くらいを想定しているのか、説明してください。


その2、世論の反対について

時事通信が7月に行った世論調査では、

IR・カジノ整備に反対が66.8パーセント、賛成が22.8パーセントでした。

また、横浜市長選の中盤に読売新聞が行った横浜市民の世論調査では、

反対は71パーセントでした。


7割の国民・市民が反対しても、政府はそれを押し切って推進するつもりなのか、

世論の反対がさらに増えても、それでも、強行突破するつもりなのか、

政府の見解はいかがですか。


その3、大阪のカジノ構想について

都道府県・政令指定都市のカジノ計画では、

大阪府・大阪市の計画が先行しているようですが、

大阪府・大阪市の計画は、地下鉄などのインフラ整備も含めて、

2025年の大阪万博とセットの計画となっています。

来年秋の博覧会国際事務局総会で、170か国の投票で、開催地が決まりますが、

大阪は、フランスのパリや、ロシアのエカテリンブルクなどと競合しています。


万博開催が決定する前に、大阪府・大阪市が申請してきたら、

政府は、それを認定するのですか。


万博開催ができなかったら、大阪府・大阪市の計画は崩壊すると思いますが、

どのように対応されるのか、見解を求めます。(以上)

 

政府・IR推進本部は、

各地の説明・公聴会や、パブリックコメントで寄せられた、多くの意見や質問に、

誠実に対応されることを強く求めます。(元参議院議員はたともこ)

 

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