Justice! 社会正義の実現!所得充実政策!ワクチンより検査を積極的に推奨! / 薬剤師・元参議院議員・消防団
ひらがな5文字の「はたともこ」ブログ
インフルエンザ:「アスピリン」など解熱剤に要注意
「新型インフルエンザの発症例が増大すると、発熱外来等のキャパシティが追いつかなくなるので、軽症の患者さんには自宅療養をお願いすることになる」と、厚労大臣が強調しています。この表現は、とりわけ「自宅療養」という言葉を耳に残します。厚労省は、責任を持って正しい「自宅療養」のあり方について、きちんと国民に知らしめる必要があると思います。
「自宅療養」という言葉だけが先行し、今後子どもが発熱した場合、「わざわざ発熱外来を受診させるのは面倒だし、このくらいなら家で寝かせていよう」と保護者が判断することがあるかもしれません。しかし、もし仮にそれがインフルエンザであるならば、服用しないほうが望ましい解熱剤が存在することを忘れてはなりません。医療機関を受診すれば、当然医師は適切な処方をするはずですが、素人判断で、「熱があるから解熱剤」とむやみに手持ちの解熱剤を使用すると、取り返しのつかないことになるかもしれないので注意が必要です。
解熱剤には沢山の種類がありますが、例えば誰もが聞いたことのある「アスピリン」の添付文書には、次のような注意喚起がなされています。(アスピリンはサリチル酸系製剤です。)
サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの,米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので,本剤を15歳未満の水痘,インフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが,やむを得ず投与する場合には,慎重に投与し,投与後の患者の状態を十分に観察すること1).
[ライ症候群:小児において極めてまれに水痘,インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後,激しい嘔吐,意識障害,痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着,ミトコンドリア変形,AST(GOT)・ALT(GPT)・LDH・CK(CPK)の急激な上昇,高アンモニア血症,低プロトロンビン血症,低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である.]
1) 厚生省医薬安全局:医薬品等安全性情報No.151(1998)
「アスピリン」以外にも、鎮痛剤としてもよく処方される「ボルタレン」や「ポンタール」の添付文書にも、インフルエンザには「慎重投与」あるいは「原則使用しないこと」と記されています。必ず致死的予後をたどるライ症候群を発症するわけではありませんし、インフルエンザ治療とライ症候群との因果関係がはっきりしないところもありますが、リスクコントロールの観点から、インフルエンザの小児に対して、これらの解熱剤を原則的に使用しないことは医療機関では常識です。しかし、医療機関に行かず素人見立てで、手持ちの解熱剤や市販の解熱剤を成分を気にすることなく使用することは、大きな危険をはらんでいるので避けなければならないのです。
厚労大臣の記者会見の一言一句を、世間が大注目している現状を踏まえると、小児のインフルエンザに対する解熱剤の使用については十分な注意が必要であることを大臣は特に強調して、まずは医師などの専門家の判断を仰ぐよう指導しなければなりません。その上で必要な場合には「自宅療養」もあり得ると、情報を正確に発信していく責任があります。また麻生総理におかれては、自己判断の軽率な発言は厳に慎み、厚労省と十分な連携のもと、国民利益に資する正しい対応をされるよう強く希望します。
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