マニフェストの財源①:特別会計の積立金(剰余金+不用額)

国の特別会計には、剰余金があることが知られています。最低保障年金や子ども手当て・農林漁業者への戸別所得補償などの新たな政策を実施するための財源として、この特別会計を、まず見直すことは当然です。

財務省の資料によると、2007年度決算での特別会計の剰余金は、想定を15兆円上回り42.6兆円にのぼることが明らかになりました。2007年度から2008年度への特別会計の繰越額は12.9兆円です。更に、予算執行後に残った剰余金から翌年度への繰越額を差し引いた「不用額」は、10.8兆円。これらは特別会計の積立金となっていますので、合計23.7兆円が2007年度単年で浮いた計算になるのです。 

読んで字の如く、「不用額」の主なものを紹介します。平成16年度に雇用保険特会の不用額は、歳出予算の35.2%なんと1兆円を超えました。地震再保険特会は、年度中に支払対象となる保険事故が発生しなかった場合、予算の大半が不用です。平成16年度では歳出予算498億円の99.8%が不用でした。食糧管理特会も、例年不用額の多い特会です。買入価格や買入数量が予定より低かったり少なかったりで、数百億から数千億円の不用額を生じています。平成16年度では、国内米の歳出予算のなんと35.0%の2,700億円が、輸入食糧では34.0%の1,900億円が、輸入飼料では42.5%の226億円が、不用額となりました。

外為特会に至っては、歳出予算の大半、数千億円規模の不用額が、毎年計上されています。借入金の償還が予定より少なかったり、国家石油備蓄の緊急放出をしなくて済んだりして、石油エネルギー特会も、外為特会と同様、毎年高割合、数千億円規模の不用額を出しています。

農業経営特会は、借入れまでして新規に投資しようとする農業者が少ないことなどから、毎年、数百億円規模、電源開特会(電源立地、電源利用)は、地元との調整が難航し事業の開始に至らなかったり、予定より補助申請が少なかったりして、例年、数百億円規模の不用額を出しています。

また、自賠保障特会(自動車損害賠償保障事業~保険料等充当交付金)も、毎年100億円を超える不用額を出している特会の1つです。

以上は、10%を超える不用率が数年間続いた特会ですが、不用率が高くなくても金額が大きいものに、財政融資特会や国債整理特会があげられ、それぞれ約2兆5千億円の不用額を計上しています。

このように、特別会計だけを見ても、精査すると莫大な不用額があることがわかります。勿論、一般会計の見直しもしなければなりませんが、財源の組み換えの第一弾としては、特別会計の「不用額」を含む剰余金が、最大のターゲットになることは明らかです。

民主党のマニフェストへの財源不明との指摘に対して、特会単年度の剰余金(とりわけ繰越額と不用額との合計)は、十分に応えうる数字です。財源問題については、実はあっさりと明確な答えを出すことができるのに、政府(財務省)がそれを煙に巻いてきたのです。

民主党マニフェストの財源を、現段階で国民のみなさんにわかりやすく説明するには、「特会の剰余金(とりわけ繰越額と不用額との合計)」が明快です。十分に説得力がありますし、民主党が政権与党になったなら、役所との折衝は一気に加速し、具現化できます。

みなさん、今度の総選挙では、胸を張って堂々と政権交代を果たしましょう。そして、民主党が主張する「生活者第一」の社会を、なんとしても実現しましょう!

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