日本橋の景観5,000億円と世界の軍事費128兆円 6月12日

日本橋の景観を、首都高は確かに損ねている。しかし、だからといって、5,000億円もかけて首都高を移設することが正しい選択だとは思わない。日本橋の真上を首都高が走ることで具体的に被害を被っている人はいない。日本橋と首都高との位置関係を、どうしても許せない人は存在するかもしれないが、多くの人々にとって、首都高が日本橋の上を走ろうが下を走ろうが、殆ど関係のない問題だ。

にもかかわらず、5,000億円ものコストをかけて、首都高を地下に移設することにどんなメリットがあるのだろうか。できる限り歳出を削減して、年金や医療費などの社会保障を先細りさせることのないように必死になる一方で、今ある道路を景観という一点のみで否定し、新たに地下に道路を建設することは、まともな社会のまともな判断とはとても言い難い。

歳出の引き締めが度を超えると、参議院選挙にマイナスだと判断する与党だが、例えば、日本橋上空の首都高移設問題を国民投票にかければ、多くの良識ある国民は、移設は必要ないと判断するに違いない。道路の外観は我慢できても、そのために子ども達に巨額の借金を残すことは、無責任な大人による単なるわがままでしかない暴挙だからだ。こんなことで5,000億円もの税金を使う余裕があるのなら、即刻、子育て支援にまわすべきだ。

ストックホルム国際平和研究所の発表によると、2005年度の世界の軍事費は、前年比3.4%増の1兆1,180億ドル、日本円で128兆円にも達するそうだ。イラクなど対テロ戦争に莫大な経費を費やした米国が全体の約半分を占め、次いで英国・フランスが5%前後で続き、日本は約5兆円で第4位。5番目が中国で、2005年までの5年間で、中国の通常兵器輸入総額は世界最大の133億4,300万ドル。この10年間ほぼ毎年、前年度比10%の伸びを示すのが、中国の軍事費なのだ。

まずは、軍事費大国の5本の指に日本が位置することを、私たちは肝に銘ずるべきだ。膨大に軍事費を費やしても、まったく発展性はない。今、世界のトップリーダーがなすべきことは、地球上から貧困をなくし、限られた資源を保護し環境を守ることだ。米国が費やす莫大な軍事費は、地球を破壊することはあっても保護することはない。京都議定書も批准せず、地球環境を破壊する一方の米国の暴走に、本来、日本はブレーキをかけなければならない立場にある。しかし、現実には、米国の暴走のバックアップが日本の役回り。世界に胸をはって歩ける国家では、日本は決してないのだ。

日本橋上空の首都高移設費用と米国の暴走のバックアップは、いずれも小泉総理のムダ遣いだ。しかし、それらをはるかに超える最大のムダ遣いが、毎年膨れ上がる世界の軍事費だ。狭い地球で互いににらみ合っても、結局は共倒れするのがおちだ。中国は、通常兵器の輸入額が世界最大である一方で、スーダン・ネパール・ミャンマーなどに大量の武器を輸出して外貨を稼いでいる。名実共に軍事国家となった中国は、名実共に地球を破壊する国家であり、国の存在そのものが地球環境への脅威ともいえる存在だ。

互いの国々がにらみ合い勝負をかけるのは、今宵日本中が注目したサッカーワールドカップのようなスポーツの世界だけにしなければならない。負けた時こそ、得るものが多いのがスポーツだ。サッカー日本代表は、将来きっとはいあがる。しかし、戦争で打ちのめされた国々は、アフガンやパレスチナの例をみるまでもなく、簡単には復活しない。国々の闘いの場は、スポーツの世界に限定しなければならない。軍事費の抑制が、世界の大きな課題なのだ
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