Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

#176 2年目のジンクス 

2011年07月13日 | 1981 年 
   

昨年の新人王はパ・リーグは榊原(日ハム)、セ・リーグは長野(巨人)でしたが、2年目は今のところ
長野は打率3割をキープしていますが、榊原の勝ち星は1勝と2年目のジンクスに嵌まりつつあります。
「2年目」はプロ入り2年目に限った事ではなくブレークした翌年の場合も含まれ、今年で言えば広島の
前田健も該当しそうです。古くは首位打者に輝いた吉岡悟(クラウンライター)やサイドスロー転向後の
永本裕章(阪急)・工藤幹夫(日ハム)を思い出します。2人の様に2年目のジンクスは投手の方が多い
印象があります。「正直ホッとしています。気にしないと言ってたけど、やっぱり意識していました」と告白するのは、16勝で新人王受賞の翌年は9勝に終わり、3年目を迎える松沼兄でした。



藤沢公也(中日)…昭和44年の高校卒業時を最初に4度のドラフト指名を拒否し、9年後の昭和53年オフにプロ入りしました。本格派投手との触れ込みでしたが春季キャンプでプロの投球を目の当たりにして、プロの世界で生き残る為の術をキャンプ中にマスターしたパームボールに求めた。当時の球界ではパームボールを駆使する投手は殆んどおらず、面白いように打者を翻弄し勝ち星を重ねた。1年目は13勝5敗 防2.82 で新人王を受賞した。しかし翌年は「2年目のジンクス」に陥り、1勝15敗 防5.27 で「ボールの投げ方が分からなくなった…」と自信喪失しプロ入りを後悔したという。そして今季は、ここまで5試合に登板して早くも負け無しの3勝だ。「なぜ勝てるのか分からない。去年と何も変わってないけど」 と本人も今の姿に半信半疑らしい。「1年目の藤沢は変化球を駆使して成功した。しかし2年目のジンクスを意識する余り、本来の投球スタイルを忘れて直球の威力を増そうと間違った道を行ってしまった。今の藤沢が本来の彼なのさ」が近藤監督の藤沢評だ。去年の地獄を見て投手として、人間として、一回り大きくなった藤沢が帰って来た。

記事では今季の藤沢は「2年目」の呪縛から解放されて1年目の投球を取り戻せるはずとしていますが
この記事以降に再び負のスパイラルに陥り、3連勝後は1勝4敗でシーズン終了。そして1984年に引退
するまで、再び1年目の輝きを取り戻す事は出来ませんでした。  
【通算成績 27勝35敗1S 防4.23】


   





木田勇(日ハム)…最多勝・MVP・新人王・etc...ルーキーイヤーに11冠に輝き、2年目のジンクスを危惧されていた木田の
今シーズンの開幕は4月6日の南海戦。去年の22勝中9勝を稼いだお得意さん相手だけに、1回にクルーズの適時打が出た
時点でベンチには楽勝感が漂ったのも束の間、2回に逆転2ランを被弾、その後も14点の味方の援護を受けながら久保寺の
満塁本塁打などで終わってみれば9失点の傷だらけの今シーズン初勝利だったが同情すべき点もある。初登板は雨天中止で
スライド登板を余儀なくされ、当日も雨でしばしば中断するなど集中力を維持するのが難しかった。真価を問われるのは次の
登板以降となるだろう。


この勝利を含め実は4連勝します。しかし、投球内容はヨレヨレで防御率は4点台と前年とは比較に
ならない程の投球でした。投球フォームも崩し無駄な力が左ヒジに掛かるようになり疲労の回復力も
落ちて「中6日」のローテ-ションで登板していました。当時は「中4日」が当たり前の時代でしたから
チームの低迷もあり日ハム首脳陣は「甘やかし過ぎ」との批判を浴びました。その後も二軍には落と
さずにミニキャンプをしたり登板間隔を空けたりと色々とやっても調子は上がりませんでした。夏場に
なると短いイニングでKOされる事が多くなり8月10日の阪急戦では7打者に5安打・1四球・6失点
わずか1/3回と1イニングもたずに降板しました。この後は先発から外され敗戦処理に配置転換され
10勝10敗でシーズンを終えました。チームは球団初の日本シリーズに進出し、木田は第4戦に先発
しましたが途中降板し勝敗には無関係でした。もしも木田が前年の状態だったら日ハムは球団初の
日本一になっていたかもしれません・・・              
【通算成績 60勝71敗6S 防4.23】





一方の新人王・岡田(阪神)の2年目以降は順調でした
   

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« #175 不適格球場 | トップ | #177 新守護神・角 三男 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

1981 年 」カテゴリの最新記事