夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

607夜

2007-05-19 07:54:01 | Weblog
歯磨きのチューブが電子レンジの上に立っている。レンジのスイッチがいつのまにかオンになっていたらしい。レンジ全体が赤く熱し、レンジの上に立っていたチューブも熱くなっている。チューブは熱くなっても白いままだ。見ていると、チューブが熱によって膨張していく。プーッとふくらんで風船のように丸くなり、ついに破裂する。中身の白い歯磨きは周囲三百六十度に飛散する。その中の一個の粒が私の喉に突き刺さる。粒は皮膚を突き破り、頚動脈の血管の内部に侵入する。そして血管の内部を下に降りていく。へその辺りに達する。と、今では野球のボールくらいの大きさに成長した歯磨きの粒が私の腹の皮膚を突き破って外に飛び出す。白いボールの後ろから赤い血が噴き出す。ホースの先から出る水のように私の血は噴射する。手で押さえてもとても止まるものではない。自分の出血多量による死が確定した感じだ。もう意識も薄れてきている。私は確実に死に向かっているようだ。

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