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「ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」」(荒木香織)という本はとてもオススメ!

2017年06月23日 01時00分00秒 | 
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 「ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」という本は、2012年から2015年までラグビー日本代表のメンタルコーチを務め、2015年のラグビーワールドカップで日本初の3勝に貢献した著者が、主にスポーツで最高のパフォーマンスを発揮し、自分に自信をつけ、目標を達成し、困った時や、受け止め方を変えるメンタルスキル等について分かりやすく説明したものです♪

 著者は、スポーツ科学領域に属するスポーツ心理学についてさまざまな実験を行って統計を取り、またコーチやアスリートにインタビューを行ってパフォーマンスと心理的傾向の関係等を科学的に検証や研究を行い、それら理論をもとに多くのアスリートのメンタルトレーニングに関わっているようです。

 実は筆者自身も、社会人一年目まで陸上競技の短距離の選手だったようで、このスポーツ心理学を研究することによって、もっと記録を伸ばすために自分に必要だったのは、「心の準備」だったと認識しているようです。

 それはレースに臨む前のメンタルの整え方、周囲からの期待の受け止め方、不安への対処方法などとのことで、もしそういうことを教えてもらっていたら、結果は違っていたかもしれないと実感しているようです。

 本書は、スポーツに限らず、ビジネスや勉強、日々の生活においても応用できるメンタルスキル等について書かれていて、より良い人生のためのヒントになると思います♪

特に以下については興味深かったですね♪

・毎日同じ時間に起きて、同じものを食べて、同じことをするというリズムを崩さない方は心理的安定にもつながり長生きの方も多い。

・大きな試合で緊張したり不安に感じたら、それで当たり前だ、それを感じられるのはいいことなんだと思うこと。

・緊張=悪ではなく、緊張したけれどもいいパフォーマンスやプレーができたことはあるはず。

・誰と何をしゃべったとか、こうしたときに勇気が出た、元気が出た、不安がなくなったということも記録し、日誌をつけることは大切

・何が不安なのかその原因をひとつひとつ書き出すことは大切

・シャワー等でオンとオフを切り替えるのは大切

・誰かに言われるのではなく、主体性を持って取り組むことでモチベーションは高まり維持ができる

・スポーツ以外でも、きちんと食事をする、靴は揃えて脱ぐ、ペットボトルは放りっぱなしにしないなど規律を守り、人としての基盤が重要

・ほめることは大切で、ほめられたときのことが記憶され、次も連続して成功させる自信につながる

・自信がある人になる方法は以下の通り
(1)自信があるように振る舞う
(2)セルフトークで自分自身に自信をつけてあげられる言葉をかける
(3)繰り返し練習する

・結果に関する目標だけでなく、パフォーマンスに関する目標、過程に関する目標を立てることが大切

・どんなに小さくてもいいから、達成感を感じると、自信がつき、意欲がわく

・目標は期限を切ることが大切

・やるべき目標は絞ることが大切(やめることも大切)

・極度のプレッシャーや不安に対処しきれなくてパフォーマンスが悲劇的に悪くなるチョーキングを防ぐ方法は以下の3つ
(1)プレッシャーを受け入れる
(2)プレッシャーの中で意思決定をする経験を積む
(3)不安のレベルを下げる方法を身につける

・イライラやネガティブな考えを断ち切るには、あらかじめ「これを触る」「これを見る」「何かを叩く」など自分なりのツールをあらかじめ決めることが大切

・ストレスは脅威ではなく挑戦と受け止めること

・ミスはとりあえず忘れて、今しなければいけないことに頭を切り替えること

・ミスや失敗は、経験と思い、次の成功へのステップにすること

・ハラスメントで悩む場合は環境を変えることも大切

・失敗したり悲しいことがあれば、とことんくよくよするのもいい

・どんな環境であれ、目の前のことに対してしっかりでき、しっかりコミットできることが将来を切り開く

「ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」」という本は、スポーツだけでなく、ビジネスや勉強、日々の生活においても応用できるメンタルスキル等について実体験に基づき分かりやすく書かれ、より良い人生のヒントとなり、とてもオススメです!

以下はこの本のポイント等です。

・長生きされている方も、毎日同じ時間に起きて、同じものを食べて、同じことをする・・・というリズムを崩さない方が多い。そうすることが心理的安定につながっているもです。ですから、仕事においてプレ・パフォーマンス・ルーティンは必要ないと考えますが、集中して企画書を書くとか、論文や原稿を書く、受験勉強をするといったときには、使えるかもしれません。企画書を書こうとしたり、勉強をしようとしたとき、机の周りを片づけたり、お風呂に入ったりと、すぐに取りかかればいいのについ余計なことをしてしまうというのは、わりと多くの人が経験していると思います。そういう行動を遮断するために、たとえばコーヒーを一杯飲むというルーティンは考えられます。どんなに机が乱雑であろうと、コーヒーを飲んだら絶対に教科書を開く、企画書を一行でもいいから書く。そう決めておくのです。あるいはインターネットは必ず切っておく。わからないことはとりあえず仕上げてから調べるというふうに・・・。「五郎丸ポーズ」をするというのもアリです。ただし、そのポーズをしたら絶対に取りかかること。普段からそのように訓練しておけば、コーヒーを飲んだら、インターネットを切ったら、「五郎丸ポーズ」をとったら、自動的にやるべき作業に入ることができるようになるはずです。

・パフォーマンスの前に行うルーティンがあるのなら、パフォーマンスの後に行うルーティンはないのか?実はあります。プレ・パフォーマンス・ルーティンに対して、ポスト・パフォーマンス・ルーティンと呼びます。ポスト、つまりパフォーマンスの後に、一定の動作を、一定の順序、リズムで行うのです。よく見られるのが、テニスでミスショットをした選手が、その後で素振りをするケース。あれは、失敗したら、必ず成功したときのことをイメージして素振りをすることで、ミスを引きずらず、次のプレーに集中して臨むことができるようにするために行うものです。選手によっては失敗を自分の中で帳消しにするために行っているケースもあるでしょう。ゴルフでも、やはりミスしたゴルファーがその後で素振りをしている姿がよく見られます。五郎丸選手がキックの後、キッキング・ティーを放り投げるのもそうです。

・失敗を必要以上に引きずらず、気持ちを切り替えて次のプレーに備えるのがポスト・パフォーマンス・ルーティンの目的です。深呼吸をしたり、セルフトーク(自分に何か言葉をかける)をするなど、自分なりの方法をみつけるのがいいでしょう。もう一つ、デュアリング・パフォーマンス・ルーティンというのもあります。「デュアリング」、つまりパフォーマンスとパフォーマンスの間に行うルーティンのことです。陸上や水泳などは一日に何度かレースがあります。その間の時間に、あるルーティンをすることで、気持ちをリフレッシュする、あるいは次のレースに備えるわけです。舞台での演技や演奏などのパフォーマンスを行う人たちも、途中で何か自分に問いかけたり、深呼吸をしたりしながら進めていくのではないかと思います。アスリートについていえば、彼らはみな、何らかのルーティンを行っているはずですが、無意識にやっていることが多い。陸上競技なら「必ず靴を脱いで休憩する」「レースまでの合間に音楽を聴く」というふうに、意識的に行うことが大切です。オフィスで一日中、パソコンに向かっているような仕事の人は、デュアリング・パフォーマンス・ルーティンを持っていると効果的だと思います。

・ラグビー日本代表がワールドカップに臨む前、選手たちは口々に言っていました。「パニックになったらどうすればいいのか・・・」そこで私は言いました。「そういう状態になるのは当たり前です。ワールドカップなのですから。緊張とか興奮とか不安がないほうがおかしいと思います。ワールドカップに選ばれた選手にしか経験できないことなので、楽しんでいきましょう」すると、選手たちも「確かにそうだよな」と納得したので、私は続けました。「緊張したり、不安になったとき、”これはあかん、どうしよう”と思うとプレーできなくなる。”これでいいんや”と。それくらいがんばって準備してきた、それくらい強い気持ちがあるからこそ、そのエネルギーを試合にぶつけられる。緊張したり不安に感じたら、”それであたりまえだ、それを感じられるのはいいことなんだ”と思ってください。みんなのために、家族も友達もチームメイトも恩師もみんな応援してくれている。こんなに幸せなことはない。こんな経験ができるのはワールドカップに出られるからこそ。人生、もうこんなにドキドキワクワクすることはそうないと思うから、楽しみましょう!」

・どんなに優れたアスリートでも、試合になると緊張します。そして、緊張することをマイナスととらえるアスリートは多い。ですが、振り返ってみてください。緊張したけれどもいいパフォーマンスやプレーができたことはなかったですか?きっとあったと思います。緊張=悪ではないのです。緊張感はいつ襲ってくるかわかりません。3日前に一気に来ることもあれば、3日から2日前にかけてじわーっと手に汗をかくこともある。それまでふつうにしていて、当日ロッカールームに入って突然緊張する場合もあります。そんなとき、「緊張したらダメだ」「落ち着かなければいけない」と思ったら、かえって逆効果。緊張感が襲ってきたからといってパニックにならず、そうなったときは、いいパフォーマンスができる兆候だと思うようにしてください。

・試合においてベストのパフォーマンスを発揮するためには、フィジカルの不安-心拍数が増えてドキドキする、呼吸が荒くなるなど-と、メンタルの不安-ストレス、恐怖感など-を最善の状態にするべく、うまくコントロールすることが大切になります。では、どうすればアクティベーションや不安の適切なレベルを知ることができるのでしょうか。自分がもっともよいパフォーマンスをできたときの心身の状態を思い出してください。そして、それを基準に、興奮しすぎていると思えばリラックス、低すぎると思ったら、高めるようにするのです。そのためには、自分の記録、日誌をつけておくのもいいでしょう。ほとんどの選手は練習日誌をつけていると思います。けれども、練習や食事の内容とか体重とか体脂肪くらいしか記録していないのではないですか?そうしたことだけでなく、誰と何をしゃべったとか、こうした時に勇気が出た、元気が出た、不安がなくなった・・・というようなことも記録しておくのです。すると、きっと気づくと思います。よく考えてみれば、パフォーマンスがうまくいった時でも、フィジカルとメンタルの不安がある程度高かったということに。平常心ではなかったということに。アスリートではない人は、自分にこう問いかけてみてください。「どういうときに気分が高揚したか?」つまり、自分が心地よかったとき、コンフォートゾーンにピッタリくることやモノを思い浮かべるのです。

・何かを前にして、漠然とした不安を感じることは誰にでもあると思います。そんなときは、何が不安なのか、その原因をひとつひとつ書き出していくことが大切です。そうやって整理し、対処法を考えることで、自分がコントロールできること、やるべきことが明確になっていくはずです。

・アメリカ人には、朝、シャワーを浴びる人が多い。そうすることで「新たな一日が始まる」という気持ちを起こすのだと思います。一種のリフレッシュです。仕事の後でいったん家に帰ってからどこかに出かけるときも、日本人は服を着替えるだけの人が多いのですが、アメリカ人やヨーロッパの人はシャワーを浴びます。トップリーグの選手でも、切り替えるために仕事が終わったらシャワーを浴びてから練習に出ることを勧めたら、うまくいく人が多かった。日本将棋連盟会長の谷川浩司さんは、自宅を建てたとき、仕事部屋の前に五段ほどの階段とU字に曲がった廊下をあえてつくったそうです。つまり、その廊下を歩くことで、「家庭=オフ」から「仕事=オン」へ切り替えるということなのでしょう。一流のアスリートは、遊ぶときは徹底的に遊ぶ人がけっこういます。朝まで飲んで、騒いだり・・・。そういう姿を見れば「よくそんなエネルギーがあるな」と驚かれるかもしれませんが、あれもオフへの集中力です。自分を解放することに集中している。そうすることで、オンにもさらに集中できるのだと思います。

・誰かに言われてやるのではなく、主体性をもって取り組むことで、モチベーションは高まり、維持できるのです。ですから、選手が抱えるメンタルの課題の解決法に関しても、内容やアプローチについて私が答えを出すことはありません。選手の話を聞き、それならばどうすることがいいのか、一緒に考え、話し合いながら探していきました。基本的には選手自身に考えてもらい、それに対して「いつもはどんな感じなのか」「それならこうしたほうがいい」とか「こんな例が今まであるけど、似たようなことは考えられる?」という風にアドバイスをして、選手が納得したら実行していく感じです。受け身であることから脱出することは、マインドセットを変えることの重要なステップの一つでした。

・彼がしなければいけないのは何か。試合に出られる・出られないに関係なく、本当に自分がその競技を好きなのかどうか。自分に足りないもの、やるべきことは何かを自分で考え、日々練習に取り組むこと。この練習で足りないと思ったら、誰かに頼んででも練習相手になってもらう。言い換えれば、代表としての誇りを持って、チームに積極的に小ミットをする。そういうメンタリティが、代表レベルでやっていくためには必要不可欠なのであり、監督やコーチやそういう姿勢を見ているのです。

・もうひとつ日本代表の選手たちに提案したことがありました。「ラグビー以外の行動をきちんとやろう」きちんと食事をとる、疲れを残さないために決められた量のプロテインやスムージーをきちんと摂取するといったことは当然ですが、ほかにも靴を脱ぐときいあ揃えて脱ぐ。ちらかっていたらきちんと並べる。ペットボトルなどを放りっぱなしにしない。バスを降りるときは、ゴミが残っていないか必ず確認する・・・。一見、些細などうでもいいように見えることでも、きちんと守ろうと提案したのです。「ラグビーとどういう関係があるんだ」とう思われるかもしれません。けれども、そうした規律の部分は絶対に試合にも出るのです。しなければいけないことをする。これは自分の行動の責任をとるということにほかなりません。それは、ピッチの上での自分の役割と責任を明確にし、やるべきことを責任を持ってするのと一緒。規律をないがしろにしていると、ピッチの上でも自然にそうなってしまうのです。

・アスリートである前に、人としての基盤ができていなければ、責任を持って行動できる人間でなければ、アスリートとしても伸びていきません。先のラグビー・ワールドカップで日本代表の反則が非常に少なかったのも、もしかしたら、こうした取り組みが規律という点で影響していたのかもしれません。

・それまでの日本代表は勝った経験がほとんどないのですから、いきなり勝者であることを求めるわけにはいきません。そこで、「まずは行動から変えていきましょう」そう提案していたのです。自信があるようにふるまうことによって、自分たちで自分たちにいい影響を及ぼそうというのが狙いでした。とくにリーダーズグループの人たちに強く要望しました。というのは、リーダーが誇りを持ち自信に満ちあふれているとフォロワーが認識すると、おのずとフォロワーの行動もそうなっていくことがわかっているからです。チーム全員が誇りと自信を持つことができ、それが態度となって表れれば、相手の反応も変わってくる。そうすれば結果も変わっていくのです。

・ほめることが大切だというのは、「ほめられれば嬉しいから、やる気が出る」ということももちろんあるのですが、一番の理由は、言葉で「良かったよ」と言われることで「ほめられた時のことを記憶する」ということです。記憶することで、自分のいいところを確認できる。そうやってうまくいったときの感覚、身体の感覚や心の感覚を覚えておくと、次も連続して成功させる自信につながるということが、研究で明らかになっているのです。なので、「いいところはわざわざほめる必要hない」と、スルーしてしまうのが一番いけない。いいところは「いい」と、しっかり認めてほめてあげることが、自信をつけ、モチベーションを上げるには非常に大切なのです。

・忘れがちなことですが、ほめられた方も、ほめられたことに対して応える必要があります。日本人は「今のは良かった」とほめられても、受け流してしまう。エディさんや外国人コーチは、選手がいいプレーをすると「はい、いいよ。上手」「グッド・ジョブ」とすかさずほめるのですが、知らん顔をしている選手が少なくありませんでした。そうではなく、ほめられたら「ありがとう」と手を上げたりしてちゃんと反応することが、「今のは良かったんだ」と記憶しておくには必要なのです。

・自信がある人は姿勢がよく、堂々としていて、歩くときも前を向いている。逆に自信がない人は、下を向き、背中も丸まりがちです。座っているときや歩いているときはもちろん、相手と話しているとき、何かを伝えようとしているとき、あなたはどんな振る舞いをしていますか?自信なさげであったり、不安に見えたりすれば、相手にはそのように受け取られてしまいます。スポーツの試合であれば、それだけで相手になめてかかられてしまいます。自分自身も、ネガティブな思考に陥りかねません。ですから、たとえ自信のないときでも、まずは顔を上げ、胸を張り、勝者のように、自信があるように振る舞うことを意識してください。相手の反応が変われば、結果も変わってきます。それが自信につながっていくのです。

・「こんなこと、自分にはできない」「無理」「できる気がしない」「こんな練習、キツすぎる」「3位以内に入る自信がない」・・・。何かに挑戦するとき、そんなふうに考えている自分がいませんか?自分ができないと思っていれば、できることだってできなくなってしまいます。自信とは自分を信じることなのですから。あなたが今挙げたように考えることが多いのなら、それを自信につながる言葉に置き換える練習をしてはどうでしょう。
「自分にはできない」→「きっとできる」
「こんな練習、キツすぎる」→「がんばりたい」
「3位以内に入る自信がない」→「これはやれば必ず3位に入れる。やってみよう」
というふうに・・・。大切なのは、「自分自身に自信をつけてあげられる言葉をかける」こと。セルフトークは暗示ではありません。実際に自分で信じることのできる言葉をかける。そしてその言葉を信じて取り組んでいきましょう。

・当たり前のことと思われるかもしれません。でも、どのようなことであれ、大概のことは繰り返し練習すればできるようになります。そして、できたことが自信になるのです。企業におけるプロジェクトの企画の発表などもそうです。

・結果に関する目標が必要なのは確かですが、これだけでは前向きに取り組むことはできません。結果のことばかり考えていては、試合中とても不安になりますし、集中できない原因となります。また、指導者が決めた結果に関する目標に選手がとまどうことも少なくありません。そこでもうひとつ重要になってくるのが、「パフォーマンスに関する目標」を立てること。すなわち自分自身のパフォーマンスの向上を目指すための目標を設定するのです。例を挙げれば、ベンチプレスの記録を5kgアップする、キックの成功率を85%にする、100mハードルの自己ベスト記録を目指すなど・・・。これは、個人のパフォーマンスの向上を目指すと同時にチーム力にも貢献できるため、一石二鳥と言えます。そのとき大切なことは、自分自身の以前のパフォーマンスと比べることで、目標の達成度合いを評価することです。決して他人と比較する必要はありません。ですから、結果に関する目標に較べると、自分でコントロールできることが多いと言えます。そしてその過程を記録することにより、成長度合いを確認できるため、自信の強化につながります。さらにもう一つ、「過程に関する目標」を立てることも非常に大切です。これはアスリートがどのように具体的なスキルを獲得するかに関係します。たとえば、キックの成功率を5%上げるためにプレ・パフォーマンス・ルーティンを完成させる、100mハードルの自己記録更新のために抜き足の動作を速くすることなどです。こうした「過程に関する目標」は、いろいろと工夫することができますから、どうすればパフォーマンスの向上につながるのかを考えるチカラがつきます。実際、オリンピックでメダルを獲得した選手と獲得できなかった選手の差についての研究があるのですが、そのなかで「過程に関する目標を持って練習に臨んでいたかどうかが大きな分かれ目となる」ことが明らかになりました。「過程に関する目標」は意欲を持ち続けることや集中することにつながるのです。

・「どんなに小さくてもいいから、達成感を感じること」そうすれば、自信がつき、自分の価値を感じられるようになります。人は成功を体験し、達成感を得ることで、「次はもっとがんばろう」という意欲が湧いてきます。そのためには、あえて絶対にクリアできる目標を設定し、それを連続してクリアしていくことも必要です。

・もう一つ重要なのは、期限を切ること。つまり「いついつまでに達成する」と明確にしておくことです。これがないと、目標とは言えません。締め切りや期限がなければ動こうとしないという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

・いくらたくさん目標を立てても、身体はひとつだし、時間は1日24時間しかありません。それならばそんなに目標ばかり立てずに、本当に必要なものだけに絞ったほうがいい。そうすれば、時間的にも余裕ができて、焦らなくてもよくなる。結果として、目標達成する可能性も高くなるはずなのです。つまり、ときには引き算も必要だということです。「やめることの大切さ」そこに気づいていない人は、意外に多いのではないでしょうか。自分の心と身体の現状を理解しつつ、目標に向かって行動を「維持・変化・停止」させるのも、パフォーマンス向上には大切なスキルです。このままでいいと思ったら、そのまま「維持」すればいいし、変えたほうがいいと思えば「変化」させる。そして、やりすぎているなと感じたら「停止」する。これも目標を達成するうえで大切なことなのです。

・極度のプレッシャーや不安に対処しきれなくて、パフォーマンスが悲劇的に悪くなる-こうした状態を「チョーキング」と呼びます。「チョーク」とは「息がつまる」「窒息させる」という意味。文字通り、パフォーマンスの途中で窒息してしまったかのように、身体が動かなくなる状態がチョーキングです。チョーキングが起こりやすいのは、自分自身や周囲の期待が高いときです。「どうしても勝ちたい。勝たなければいけない」「勝たなければ意味がない」「観る人を感動させるような最高のパフォーマンスをしたい」・・・。過度に思うと、そういう状態に陥ります。また自分のパフォーマンスに疑いがあるときにも生じることがあります。試合で極度のプレッシャーや不安にさらされると、練習ではできていたことができなくなります。スキルを遂行することに集中しすぎるため、言い換えれば、そのことを考えすぎるあまり、パフォーマンスを行うためのワーキング・メモリーの多くが消費されてしまい、脳の容量が減少して、自動的にプレーすることができなくなってしまうのです。

・アスリートであれば、試合では必ず何らかのかたちでチョーキングを経験しているはずです。「頭が真っ白になってしまった」「身体が動かなくなる」「見ているのに見えていない」というように・・。チョーキングは何の前触れもなく突然襲ってきますから、試合中に修正することは不可能、ないしは困難です。そこでチョーキングは起こるものだと想定して、日頃から準備をしておくことが必要となります。その方法として以下のものが考えられます。
 ・プレッシャーを受け入れる
 ・プレッシャーの中で意思決定をする経験を積む
 ・不安のレベルを下げる方法を身につける

・ラグビー日本代表で長らく活躍した平尾誠二さんは、高校1~2年生のころまでは、プレッシャーを感じて試合で自分のプレーができないことが多かったといいます。それで考えました。「このプレッシャーはどこから来ているのだろう?」すると、気がついたそうです。「自分でつくっていた虚像だった」そこに気づいてから平尾さんは、「プレッシャーなんて自分次第でどうにでもコントロールできる」と思えるようになり、花園ラグビー場や国立競技場の大観衆の中でも、ワールドカップという大舞台でも、それから観客のほとんどが相手チームを応援しているアウェイの状況であっても、それをプレッシャーと感じることはなくなったと語っています。金メダルを期待されていることを「重荷」ととらえてしまえば苦しくなってチョーキングに陥りかねない。けれども、「期待されているということは、自分に可能性があるからなんだ」と考えることができれば、それはエネルギーになります。次に「プレッシャーの中で意思決定をする経験を積む」。これはトレーニングの中で試合を想定してパフォーマンスをするということです。考えうる状況を設定して、その中で常に冷静に振る舞えるよう訓練をするわけです。ラグビー日本代表は、エディさんが考えうる限りのシチュエーションを考え、シミュレーションを徹底的に行いました。

・「不安のレベルを下げる方法」にはまず「呼吸法」が挙げられます。一回、または2~3回ゆっくりと深い息をしましょう。大切なのは、「落ち着くために深呼吸するのだ」と意識してすること。無意識にするのとでは効果が違ってきます。もう一つの方法は、「注意や集中を自分の内から外へ変える」ことです。これはミスを防ぐ上でも非常に有効です。たとえばラグビーでボールを落としやすい選手は「落とさないように、落とさないように」と考えてばかりいます。でも、人間は自分の考えていることが行動に出ます。「落としたらダメだ」と考えるから落としてしまうのです。「落としたらダメだ」そう思うから、「ダメだ」と思うことに集中してしまう。そうではなくて「落とさないためにはなにをすればいいのか」を考えるのです。マレ選手はノックオンが多いので、「ハンズアップ」とよく声に出しています。「落とすな」と自分に言い聞かせるのではなく「ハンズアップ」、つまり手をボールのパスの来る方向に向け、迎えにいくことに意識を集中させているのです。

・「いい感じ!」「できる!」「GO!」などと自分自身にポジティブな言葉をかけるのも、チョーキング防止には効果があります。

・皆さんも会議などで予想外の事態が生じて、パニックになったことがあると思います。これはいくらプレ・パフォーマンス・ルーティンをしていてもどうしようもありません。パニックを避けるには、考えうる限りのシチュエーションを想定し、徹底的にシミュレーションしておくしかないでしょう。それでも、想定外のことが起きる可能性はあります。そこで大切になるのが、そうなったらどうするか、あらかじめ対処法を準備しておくことです。そのためには、自分がいつ、どのような場合に緊張するのか、どんなときに腹が立つのか、頭の中が真っ白になってしまうのか、それを知っておくことが必要です。自分がどんな状況でどういう状態になるか、気づいていない人は意外に多いのではないでしょうか。それを確認したうえで、その場合にはどうすればいいのか、対処法を用意しておく。そうなったときにどうするかという答えをいくつか持ち、練習しておくのです。そうしておけば、それほどひどい状態にはならないはずです。

・他人のミスは、自分でコントロールできることではありません。自分が納得できないことをほかの選手がしてしまったとしても、自分ではどうしようもないのです。ならば、そんなことに無駄なエネルギーは使わないほうがいい。特にラグビーのような競技では、すぐに次のプレーが始まります。前のプレーで他人が犯したミスにこだわっているヒマはありません。そんな時間があるなら、自分ができること、しなければいけないことに集中したほうがいい。暑さも同じです。自分がイライラしても、気温を下げることはできません。むしろ、ますます暑く感じてしまうでしょう。だったら「暑い、暑い」と思うこと自体をやめてしまって、するべきことに意識を向けるのです。「暑い」とか「だるい」とか「もう嫌だ」とか、そういうネガティブな自分に対する問いかけが、自分の元気の源になっていないことに気がついていない人は、意外に多いのではないですか。

・どうやってネガティブな考えを断ち切るか。ネガティブな考えを断ち切るにはなんらかのツールがないと難しいので、イライラしたら「これを触る」とか「これを見る」、あるいは「何かを叩く」というふうに、自分なりのツールをあらかじめ決めておくことをお勧めします。

・原因が整理されれば、あとはそれに応じた対処法を一緒に考えていけばいい。試合前に毎回不安になるのなら、それは「がんばらないといけない」「ちゃんとしなければならない」と考えてしまうから不安になるだけ。その場合は話を聞いてあげるだけで解消できることが多い。あるいは、ケガから復帰しかけの選手は「またケガをするんじゃないか」と不安になることが多いけれど、ケガが本当に治っているのであれば、たとえば目線を変えるというか、自分がしなければいけないプレーを挙げてもらう。そうすれば不安になるヒマなんかなくなって、気にならなくなるということもあります。漠然とした不安に襲われたときは、何が不安なのか確かめ、可視化することが大切です。よく「目をつぶって、よいことをイメージする」というようなことを言う人もいますが、そんなことをしても絶対に解決にはなりません。不安の原因のひとつひとつ抽出し、書き出すなどして整理し、それぞれ対処法を探していく。そういう作業をしてください。

・「ストレスがたまって・・・」そういう話をよく耳にします。でも、理論的にはストレスは「たまる」ものではありません。いくつかのストレスが並行して生じている状態。おそらくそれを「たまる」と表現しているのだと思います。たとえば、仕事がうまく進まない、夫婦間にトラブるがある、お金に困っている・・・それらが合意されて、ごちゃまぜになっているから、どうしていいかわからなくなるのです。ですから、「ストレスがたまっているな」と感じたときは、漠然とした不安に襲われたときと同じく、何がストレスになっているのか解きほぐし、その原因を探すことが肝心です。そして原因が分かったら、ひとつひとつ対応していくことです。

・もっともよいのは、ストレスを「挑戦」と受け止められることです。挑戦と受け止めることにより、注意・集中力が高まり、やる気も高まるとされていますし、勇気も出ると言われています。ラグビー日本代表の場合でいえば、エディさんからの厳しい言葉を「脅威」ととらえるか、「挑戦」と受け止めるかは選手次第です。31人の選手の中にはまったく何も言われない選手もいましたが、常にいろいろ声を掛けられていた選手もいました。しかしエディさんの言葉を「挑戦」と受け止めることができたからこそ、自分を成長させることに成功し、代表メンバーに入れたのだと思います。

・ミスはとりあえず忘れて、今しなければいけないことに頭を切り替えるしかない。「どうしよう」などと考えている暇があるならば、次に自分が果たすべき役割は何かを考える。もしパニックになってしまって、サインがわからなくなったら、周りの選手に聞けばいい。「おれ、ここにいていいのか?」「どこに行けばいいんだ?」と、確認すればいいのです。もちろん、ミスを引きずらないようになるためには訓練が必要です。日本代表の選手たちは、そのための訓練を徹底的にしてきました。思考ストップもそうですし、エディさんは、練習中にミスが起きたら、ボールが落ちた時点で「ピッ!」と笛を吹いて、即座にストップさせました。そして、全然違うところにボールを転がして、新たな練習を始めるのです。必要な場合には練習の後で、「あそこはこういうふうにしたほうがよかった」とか、みんなで話し合うこともありましたが、基本的にはミスをしたら、「ハイ、次!」という感じで、ミスを気にしている時間を与えませんでした。だから、たとえば五郎丸選手は、キックを外してもなんとも思いません。すぐに次のプレーに備えることができるようになっています。

・ミスや失敗も、やはり受け止め方で変わってきます。うまくいかなかったことを「失敗」と呼んでしまえば、次に同じような場面を迎えたときに怖じ気づいてチャレンジするのが怖くなる。でも、「経験」と思うことができれば、次の成功へのステップにすることができるでしょう。「失敗」と考えれば、後悔するか、そのままスルーしてしまうけれど、「経験」ととらえれば、うまくいかなかった原因を探り、対策を考えるはずです。たとえば離婚をどうとらえるか。日本人は、「バツイチ」という言い方をよくしますが、「結婚に失敗した」という表現をすることが多い。ところが、アメリカ人は「離婚をしたからこそ、いまの伴侶に出会うことができた」という言い方をします。あるいは、「前の経験から、今のパートナーとケンカをしない術を学びました」とか・・・。つまり、離婚=失敗とはとらえず、自分がよりハッピーになるための過程ととらえるのです。対して日本人は、「前で懲りたから、もう結婚はいいです」となる。どちらが健康的であるか、次につながるか、言うまでもないでしょう。うまくいかなかったときは、「失敗した」ではなく、「いい経験をした」と言うようにしたいものです。

・自分がいる場所が、自分に合っていない。会社においてはよくあることです。コツコツと事務仕事をやるのが性に合っているのに、営業に回され、飛び込みで売り込まなければならない。ノルマも課される。それが苦痛で、当然成績も上がらず、上司には叱られる。自分でどうしていいかわからず、出社するのが嫌になり、最悪の場合、自殺まで考えてしまう。起こらないことではありません。私もそれに近い人を何人か見てきまsた。セクハラやパワハラ、マタハラといったハラスメントで悩んでいる人もすごく多いと思います。冷たい言い方になるかもしれませんが、そういうケースは環境を変えるしかありません。でなければ、本人がかわいそうですし、会社の益にもならないでしょう。実際、環境を変えることで、驚くほど生き生きとすることがあります。自分が持っている資質と環境が合致すれば、持てる能力を存分に発揮できのです。ですから、その人間の特性をよく見て、それが活かせる場所、場面、舞台を与えるのは採用した側の責任と言ってもいい。もし、自分から主張できるのであれば、「部署を替えてください」とはっきり言うべきだし、周りもそれを受け入れる土壌をつくる必要があると思います。とくにハラスメントの場合は、誰かの応援を得るなどして、何らかの声をあげることが重要です。環境を変えるには、自分から会社を変えるのもひとつの方法です。とはいえ、現実には自分から「部署を替えてほしい」と言い出すのはためらわれる雰囲気があるかもしれません。かといって、生活があるし、世間体もあるから、会社を辞めるわけにもいかない。すぐに部署を替えてもらうことができないし、会社を辞めることもできないのなら、こちらの受け止め方、もしくは気持ちの持ちようを変える。それしか方法はありません。言葉を換えれば、「自分の価値観をどこに置くか」ということです。仕事はお金をいただいている対価と考えて割り切るのも一つの手でしょうし、会社以外のところでの活動や趣味などに生き甲斐ややりがいをみつけるのもいい。また「自分から辞めてやる」という選択肢を持っておくことも悪くない。自分が選択肢を持ち、いざというときは自ら決定することができると思えば、覚悟が決まるし、打ちのめされることはない。不当な扱いに対しては抗議しやすくなる。少なくとも、生きていくうえでのモチベーションが下がることがないはずです。

・失敗したり、悲しいことがあったりすれば、誰だって落ち込むときはあります。そんなときは、とことんくよくよするのもいいと思います。お酒の力でも借りて、泣くだけ泣いて、引きこもって、ずっとへたり込んで・・・。そうやって落ち込むだけ落ち込めば、あとはもう前を向くしかないし、手を差し伸べてくれる人も絶対にいます。スポーツの試合では、たとえ大きなミスをしてもいちいち落ち込んでいるわけにはいきませんが、日常の生活においては、必ずしもすぐに立ち直る必要はない。ある程度の時間がありますし、時間が問題を解決してくれることもあります。実際、ストレスをマネジメントする方法として、「あきらめる」ということがあります。あまりいい方法ではないとは言われていますが、それもひとつの手なのです。もっと言えば、どんな失敗をしても、命を取られるわけではない。かりにそのせいで会社を辞めざるをえなくなっても、いまの日本なら余程のことがない限り食いはぐれることはないでしょう。そう考えれば、気持ちが楽になりませんか?「困難なことにぶつかり、そこから立ち上がろうとするとき、どうしますか?」テレビのインタビューでそう聞かれたリーチ選手は答えました。「最悪の場面を考える」つまり、自分が経験した一番辛かった時を思い出し、「あのとき、あれだけがんばることができたのだから、今回もできるはずだ」そう考えるのでしょう。そうすると「メンタルが楽になる」と話していまsた。

・五郎丸選手は、母校早稲田大学での講演でこう語ったそうです。「どんな環境であれ、目の前のことに対して100%できるか。環境がよかろうと、悪かろうと、目の前のことに対してしっかりコミットできるかどうかが、将来を切り開けるか切り開けないかに直結してくると思う」


良かった本まとめ(2016年下半期)

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