熊本地震:安倍晋三はいつまで車中泊を続けさせるのか なぜ観光バスを用意しないのか

2016-04-19 11:29:40 | 政治


 4月18日19時21分発信の「NHK NEWS WEB」記事によると、熊本地震による熊本県内の避難所避難者は約9万4500人にのぼると伝えている。

 内訳は――

 熊本市5万244人
 益城町9100人
 阿蘇市6225人
 御船町6131人
 大津町4040人

 なおかつ現在も避難勧告や避難指示が発令されているというから、余震の影響次第で避難所生活者が増える可能性もある。
 
 但しどこの避難所も満杯状態だそうだ。自治体指定の避難所に入りきれなくて、避難所に指定されていない自治体公共施設を急遽避難所にして対応しているというが、それでも収容しきれないから、このような公共施設や避難所の駐車場に止めた自身所有の車の中に寝泊まりする車中泊を余儀なくされると言うことなのだろう。

 車中避難者の中から地震発生から4日目で「エコノミークラス症候群」の疑いで熊本県内の医療機関に搬送された患者が既に18人にも上ると「NHK NEWS WEB」が伝えている。 

 「エコノミークラス症候群」とは狭い場所で長い時間同じ姿勢を取っていると、血管が詰って肺血栓塞栓(そくせん)症を引き越し、胸の痛みを訴えたり、呼吸困難などに陥るという。

 中には病院搬送後、意識不明の重体となっている患者も何人かいるという。

 この記事は熊本県益城町だけで、〈数千人が車中に寝泊まりしているという>と伝えている。

 熊本全体でどれくらいに避難者が車中泊をしているのだろうか。

 《車中泊 エコノミー症候群予防法は 水分補給と運動を 九州大助教杉本氏に聞く、熊本地震》西日本新聞/2016年04月19日 03時05分)なる記事から正確な人数は記していないが、その多さを窺わせる記述に触れることができる。

 杉本めぐみ九州大助教(持続可能な社会のための決断科学センター、地球環境学)が自分の目で見て回った観察記である。

 〈熊本市、益城町、大津町、南阿蘇村を訪れた。避難所を見て気付いたのは車中泊の避難者が多いこと。近くの店舗も含めて、どこの駐車場もいっぱいで驚いた。自宅の倒壊が怖いとか、揺れに驚いた子どもが泣くのを周囲に遠慮する心理があるからで、余震が続いている今回の特徴と言える。〉・・・・・

 そして〈水分補給と適度な運動を心掛け、塩分の摂取は控えた方がいい。〉といった注意点を挙げている。

 NHK NEWS WEB記事は熊本県益城町のみで車中泊避難者が数千人に上ると伝えていた。杉本めぐみ州大助教が訪れた熊本市、益城町、大津町、南阿蘇村の自治体と最初に上げた避難所避難者数を伝えているNHK NEWS WEB記事の自治体と重なる自治体の避難所避難者数を改めてみてみる。

 NHK NEWS WEB記事には南阿蘇村は入っていなかったから、除くことにする。

 熊本市5万244人
 益城町9100人
 大津町4040人
 
 熊本市は2015年4月1日現在の推計人口は74万人を少し欠けるが、国が大都市の扱いをしている政令都市である。にも関わらず、5万人余の避難所避難者に対応しきれずに、〈避難所を見て気付いたのは車中泊の避難者が多いこと。近くの店舗も含めて、どこの駐車場もいっぱい〉の状況となっていた。

 益城町9100人に対して車中避難者がNHK NEWS WEB記事が言う「数千人」を、より正確な数字に近づけるために低く見積もって千人と見たとしても、約11%の割合の車中避難者となり、熊本市は5万244人の11%、約5500人、大津町4040人の11%、約400人となって、合計7000人近くになる。

 この半分と見たとしても3500人の車中泊者ということになる。

 この人数は必ずしも正確ではないが、車中泊を伝えている4月18日付の「日経電子版」は、〈熊本県益城町の産業展示場「グランメッセ熊本」。2200台を収容可能な駐車場の9割近くが、自宅などから避難した住民らの自家用車で埋め尽くされた。〉と報道していることからすると、場違いな数字とは言えない。

 2200台の9割は1980台。1台1人とは限らないから、優に2千人は超える車中避難者と言うことになる。その他公共施設の駐車場や自宅庭駐車場での車中泊を計算すると、NHK NEWS WEB記事が伝える益城町だけでの「数千人」は3、4千人と見ることもできる。

 確かに政府は努力している。国土交通相の石井啓一が熊本港に600人乗りと430人乗りのフェリー2隻を停泊させて計1030人を受け入れる準備を進めていることと、民間の賃貸住宅を1500戸借り上げる考えを表明したことを、4月17日付「時事ドットコム」記事が伝えている。  

 記事はさらに政府が旅館やホテル計59施設に約1500人分の部屋を既に確保していることを伝えている。

 熊本港のフェリー1030人、民間賃貸住宅1500戸借り上げ、旅館・ホテル59施設約1500人分の部屋を合計すると、民間賃貸住宅のみは家族数に応じて収容人員を増やすことができるから、2人家族で3千人、他二者と合わせて5千500人。3人家族なら4千500人、他二者と合わせて7千人は収容できる。

 だが、この大人数の裏を返すと、全部が全部車中避難者数に合わせたものではなく、満杯状態になっている避難所に少しでも余裕を持たせるための間引き数が計算されているとしても、車中避難者を3、4千人と見たとしても、決して不正確とは言い切れない。あるいは3、4千人以上かもしれない。

 但し政府の努力の内、より困難な生活状況に置かれている車中避難の解消から手をつけることになるだろうから、そのことを直ちに実行できるのは既に予約済みだとしている旅館やホテル計59施設の約1500人分のみである。

 フェリーは準備を進めている段階であり、民間賃貸住宅は借り上げの考えを表明したに過ぎない。

 「これまで経験したことのない地震活動」だとしている地震専門家の発言を待たずとも、素人目に見ても異常な地震活動であることは理解できる。予測できない事態の急展開に政府の対応遅れが生じたとしても止むを得ない点があるが、安倍晋三は一旦は4月15日中の屋内の避難を公約としたのである。

 その後屋外避難、あるいは車中避難が急激に増えたとしても、早急に屋内避難に振り替える責任を有していることに変わりはない。にも関わらず、当分の間車中避難・車中泊を強いる状況にあることに対して何も手を打つことができないでいる。

 果たしてフェリーの準備や民間賃貸住宅は借り上げの方針以外に何も打つ手はないのだろうか。

 5月のゴールデンウイークを控えて、熊本地震によって熊本県内だけではなく、旅行や宿泊のキャンセルが九州全体に広がっていると、4月17日付「西日本新聞」が報道している。   

 別府市のホテルが4月14~16日に受けた予約取り消しは計3千人分。

 4月16日1時25分頃の熊本県内震源の地震では福岡県の久留米市、柳川市、大川市、みやま市、佐賀県の佐賀市、上峰町、神埼市、長崎県の南島原市などが震度5強の揺れを受けている。

 震度5弱の揺れもそれぞれの自治体が受けている。

 上記記事が「今後福岡で揺れが続くと、5~6月分もキャンセルに歯止めが利かなくなるかもしれない」とホテル副支配人の声を伝えているが、一部ホテルは車中避難者の宿泊の用に立てることでキャンセルの埋め合わせはある程度できるとしても、バス会社の観光バスは車中避難者の受け入れの移動に利用できるとしても、それでキャンセルの全てを賄うことはできないはずだ。

 観光バスは車中泊に利用している軽自動車や普通乗用車よりも室内が広くて、リクライニングを倒して仰向けになるにしても一般の乗用車よりも余裕を持って仰向けになることができし、より多くの避難者とコミュニケーションを取ることもできる

 それにテレビがついていて、ニュースでも何でも視ることができ、その分リラックスできる。音楽も聞ける。

 フェリーの準備ができ、民間賃貸住宅を借り上げて、双方共に受け入れを開始するまでのつなぎとして、なぜ観光バスを軽自動車や普通乗用車に変わる車中避難・車中泊の代用としないのだろうか。

 軽自動車や普通乗用車の狭い空間に閉じ込めておく窮屈さから早急に解放して少しでも人間らしい生活ができるようにするのが政府の務めであり、責任であるが、一時的にそのことが可能となる観光バスのより広い空間への解放を思いつかないようだ。

 道路が寸断されていてバスの通行不能避難所・駐車場はヘリコプターで被災者を逆に移送すればいい。 (青文字個所は4月19日毎1時41分加筆)

 安倍晋三の「被災者の皆さんの多様なニーズを的確に把握しながら迅速に対応し、被災者の皆さんの生活を全力で支援する」とか、「被災者の気持ちに寄り添って、政府を挙げて、全力を挙げて、取り組んでいきたいと思います」といった発言が明らかに言葉だけで終わっていて虚ろに聞こえる。

コメント (1)
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