自衛隊員医療行為の法改正の動きが暴く安倍晋三の国民に説明せずに隠してきた自衛隊員の戦傷・戦死のリスク

2016-04-05 09:02:52 | 政治

 〈防衛省が、有事の際に最前線で負傷した自衛隊員の治療の拡充策について、有識者会議を設置して検討を進めている。〉と、《自衛隊、有事の治療拡充を検討 戦傷リスクに現実味TOKYO Web/2016年4月4日 朝刊)が伝えている。  

 要するに今年3月29日施行の安全保障関連法によって自衛隊の海外での有事発生時の軍事活動が解禁されるのに伴い(PKO活動ではない)、最前線で負傷した場合の自衛隊員(=兵士)に対する処置をどうするのか、今から備えておくということなのだろう。

 具体的には医師免許はないものの救急救命士と准看護師の両方の資格を持つ隊員に一定の専門の救護に関する講習を受けさせて「第一線救護衛生員」(仮称)に指定、気管切開等の医療行為ができるよう、法改正を視野に議論しているのだという。

 しかもこのような議論を行っている有識者会議が設置されたのは自民、公明両党間で安保法の法案化作業が大詰めを迎えていた昨年4月のことだと記事は書いている。

 会議のメンバーは医師、救急救命士団体の代表、自衛官OBらで、これまでに4回の会合が開かれたという。

 安全保障関連法が成立したのは2015年9月19日。この成立に遡る約5カ月前から、兵士の戦傷に備えた救命措置の議論が開始されていた。

 攻撃を受けた場合の兵士のダメージが常に負傷にとどまる保証はないから、手当が手遅れな兵士やその場で戦死した兵士を除いた、手当て可能な兵士のみを医療行為の対象とした有識者会議での議論ということになる。

 どのような戦傷を対象としているのか、大量出血や顔面の外傷・熱傷による気道閉塞(へいそく)、胸部外傷による緊張性気胸((肺から空気が漏れて、胸腔(きょうくう)にたまっている状態)といった致死性の高い戦傷だと記事は伝えている。

 (1)出血時の骨髄への輸液投与
 (2)気道確保のための気管切開
 (3)胸にたまった空気や水を抜く胸腔穿刺(きょうくうせんし)

 これら医師にしか許されない医療行為を救急救命士と准看護師の両方の資格しかない隊員に一定の講習で許可するというのだから、かなりの緊急性を要する戦傷に対する救命措置・治療を想定していることになる。

 緊急性を要する程に致死性は高くなる。 

 当然、両状況を計算に入れて、医師の手を借りなくても一定の資格を与えた自衛隊員のみで救命は可能にしようという有識者会議での議論ということになる。

 記事は二つの発言を伝えている。

 防衛省「国内有事を想定したもの。安保法制定とは別に、以前から省内で検討の必要性が言われていた」

 自衛隊兵士が戦傷を受けるのは国内有事のみで、海外有事ではあり得ないと言っているのと同じで、事実と受け止めることはできない。

 前田哲男氏(軍事評論家)「駆け付け警護や他国軍への後方支援など、危険性の高い任務を見据えた動きだろう。政府が隊員のリスクは高くならないと言う裏で、リスクを意識した議論が進んでいる。こういう現実に直面することがもっと広く知られるべきだ」

 軍事評論家の前田哲男が言っているように安倍晋三も防衛相の中谷元にしても、「PKO派遣でも自衛隊のリスクはあった。実地訓練(理論や説明だけでなく、実際にそのことを行うこと。また、そういう場面「goo国語辞書」)や教育訓練でどのような危機的状況にも対応できる対処能力を身につけることができるから、PKO以上にリスクは高まることはない」といった趣旨の「訓練絶対安全神話」を国会答弁やその他を通して国民への説明としてきたが、実際には自衛隊海外派遣で有事に遭遇した場合の救命措置・治療が極めて緊急性を要する致死性の高い戦傷のリスクを想定していながら、国民には説明せずに隠していたことになる。

 また攻撃を受けた場合の兵士のダメージが常に戦傷にとどまる保証はない以上、安倍晋三も中谷元も、自衛隊兵士の戦死のリスクも同時に国民に説明せずに隠していたことになる。

 想定される危険性ある情報を国民に説明せずに隠す一国のリーダーとはどのような存在だろうか。国民にとって安心できるリーダーとすることができるだろうか。

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