安倍晋三の広島市被災地視察、「改めて土砂災害の深刻さを認識しました」のウソ

2014-08-26 06:01:49 | Weblog

 

 安倍晋三が8月24日に予定していた広島市土砂災害現場視察を悪天候を理由に中止、何日か置くと見ていたら、翌日の8月25日午前中から視察を行った。日にちを置くと、逆に無関心と取られることを恐れて、気遣いしているところを見せるために天気が回復したところを狙って早々に視察に及んだのかもしれない。

 だとしても、8月20日午前3時から午前4時までの1時間雨量が100ミリを超えて激しく雨が降る中、午前3時半前後から消防に各方面から裏山が崩れたという土砂崩れの通報と、生き埋めになったという行方不明者の通報が寄せられていて、被害の様相が深刻化に向かいかねない情勢を読むことをしなかったばかりか、住民の災害遭遇を他処にゴルフを始めた無神経は覆すことはできない事実として残る。

 昨夜7時からのNHKニュースが安倍晋三の視察を伝えていた。記者たちにに向かって沈痛な面持ちでいるところを見せるためか、眉間にシワを寄せ、眉毛をやや八の字にして深刻そうな表情をつくって話し出した。

 安倍晋三「改めて、えー、土砂、あー、えー、災害の、おー、深刻さ、を認識したところで、えー、ございます。安心して、えー、生活できる、えー、そういうー、生活に戻って、いただくために、政府としては、あー、できることは全て、やっていきたいと――」

 スラスラと喋ったのでは、深刻に受け止めていないと勘繰られると計算して、わざと、「えー」とか、「あー」とかの間投詞を多用したのかもしれない。

 「首相官邸HP」の視察報告を見ると、時間の都合上当然のことだが、テレビは安倍晋三のすべての発言を伝えたわけではなく、上記発言にしても、途中抜けていることが分かる。次のようになっている。下線個所がNHKニュースで取り上げた発言。

 安倍晋三「今日被災地を訪問をいたしまして、改めて土砂災害の深刻さを認識したところでございますし、被災者の皆さんからお話を伺いまして、近年の気候の変化によって突然集中的に雨が降り、突然災害がやってくるという、こうした変化、改めて認識をした次第でありました。これから、どういう対応をしていくかということも政府そして与党で検討していきたい思います。

 そして今日は被災者の皆さん、また自治体の皆さんからお話しを伺いました。そうした御要望をしっかりと受け止めていきたいと思います。安心して、生活できる、そういう生活に戻っていただくために、政府としてはできることは全て行っていこうと思います、本部に被災者支援チームを立ち上げ、生活再建支援を加速させていかなければならないと思っています。そしてまた、まだたくさんの土砂が道やそして家屋に残ったままでありますので、この撤去作業、復旧作業にも、さらに力を入れていきたいと思います」――

 土砂災害現場の大量の倒木、大量の土砂、大量の巨大な岩石等々の乱雑極まりない集積、そして大量の土石流に押し倒されて半壊した家屋などを見て、「改めて土砂災害の深刻さを認識した」と言うことなのだろうか。

 だとしたら、遺体が発見されて引き出されたあとであったとしても、日常風景が見る影もない、変わり果てて唖然とするしかない土砂災害の凄絶な光景の底に沈んでいた余りにも多くの死者にまで想いを寄せた「深刻さ」の認識ではないことになる。

 もし余りにも多くの死者にまで想いを寄せた「改めて土砂災害の深刻さを認識した」と言うことなら、山崩れや行方不明者の通報が相次いでいたことと、そして広島県が広島市長からの自衛隊派遣要請を受けて8月20日午前6時30分に陸上自衛隊に災害派遣を要請したことから、平成11年(1999年)6月の広島市や呉市を中心とした31名死亡、1名行方不明の過去の土砂災害時にも自衛隊を派遣したことを情報に加えただろうし、今回の自衛隊派遣要請にしても人命救助(行方不明者捜索)を理由としていることは部隊出動に関わる防衛省が承知していることであって、消防や警察だけでは手が回りきれない程に広範囲に行方不明者が続出していて、捜索困難な状況下にあることを教える情報と読み解くだろうから(読み解かないとしたら、8月20日午前4時20分に情報連絡室を設置した意味を失う)、自衛隊の派遣要請が防衛省に届き、その知らせが安倍晋三のところに報告された時点で(報告されなければならない)、行方不明者が死亡者に名前を変えることを恐れて人命の安全に想いを寄せて「土砂災害の深刻さを認識」した上で実際に自分の足で土砂災害現場に立って自分の目で変わり果てた様相を確かめて、「改めて土砂災害の深刻さを認識した」、その思いを強くしたということでなければ、多くの死者にまで想いを寄せた認識とはならないはずだ。

 そしてそのような認識に至っていないことはゴルフを始めたこと自体が証明する。自衛隊への災害派遣要請を何とも思っていなかった。自衛隊が派遣要請を受けて派遣することを決めて役目として担った人命救助(行方不明者捜索)を何とも思っていなかった。

 「改めて土砂災害の深刻さを認識した」と言う場合の「改めて」の言葉の意味は、前々から認識していて、今回の土砂災害で認識を新たにした、あるいは強くしたという意味である。
 
 前々から認識していたなら、ゴルフなどできなかっただろう。前々から認識していなかったからこそ、土砂災害よりもゴルフを優先させることができた。

 「改めて土砂災害の深刻さを認識した」はウソ以外の何ものでもない。

 人命を考えない今回のゴルフで安倍晋三は支持率を下げるのではないかと思っていたが、広島の土砂災害3日後に毎日新聞が実施した8月23、24両日全国世論調査では6月調査プラス2ポイントの47%。不支持はマイナス1ポイントの34%。

 土砂災害が自分たちの生活の利害に直接は関係しないこととしてゴルフをしたことはさして影響を与えなかったのだろうか。いくら政策的に優秀であったとしても(優秀とは決して思えないが)、国民の命を考えない政治家というのは恐ろしい。

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