岡山県倉敷市小学5年生女子児童誘拐報道から見た警察の対応に見るいくつかの疑問点

2014-07-21 10:14:56 | Weblog


 岡山県倉敷市で誘拐された小学5年生女子児童(11)が5日ぶりに無事保護され、容疑者は逮捕された。岡山県警が公開捜査に踏み切ってから、新聞・テレビの報道の量は生半可なものではなかったはずだ。県警の公開捜査開始以降、県警には情報が100件以上寄せられいたというから、報道で誘拐を知った倉敷市近辺の関心も高かったに違いない。

 だが、各報道からの判断だが、警察の対応にいくつかの疑問点を感じないわけにはいかない。

 先ずマスコミ報道から誘拐に至るまでの経緯と誘拐から無事保護・容疑者逮捕までの経緯を時系列で記してみる。
 
 ① 5月上旬、女子児童の母親が「自宅近くで不審なシルバーの乗用車に付きまとわれた」と地元倉敷署に電話で相談。

 「娘が下校途中に何回かこの車を見た。車には男が乗っていて娘がつきまとわれていると思った」(NHK NEWS WEB) 

 目撃した車のナンバーの一部を記憶。但し、切迫した状況ではないと思い、被害届は出さなかった。 

 ② 6月、母親が似た車を目撃。母親、防犯対策のため女子児童にGPS機能付きの携帯電話を持たせる。

 ③ 7月14日午後4時頃、自宅から約2キロ離れた小学校から1人で下校。

  下校時母親に電話「これから帰る。迎えに来てほしい」
  母親「病院に行く用事があって迎えに行けない」

 ④ 7月14日午後4時半頃、女子児童に似た子が自宅近くに止まっていた銀色っぽい車のそばで、30~40代の男と立ち話をしているところを近くの住民が目撃。

  同時間帯、同級生らが女子児童が車の前で若い男と立ち話する姿を目撃。 

 ⑤ 7月14日午後5以降、女子児童が普段の帰宅時間の午後5時頃になっても家に戻っていないことから、携帯に電話。つながらず、携帯GPS機能の位置情報を検索。自宅の北東約2キロにある中学校周辺の2カ所に集中。母親が付近を探すが、見つからず、警察に通報。記憶していた車のナンバーの4桁の数字を伝える。

  県警はこれと合わせ、失踪直前に女児と話していた不審者の目撃情報や、女児が持っていた携帯電話の全地球測位システム(GPS)が示した位置情報などを中心に捜査を展開。

 ⑥ 7月15日夜、県警は公開捜査に踏み切る。

 ⑦ 7月18日、近所の人が今年4月下旬頃に女の子の自宅付近でシルバーの不審な車と、男が車のナンバープレートのようなものを外す不審な行動を目撃。その下から見えたナンバーの4桁の数字を覚えていて、警察に通報。

  その情報によって車の絞り込みが進み、容疑者の特定に至った。

 ⑧ 7月19日夜、女子児童を岡山市内で無事保護。男を逮捕。

 ⑨ 7月20日午前0時20分、藤原容疑者の自宅から車をレッカー車で押収。

 以上だが、警察の対応に感じたいくつかの疑問点を取り上げてみる。

 母親が「娘が付きまとわれているようだ」と5月に警察に通報したときに、覚えていた車のナンバーの一部を警察に通報しなかったのだろうか。11歳の娘に対する付き纏いの疑いを持ち、身の危険を心配して警察に電話で相談している以上、念のためとしてナンバーを伝えていないということは考えにくい。

 ナンバーは伝えたものの、母親は切迫した状況ではないと思い、被害届は出さなかったと見るべきだろう。

 つまり警察は被害届が出されていないということで、言い替えるなら、事件は起きていないということで、相談で終わらせ、相談内容を放置した。何か間違いが起きてはいけないと、ナンバーを照会して、知り得た住所を巡回範囲とする交番の警察官にその人物が果して危害を及びそうな不審人物かどうかを確かめさせることもしなかった。

 あるいはパソコンをちょっと動かすだけの短時間で済む、ナンバーから人物を特定して、犯歴データベースで性犯罪の前科があるかどうかといった調査を行い、前科がなかったとしても、参考のために記録しておくこともしなかった。

 調べて記録していたなら、女子児童が行方不明となり、母親や近所の住人から聞き込み得た情報と突き合わせれば、結果はシロということはあっても、疑わしき人物を直ちに特定できたはずだ。

 実際のところはどう推移したか不明だが、マスコミ報道を見る限り、母親から相談を受けたときの警察の対応に疑問を持たないわけにはいかない。

 7月18日に近所の人が今年4月下旬頃に女の子の自宅付近でシルバーの不審な車と、男が車のナンバープレートのようなものを外す不審な行動を目撃。その下から見えたナンバーの4桁の数字を覚えていて、警察に通報し、その情報によって車の絞り込みが進み、容疑者の特定に至ったということになっているが、マスコミは母親と近所の人が目撃した数字4桁と藤原容疑者の車のナンバーが一致して、容疑者が特定されたと伝え、あるいは4桁のナンバーは女児の母親が以前見かけて記憶していたものと一致していたと伝えている。

 いわば母親が目撃したナンバーの4桁の数字はニセのナンバープレートの数字ではなく、陸運局が発行したホンモノのナンバープレートの数字だったことになる。5月に母親が電話で相談したときにナンバープレートの数字を伝えていなかったとしても、あるいは伝えていたが、警察が聞いただけで放置していたとしても、母親は女子児童が行方不明になった7月14日に警察にその番号を伝えている。

 その後容疑者がニセのナンバープレートをつけていたとしても、陸運局が記録しているナンバーはゴマカシようがなく、住所と氏名を直ちに特定できたはずだ。テレビの刑事物語では現場で捜査している刑事が携帯で本署等に照会すると、さして時間を置かずに返事の連絡があって、氏名・住所を割り出すシーンによくお目にかかる。

 なぜ4日近くも特定できなかったのだろうか。

 当然、7月18日の近所の人の通報を待たなくても済んだはずだが、マスコミはその通報によって車の絞り込みが進み、容疑者の特定に至ったかのように報道している。

 県警が7月15日夜に公開捜査に踏み切った翌日から、テレビの各時間帯のニュース、朝のワイドショー番組は一斉に取り上げ、新聞も各社共に朝刊で報じたはずで、事件の性質と報道の量に応じて人々は事態が切迫していることを感じ取って関心を高く持ったはずだ。

 事件を知った人間なら、事態が切迫していることを感じ取らなければならないはずだが、なぜ近所の人は7月15日夜の公開捜査から3日も経過した7月18日に記憶していた車のナンバーを通報したのだろう。遅過ぎはしないだろうか。

 それとも7月18日になって、事件を知ったということなのだろうか。マスコミがあれだけ報道しているのに。疑問だらけである。

 勘繰るとするなら、地元倉敷署は5月の母親の電話相談を放置した。車のナンバーの一部を伝えられていながら、何の対応も取らなかった。7月14日に行方不明の通報があってから、母親に5月の電話相談を知らされたからなのか、県警は倉敷署が何の対応も取らなかったことを知り、改めて伝えられた車のナンバーを直ちに照会して、直ちに氏名・住所を割り出したのでは、なぜ以前、同じことをしてくれなかったのだとクレームがついた場合、警察の責任となることから、その責任を回避するために照会を遅らせ、7月18日の近所の人のナンバー通報をデッチ上げて、その通報によって車の所有者が絞り込むことができたように偽装した。

 勿論、これは勘繰りに過ぎない。警察はそこまでしないだろう。

 だとしても、母親の7月14日の通報から、7月18日に所有者を割り出すまでの時間がかかり過ぎている。しかも近所の人のナンバーの通報から容疑者を割り出し、逮捕するまでに1日しか経っていない。

 勘繰らせる疑問が多過ぎる。

コメント
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