自公集団的自衛権閣議決定案合意は最初から決まっていたサル芝居と見られても仕方のない結末

2014-07-04 09:19:44 | Weblog



 今年2014年4月3日、高村自民党副総裁と山口公明党代表が都内で会談、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認を巡る協議を事実上開始している。会談には井上義久公明党幹事長と石破茂自民党幹事長が同席した。

 この会談は前日の4月2日、安倍晋三が行使容認に慎重な公明党との調整を急ぐよう指示したのを受けた対応だという。

 正式の協議である「安全保障法制整備に関する与党協議会」の初会合は5月20日であって、安部晋三センセイ、逸る気を抑えることができなかったのか、1ヶ月半以上も前に山口公明党代表に対して説得にかかった。

 但し会談は双方が基本的な立場を主張し合い、平行線に終わったとマスコミは伝えている。

 この会談の3日後の4月6日午前、安倍晋三が北側一雄公明党副代表や佐藤勉自民党国対委員長らとゴルフを楽しんだと「MSN産経」が伝えている。

 記者「自民、公明両党の距離は縮まったか」

 安部晋三「もともと縮まっ ているから」

 記者集団的自衛権についてはどうか」(解説文を会話体に直す)

 安部晋三「ゴルフの話しかしていない」――

 北側公明党副代表は井上義久公明党幹事長と共に「安全保障法制整備に関する与党協議会」の公明党側の主たるメンバーであるが、ゴルフを共にプレーしたこの時点で北側公明党副代表が「与党協議会」の公明党側代表と決まっていなくても、いやしくも公明党副代表である。安倍晋三が言うとおりに「ゴルフの話しかしていない」が事実であったとしても、マスコミ記者としては憲法解釈変更容認の合意を得るためのお近づきの“おもてなし”(=接待)ではないかと探りを入れざるを得なかった場面であり、公明党側としたら、そのような“おもてなし”(=接待)ではないかと誤解を受けやすい立場にあった。

 当然安倍晋三の側にしても、ゴルフを誘うについてはそのような“おもてなし”(=接待)ではないかと誤解を受けかねない状況にあたっし、あったことを認識していなければならなかったはずた。

 だが、ゴルフに誘った。マスコミ、あるいは世間の誤解、勘繰りを問題視しなかったということなのか、問題視している余裕はなかったということか。あるいはよく使う手で、誤解を受けようが、与党協議という事実を積み重ねて、その事実によって誤解を払拭できると踏んでいたのか。

 公明党側も予想されるマスコミや世間の誤解・勘繰りに対して李下の冠、瓜田の履とばかりに姿勢を正していなければならない時期にあった。にも関わらず、ゴルフを断らずにプレーする方を選択したのだから、安倍晋三のゴルフ接待を北側副代表の側はそのような“おもてなし”(=接待)であることを阿吽の呼吸で迎え入れたといったところではないだろうか。

 いわばゴルフ接待を受け入れることで合意するという姿勢を示した。勿論、自民党側の憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認と行使事例の主張をそのまま全面的に受け入れたなら、公明党の立場をなくす。お互いが顔を立てる遣り取りの末に公明党の党としての存在理由――メンツを失わない範囲で最終合意に至るという筋書きを経ることは他の例でもよくあることで、そのことを双方共に条件としていたはずだ。

 その筋書きを巧妙に仕上げることができればできる程、最初の誤解・勘繰りなど、問題外とすることができる。

 太田昭宏国土交通相が安倍晋三と会食したことも誤解を受けやすい時期の出来事とすることができる。「安全保障法制整備に関する与党協議会」の初会合5月20日から20日後の6月10日夜、安倍晋三は公明党議員でもある太田昭宏国交相や同党若手議員9人と都内のフランス料理店で会食したと「MSN産経」が伝えている。安倍接待にかかる会食であるはずだ。

 記事解説。〈集団的自衛権行使容認に向けた閣議決定の時期が焦点となる中で、慎重姿勢を崩さない公明党 側への“懐柔”との臆測も飛び交った。〉

 「憶測」と言えば体裁はいいが、当然の勘繰りであって、安倍晋三がこの勘繰りを予想していなかったとしたら、頭の程度を曝すことになる。

 この会食接待には双方にとってどのような意味があったのだろうか。 

 集団的自衛権閣議決定には閣僚の証明が必要となり、その署名は一人として欠かすことはできない。太田国交相が署名を拒否したなら、安倍晋三は太田国交相を罷免して、自身が代理となるか、別の人間を任命して、署名にこぎつけなければならない。このような経緯は公明党の与党からの離脱を伴う。憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認に反対、あるいは方法論に関わらず集団的自衛権行使そのものに反対の世論が高い中で行使容認に反対、もしくは慎重な公明党の与党離脱は安部政権に一定程度の打撃となる。

 このことは公明党与党離脱を経ずとも、与党合意案閣議決定後の共同通信社の7月1日・2日世論調査で安倍内閣の支持率が6月調査マイナス4.3%の47.8%と下落したことが証明することになる。公明党が反対を貫いて与党を離脱したら、内閣支持率はもっと下がることになったろう。

 会食接待には前段がある。マスコミの報道で知ったことだが、この会食を遡ること4カ月前の2014年2月12日の衆院予算委員会で次のような答弁を行っている。

 大串博民主党議員「総理がおっしゃった、2月5日の、『集団的自衛権の行使に関して、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらないと我々は考えている』、この考えに同意されるか、如何か。国会で答弁された総理の言葉でありますので、これに対して同意されるかどうかということをお尋ねしているわけでございます。是非、この点に関してお答えください」

 太田国交相「私としては、今お答えをしているつもりでありまして、総理は繰り返し、安保法制懇の中でそうしたことも含めて、私が申し上げたのは、そこの文言ということにもさらに膨らみとかさまざまな背景があって、総理はいろいろな機会にこの国会の場でお話をしているところでありますので、その総理がお話をしているということについては、私は認めている立場にございます」

 大串博民主党議員「いま一度確認させていただきます。

 いろいろなところで発言されていることを認められたというふうにおっしゃっていました。

 では、この言葉、集団的自衛権の行使に関して、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによってこれは可能であり、憲法改正は必要ではないという立場、これに対しては同意されるんでしょうか。この点に関して明確にお答えください」

 太田国交相「その件は、まさに私が今申し上げております、必要ないとかそういうことを総理自身がおっしゃっているのではない、私はそのように解釈をし、それはまさに総理にお聞きになったらいかがでしょうかということを申し上げたいと思います」

 大串博民主党議員「総理は、集団的自衛権の行使に関しては、政府が適切な形で解釈を明らかにすれば憲法改正は必要ではないと明らかにおっしゃっているので、私は、公明党の皆様の議論が本当に大事だと思うから、ありがたい議論だと思うから、この憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらないという点について、これを同意されるかということをぜひ太田大臣に明確にお答えいただきたい、そういうことです」

 太田国交相「この国会でも累次総理が発言をしてきているということを全て含めまして、私は総理がお答えになっているということに同意をしているということでございます」――

 最初は明確に答弁することができなかったからだろう、意味不明なことを発言していたが、大串議員に再々度の追及を受けて、集団的自衛権行使に関わる安倍発言の全てを同意していると認めた。

 以上のことから、安倍晋三の会食接待の考え得る意味はこういった太田国交相の姿勢に対する功労の意味なのか、接待を承知させることで逃げ場をなくそうとしたのか、あるいは接待に念を押す意味を込めたのか、そのいずれかであったとしても、太田国交相は会食接待を受けるについてはその全てを予想し、どのような意味であったとしても受け入れる姿勢で承知したはずだ。

 何の意図も意味もない、単なる会食に過ぎないと解釈していたとしたら、時には海千山千の権謀術数を必要とする政治家の才能に程遠いということになる。

 いずれにしても北側公明党副代表にしても、公明党からただ一人安倍内閣に参加している太田国交相にしても、勘繰られても仕方のない時期の接待に勘繰りを物ともせずに応じた。

 もし公明党が最初から徹頭徹尾反対の姿勢を貫く姿勢でいたなら、例え最終的に妥協することはあっても、勘繰りを受けるどのような接待も受けなかったはずだ。自民党側が接待受諾を合意の意思表示と解釈しない保証はないからだ。

 しかし結果的には最初の反対の姿勢とは正反対の公明党の妥協で成り立たせた合意となった。いわば接待に対するマスコミや世間の勘繰りが象徴していたとおりの結末となった。誤解・勘繰りを受けやすい時期の接待であることを承知して受けたはずだから、単なる偶然という言い訳は許されない。

 だとしたら、サル芝居と見られても仕方のない集団的自衛権憲法解釈容認の合意劇であるはずだ。

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