スローガン満載の安倍晋三がスローガンのオンパレード「暴力団追放市民大会」パレード参加の滑稽さ

2014-07-22 07:24:22 | Weblog


 ――安倍晋三の「暴力団追放市民大会」パレード参加が単なるスローガンの提示でしかないことの証明をしよう――

 安倍晋三が7月18日に福岡市博多区中洲で行われた「暴力団追放市民大会」のパレードに赤色のハッピを着用して参加、約100人の参加者と共に右手を上げて、「暴力団に協力しないぞ」とか、「安全安心な町、中洲をつくるぞ」とか暴力団追放のシュプレヒコールを上げ、行進したという。

 出発式での安倍晋三の参加者に対する呼びかけ。

 安倍晋三「福岡県は暴力団の現状が最も厳しい県の一つ。市民の皆さんの暴力団追放の勇気ある活動に敬意を表したい。暴力、暴力団追放の活動を一緒に頑張っていきましょう」(asahi.com

 最近支持率が下がっているから、目につくものは何でも飛びついているのだろうか。

 尤も行進したのは10分程だというから、ほんの体裁といったところか。

 大体が安倍政治は打ち上げるスローガンは華々しく、スローガンのオンパレードとなっているが、華々しく賑やかな割には成果が伴わないスローガン先行となっている。アベノミクスにしても、三本の矢として、「大胆な金融緩和」、「機動的な財政出動」、「民間投資を喚起する成長戦略」をスローガンとして打ち上げたが、現在のところの景気回復は第一の矢の「大胆な金融緩和」は日銀の異次元の金融緩和策におんぶした成果であって、安倍晋三自身の第二の矢と第三の矢は未だスローガンの域を出ていない。

 そのためにアベノミクスの全体的成果を危ぶむ声も出始めている。

 日銀の異次元の金融緩和策にしても、円安と株高を実現して、日本の大企業の懐をダブダブに潤わし、その利益を安部政権の「経済の好循環」とかの口実を用いた圧力で賃金に少しは回したが、一般国民にとっては円安によって物価が高騰、賃金の上昇が追いつかない実質賃金の目減りを生じせしめている始末にある。

 このようにスローガン好きの安倍晋三が殆ど「暴力追放」のスローガンを並べ立てるだけの「暴力団追放市民大会」のパレードに参加して、「暴力追放」を叫び立てたというのだから、滑稽そのものである。

 確かに「暴力団追放市民大会」の主たるスローガン「暴力団を利用するな 利用されるな」に関しては組事務所の立退きやマンション入居反対、あるいは飲食店等のみかじめ料お断り等の方法で暴対法と警察の後押しもあって市民の力は効果を上げているし、金融機関も暴力団との取引きを自粛するなど暴力団排除に力を貸しているが、こういったことが一方で暴力団の仮面を外したフロント企業などを増殖させ、延命に与っていることも現実としてある。

 金融機関に関して言うと、中小零細企業が経営が悪化して資金繰りが苦しくなり、傾きかけると、資金調達・融資にソッポを向くために経営者は組経営のヤミ金融に走らざるを得ない、「暴力団を利用するな 利用されるな」とは正反対の社会の仕組みとなっているのも現実の状況としてある。

 そして金融機関は倒産した企業から借金のカタに敷地・建物を取り上げ、債権回収のために裁判所で競売にかける。暴力団が裁判所の競売に堂々と出入りして、裁判所が公告した中から目的の物件を落として、それを転売したりして利益を上げ、組資金としている。

 いわば社会的排除を相殺する社会的受容であり、ときには排除を上回る社会的受容となっていないだろうか。上回っているとしたら、「暴力団追放市民大会」の「暴力団排除」の言葉はまさしくスローガンの提示そのもで終わっていることになる。

 暴力団の競売介入に関しては私が実際に目にした限りでは40年も前から行われていて、組長本人が幹部2、3人と5~6名の20歳前後の戦闘服を着た若者を連れて出張るといったことをしていた。

 戦闘服の若者はボディガードと言うよりも、堅気の落札者に対する威嚇用であって、「触らぬ神に祟りなし」の諺を思い出させる役目を果たしている。金額を上げていく過程で暴力団がどの物件を狙っているか分かると、程々のところで手を引くことになる。そのために暴力団はただでさえ相場よりも安価に手に入れることができる競売物件をより安価に落札することになって、多額の利益を手に入れることができる。

 結果的に暴力団を利することになるこのようなことも、「暴力団を利用するな 利用されるな」のスローガンを裏切る一般市民の行動となる。

 現在も暴力団が裁判症の競売に出入りしているのかインターネットで調べてみた。

  2013年1月5日の記事である。《不動産競売における暴力団排除》日本裁判官ネットワークブログ/くまちん/ 2013年01月05日)

 〈1月4日付の読売新聞に、大要、以下の記事が載っていた。〉という出だして、読売記事を紹介している。

 〈「暴力団の有力傘下団体が、全国の裁判所の競売で少なくとも32か所のビルなどを入手し、組事務所にしていたことが、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会(民暴委)などへの取材で分かった。」

 「北海道、千葉、神奈川、岐阜、京都、大阪、広島、長崎の8道府県で1985年以降、計32か所の組事務所が競売で取得されていた。このうち北海道、岐阜、大阪、広島、長崎の5道府県・11か所では、稲川会、山口組、共政会系の組長の名前で堂々と落札していた。」

「競売の入札参加規定に暴力団排除条項がないためで、組長本人が落札したケースも11か所判明。民暴委は競売に同条項を設けるため、民事執行法の改正を求める方針だ。」〉――

 そこで日本弁護士連合会は2013年6月21日、《民事執行手続及び滞納処分手続において暴力団員等が不動産を取得することを禁止する法整備を求める意見書》を法務大臣と最高裁判所長官宛てに提出している。

 では現状は禁止できているのだろうか。

 「民事執行法」の最終改正は2013年12月11日となっているが、暴力団員の不動産取得の禁止事項は条文のどこにも含まれていない。

 例え禁止しても、暴力団の仮面を取ったフロント企業が出入りして競売参加ということもあるが、少なくとも法律規制の一歩前進のためにも、あるいは暴力団排除というメッセージを出すためにも、多額の利益を上げることのでき、大きな組資金とすることができる競売物件落札への参加は禁止すべきだが、未だ野放しとなっている。 

 自民党内に暴力団と利害を一致させる既得権集団が存在していて、それが障害となって法改正を規制する岩盤となっているのかどうか分からないが、安倍晋三お得意の「私がドリルになって規制という岩盤を打ち破る」には至っていない。

 だとしたら、安倍晋三は第一番に「民事執行法」改正の実質的行動に動くべきだが、「暴力団追放市民大会」のパレードに赤いハッピを着用、参加して、右手を振り上げて、「暴力追放」を叫び、行進して自身をアピールした。

 まさしく安倍晋三のパレード参加は実質的なものは何もない、滑稽なだけの単なるスローガンの提示に過ぎない。

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