(「上」の続き)
このファンタジスタ氏、実は相当な「釣り師」であることも忘れてはいけません。外相就任後の記者会見の第一声が、
「外務大臣を拝命した麻生太郎です。総理から渡された紙は1枚。総務の時は6枚、いや3枚だったかな。それに比べれば紙は1枚ですが書いてある内容は6項目。日米関係の強化。イラク復興。テロとの戦い。国連改革。北朝鮮の問題。プーチン大統領訪日を控えて北方領土問題等々を含めて平和条約を締結。またインド、中国、韓国、ASEANとの友好関係促進(後略)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/g_0510.html
そんな言わでものことを(笑)。中国にしてみたらのっけから横っ面を張られたようなものです。なぜなら自分の名前がなかなか出て来ない。予想以上に対中関係の優先度が低いのです。しかも「またインド、中国、韓国、ASEANとの」云々と、他と一緒くたにされている。世界の中心を自認する中共政権のプライドはズタズタでしょう(笑)。その証拠に「新華網」(国営通信社のウェブサイト)が早速釣られています。
●日本の新外相「日米同盟を最優先に」(新華網 2005/11/03/12:17)
http://news.xinhuanet.com/mil/2005-11/03/content_3724363.htm
タイトルから察するにやっぱり自尊心を随分傷つけられたようですね(笑)。この記事によると麻生外相は、
「日本と中国の関係は実際には改善されつつあると思う」
「日本のサブカルチャーが中国で流行っている」
「小泉首相の靖国参拝で日本がアジアで孤立するような立場になったとは思わない」
という趣旨のことを語ったとされています。香港紙『明報』の電子版も同じ内容の記事を掲載しています。
●日本は対米関係優先を強調(明報即時新聞 2005/11/03/16:15)
http://hk.news.yahoo.com/051103/12/1ici2.html
また新華社系時事紙『国際先駆導報』(2005/11/03)も麻生外相のために記事1本を充てています。新閣僚の中では異例の扱いで、放言癖があるとか台湾独立支持者といったことに始まり、五輪出場歴があることにもふれています。
●日本の「放言」新外相麻生太郎(国際先駆導報 2005/11/03/14:57)
http://news.xinhuanet.com/herald/2005-11/03/content_3725030.htm
もはや中共メディアでの「悪役」認定ですねこれは。さすがにファンタジスタは存在感が違うのです(笑)。
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ところで、小泉首相の靖国神社参拝に続いて行われた内閣改造での超攻撃型3トップ誕生、いわゆる「靖国シフト」ですが、この「靖国参拝+靖国シフト」つまり「靖国コンボ」を受けて、中共政権の対日方針もやや修正された観があります。「靖国」を公然と語るようになったのです。
例えば昨年秋の胡錦涛政権発足後間もない時期は、明らかに反日のレベルダウンともいえる形跡がみられました。反日サイトの活動に規制がかかったのもそうですが、一方で中国国内メディアが「靖国」に言及するのを明らかに抑えていました。
日本から誰か来て中国の要人と会見する。靖国参拝に話題が及ぶ。……それを日本や香港の新聞はちゃんと報じるのですが、中国国内メディアには「靖国」の話が出たことを報じさせなかったのです。小泉・胡錦涛会談を控えた時期は外交部報道官も記者から「靖国問題」を提起されても必死に回避して、自ら「靖国」という固有名詞を口にすることはありませんでした。
日本からのゲストと中国の要人が会談する際に、本当は「靖国」も話題にのぼったのに中国国内メディアにはそれを報じさせない。……というのは、「靖国」で対立した2回の首脳会談後もしばしばみられた事例でした。要するに報道規制です。
ところが、最近になってその制約が取っ払われたようなのです。
●賈慶林(全国政治協商会議主席)×日中友好協会代表団(新華網 2005/11/02/23:21)
http://news.xinhuanet.com/politics/2005-11/02/content_3721955.htm
「近年中日関係は深刻な困難に直面しているが、主な病根は日本の指導者が歴史を反省するという承諾に背いて、第二次大戦のA級戦犯を祭っている靖国神社を再三にわたって参拝し、中国人民の感情と尊厳を著しく傷つけていることにある」
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●唐家セン(国務委員)×関西地区訪中団(新華網 2005/11/03/20:25)
http://news.xinhuanet.com/politics/2005-11/03/content_3726624.htm
「日本の指導者が第二次大戦のA級戦犯を祭っている靖国神社を再三にわたって参拝し、中日政治関係の正常な発展を著しく阻害している」
「友好の花」一色で国賓クラスの待遇だった上海との違いに太田房江・大阪府知事も戸惑ったことでしょう。
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●劉延東(全国政協副主席・党中央統一戦線部長)×参議院協会代表団
http://news.xinhuanet.com/politics/2005-11/03/content_3726819.htm
「歴史を正確に認識することは中日関係の政治的基礎に関わることだ。日本の指導者が第二次大戦のA級戦犯を祭っている靖国神社を再三にわたって参拝し、中国とアジア関係国の人民の感情を著しく傷つけている」
まだこれしか材料がないのでもう少し様子をみなければなりません。ただ上記3ケースに共通しているのは、
●「第二次大戦のA級戦犯を祭っている」靖国神社、と必ず枕詞がつく。
●参拝者を「日本の指導者」としており、小泉首相や右翼勢力といった言葉は出て来ない。
という点です。これまで報道規制が敷かれていたのは国民を無用に刺激して反日感情をこれ以上悪化させないため、それから「参拝するな」と言っても参拝されてしまう指導部のヘタレぶりを晒し上げないためだと思うのですが、サンプルが少ないこともあり、今回の規制緩和が何を示すのかはまだ判断できません。
「参拝するな」と言っても参拝されてしまうから、もうどんどん報道させて国民に一種の免疫をつけさせる。……ということはさすがにないと思います(笑)。メディアが「靖国」に言及することは反日感情を刺激するばかりで何のいいこともありませんから、統治上望ましくない筈です。
「靖国問題さえ解決すれば」というアピールを日本側に対して行っているとすれば、これは空気の読めないメッセージということになります。だって中共が手を組むべき勢力はいまや衰退して瀕死同然じゃないですか。財界にもチャイナリスクを取り沙汰する声が出ており、いわゆる「政冷経熱」も「政冷経涼」あたりまでレベルダウンしかねない状況です。
それとも台頭著しい軍部が中国国内メディアを掌握しつつあるのでしょうか?でもそれなら正式発表を待つことなく、李登輝氏の訪日希望が出た時点で大騒ぎさせている筈です。
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まあ、やっぱり暫く様子をみた方がよさそうですね。中共の迷走っぷりを眺めつつ、我らがファンタジスタを含む超攻撃型3トップの活躍に期待しましょう。
迷走といえば内閣改造直前、外相にはトンチキ……じゃなかった奥田碩日本経団連会長が就任するという報道もある、なんて珍プレーを親中紙『香港文匯報』(2005/10/31)が見せてくれたのですが、あれはどこから引っ張ってきた情報だったのか。
だいたい入るなら閣僚名簿じゃなくて鬼籍でしょ。でも入閣が実現していれば正に中共待望の害務大臣だったのに、残念でしたね(笑)。
●『香港文匯報』(2005/10/31)
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=GJ0510310002&cat=004GJ
ここを読んでいればわかるでしょう。
でも、僕もチナヲチ読むまで日本を過小評価してましたね。チナヲチを読むようになってやっとわかったのは、世界は日本の思い通りに動いているということでした。
日本政府がやりたいと思ってることは全て実現して、中国がやろうとしていることが全て失敗していることがはっきりわかります。
>奥田碩
こいつは殺されても文句言えないと思いますよ。こんな奴が日本経済の顔みたいになってるんだから、どうしようもない。御家人さんが経団連会長や総理大臣になればマジでいいのに!
内政的な大臣職は大丈夫なんでしょうか?人権擁護法案は?
この特亜強硬布陣はまさにネット受けを狙ったモノではないかと。ネットから徐々にではありますが、こういった思想が広がりつつあることに対しての布陣じゃないでしょうか。
それと引き換えに人権擁護法案や過激で危険なジェンダーフリー教育をサヨクに売り渡そうとしてないんでしょうか?大臣・副大臣の顔ぶれを見てると微妙に不安になってくるもので。
対外的に言うべきことをはっきり言うのは当然のことなんですが、内政的に中朝韓の侵略を受けるようなハメにならなければいいんですが・・・
私の杞憂であればなんの問題も無いのですけどね。
日刊ゲンダイだったかと。サプライズ人事を望んでいるのはマスコミだけだったという証拠ですか。
杉浦法相の最近のコメントをトレースしてみては。
・過激で危険なジェンダーフリー教育
新任の副大臣・政務官を見てみれば、内閣の方針が大体わかると思います。
日経はズルイ新聞ですので、大きな見出しは中国よりの記事を書き、短信などにこっそりと中国リスクのやばさを指摘する記事を書いています。
後々、中国がコケてもうちはちゃんとリスク指摘していたよーと言い逃れできるようにしてます。
朝刊より夕刊の方が中国リスク記事が多いような気がします。
裏を返せばあちら側が日本の新聞の朝刊を朝一チェックして昼には支社に指導なされてるのでわ?
と楽しい裏読みもできるわけでありましてwww
(2005年11月4日10時45分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051104i504.htm
そういやぁこの人も忘れちゃダメですよね、石原東京都知事。ファンタジスタの一翼を担うつもりか。さて、中共は反応するかな?「生命に対する価値観が全くない・・・」とか言われてますよ~。
http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/diary/200510230000/
在英の博士課程(政治学専攻)の院生さんのブログです。
本来は経産省の管轄なんですが、麻生外相の東シナ海ガス田の見解。
日本の狙い通り、共同開発が実現しそうですね。
さて、私は、特定アジア人のしつこさを知っていますから、小泉在任中は静かにしていますが、次の総理には靖国非参拝をいう踏絵を要求するのは目に見えています。そこで日和そうなのが、谷垣と福田。だから、小泉さんとしては、麻生以外選択肢はなかったんでしょうね。
それと、安部ちゃんにはわざと1回休みのポストを与えたんだと思いますよ。貴重な二枚カードを戦わせるのはもったいないですから。
道理で求心力も低下でしょう。
憲法改正機運が決定的となるためには、中国の台湾攻撃とか、尖閣占拠とかの暴挙が必要。そこまでは当面ないとしても、日本人の中韓に対する不安が増大することは、憲法前文の「平和を愛する諸国民を信頼し・・・」という空疎な前提の破綻を意味する。
日本の周りに平和を愛する諸国民はいない。中国も、北朝鮮も、核ミサイルを日本に突きつけて脅している状態である
という現実に覚醒することとなる。
その意味で、この組閣は、改憲促進シフトと言うべきでは!
今後上海で暴動が発生するとなると、やはり原因は「反日」以外はありえませんか?
日経はともかく、経済週刊誌はもう半分逃げ腰になっているような印象を受けます。特定の消費市場を狙うのであれば進出もありでしょう。ただ政情不安と社会状況の悪化だけは確かなので、望むような消費市場がいつまで存在するかが甚だ疑問です。
>>アンノウンさん
素人が娯楽でやっていることですから余り当てにしないで下さい(笑)。ただ日本のマスコミによる中国報道についていえば、偏向以前に絶対量が少なすぎる点が危険ですね。日中関係が日本の思い通りかはともかく、昨年から追い風が噴いていることは事実です。中国は日本の内政に干渉してヤケドして、それだけならともかく内ゲバまで始めてしまっています。どう収拾するんですかねえ。
>>Nさん
ご懸念はごもっともです。というよりまず疑ってかかる姿勢が素晴らしいと思います。ネット向けの布陣かどうかはわかりませんけど、新内閣の支持率が悪くなければ世論が肯定しているということではないでしょうか。
>>「2005-11-04 11:58:09」のUnknownさん
フォロー有難うございます。私はチナヲチに興じすぎて内政不感症(笑)なところがあるのでどうもいけません。
>>aquarellisuteさん
いつも情報有難うございます。何とまあ日刊ゲンダイですか。タブロイド紙のネタに頼るようでは『香港文匯報』も迷走状態ですね。まあそもそも香港紙がタブロイド紙レベルですけど。
>>とーりすがりさん
勉強になります。私は日経を購読していないので(無料の電子版は目を通しますけど)よくわかりませんが、環境汚染だ水不足だデモだ暴動だ、といったことを当の中共政権が公表してしまっているのですから、いくら何でも景気のいい記事ばかりは書けないでしょうね。
>>ひるこさん
中共は妄言扱いしていました。中共が妄言だと言うのですから本質をついた言動なのだと思います(笑)。そういえばこの人もファンタジスタでしたね。沖ノ鳥島で日章旗を振り回したのには中共も驚いたことでしょう。
>>wnmさん
折角紹介して頂いたのですが、現実の中国と向き合っている立場からいえば別世界のようでした。面白味がわからなかったのは私の至らなさでしょう。「中韓両政府が早くこの問題を消滅させたいとのことです」という部分がどこにあるのかはわかりませんでした。
>>タカダユウジさん
小泉-麻生-安倍という継投策ですか。まるでJFK(笑)。麻生外相は現在の日中関係を肯定的に捉えている点で石原都知事より役者が一枚上のような気がします。中国を罵らずに釣り上げてしまう点もいいです(笑)。石原都知事は「妄言」で直球勝負。しかも本質をついているのが魅力です。でも江沢民と一緒くたにするのはヒトラーに失礼ではないかと。
「2005-11-04 20:40:54」のUnknownさん
二階氏の経産相出身で中国メディアには「ガス田紛争で日本が軟化か」という観測が早くも流れています。そういう期待をいい意味で裏切ってくれるのがファンタジスタの本領ですよね(笑)。
>>サプライズさん
これは真偽不明の情報ですから何とも言えません。上海閥は相変わらず存在感を示していますし。
>>merlinさん
改憲賛成が多数派になりつつあるのですから確かに改憲促進シフトでもありますね。日中関係だけでいうなら、日本が安保理の常任理事国になったら中共政権はどうなるのか楽しみです。もうデモという手が使えないことは今回の靖国参拝で明らかになっていますし。ああその前に李登輝氏の訪日がありますね。超攻撃型3トップには別の仕掛けがあるとして、石原都知事との靖国参拝というサプライズがあるかも知れません。楽しみですねえ。
>>a japaneseさん
江沢民がいまガンを患っていても上海閥は相変わらず独自路線を示しています。この政治勢力の柱は江沢民ではなく上海そのもの(正確には上海から懐に入ってくる利権)ではないかと思います。上海で暴動があるとすれば、その発端は反日、汚職、物価のいずれかではないかと愚考します。
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