日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 楽しみなことがひとつ増えた、という感じです。

 他でもない李登輝氏のことです。来春、「桜の季節」に訪日したいとの意向を表明したというニュース。今回は東京を含めて「奥の細道」の跡をたどりたい、ということでしたね。中共政権は、胡錦涛はどうなってしまうのでしょう?(笑)

 李登輝氏が先月訪米した際、中国側はお馴染みの「トラブルメーカー」という言葉で氏を非難しています。実はこれ、当たっていなくもないと私は思います。確かに李登輝氏が際立ったアクションを示す度にトラブルは起きていますから。ただ常に中共内部で起こるんですよね(笑)。李登輝氏が動くと、軍部を含む党上層部が程度の差こそあれ、必ずグラつきます。台湾問題ですから揺れるのは往々にして対外強硬派です。

 グラついたのを修正するために、党執行部は手数をかけなければいけないことになります。1996年の台湾総統選挙に合わせて江沢民政権が軍事演習をやったのは、翌年の香港返還を見ることなく死去するトウ小平が軍部に対する後ろ盾としての力に衰えをみせていたため、江沢民が制服組を慰撫せざるを得なかったのでしょう。迎合した訳です。

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 最大のトラブルはもちろん昨年末の訪日。他の要因もあるにせよ、反日騒動や呉儀ドタキャン事件で胡錦涛の指導力を著しく低下させることになりました。相対的にアンチ胡錦涛勢力が元気になった。そのために胡錦涛は先月の重要会議「五中全会」(党第11期中央委員会第5次全体会議)で、

 ●後継者(李克強)を中央へと抜擢する。
 ●独立王国然とした上海市のトップ(陳良宇)を更迭する。

 という人事に手をつけられなかったのは記憶に新しいところです。今後5年間の指針を定める第11次5カ年計画は一応採択されたものの、今後5年、10年を睨んだ人事については何もできませんでした。実際には5年先どころか2007年の第17回党大会に備え、腹心を抜擢して助走態勢に入らせなければいけなかったのですが、それができなかった。禍根を残すことになるでしょう。

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 で、李登輝氏来春訪日の意向表明、という激震級のニュースが流れたものの、中国国内メディアは現時点において全くこれを報じていません。異様なようでもありますが、これはたぶんまだオフィシャルではないからで、別に内緒にしている訳ではないと思います。現時点でこのニュースに接することのできるレベルの高級幹部は頭を抱えているかも知れませんけど(笑)。

 とは、目下のところ李登輝氏個人が「行きたいなあ」と言っているだけで、日本政府なり台湾政府からプレスリリースが出てはいないからです。李登輝氏が日本の新聞記者にそういう話をして、その報道を見て地元台湾のメディアも動いたというのが実情のようです。既定の事実なのを伏せているのかどうかはともかく、李登輝氏は昨日(11月3日)、台湾マスコミ複数の取材に対しては、

「いやそういう計画はあるし、実際私も行きたいんだよ。ただ周りが行かせてくれるかどうかでねえ」

 と答え、本決まりになった訳ではないと強調しています。

 ●中央通信(2005/11/03)
 http://tw.news.yahoo.com/051103/43/2hl5k.html

 ●東森新聞報(2005/11/03)
 http://tw.news.yahoo.com/051103/195/2hlmv.html

 昨年の例に照らせば、中共政権は日本政府からの通告(李登輝氏へのビザ発給予定)を受けた時点から反発しています。水面下では事前に色々あったのかも知れませんが、表向きはそういうことです。訪日が正式に発表されれば正式に騒ぐでしょうし、その騒ぎ方も胡錦涛政権の現在の指導力や勢力図をみる上での目安となるでしょう。

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「いやそういう計画はあるし、実際私も行きたいんだよ。ただ周りが行かせてくれるかどうかでねえ」

 と、このあたりが李登輝氏の本領でしょう。哲人といった雰囲気を漂わせる外見や言行の中に時折チラリと顔をのぞかせる「渾身これ政治家」ともいうべき凄みです。自分の政治的価値をしっかり把握しており、その価値を発揮させることで何事かに作用を与えようとする。

 例えば中共に対しては政治的プレッシャー、台湾独立派(緑陣営)にはカンフル剤、台湾国民には台湾人というアイデンティティを再認識させ、連戦や宋楚瑜らの訪中で生まれた妙な空気を一変させる。……李登輝氏が動くことでそういった作用が各方面に及ぼされるのです。現時点の李登輝氏は、そのための最良のタイミング(正式発表の時機)を測っているところではないでしょうか。

 「作用」を与える対象にはもちろん日本政府も含まれているでしょう。



 ●産経新聞(2005/11/02/02:42)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051102-00000011-san-int

「日本政府は九月、台湾旅券保持の旅行者への九十日間の査証免除措置を恒久化したものの、李氏の入国については、日台間の事前協議の対象としている。李氏訪日には中国が強硬に反発しており、李氏は、小泉政権に強い外交姿勢で独自判断するよう求めた形だ」




 ……訪日は昨年末にも実現しているので許可されることでしょう。が、前回書いたように李登輝氏が知りたいのは、小泉首相・安倍官房長官・麻生外相という超攻撃型3トップを柱とする小泉新内閣の「本気度」です。具体的には、先月の訪米と同じように首都に立ち寄り、講演や政治活動を行うことを日本政府が許容するかどうか、だと思います。

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 その超攻撃型3トップですが、小泉首相が風格を漂わせるエースストライカー(ごっつぁんゴールも多い強運の持ち主)とすれば、安倍官房長官は相手DFに囲まれながら堅実にポストプレイなどをこなすタイプ。そして麻生外相は、これはもうファンタジスタとしか言い様がないでしょう(笑)。外務省HPの「外務大臣会見記録」によると、



 記者「外相として靖国神社に参拝されるお考えがあるのかどうか」

 外相「そういう質問は必ず出るだろうと思ってましたが、やっぱり出ましたね。どちらですか」

 記者「朝日新聞です」

 外相「やっぱりね」

 これです(笑)。

 記者「靖国神社参拝について、大臣の以前のご発言で印象に残っていることがありますが、政調会長時代に、中国と韓国が反発していた時に靖国の問題について、基本的に放っておけば良いと思っていると、そういう風に仰っていたのですが、そのお考えに変わりはないのでしょうか」

 外相「そうですね。あまり日本で取り立ててわんわん騒ぐという方が話をさらにこみいらせていると思いますけれどね。放っておくという意味は日本の国内でこの種の話をえらく煽られる新聞もあれば、そうじゃない新聞もある。……(後略)」

 魅せてくれます(ジョン・カビラ調)。

 記者「台湾のことでお尋ねしますが、以前からよく台湾をご訪問されていらっしゃいましたが、外務大臣になられて台湾をご訪問する考えはございますか」

 外相「今の段階でですか。ありません」

 何だか含みを持たせているように聞こえるのですけど、ほんの少しだけなら期待してもいいのでしょうか(笑)。今後の日中関係をどう処理していくかという質問には、

「基本的には日中関係というのは、ひとつのその問題(靖国参拝)以外の、例えば経済関係、若い人のサブカルチャーの文化交流等々を含めて、日中関係というのは、経済は勿論、総じて上手くいっているのではないでしょうか、基本的には」

 との認識(日中関係は基本的に総じて上手くいっている)を示し、

「ジャパン・アニメーション、Jファッション、J-POPの『3J』がアジアのサブカルチャーを席巻している」

 という話も飛び出しています。これが65歳の口からスラスラ出てくる言葉でしょうか。

 靖国参拝などについては、

「いろいろ相互に意見が違う事は確かですが、そういったところは今後ともいろいろ話し合っていく以外に方法はありません。」

 とコメントしています。

 http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/g_0510.html




 ところがこの「話し合っていく」に中国側が正面から反発しちゃいましたね。



 ●靖国参拝問題、対話で解決は無理…中国外務省(読売新聞 2005/11/02/01:12)
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051101i216.htm

 【北京=竹腰雅彦】中国外務省の孔泉報道局長は1日の定例会見で、小泉首相の靖国神社参拝問題について、「日本が真剣に歴史を反省し、平和発展の道を進めるかどうかの問題だ。(日中両国で)話し合うべき筋の問題ではない」と語り、参拝を中止する以外、問題解決はあり得ないとの立場を強調した。

 麻生外相が10月31日の就任会見で靖国問題について、「話し合っていく以外ない」などと述べたことに関連して答えた。




 馬鹿ですねえ。5人抜きされてゴールを決められるようなものです。

「話し合うべき筋の問題ではない?あ、そうなの。じゃ、いいんじゃないの。日本のサブカルチャーがどんどん入って、中国の若い世代がそれを受け入れて、実際の交流は進んでいる訳だし」

 みたいな感じで簡単にかわされそうな気がしますけど、如何でしょうか。


「下」に続く)



コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
「話し合い」だけが (るびい)
2005-11-04 10:48:23
結局中国が靖国に関して日本にプレッシャーをかけるには

「話し合い」だけが大っぴらに出来る方法だったのに、本当にバカだと思いました。

軍艦引き連れて排他的経済水域を徘徊すれば、立場が悪くなるのは中国の方なのに…。



胸張って得意顔で演説する孔泉を見ていて、「ああ、見事に釣られちゃった」と思ったのは、私だけでしょうか。
 
 
 
65歳が (別スレ6124)
2005-11-06 13:41:44
>>これが65歳の口からスラスラ出てくる言葉でしょうか。

 彼は重度の漫画ヲタですから(笑)。彼の公式サイト

を読んでみても、中々得難い面白いキャラクターである

事は充分読み取れると思います。



 個人的には、所謂「超攻撃型3トップ」もそうです

けど、二階経産相の周辺にも注目すべきでは、と思い

ます。
 
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