始まったのかも。……というのが第一印象です。
自称強制労働被害者による対日賠償請求、この訴訟をこれまでのように日本の司法の下でやるのではなく、中国国内で実施しようという動きが本格化しつつあるようです。
●中国民間対日索賠聯合会が成立、国内での訴訟が本格始動(新華網 2006/04/03)
http://news.xinhuanet.com/legal/2006-04/03/content_4376889.htm
これは大変なことですよ。
この記事によると、まずは鹿島建設、三菱マテリアル、住友金属あたりが血祭りに上げられる模様です。本格始動なのであれば、そうやって裁判でやられるところもあれば、直接関係者がオフィスに押しかけてきて、
「謝罪しろ。賠償しろ。二度とやりませんと誓え。回答期限は1カ月後だ」
なんて脅迫状(要望書)を突き付けてくる「強訴」も増えるでしょう。
ただ、どうもこれはそういう単純な事態ではなく、政争の序曲のように思えてなりません。
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いや、何か起こるだろうとは思っていました。安定団結を演じてみせる全人代(全国人民代表大会=立法機関)の後というのは、ある種の虚脱感が伴うのか要人が外遊に出かけることが多いからなのか、ともかく中共政界に権力の空白期に似た状況が出現しやすく、蠢動したい政治勢力が何かを仕掛けやすいタイミングのようです。昨年(2005年)は反日騒動がありましたね。
●ほーら外交部が電波モードに。やっぱ制服組でしょ。・下(2006/03/12)
アンチ胡錦涛諸派連合はいまのところ目立った動きをみせていませんが、胡錦涛の外遊期間を狙って蠢動するケースが過去に何度かありましたから、訪米したところで何か仕掛けてくる可能性はあります。
あるいは現在開催中である全人代・政協(全国政治協商会議=全人代のオブザーバー的機関)というイベントが終われば、イベント直前のネタが蒸し返されるかも知れません。
台湾ネタでなければやはり「反日」ということになるでしょう。民間による対日戦時賠償請求訴訟を中国国内でやる、とか「水滸伝」「三国志」「西遊記」といった歴史的名作の商標を日本のゲームソフトメーカーが押さえてしまったことへの反発を煽る動きが改めて出てくる可能性はあります(最近報道されたものの全人代記事の中で埋没状態)。
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……てなことを当ブログでも指摘していたのですが、予想通りというか何というか。3月31日に胡錦涛・総書記が媚日派7団体を北京に召集して重要講話を発表したことについては前回紹介した通りですが、鳴り物入りで開かれたあの「学芸会」、そこで胡錦涛が披露した出し物が、御存知「日本の指導者が靖国参拝をやめれば首脳会談に応じる」でした。
このイベント、中国国内メディアでは大きく報じられたのですが、日本では一過性というか、「あ、そう」的に流されてしまっていますね。胡錦涛の出し物に新鮮味がないこと、橋龍など媚日派政治家の多くが賞味期限切れで大勢に影響しないであろうこと。中共の横柄さへの反発もあるでしょう。あれは一体何だったのだろう、とさえ思えたりします。対日宣伝という点において、中共の目論見は外れたというべきではないでしょうか。相変わらず日本の空気を読めていないようです(笑)。
で、この「学芸会」のあと、こちらはお花見で忙しかったのに香港の同好の士数名が電話をかけてきて、御家人さんどうよこれ?と聞かれたりしたので、
「危ない。これはちょっと危ないと思う」
とその都度答えておきました。少なくとも対日外交において、中共の意思決定メカニズムが「核」を欠いているように思えたからです。
一党独裁制なのに「皇帝」不在で集団指導体制。独裁制権なのに「鶴の一声」でなく、まず相談してからどう動くかを決める。……それだけでも十分非効率なのに、その「集団」の中にも明確なリーダー格がいないうえ、軍部など外野からの介入も行われる。当然ながら果断なアクションや切れ味鋭い一手を打ち出すことができず、往々にして各方面の顔を立てた折衷案、つまり最大公約数的な結論に落ち着くことになります(もちろん私は、「皇帝」のいる一党独裁が最善の政治制度、と言っている訳ではありませんよ。念のため)。
しかも色々相談してから決める訳ですから、切れ味のない方策であるうえ決定までに時間がかかり、手を打ったときにはすでに全く別の事態、新展開になっていたりするでしょう。今回の「学芸会」における「参拝やめれば対話に応じる」というのは、その典型例のように思えたのです。
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同時に、「参拝やめれば対話に応じる」という物言いが柔軟性を欠いていたこと、しかも前回指摘したように、胡錦涛はそういう硬直的な態度を示したのに続いて、
「(小泉首相の)個人的な気持ちは分かるが、被害国の気持ちも尊重しなければならない」
と語り、「参拝やめれば対話に応じる」が胡錦涛の本意でなさそうなことを示唆しています。この変に腰砕けな発言は、やや大袈裟に言うと胡錦涛が暗にSOSを発しているようなものです。要するに少なくとも対日外交において、胡錦涛はマリオネットになって、最大公約数的な「またそれかよー」という呆れた内容の施政方針を示す役を務めなければいけない状況になっている。「核不在」なんてもんじゃありません。
だから私は「危ない」と思いました。最大公約数的な方針に決着したことは、アンチ胡錦涛諸派連合が蠢動している、というよりすでに対日政策への関与を強めている気配を感じさせますし、胡錦涛擁護に回っているとみられる軍主流派からも異論が出ているのかも知れません。「最終的には統一」という建前を台湾政府が放棄したこと(「終統」宣言)に加え、中共が贈呈するとしたパンダ受け入れにも台湾側が難色を示し、結局は断った。全人代期間中もそうですが、かなりピリピリした状態が続いているように思えます。
いや、実は日本もこっそりと燃料を投下しています(笑)。姉妹サイト「楽しい中国ニュース」(2006/04/01)で紹介したのですが、どうやら日米は今年2月、尖閣諸島付近で合同軍事演習(海と空からの射爆訓練)を実施したようなのです(コメント欄の「胡錦涛」さんによる情報提供にも御留意あれ)。
加えて4月20日の胡錦涛訪米が間近になったことで、貿易摩擦、為替レート、人権、知的所有権侵害、宗教弾圧といった面で米国からの圧力が強まっています。胡錦涛ピンチ(笑)。ということは、アンチ胡錦涛諸派連合にとっては政争を仕掛けるには絶好のタイミングということになります。
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で、民間による対日戦時賠償請求訴訟を中国国内でやるというのは、その具体的表現ではないかと愚考する次第です。これについて当ブログでは、
●中国国内での対日民間賠償訴訟、初めて実現か。(2006/02/17)
●対日民間賠償請求、中国での訴訟実施はどうやら本気?(2006/02/22)
●対日賠償掲げた政争?に胡錦涛が逆転攻勢。(2006/02/27)
……で経緯を追っていますが、党上層部が一枚岩でないのと同様、実はこの民間による対日戦時賠償請求というのも2派に分かれる情勢になっていました。
具体的にいうと、この問題については糞青(自称愛国者の反日教徒)どものアイドルであり、代表的な反日活動家の珍獣(プロ化した糞青)・童増(中国民間保釣聯合会会長)が長年にわたり自称被害者を支援するなどして日本での訴訟を実施し、連戦連敗を重ねてきました。
そこでとうとう「もう国内で訴訟をするしかない」という結論に達してその目標に向けて動き始めたのですが、中共政権は対日賠償権を放棄しています。もし国内での裁判をやるなら当局はねじ曲げた法解釈を行うこととなり、対日関係にまたひとつ面倒事を持ち込むことになってしまいます。
そこでこれは胡錦涛側からの一手だと思うのですが、日本での訴訟を支援する組織が半ば公的に設立されました。この新組織をメディアにどんどん露出させ、募金活動などの関連イベントを開催することで、童増らアンチ胡錦涛諸派聯合を背景とするとみられる民間団体の動きを封じる策に出たのです。……と、ここまでが全人代までの動き。
で、全人代が終わり、この問題が再燃することとなりました。最近福岡地裁でまた敗訴判決が出たことも関係しているかも知れません。ともあれそうしたことを背景に出てきた動きが冒頭に示した「新華網」(国営通信社の電子版)の報道なのですが、何とこれが胡錦涛側の「日本での訴訟支援」ではなく、「中国国内での訴訟を」という童増側のアクションなのです。『法制日報』と『京華時報』の報道をまとめたこの記事の中には童増へのインタビューも登場します。
●全人代後の政治的空白期でのアクション
●アンチ胡錦涛諸派連合が仕掛けた気配が濃厚
●「反日」という錦の御旗を掲げている
●活動主体は「民間組織」
……という4点が昨年の反日騒動の初動期とよく似ています。「民間組織」に後ろ盾があることは言うまでもありません。恐らくアンチ胡錦涛諸派連合に属するいずれかの政治勢力でしょう。
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だからまた反日騒動だぞ、ということになるのかどうかは目下のところ何ともいえません。ただ、胡錦涛に対する政争が反対派によって仕掛けられた可能性が強い、と邪推している段階です。セオリーであれば再び胡錦涛側による「日本での訴訟支援」をクローズアップさせる動きがまずあるでしょう。胡錦涛が当時の統率力をなお維持していれば、の話ですけど。
もし本当に政争なのであれば、その胡錦涛を擁護してきた軍主流派の動向がカギになるように思います。目下のところは目立った動きは出ていませんし、むしろ自重している雰囲気すら漂わせているのですが。
……ともあれ、楽しみな展開になって参りました。心浮き立つ春、といったところです(笑)。
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本格的にしろ押しかけにしろ、これやってしまったら日本企業は雪崩をうって中国から撤退しませんかね。
中国の観光旅行もだめでしょうし、早くやって欲しい。
馬と鹿に付ける薬はないや。
おっしゃるとおり、彼の国で、後ろ盾のない政治行動なんてありえないと思うのですが、昨年の反日騒動にしても、そのような視点からの分析をマスコミではついぞ見たことがありませんでした。
なぜなのでしょうね?
何やら幕末の政治状況に似てきたようですね。尊皇か攘夷か、公武合体か開港か、それとも・・・有力諸藩に意見を求めても様子見日和見で意見を表さず、聞こえて来るのは公的には引退し責任を負わない水戸や島津の隠居大名の勝手な放言ばかり。
個々の後ろ盾に自らの売名野望を重ね、それらに呼応する浪士や珍獣たち。権力が衰微するとどこも似たようなパターンになるのかなァ~、と思ってしまいます。
願わくば一日も早く、大陸での鳥羽伏見の会戦を安全地帯から遠望したく祈念します。
中国の胡錦濤国家主席が3月31日の橋本龍太郎元首相ら日中友好7団体代表との会談で表明した「靖国神社に参拝しないと約束すれば首脳会談を開く」との見解は、事前に準備した対日重視の「重要談話」を急きょ差し替えたものだった--。政府・与党の複数の幹部が3日、このような見方を示した。小泉純一郎首相が3月27日の記者会見で中国への反論を展開するなど、直前に日中間の対立が激化したことが影響したとみられる。政府・与党内には反発が広がり、かえって対立に拍車をかける結果となった。
(以下略)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20060404k0000m010136000c.html
重要講話にしてはしょぼいと思ったらやっぱり急遽中止??
その後売国セブンの動静は全く聞こえてこず、せっかく用意していた50年ぶりのピンポン外交とかいうイベントが空振りにw
ブッシュも三月末に演説で中国批判をするし、胡錦濤ピンチ!で、温家宝は去年の反日デモに引き続いてちゃっかり外遊中。こいつは本当に曲者だw
作戦になってないって。参謀はおらんのか。
日系お華ばたけ企業には良い薬と思いつつも、味をしめた連中が一般日本市民を狙って来そう(ガクブル)。
>胡錦涛が暗にSOSを発しているようなものです。
うわ・・・シャレになってませんね・・・。
>なぜなのでしょうね?
さぁ…。一部の記者は気がついてても怖くて黙秘して、大半の記者は日々忙しくて横着し考えていないだけかも?
>世界中から顰蹙買わない?
既に戦後の戦犯裁判で同じ事してたと思います…。だのに今まで…。
>やっぱり急遽中止??
急造品らしいしょぼさに納得。
実は当日の会場外では銃口が 部屋に 向いてたりして…。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060403-00000001-nna-int
予測されるダンピング摩擦、金融崩壊、いよいよ歯車が逆回転始めるのか?
ここからの展開は、
1) 童増側が打って出る。
2) 幾つかの地方では実際に
そもそも、日本の卓球が世界に与えた影響は甚大でして、かつて日本が卓球王国だった時代、多くのコーチ(技術者)がヨーロッパに、支那にと招聘されました。結果、技術の日本はパワーのヨーロッパに敗れ、個人無視の卓球マシン製造である支那に敗れていくわけですが。
それはさておき。
卓球のブンデスリーグすらあるドイツには多くの選手が集まりますが、そこでも日本に対する感謝が忘れられることはありません。かつての日本栄光の時代を語り、いかに日本が卓球に貢献したか、ヨーロッパのコーチ陣は語ってくれます。リスペクトと言うのでしょうか。
対して、支那、朝鮮からそんな言葉を聞いたことはありません。今回も形では何やら言ってるようですが、政治ショーに利用してしまい、「競技への愛」、「卓球を育成したスタッフへの感謝」はまったく感じられません。
悲しいことです。
『人民網』の日文版に至っては「中日友好」のオンパレードで、「反日」の欠片も見当たりません。(教科書ナントカで韓国が抗議、というのはありましたけど。)
インドとか東南アジアとか南米とか
市場も生産拠点も移転先が
いくらでもあることを
教えてあげてほしいものです。
そうなったら、日中間には、何の約束もないことになってしまい。終局的破綻ですよ。ジ・エンドになってしまいます。と、少なくともこういう解釈が日本側から出てくることは間違いないと思います。
くれぐれも中国側の慎重な対処を期待したいですねえ。
移転した 後 で教えてあげましょうw
そこには思い切り、日本の「新幹線」の絵が貼り付けられています。
ずっと売り込みをかけていたぐらいだから、日本側の関係当局者は大喜びなんでしょうし、実際に、最初は何台が買ってもらえるんで、日本も儲かるんでしょうけど、その後は、やっぱりコピーされちゃうんでしょうね。
この記事、昨日バスの中でヨコの兄ちゃんの開いていた「京華日報」にデカデカと出てました(1面にではないですが、1面に見出しは割りと大きく掲載)。
やっぱり、例の7人の裏切り者と合わせての経済界向けの脅し=中共の得意技=強請たかりコンボでは?
何故か燃料費高騰による世界的な追加運賃の認可も、日本-中国線だけ中国政府の許可が出ず(アメリカ-中国とか他の路線は許可されたのに)、1月以上も理由なしに放置されているし。じわじわと意地悪の手を出してきているような。
閑話休題、全人代期間の特別警戒が解かれたのか?昨日あたりから外国人お得様向けのDVD屋の品揃えが元に戻りました。ここいら辺もお約束と言うか。。
【北京4日時事】中国外務省の劉建超報道局長は4日の定例記者会見で、昨年4月に中国各地で起こった反日デモについて「日本の指導者の間違った行動に対する中国民衆の態度の表明だ」と述べ、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に原因があるとの立場を示した。その上で同首相の靖国参拝中止を強く要求した。
劉局長は反日デモ発生から1年が経過したことに触れ、「中日関係の改善と発展が有効に図れなかった」と指摘。「責任は中国にも、日本人民にもない」と強調した。
さらに胡錦濤国家主席が3月31日に橋本龍太郎元首相ら日中友好7団体会長らと会談した際の発言に関して「中日関係の改善と発展に向けた中国の誠意を示したもので、日本側から積極的な反応がなければならない」と述べた。(了)
自分的には、久々の大ヒットになりそうな節回しでした。
これ、出典はどこでしょう。
紙、Net?
支那向け? 日本向け? 欧米向け?
まさか、支那外務省(相当)のHP?
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