日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 この歳になって徹宵(というか徹昼)を重ねるとさすがに辛いです。もう頭が回ってくれません。という訳で久しぶりに「蜜の味」いきます。

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 まずはこれから。

 ●中国広東省の炭坑出水事故、102人の生存期待薄れる
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050808-00000135-reu-int

 いやー最近爆発事故が多かったんですけどこちらは水です。内容は標題そのまんま。どうもショボい事故ばかりで冴えない、でもきっとそろそろ……と思っていたら見事にやってくれましたスマッシュヒット。久々に3桁の大台に乗りそうです。こういうネタはもう説明不要ですね。でも一応おさらいを……という方は「人命軽視?――仕様ですから」(2005/02/17)をどうぞ。

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 「久々に3桁の大台に」と書きましたが、実は炭坑事故だと僅々半年前に遼寧省で落盤&爆発で214人死んでます。上記「人命軽視?――仕様ですから」はそのときに書いたものでした。香港紙『太陽報』によると、この遼寧省の事故後半年間における目立った炭坑事故は次の通り(カッコ内は死者数)。

 3月19日 山西省朔州(69人)
 5月19日 河北省承徳(50人)
 7月11日 新疆ウイグル自治区阜康(83人)
 7月14日 広東省梅州(16人)

 ●梅州炭坑事故に中央は戦慄・省長は激怒――出水で102人絶望か
 http://the-sun.orisun.com/channels/news/20050809/20050809014718_0001.html

 本当はもっと色々起きていて私の手元にもたくさんあるんですけど、それを探したり訳したりするのが面倒なので省略。ちなみに上記標題の通り今回の事故現場は広東省・梅州でして、7月に続いてあーまたやっちゃったーという訳です。広東省のトップである張徳江・党委書記と広東省政府の長で激怒中の黄華華・省長は一昨日(8月7日)から現場に張り付いています。

 胡錦涛総書記と温家宝首相は救出に全力をあげるよう指示した、とのことですが、口を動かすだけなら私にもできますよねえ。ここは現在教育活動展開中である「共産党員の先進性」を示す絶好のチャンス。胡錦涛も温家宝もたまには自ら潜ってみたら如何でしょう?毛沢東もよく水泳してみせて健在ぶりをアピールしてたじゃないですか。あれはトウ小平でしたっけ?

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 で、香港各紙の報道を総合しますと、実は今回の一件、これは炭坑事故というより「事件」なんですね。

 『蘋果日報』(2005/08/09)によれば、炭坑の責任者である大興鉱業の曽董事長は昨日の時点で警察に自首し、刑事拘留されています。営業免許を持たず、採掘許可証も得ていない典型的なヤミ炭坑だった模様です。しかも採掘した石炭を闇ルートで転売して利鞘を稼ぎ……など不埒な悪行三昧を重ねていたとか。死刑確定ですね。即裁判即判決即銃殺。最近は薬物注射も行われているそうですけど。

 そういえば同じ7日に貴州省・六盤水市でも炭坑事故があり死者14名に行方不明2名、こちらも無許可営業のヤミ炭坑とのこと。

 まあ公式発表でも今年上半期に労災関連(生産活動中の事故)で1日平均死者370名、となっているので中国の事故報道をあれこれ読んでいると感覚が麻痺してきます。

 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-07/01/content_3160680.htm

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 しかしまあ、こういう事態になると記者は生き生きしてきますね。特に香港紙は見出しもえげつない(笑)。『明報』(2005/08/09)は比較的お硬い新聞なんですが、この事故については記事3本。

「500mの深さで出水事故、鉱夫102名絶望か――水位は毎時2フィート上昇、排水するも追い付かず」

 と1本目のメイン記事で事故の概要を説明しつつ、「水位は毎時2フィート上昇」とソツなくカウントダウン気分を散りばめて緊迫感を強調。2本目は被害者家族への取材で、

「貧乏でなきゃ誰がこんな仕事やるもんか」

 と、お涙頂戴の紋切型タイトル。そうですよねー本当にそうですよねーと記者は頷きつつも、3本目のタイトルは、

「記者に制限なし、取材は思いのまま」

 などと大はしゃぎ。浮かれております。

 http://hk.news.yahoo.com/050808/12/1fcv9.html
 http://hk.news.yahoo.com/050808/12/1fcvb.html
 http://hk.news.yahoo.com/050808/12/1fcve.html

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 ところが昨日は香港人記者たちをより燃え上がらせる出来事が発生しました。福建省・福州市でバス爆発事件です。末期癌患者が前途を悲観し、バスの車内で私製爆薬を爆発させたとのこと。各紙の見出しを原文のまま並べておきます。「巴士」はバス、「閙市」は繁華街です。

 ●福州人肉炸彈引爆巴士32人死傷
(蘋果日報)
 ●患癌農民當場死 逾30傷血肉横飛――福州人肉炸彈巴士
(太陽報)
 ●福州人肉彈炸巴士32死傷――絶症農民惡性自殺 閙市引爆土製炸藥
(成報)
 ●福州人肉彈炸巴士32死傷――事發閙市 兇徒疑患癌情緒失衡
(明報)
 ●福州人肉彈炸散巴士32死傷
(東方日報)
 ●福州自殺式爆炸1死31傷
(星島日報)
 ●癌漢福州巴士爆彈1亡31傷
(香港文匯報)
 ●肺癌漢尋死自爆福州巴士
(大公報)

 皆さん「人肉」がお好きなようですが、これは以前香港で「肉まん人肉版事件」があった名残りかと思われます。「血肉横飛」というのも凄い表現です。

 下の3紙、『星島日報』と親中紙である『香港文匯報』『大公報』は淡々としていますが、『大公報』(電子版)には重傷を負った女性が担荷で運び出される写真がついています。グロとまではいいませんが、そこそこエグい写真です。バスも骨組みが剥き出しになっていて爆発の生々しさを感じさせます。

 http://www.takungpao.com/news/2005-8-9/MW-439252.htm

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 御存知の方も多いでしょうが、香港紙は死体写真をバンバン載せます。それで1面トップを飾らせたりします。

 エレベータを下りた映画監督が待ち受けていた殺し屋たちに至近距離から6発被弾で即死。その流血遺体写真とか、何かのトラブルでやはり殺し屋に眉間に一発撃ち込まれて死相も露わに運び出される男性の写真とか、バス転落事故の事故死者の写真とか。あれは「死者には人権なし」ということなんでしょうか。逮捕された容疑者は紙袋で顔が隠されていますから。

 今日のトップは「人肉炸彈」でなければ香港で起きた痴情のもつれ事件でしょう。男が女性を刺して飛び下り自殺、女性は血まみれで重傷、というものですが、『東方日報』(2005/08/09)だと自殺した男の遺体、それに刺された女性の血まみれ写真がいずれも掲載されている筈です。

 http://orientaldaily.orisun.com/new/new_a00cnt.html

 そういう写真の出ている新聞記事を読みながら平然と飲茶していたりするから香港人はすごいです。

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 閑話休題。「人肉炸彈」事件ですが、当局発表では肺癌の末期患者である農民が自家製の爆薬を持ち込んでバスに乗り込み爆発させた(当人死亡)、遺書が発見され身元も割れた、ということになっています。

 ……でも本当にそうなのでしょうか。バスの車体の骨組みが露わになるほどの爆発で、負傷者が31名(危篤状態の者もいるとか)も出ているというのに、遺書が残っているものでしょうか。家に残っていたというならわかりますが、それでも身元の割れるのが速すぎるのでは?

 この点では大人しい『星島日報』の見出しが、あるいは自爆テロ?という含みを持たせているように思います。また『太陽報』は警察が現場で事件に関係しているとみられる男1名を拘束したとしています。他人を巻き込んで自殺しようとする「自己中心的テロリズム」の問題にも言及しています。

 http://the-sun.orisun.com/channels/news/20050809/20050809014919_0001.html
 http://the-sun.orisun.com/channels/news/20050809/20050809014919_0001_1.html

 私はやっぱり破壊活動を疑ってしまいます(というか、そうであれかし)。当局による自爆男のキャラ設定がベタすぎるような気がしてなりません(笑)。

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 ともあれ、バスでの人為的爆発事件(または事故)というのは結構起きているんです。親中紙『香港文匯報』によると、

 ●湖南省(2004/09/02、3死34傷)
 ●湖南省(2004/10/26、54傷)
 ●安徽省(2004/12/23、5傷)
 ●新疆ウイグル自治区(2005/01/20、11死)
 ●江西省(2005/03/17、21死)

 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0508090030&cat=002CH

 このほか今年5月には新疆で石油タンク爆破事件(だと思います)や、爆発物を持った男によるバスジャックなども起きています(「ちょっとキナ臭いぞ新疆」2005/05/16)。

 あとは最近ふれた件、北京で時限爆弾が見つかったり実際に爆発しちゃったりというのがありました(「やっぱ爆発でしょ。」2005/07/23)。それから密造爆薬が高温で変質して爆発という事件も(「爆発続報――事故が事件に。」2005/07/25)。

 いま中国ではヤミ炭坑がやたらと多くて、そこで使われる爆薬は横流しモノか私製爆薬。ごく小規模なヤミ炭坑ならいくらでもあるでしょうから、期せずして危険物が農民レベルに行き渡りつつあるのではないかと、つい期待してしまうのです。

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 まあでも胡錦涛などは「それどころじゃない」という心境かも知れません。他でもない衆議院の解散、これで小泉首相による「八・一五靖国参拝」の可能性がかなり高まったと思うのですが、参拝されてしまえば「参拝するな」と言明していた胡錦涛は面子丸潰れでヘタレ認定。ネット世論は沸騰。そして「対外強硬派」というか「アンチ胡錦涛グループ」というか「抵抗勢力」、そのあたりが再び「反日」を掲げて政争を仕掛けてくるように思います。

 「蜜の味」の筈が結局こんな話題に落ちてしまいました。そこに爆薬がつながっちゃったら大変ですねこれは、ということにしておきましょう(笑)。

 寝ます。寝ている間に少しは減ってくれると有り難いのですが。いや他でもない標題の件です。





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