日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 地味な小ネタなのですが、こういう事故、いや「事件」も拾っておいた方がいいでしょう。

 新疆ウイグル自治区のウルムチ市にある発電所で5月13日、石油タンクの爆発事故が発生しました。

 ●ウルムチの発電所で石油タンク爆発事故、5死1傷(新華網)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2005-05/13/content_2955417.htm

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 この記事によると、13日15時半ごろ、新疆紅雁池第二発電有限公司構内の石油タンクで激しい爆発が発生。火災を引き起こし、ウルムチ市内の各所から高々と立ち上る黒煙や火の手を見ることができたとのこと。報道時点での被害者は死者5名・負傷者1名。発電所のダメージも大きいものの、ウルムチ市への電力供給には影響が出ないそうです。

 この日は午後から強い風が吹いていたため、一時は延焼する勢いを止めることができず、30台近い消防車が現場に駆け付けて消火活動に当たったようです。再度の爆発を警戒して現場に向かう道路は全て武装警察が封鎖し、関係者以外の立ち入りをシャットアウト。

 鎮火後に警察関係者が現場検証を開始し、18時ごろになって封鎖も解除され、記者も現場に入ることができました。石油タンクは1基が跡形もなく破壊され、もう1基のタンクも20mほど吹き飛んでいたそうです。現場近くにいた工員の話では、ちょうど休み時間のためテント内で休息していたところ、突如として巨大な爆音、続いて石油タンクから火の手が上がるのが見えたとのこと。

 この発電所はウルムチ地区の電力供給の主力を担う存在のひとつで、タンク2基合計で1000トンの石油を入れることができるものの、爆発当時には700トンほどが残っていたものと推測されています。

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 私は記事漁りの中で一応事故関連のニュースも集めているので幸いすぐ拾い上げることができたのですが、実は今朝の香港紙『香港文匯報』にごく短い記事ですがその続報が出ていました。

 ●安全局、新疆の爆発事件調査に乗り出す
 http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0505160026&cat=002CH

 ウルムチ市延安路に位置する新疆華電紅雁池有限公司構内の石油タンク2基(最大備蓄量1000トン、爆発当時の残量は700トン余り)で先ごろ爆発が発生し、死者5名・負傷者1名を出した。損失は現時点での推計で400万元余り。国家安全部門はこの事故を非常に重視し、国家安全局が現地へ調査員を派遣している。

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 この記事によって、爆発が「事故」ではなく「事件」の疑いが濃厚であることが明らかになりました。

 国家安全部といったらもう、反動勢力の監視とかインターネット関連の動向チェック、それに分離・独立運動や民主化運動に対処したり、人影の絶えた夜道で日本人らしい挙動不審な男を私服で尾行したり(笑)……そういう、公安(警察)よりもドスの効いた部門なのです。今回の一件は分離・独立運動勢力による破壊活動の線が強い、ということなのでしょう。

 だいたい「新華網」の記事で「武装警察が道路を封鎖」ってところから尋常でない物々しさを感じます。あるいは、死者の中に実行犯が含まれていたのかも知れません。

 以上、『香港文匯報』は香港における親中紙の筆頭ですから、記事の確度は高いと思われます。

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 ちょっと前にはバスを爆発させる事故もありましたし、つい最近、11日にも伊寧市からウルムチ市へと向かう長距離バスを爆発物を持った男がジャック。駆け付けた警官が包囲するなか爆発物に点火しバスを大破炎上させる事件もありました。犯人の男はその場で警官によって射殺されています。

 ●新疆伊寧警察、バスジャック男を射殺
 http://www.tianshannet.com.cn/GB/channel3/98/200505/13/156340.html

 犯行に及んだ原因は家庭内のトラブルによるものと報じられていますが、これはまさに死人に口なしで、本当のところは誰にもわかりません。もっとも報道によれば犯人の名前は「張宝国」で漢族めいてはいますが。

 最近、そういう活動が活発化しているのでしょうか?新疆に関しては犯行声明などが一切出ないのでわかりにくいです。

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 それにしてもウルムチ市に「延安路」があるとは知りませんでした。ひどいものですね。


コメント ( 18 ) | Trackback ( 0 )



« まだまだ波乱... ひょっとして…... »
 
コメント
 
 
 
ウルムチに延安、はて? (Unknown)
2005-05-16 11:35:29
ウルムチ市内に「延安路」があることがヒドイ・・・

ウィグルの聖地とも言うべき街に、中共のル

ーツとも言うべき「延安」名称が使われてい

る、そこまで植民地化が進んでいる、と理解

してもよろしいのでしょうか?
 
 
 
Re:ウルムチに延安、はて? (御家人)
2005-05-16 12:26:28
植民地化なんざ昔からでしょう。



私はウルムチに行ったこともありませんしその都市の歴史についても無知です。ウイグル族の聖地なのかどうかも知りません。が、中共政権が軍事力を以て同地を掌握する以前から「延安路」と呼ばれていたとは考えにくいです。



他の都市のケースから類推するに、街路名の変更は、かなり早い時期に行われたのではないでしょうか。以前の街路名が何だったかは知りません。無知を恥じ入る次第です。



昼食時に尾籠な話で恐縮ですが、ある特定の傾きや趣味をもつごく一部の例外を除けば、大便が伴う臭気は悪臭といえるものでしょう。臭いのは元々わかっているけど、いま目の前に改めて突き出されてみても、やはり悪臭です。だからこちらも改めて「これは臭い」と言った。ただそれだけのことです。

 
 
 
Unknown (大丈夫?)
2005-05-16 12:33:50
コメントが反映されないので、再投稿。

二重投稿になっていたらすいません。





私の行った数年前の時点で、ウルムチは半分以上漢族化していました(人口分布は分かりませんが、見た目)。

近隣のトルファンと比べるとその差は歴然です。



ウルムチの八一は解放軍賛美の垂れ幕で一杯です。
 
 
 
チベットも (珍獣ファン)
2005-05-16 13:29:39
 ラサの目抜き通りも「北京路」と言います。

 新疆の動きは最近の中央アジアの動向に影響を受けているのではないでしょうか?

 
 
 
Unknown (大丈夫?)
2005-05-16 14:40:58
ラサもポタラ宮・ジョカン等のお寺関係以外は急速に漢族化していますね。

近代化と取るか、漢族化と取るか・・・。
 
 
 
お久しぶりです。 (usam)
2005-05-16 19:53:41
一昨年だったか、米国の『テロとの戦争宣言』を支持した支共が東突(東トルキスタン)の独立派4組織をテロリスト認定した事がありましたね。



その組織の一つの某氏が先月だったか2chに降臨していた事もありましたっけ。その某氏の日本語コラムやウイグル人による主張の日本語訳には随分お世話になりました。



某FLASH職人さんが支那に留学した折、たまたま居合わせたウイグル人に対する支那人の蔑んだような眼差しが忘れられなかったそうです。



東トルキスタンってこんなところらしいです。

http://popup5.tok2.com/home2/usam/fenn/image/turkistan.jpg

ふざけんなよ(プンスカ
 
 
 
「ウルムチ北路」 (通りすがり)
2005-05-16 20:40:53
上海に行ったとき泊まった上海賓館のある所で、「ウルムチ北路」ってのがあるから、あんまり気にしないでいいんで内科医。

 
 
 
Unknown (御家人)
2005-05-16 21:48:20
大丈夫?さんは随分辺境回ってますね。



ウルムチ、トルファンと歩かれたなら天池にも立ち寄られたでしょう?



写真の通り美しい場所なんでしょうか?私は昔むかーし永谷園のお茶漬けで当てたシルクロード・セットの天池の写真がすごくよくて・・・学生運動起きなきゃ行っていたのに。



チベットは鉄道開通で拍車がかかるんでしょうね。

でもあの鉄道には一度乗ってみたいものです。
 
 
 
チベットも (御家人)
2005-05-16 21:52:34
珍獣ファンさん、コメント有難うございます。





>ラサの目抜き通りも「北京路」と言います。



「××銀座」の感覚ならいいんでしょうけど、これはちょっと違いますよねえ。



>新疆の動きは最近の中央アジアの動向に

>影響を受けているのではないでしょうか?



私もそう考えたのですが、声明のような形で活動を示している形跡がないもので。実際のところどうなってるんでしょう?

 
 
 
Re:「ウルムチ北路」 (御家人)
2005-05-16 21:58:19
通りすがりさん、そういえばありましたねウルムチ北路。ていうか人民広場近くに西蔵路もありますし。



ウルムチの延安路やラサの北京路というのは、例えば有楽町から銀座にかけてが「南京西路~南京東路」に無理矢理改名されるようなものでしょう。昭和通りが「延安北路~延安南路」とか。軍事力を以て頭ごなしにやられるのですから個人的には絶対に嫌です。

 
 
 
Re:お久しぶりです。 (御家人)
2005-05-16 22:04:36
usamさんこちらこそ御無沙汰しております。



>その組織の一つの某氏が先月だったか2chに降臨していた事もありましたっけ。

>その某氏の日本語コラムやウイグル人による主張の日本語訳には随分お世話になりました。



そんなことがあったんですか!?



以前の亡命政府設立に際しての経緯もそうでしたが、中国国外在住のウイグル人組織は数がある割にまとまりが悪いような印象があります。

 
 
 
燻っている西方 (きんぎんすなご)
2005-05-16 22:43:27
民主化運動という名の燃料が、中央アジアに注がれている状態で

権力側の押さえ効いていた地域でも回教徒の動きが活発化し始めたようで…



ウズベキスタン:キルギスとの国境付近で武力衝突相次ぐ

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20050516k0000e030040000c.html



それが中国の新疆ウイグルにまで飛び火する結果になってもおかしくないかと…

というか

でもやはり炎上系には程遠いのでしょうか…

他の回教徒からの支持が弱いのは、石油の大量消費地であり

かつ安価な武器供給元である中国に気兼ねしているのではないかと

つい素人考えをしてしまう昨今
 
 
 
美国? (mattmicky)
2005-05-16 23:02:48
トラックバックさせていただきました。

中央アジア情勢は、アメリカ絡みという意味でも注目しています。
 
 
 
ウルムチ (shuji)
2005-05-17 02:33:15
ウルムチの駅ターミナルがそもそも漢族の作った

ものなので、仕方がないのでは?

旧市街は普通ターミナルから離れたところにあり

ます。ウルムチ以西では、クシャ、アクス、

カシュガルもバスターミナルは旧市街とは離れて

います。
 
 
 
はじめまして。 (kok)
2005-05-17 11:04:54
御家人様はじめまして、以前から拝見しておりました。

バス事件関連でTBさせていただきました。ありがとうございます。

新疆しらずのくせに新疆ウイグル関連情報ブログをやっております。

バス爆発、石油タンク爆発などの事件とともに、ウルムチで最近釈放されたウイグルの人権活動家、レビヤ・カディールさんの会社が中国公安局に強制捜索され社員が逮捕されたという事件がありました。

こういう事件はまったく日本では報道されません。
 
 
 
Unknown (Jonah)
2005-05-17 11:36:03
ウルムチは清代からウイグル族だけでなく漢族、回族が雑居する都市だったと思います。管轄は陝甘総督でしたし。その時の名前は迪化です。

そういえば、迪化街が台北にあったんじゃないですか。

新疆の南部は理藩院が管轄し、実際にはホージャが統治していたと思いますが。



>以前の亡命政府設立に際しての経緯もそうでしたが、中国国外在住のウイグル人組織は数がある割にまとまりが悪いような印象があります。



ダライ・ラマのようなカリスマがいないことと、チベットのように伝統的国家領域がないことが原因だと思います。
 
 
 
Unknown (大丈夫?)
2005-05-17 12:27:59
>御家人さん

天池、美しいことは美しいが、天池へ行く時間があるなら一日多くトルファンに滞在をお薦めします。

楼蘭美女も所詮ミイラなので、トルファンの博物館なら他人に邪魔されずにミイラさん達と対面できます。



青蔵鉄道は地元の人以外は、皆高山病で寝込むのではないか心配です。

私がバスで行ったときには、高度3000m以上の場所で手作業で線路引いていたのを見ました。





>shujiさん

バスと鉄道のターミナル以外も、旅行客目当てのバザールを除いて他の漢族の地方都市となんら変わりません。

モスクも周りのビルに埋もれてるし。

それと気になるのが、目に付くホワイトカラーは、ほぼ漢族であるという事。

勿論外からは見えない社長室に、大勢のウイグル人がいるのかも知れませんが。
 
 
 
Unknown (書き込み初めてです)
2005-05-18 12:24:47
ウイグル族の独立運動は、別にウズベキスタンに影響されたわけではなく、それより何年も何十年も前からつづいていたものです。

中国はあのとおりの情報統制社会ですから、この地域の正確な情報はなかなか出てきませんが、1949年だったか、中共が侵略してからずっと断続的に武力蜂起やなにやらが行われてきています。それはusamさんが書かれていた、2ちゃんに出没したウイグル人の方のホームページに詳しく出ています。



ウイグル族の独立運動って本当に知られていないし、確かにバラバラですけど、ずっとあったんですよ。
 
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