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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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今度のデモには要注意。
シリーズ中国観察
/
2005-04-08 20:53:26
【シリーズ:反日騒動2005(16)】
←(16上)へ
また週末が巡ってきました。東京では桜の最盛期となるのですが、中国在住の日本人の方はそう悠長なことも言っていられないでしょう。
外務省からも警戒警報が発令されています。みなさん御存知でしょうが、一応掲げておきます。
――――
北京市及び深セン市(中国):反日・日本製品不買デモ等に関する注意喚起(2005/04/08)
1.現地インターネットの情報(中国語)によると、4月9日(土)9時から、北京市海淀区中関村「海竜大廈」の前で、1万~2万人規模の反日・日本製品不買デモが行われる予定です。また、10日(日)午前には深セン市内でも反日デモが行われる可能性もあります。
2.先般、4月2日から3日にかけて、四川省成都市及び広東省深セン市において、「日本の国連安全保障理事国入り」への反対を標榜する民衆の抗議活動が行われ、一部民衆が日系百貨店のショーウィンドウ、ガラスドア、案内板などを破壊するという事件が発生しています。
3.つきましては、反日デモや抗議活動を目撃した場合には、現場には近付かず慎重に行動し、無用のトラブルに巻き込まれないようご注意願います。
4.なお、外務省海外安全ホームページの中国に関する渡航情報《安全対策基本データ》にも参考になる情報を掲載していますので、是非ご参照下さい。
http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/spot_top5.asp?id=009&num=1
――――
私も先刻反日サイトその他を回ってみたのですが、情報として出ていたのは以下の通りです。
●今週土曜(04/09)に
北京市・中関村
でデモ。ただし組織者や具体的日時は不明で、愛国者同盟網は関知していない。(愛国者同盟網)
●今週土曜(04/09)に
武漢市・武漢広場
で抗日デモ、参加予定2万人。(鉄血・国際政治観察論壇)
●今週土曜(04/09)に
上海市
で活動計画。詳細や中国民間保釣聯合会が主催者に加わっているのかは不明。(中国民間保釣聯合会)
●今週日曜(0410)午前10時より
深セン市
でデモ計画。(中華抗日同盟)
●今週日曜(04/10)午前9時より
広州市の日本総領事館前
で「反日抗議活動」(鉄血・国際政治観察論壇)
●5月1日に
上海市
で抗日デモ計画。(反日先鋒網)
……まだ見落としがあるかと思いますが、とりあえずこれだけありました。北京と深センの情報は外務省の情報と重なるものです。深センについては「来週日曜(04/10)もまたやる」という香港からの参加者(香港の尖閣奪回運動の活動家)の声を香港紙が報じてもいます。
――――
ここまで読んでお気付きの方もいらっしゃるでしょうが、私はこれらの情報に「反日」活動が変質し始めた気配を感じています。
だって、デモ、デモ、デモじゃないですか。デモをやるには地元公安当局に申請を出して、許可されなければなりません。日系スーパー襲撃事件の直後でもあり、現実的にそういう手続きを踏んで許可されるとは思えません。
とすれば無許可でやっちまえ、ということになります。下手したら不法分子認定ですし、そういうリスクの伴う活動は暴徒化しやすいものです。しかも参加者と群衆をはっきり区分けする(群衆が活動に加わらないようにする)ノウハウはどうやら持ち合わせていない連中です。糞青(自称愛国者の反日教信者)と珍獣(プロ化した糞青)の総本山ともいえる「愛国社同盟網」が、北京のデモ計画に「ウチは関知していない」とわざわざ言っているのは、組織維持の観点から危険な香りを感じ取ったからだと思います。
――――
重複を恐れずに書きますが、今回の「反日」については少なくとも四分割して眺める必要があるというのが私の見方でした。
(1)「署名活動」(中共+「なんちゃって民間組織」+御用組織主導の大学生)
(2)「報道」(中共の管制下にあるメディア)
(3)「日貨排斥」(主に小売店)
(4)「日系スーパー襲撃」(社会に不満を持つ民衆)
分けて考えるべきというのは、例えば「署名活動」は日本の常任理事国入り反対をテーマとしているのに対し、「日貨排斥」は扶桑社の歴史教科書に絡んだアサヒビール「買わない/売らない」事件が発端です。「日系スーパー襲撃」は、「署名活動」という可燃度の高いテーマについ吸い寄せられた民衆が、その機会を借りて社会への鬱憤晴らしをしたもの。……というように、決してひとつリズムで踊るイベントではなかったからです。
ところが、どうもこの線引きが怪しくなってきています。前回述べた通り、よせばいいのにメディアが中共にとって最も厄介な歴史問題(具体的には扶桑社の歴史教科書)を大々的に報じ、煽りに煽っているからです。煽り方がいかに度を過ぎて幼稚化さえしているかは、扶桑社の歴史教科書に賛同する人物のブラックリストなるもの(※1)を大手マスコミが相争って報じていることからも明らかです。
そのリストを公表することにどんな意味があるのか、何を伝えようとしているのか、全く無意味な行為としか思えないのですが、中国のマスコミにとってはそうではないのでしょう。当然ながら、メディアを束ねている中共当局からもゴーサインが出ている筈です。これまた「亡国の兆」ともいうべきものでしょう。
ともあれ、このために今までは「日本の常任理事国入り反対」がテーマだった活動が歴史問題とのコンボとなり、自然な成り行きとして「署名活動」が後退し、単純な「反日」、その表現の方法として「デモ」という形式にまとまりつつあるように思います。方法論はともかく、ひとつリズムで踊る様相を呈してきたということです。
仮に暗躍する組織があるとすれば、いよいよ仕事をしやすい環境になってきた、と思うことでしょう。
――――
前回のコメント欄に投稿して頂いたレポートを、無断ながら引用させて頂きます(※2)。
「四川省の某大学で日本語を教えてるものです。
昨日学部の事務所から電話があって彼等が言うことには、『天気がいいからお茶でも飲みにいこう!』、、、?で、詳しく聞いてみるとその時間に私の住んでいる宿舎の前で反日署名活動があって、不測の事態に備えて、私を避難させたとのことでした。
詳しくは知りませんが、そのような学生の政治的活動に当たって、学校の幹部は何日も、やらせる、やらせないでもめてたみたいです。」
この方が教え子に慕われている様子が浮かびます。真摯で徳のある方なのだろうと思います。ここで注目すべきは、
「学校の幹部は何日も、やらせる、やらせないでもめてたみたいです」
という点です。署名活動への是非というより、圧縮されつつある空気を一度抜いておかないと危険(例えば街頭に出てデモを行うなど暴走する)ではないか、という考えが学校側にあったのではないでしょうか。一方で、署名活動を許可することで、それを端緒に運動がエスカレートしていくことを恐れる向きもあったかと思います。……これは1989年の民主化運動における私の経験を踏まえた上での邪推ですが、付け加えるなら、党中央の方針が定まっていないことを反映した小田原評定なのかも知れません。
――――
そして、観じるに事態はいまや署名活動の段階を過去のものにしようとしています(マスコミも統制がかかって活動を報じてくれませんし)。単純な「反日」でエネルギーが集束されつつある。社会が安定している時期ならそれほど危険視する必要はないのですが、現在の中国の社会状況は、放っておいても暴動が起きるほど深刻なものになっています。いずれも小規模なものではありますが、都市でも農村でも、そういう騒ぎが最近また起こり始めています。
だいたい社会が安定しているなら、胡錦涛が第16期四中全会(昨年9月)で危機感をにじませた公報を出す必要はありませんし、温家宝も全人代(今年3月)で「調和のとれた社会」なんてスローガンを提起する必要はない訳です。
そういう社会自体が危険(何かのきっかけで火の手が上がりやすい)に瀕している状況下で、「反日」しかも歴史問題という最も可燃度の高いテーマを掲げて有志が多数集結し、集会なりデモを行うことは、民衆に騒ぐ機会を提供するようなものに他なりません。
北京だけでなく中国各地での活動ですからね。有志たる珍獣や糞青どもはそんなことまで考えが及ばないでしょうけど、民衆が大挙参加して暴走し始めれば、「反日」は途中で別なテーマにすり代わり、珍獣や糞青の手に負えないものになっていくだろうと思います。
まあ前にも書いたように、「反日」騒ぎは江沢民が「支那人」に元々備わっていた性質を「愛国主義教育」「反日キャンペーン」で育成・強化したももので、珍獣・糞青もそのおかげで生まれたともいえます。一方で民衆が爆発するとすれば、それは二十余年にわたる改革・開放で生まれた社会の歪みを当局が放置してきたことに起因するものです。
要するに自業自得なのですが、その割を食ったらたまったもんじゃありませんよね。現地在住の方は、くれぐれも御注意下さい。
――――
【※1】http://news.xinhuanet.com/world/2005-04/07/content_2800050.htm
【※2】「在中国2」さん、不都合があれば削除しますので御一報下さい。
――――
【関連】直接関連するかどうかはともかく、「社会に燃え上がる要因があれば、ふとしたきっかけで思いがけなく火の手があがる」ということを私が学んだ、経験談のようなものです。
昔話その1(2004/10/29)
昔話その2(2004/10/29)
→反日騒動2005(17)へ
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