---群馬県議会会議録より---
◆平成25年 9月 定例会-10月08日-05号
日本共産党県議団の酒井宏明です。通告してあります各議案及び各請願について、委員長報告に反対の立場から討論いたします。
第133号議案「八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更について」です。
本議案は、工期の4年延長、洪水調節量変更など、4回目の変更に同意しようとするものですが、様々な問題があり同意できません。工期の問題で言えば、昨年2月の国交大臣の答弁では、本体工事の着工から完成まで7年程度かかるとしていました。来年10月に着工したとしても、完成見込みは2021年です。それを2年も前倒しすることが可能でしょうか。工事を急ぐあまり、地すべり対策など安全対策が軽視されるのではないか、危惧されます。しかも、公表された工程表によると、試験湛水は2019年10月から2020年3月までのわずか半年間、地すべりなど不測の事態が生じた場合は工期がさらに延びる可能性があります。そうした事態になったとき、また無批判に同意するのでしょうか。
2011年の国交省の検証では、地すべり対策や代替地の安全対策などに149億円の増額案が示されましたが、今回の変更には含まれていません。これでは、検証は住民を欺く方便だったことになるのではないでしょうか。お隣の埼玉県の滝沢ダムは、試験湛水後に地すべりが次々と起きて、その対策工事のため145億円が追加投入され、工期も5年延長されました。八ッ場ダムは、貯水池周辺の地質が極めて脆弱であり、地すべり対策費がどれだけ増えるのか予想もできません。さらに、代替地整備費用や東京電力水力発電所の減電補償の問題があります。これらは事業費に一切含まれておりません。少なくとも、基本計画を変更するなら確認するべきです。
このように工期のさらなる延長も、事業費の増額も必至の情勢であるにもかかわらず、さらなる工期延長は行わないこと、総事業費の圧縮に最大限努力することといった意見を付すことにどれだけの意味があるというのでしょうか。吾妻渓谷の四季折々の美しさは、まさに世界遺産に匹敵するものです。ダムができれば上流から流れ込む富栄養素で水質悪化が避けられず、下久保ダム直下の三波石峡のように渓谷の美しさが失われてしまいます。吾妻渓谷の自然美を未来の世代に引き継ぐこと、貴重な埋蔵文化財をダムに沈めるのでなく、保存、活用することこそ私たちの世代に課せられた責任であります。
長きにわたってダム計画に翻弄され、苦しめられてきた地元住民の生活再建に万全を期すとともに、利水上も治水上も必要のないダム本体工事の中止を強く求めるものであります。よって、基本計画の変更に同意できません。
次に、第116号議案です。その施策の多くは賛成できるものでありますが、アベノミクスに追随して不要不急の大型道路などに22億円も投入する予算が含まれており、あえて反対します。
第120号は、多田山丘陵の団地造成について赤字分の穴埋めをする予算です。北関東自動車道の建設に必要な土砂を確保するため、産業廃棄物が埋まっていることを知りながら団地造成を強引に推し進めました。その結果、造成原価が異常に高くなり、そのままでは売れなくなってしまったために安値で売却し、その差額を穴埋めするものであり、容認できません。
その他の議案については、かねてからの理由により反対です。
次に、請願についてです。
厚生文化18号は、国保税の値上げや徴税強化など問題点が指摘されている国保の広域化を前提とするものであり、採択に反対です。
産経土木26、27号は、上信自動車道など7つの交通軸の建設促進が含まれており、賛成できません。
以上、申し上げて私の討論といたします。(拍手)
◆平成26年 第1回 定例会-03月06日-06号
日本共産党県議団の酒井宏明です。
会派を代表して、通告してあります各議案について反対討論を行います。
第61号議案「平成25年度群馬県一般会計補正予算」案は、主に国の基金積み増しと大型公共事業の積み増しです。基金の中には暮らしや雇用、教育など県民生活に有用なものもありますが、増額した国補正関連の223億円のうち公共事業が147億円も占め、特に上信自動車道などの道路、橋梁関係だけで約85億円に上るなど、大型公共事業中心の補正予算です。それは安倍政権の国土強靱化政策や、4月からの消費税増税への対応策による公共事業ばらまきに連動したものです。これまでも景気対策などと言って大型開発が繰り返されてきましたが、地域の活性化や県民所得の向上には結び付いてきませんでした。アベノミクスに追随し、借金を増やすだけの本補正予算には反対です。
次に、第75号議案「群馬県農業構造改革支援基金条例」及び関連予算についてです。これは農地中間管理事業の推進に関する法律の制定に伴い、国から交付される補助金を基金として積み立て、この基金の取り扱いを定めた条例を制定しようとするものです。この法律は、農業への参入の促進、農地利用の効率化・高度化などを目的に、離農者や小規模農家の農地を農地中間管理機構が借り受け、利用条件の改善などを行い、その農地の利用を希望する農業経営者に貸し出すとしたものです。
日本共産党は、この法律が家族経営農業を否定し、財界の音頭で農業を企業のビジネスチャンスにするためのものだとして反対してきました。第1の問題は、農地の貸し出しに当たって、機構が行う農用地利用配分計画の作成の際に発生します。この配分計画は、必要があれば市町村に案の提出を求めることができ、また、市町村は、必要があれば農業委員会の意見を聞くものと規定されています。これは、規制改革会議が昨年9月、農地貸し付けに当たって、農業委員会の法的な関与は要しないこととすべきであるとの露骨な注文を忠実に取り込んだものになっています。このことについて、周知のとおり、全国農業会議所の会長が、農業・農村の現場から著しく乖離したものと厳しく批判したところです。このように、農業委員会の農地の貸借に関わる許認可権を事実上排除し、農地制度に決定的な風穴をあけ、農地に関する権限を現場から奪うものであります。
第2の問題は、この法律が条件の悪い耕作放棄地を除外したことです。耕作放棄地の解消がクローズアップされる中で、それを逆手にとるように、耕作放棄地の中から条件のよい農地のみを協力金を出してまで機構に集め、農業法人や企業などに貸し出すものとなっています。まさに地域農業振興とは無縁の、優良農地を企業に差し出す役割を機構に担わせようとするものです。また、引き受けた農地も、一定期間貸し出し先が見つからない場合には所有者に戻されることになっており、逆に耕作放棄地を増やすことになりかねません。結局、機構創設の根底にあるのは、農地の多面的機能や農地法の理念、農業委員会の役割を否定し、耕作放棄地問題の解決策ともならないものであります。よって、本基金条例及び関連予算に反対です。
第96号議案は、八ッ場ダム関連の架橋工事の請負契約ですが、八ッ場ダムの本体工事に反対する立場から賛成できません。
以上で私の反対討論といたします。(拍手)
◆平成26年 第1回 定例会-03月19日-08号
日本共産党県議団の酒井宏明です。通告してあります各議案及び請願について、委員長報告に反対する討論を行います。
第6号議案、用地先行取得特別会計には、コンベンション施設建設を前提とした高崎競馬場跡地の民有地購入が含まれており、同計画の見直しを求める立場から反対をいたします。
第15号及び37号は、県職員や学校教職員の給与削減につながるものであり、賛成できません。
第17号ほか消費税率引き上げに伴う料金改定に関する各議案についてです。反対理由は我が党の伊藤議員が先ほど述べたとおりですが、そもそも消費税の大増税は、財政再建のためでも、社会保障のためでもなく、大企業減税と巨大開発、軍拡予算に流し込むことに真の狙いがあることは明瞭であります。論拠が総崩れになった消費税増税をきっぱり中止するよう強く求めます。
第27号、障害者福祉施設のサービス管理責任者について、全て非常勤を認めるという改悪であり、認められません。
第35号は、公立高校の授業料徴収を原則的に復活させ、一定の収入額未満の世帯に就学支援金を支給し、授業料と相殺するというものです。世界の趨勢は学費の無償化であり、本議案には反対です。
第36号は、県立、市町村立の教職員定数を合わせて66人も削減するものです。削減しなければ子どもたちや父母、教職員の願いである30人学級を前進させることができます。安易に削減すべきではありません。
第42号は、県行政改革大綱についてです。仕事の仕方の改革と称して、民間ノウハウの活用によるサービスの質的向上などをうたっていますが、本来、公共サービスは社会福祉、教育、労働者保護など、人権保障のために獲得されてきたものであり、経済力の格差を緩和して、住民の実質的平等を保障することにあります。ところが、今日の財界主導による自治体民営化論やアウトソーシングの推進は、行政の役割を縮小し、公務員を減らすことを通して、行政の社会的弱者へ奉仕する機能を一層低下させるものです。こうした自治体民営化論やアウトソーシングの流れに歯止めをかけることこそ喫緊の課題であり、本行政改革大綱には反対です。
第45号、歯科口腔保健推進計画について、条例では、必要により希望者に対して行うとしているフッ素化合物の塗布について、その危険性への認識が欠落しているだけでなく、数値目標まで示して推進しようとしていることは問題であり、反対です。
第48号、教育振興基本計画についてです。国連子どもの権利委員会は、日本政府に高度に競争的な教育制度が子どもたちにストレスを与え、成長、発達に障害をもたらしていることを厳しく指摘し、その改善を求めていますが、依然として競争教育に捉われたままです。本計画でも、全国学力テストの正答率アップを数値目標として掲げていますが、こうした競争教育が子どもたちを勉強嫌いにさせ、人間関係をつくる力をなえさせ、自己肯定感を傷つけています。上からの目標で学校と子どもたちをがんじがらめにするような計画を認めるわけにはいきません。
その他の議案については、かねてからの理由により反対です。
次に、請願についてです。
産経土木33号から35号について、呼び込み型の企業誘致では、地域経済の活性化には結び付かず、自動車優先、道路偏重の交通施策を根本的に見直すことこそ求められており、本請願の採択に反対です。
同39号、協同労働の協同組合法の制定を求める請願は、継続でなく採択を求めます。
同40号は、労働者保護ルールの改悪反対を求める請願です。今、安倍政権は、世界で一番企業が活躍しやすい国のスローガンのもと、正社員にも非正社員にも不安定雇用を広げ、賃下げと労働条件悪化をもたらす雇用大破壊の逆流を押し付けようとしています。不当解雇であっても企業が金さえ払えば労働者を首にできる解雇の金銭的解決の制度導入や、仕事内容や勤務地などが限定され首にしやすい限定正社員制度など、解雇自由の規制緩和が狙われています。さらに、一定年収以上の労働者の残業代をゼロにするホワイトカラーエグゼンプションを導入しようとしていますが、これらは労働者の生活と権利を破壊し、日本社会の総ブラック企業化を進めるものであり、断じて認めるわけにはいきません。よって、本請願の採択を強く主張します。
総務企画39号は、憲法改正を求める請願です。昨年の臨時国会で安倍政権は、国家安全保障会議日本版NSC法や、秘密保護法を強行しました。さらに、クーデター的なやり方で内閣法制局長官の首をすげかえ、集団的自衛権行使への解釈改憲を強行しようとしています。集団的自衛権は、自衛とは無関係な大国による無法な侵略戦争、軍事介入の口実に使われてきました。そのねらいは、従来の海外派兵立法の歯止めを取り外し、自衛隊が戦闘地域まで行って、米軍とともに戦闘行動ができるようにすることにあります。解釈改憲で集団的自衛権の行使容認に踏み出し、次に明文改憲によって9条そのものを葬り去る、こうした暴走はアジア諸国から懸念されているだけでなく、米国の中からも懸念の声が上がっております。世界に誇る憲法の全条項を守り、活かすことこそ行政の責務であり、本請願の不採択を求めるものであります。
同40号は、秘密保護法の廃止を求める請願です。秘密保護法は、国民の目と耳と口を塞ぎ、国民の知る権利や表現の自由を脅かし、日本国憲法の基本原理を根底から覆す稀代の悪法です。日本を戦争する国につくり変えるために国家が強権的に情報を統制し、国民の言論、表現を抑圧することを目的にしています。秘密保護法は、不要なだけでなく有害です。一日も早く廃止をしなければなりません。よって、本請願の採択を強く求めます。
同44号、日米共同演習の中止を求める請願です。2月下旬から3月上旬にかけて、新潟県関山演習場と群馬県相馬原演習場において、軍事演習が反対世論を無視して強行されました。特に相馬原では、2機の米軍の大型ヘリCH―53を使用したヘリボン訓練が実施されました。これは、沖縄の負担軽減どころか、全国に危険な訓練を拡大するものにほかなりません。今後もこうした日米合同演習が繰り返されることを考えれば、その中止を求めることは県民の切実な願いであり、採択を求めます。
その他の請願については、かねてからの理由により、委員長報告に反対です。
以上をもって私の反対討論といたします。(拍手)