Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「スリー・ビルボード」

2018年02月08日 | 映画


凄い映画です。
冒頭からラストまでの2時間、緊張させられっ放し。
話がどう展開するのか、まったく先が読めない。

ミズーリ州の田舎町の道沿いに、中年女性ミルドレッドが三枚の看板を立てた所から話は始まります。
「私の娘はレイプされて殺された」
「まだ犯人は捕まっていない」
「何故なの? ウィロビー署長」



悲嘆にくれる犠牲者の母親と、やる気のない警察との闘いの始まりかと思いきや、さにあらず。
このウィロビー署長というのはとんでもなくいい人で、町中の人から慕われている。
片やミルドレッドは下品で傲慢で、誰にでも当たり散らす嫌な女。
三枚の看板は、当事者だけではなく、町の人たちが抱える様々な問題をも浮き彫りにしていく。
マザコンで人種差別主義者の巡査ディクソンなども加わって…



犯人捜しのサスペンスものかと思いきや、そうではない。
人種差別主義者を糾弾する社会派作品かと思いきや、そうでもない。
さっきまでどうにもしようがなかった悪人が
何かのきっかけで、とても良い人になったりする。
世の中の善悪は完全に棒引きすることはできない、
白黒を単純に色分けすることはできないといったところか。



「怒りは怒りを来す」という言葉が中盤以降、何度も登場しましたが
人を変えることができたのは結局、怒りではなく、赦しと愛だった。
あの強烈に嫌な男だったディクソン巡査が、火だるまになりながら
レイプ事件のファイルを抱えて警察署から飛び出すところ。
彼が火傷で、ミイラのような全身包帯の姿になって病室に入った時、
ディクソンによって半殺しの目に遭った広告会社のレッドがしたこと。
あのシーンには、泣けました。

脚本も手がけたマーティン・マクドナー監督は、
20年ほども前にアメリカで実際にこのような看板を目撃したことから
この話を練り上げたというのに驚きました。
ちなみに「レイプして殺された」というのは「Raped While Dying」というらしい。
憶えても役に立ちそうにない英語ですが…

公式HP http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/

#welovegoo
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10 コメント

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凄い映画 (ノルウェーまだ~む)
2018-02-09 00:04:04
zooeyさん☆
駅前でバッタリ!も驚きましたが、映画もなかなかに驚きましたでしょう?
zooeyさんはあまりお気に召さなかったのかな?
人物の印象が様々なことから違っていくというのも面白かったです。
病室のシーン泣けましたね~~
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まだ~むさま (zooey)
2018-02-09 11:21:55
本当にバッタリでしたね!
あんな所でお逢いするとは…(@@)

映画、凄い作品だとは思ったのですが
私は滅茶苦茶疲れたのです。
冒頭からラストなで、手を握り締めて観ていたような感じで…
もっと力抜いて観りゃいいのにねえ?w
病室のシーン、最初はどうなることかと思いました~
返信する
Unknown (セレンディピティ)
2018-02-09 13:18:02
こんにちは。
この作品、私には絶賛するほどは心に響かなかったのですが
まあまあ楽しめました。

>さっきまでどうにもしようがなかった悪人が
何かのきっかけで、とても良い人になったりする。

看板を裏側から撮っている場面が多かったように思いましたが
人間の心の二面性を表現しているとどこかで読んで
なるほど...と思いました。
会話の端々とか、妙にメタファーを感じる作品でもありましたね。
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セレンディピティさま (zooey)
2018-02-09 23:13:14
アメリカ南部の田舎の、プアホワイトがこれでもかと出て来て
暗い気分で観ていました。
ディクソンと母親なんてどうしようもない親子で。
でもディクソンは次第に良い人間になり、
あの夕陽が射しこむ部屋で強欲な母親が座ってその膝に
猫がひっそり座っていたのが救いに感じました。
あれは何のメタファだったのだろう…?
返信する
Unknown (なな)
2018-02-18 20:55:14
>さっきまでどうにもしようがなかった悪人が
>何かのきっかけで、とても良い人になったりする。
>世の中の善悪は完全に棒引きすることはできない、
>白黒を単純に色分けすることはできないといったところか。
内容を少しソフトにして道徳の教材に使えそうなお話だとさえ思いました。
サスペンスではなく、教訓的なものも含んだヒューマンドラマで
人間の本質や可能性を描いたものかもしれません。
とても心に残る作品でした。
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ななさま (zooey)
2018-02-20 09:57:17
>内容を少しソフトにして道徳の教材に使えそうなお話だとさえ思いました

そうですね。
ただ、あのfour letter wordの乱打は…
少し前、トランプ大統領が「便所のような国」と行った時に使ったshitholeのレベルの言葉が満載。
あれを直さなきゃ道徳の教材にはねw
でも心に残る作品でしたね。
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Raped While Dying (映画マン)
2021-02-22 10:16:59
この映画も中々面白そうですね!
ただのサスペンスではなく、ただの社会派ドラマでもないというのがとても興味深いです。
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映画マンさま (zooey)
2021-02-22 22:48:53
Raped While Dyingという英語、面白いでしょう?
役に立ちそうもない英語ですが。
社会派ドラマは結構観ています。
いくらでもご紹介したいところですが、押しつけになってもいけませんので…
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こんにちは (映画マン)
2021-03-28 07:51:44
さっそく、この前見てみました!
メッセージ性の強い映画ですね。
怒りは何も生まないな、と言うことを考えさせられました。

>ディクソンによって半殺しの目に遭った広告会社のレッドがしたこと。
あのシーンには、泣けました。

同じくです!
相手を許すことができる、器の大きい人間になりたいなと思いましたね。
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映画マンさま (zooey)
2021-03-28 22:56:39
これ、もう3年前になるのですね。
まだ強烈に覚えています。
ラストシーンが少々曖昧だったのが、心残りだったような…
最近公開された「ノマドランド」でも、この主演女優が頑張っているようで楽しみです。
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