Zooey's Diary

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「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」

2024年05月17日 | 映画

グアンタナモ収容所に収監された無実の息子を救おうとする、ドイツの母の実話を映画化。
2022年ベルリン国際映画祭で銀熊賞2冠(主演俳優賞、脚本賞)。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの1カ月後、ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民クルナス一家の長男ムラートは、旅先のパキスタンでタリバンの嫌疑をかけられ、グアンタナモにある米軍基地の収容所に収監されてしまう。
母ラビエは息子を取り戻そうと奔走するが警察も行政も動いてくれず、わらにもすがる思いで、電話帳で見つけた人権派弁護士ベルンハルト・ドッケに助けを求める。
やがてラビエはドッケから、アメリカ合衆国最高裁判所でブッシュ大統領を相手に訴訟を起こすことを勧められる。



グアンタナモ収容所でどんなに酷いことが行われていたかは、そこに14年間収容されていたモハメドゥ・スラヒの手記を原作に作られた2021年のイギリス映画「モーリタニアン黒塗りの記録」を見て、驚愕しました。
水責め、性的暴行、手枷足枷、大音量や強力ライトで何日も寝かせない、同じ姿勢を20時間強制、全裸にする、犬のような恰好で箱に閉じ込める…
気が狂わないのがおかしいような拷問です。


(グアンタナモでの実際の写真)

その後、アブグレイブ収容所の虐待について日本人ジャーナリストが書いた「微笑と虐待」という本も読みました。
この本の中にあった電気拷問の様子の写真は、この映画の中にも一瞬出て来ました。


(アブグレイブ収容所での写真)

幸い、社会情勢に疎い母ラビエは、グアンタナモが何処にあり、どんな収容所であるかもよく分かっていないようでしたが、それでも息子を救うべく必死に奔走する。
天衣無縫といえば聞こえがよいが、厚顔無恥でずうずうしいところもあり、こんな人が近くにいたら大変だろうなと思わされるトルコ系移民の母を、ドイツの人気コメディアンというメルテム・カプタンが見事に演じていました。
エンドロールに御本人たちの写真が出て来ましたが、弁護士ドッケがあまりにもそっくりでビックリ!

ラビエたちの努力が実り、グアンタナモに5年間拘留されたムラ―トがようやく釈放されて帰って来た時、長期間足枷を付けられていたためヨチヨチ歩きをしている。
それを見たラビエが「ゲイシャみたいに歩いて…」と言うのは、リアルでした。
エンドロールに、今も40人がグアンタナモ収容所に閉じ込められているという文言が出て来て、言葉を失くしました。

「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」公式HP 



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2 コメント

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こちらで見られるのかは分かりませんが… (LimeGreen)
2024-05-19 05:19:36
でも是非見てみたいと思いました。
拷問のひどさは後で一般市民にも伝わりました。でもほんとに後になってから。
しかもブッシュ否定してたし…。
LimeGreenさま (zooey)
2024-05-19 23:24:37
この映画は辛辣な内容を、コメディエンヌを主役に配することで、とてもソフトに仕上げています。
東京でも公開されたばかりですが
ミニシアター2~3館でしかやっていません。
グアンタナモに興味がおありでしたら、「モーリタニアン」をお勧めします。
観るのが辛い内容でしたが…。

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