アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

The Avengers

2012-05-27 20:55:31 | 映画
『The Avengers』 Joss Whedon監督   ☆☆☆  何だかやたらヒットしているらしい『The Avengers』を、週末にエッジウォーターの映画館で観てきた。ヒット作とはいえ封切りから時間もたってるし田舎の映画館だからガラ空きで、いつも通りど真ん中の特等席で観ることができた。  アメコミ原作のヒーローものだが、新趣向として、複数のスーパーヒーローが一堂に会する設定である。キ . . . 本文を読む
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輪違屋糸里

2012-05-25 21:41:09 | 作品
『輪違屋糸里(上・下)』 浅田次郎   ☆☆☆  『壬生義士伝』が良かったので、それに続く浅田次郎の新撰組ものという本書を読んでみた。私は新撰組には詳しくないので「あとがき」を読むまで知らなかったが、芹沢鴨が暗殺された現場にお梅、糸里、吉栄という三人の女がいて、糸里、吉栄は助かったというのは史実らしい。で、三人の女はなぜそこにいたのか、そして口封じをしたかったに違いない暗殺者たちはなぜ女二人をみ . . . 本文を読む
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ザ・レイプ

2012-05-23 22:02:35 | 映画
『ザ・レイプ』 東陽一監督   ☆☆☆★  すごいタイトルだが、ポルノ映画ではない。多分、大昔にレンタルビデオか何かで観たことがある。細かい部分はすっかり忘れていたが、田中裕子と風間杜夫が醸し出す、湿り気と陰りのある、繊細な、どこか痛々しい空気感だけは印象に残っていて、そのせいでまた観たいと思ったのである。  やはり田中裕子の存在が大きい。彼女がこの映画そのものと言ってもいいぐらいだ。脱ぎまく . . . 本文を読む
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クージョ

2012-05-21 22:55:18 | 
『クージョ』 スティーヴン・キング   ☆☆☆☆☆  西海岸に出張する時に機内読書用に持っていった本の一つ。もう何度も読んでいるが、何度読んでも素晴らしく面白い。キングの最良の仕事の一つだ。文庫本一冊というのは、キングにしては珍しいコンパクトな長さである。  本書の特徴を分かりやすく言うと、ものすごくシンプルなメインプロット、プラス、それぞれの登場人物たちが抱える過剰なまでに豊穣なドラマ、とい . . . 本文を読む
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ラヂオの時間

2012-05-19 21:10:02 | 映画
『ラヂオの時間』 東陽一監督   ☆☆☆  ご存知、三谷幸喜の映画監督デビュー作。日本版DVDを購入して再見した。一般には結構評価が高いようだが、個人的にはまあまあレベルである。傑作とは思わないが、ディテールが面白いのでたまに観たくなる。  これは三谷幸喜が最初に脚本を担当したテレビドラマ『振り返れば奴がいる』の時の実体験をもとにしているらしいが、現場の都合でどんどん脚本を変えられてしまうとい . . . 本文を読む
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クライマーズ・ハイ(小説)

2012-05-16 21:32:41 | 
『クライマーズ・ハイ』 横山秀夫   ☆☆☆☆☆  西海岸への出張に機中の読書用として持っていった。再読だが、やはり面白かった。映画の30倍面白い。  話は知っている人も多いだろうが、日航の御巣鷹山事故を題材に、群馬の新聞社で繰り広げられるドラマを描いている。つまり、取材し、報道する側のドラマである。作者は実際に事故当時新聞社で働いていたらしく、その時から「いつかこれで小説を書くぞ」とずっと温 . . . 本文を読む
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フリアとシナリオライター

2012-05-14 10:49:38 | 
『フリアとシナリオライター』 マリオ・バルガス=リョサ   ☆☆☆  再読。なかなか楽しい小説だが、リョサの作品としてはAクラスではない。特に最近の『チボの狂宴』や『悪い娘の悪戯』と比べると、正直言ってかなり落ちる。  小説の柱は二つあり、一つは主人公「ぼく」とフリア叔母さんの恋愛。もう一つは「ぼく」と同じラジオ局で働く奇矯なシナリオライター、ペドロ・カマーチョが創り出す数々のラジオ・ドラマで . . . 本文を読む
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101/2章で書かれた世界の歴史

2012-05-11 16:44:40 | 
『10 1/2章で書かれた世界の歴史』 ジュリアン・バーンズ   ☆☆☆★  以前斜め読みですませていたが、今回腰をすえて再読。部分的には面白いものの、やはり全体の印象は薄い。本書はかなり評価の高い小説のようだが、個人的にはまあまあレベルである。クレバーな小説である反面、頭でっかちな感じがする。同じ作家の小説なら、私は『フロベールの鸚鵡』の方が好きだ。  あとがきで訳者が書いている通り、バーン . . . 本文を読む
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アナとオットー

2012-05-09 22:23:13 | 映画
『アナとオットー』 フリオ・メデム監督   ☆☆☆☆★  日本版DVDで再見。これはなかなか見ごたえのある映画である。スペインの映画だけれども、この、現実からちょっと浮き上がったようなところや劇的な物語性は、ラテンアメリカ文学にも通じるものがある。感覚的で情感豊かな映像と音楽、過去と現在と未来がめまぐるしく交錯する編集、現実と幻想の混交、そしてアナとオットーの間で振り子のように揺れる独白と視点。 . . . 本文を読む
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わたしたちが孤児だったころ

2012-05-07 21:51:32 | 
『わたしたちが孤児だったころ』 カズオ・イシグロ   ☆☆☆☆  唯一未読だったイシグロの長編を読了。これでしばらく、イシグロの小説を「初めて読む」愉しみを味わえなくなくなった。  またしても一筋縄ではいかない小説である。捕まえようとすると、ウナギのように身をよじって指の間をすり抜けていく感じ。ウナギ小説だ。曲者揃いのイシグロ作品の中でもウナギ度はひときわ高い。あの『充たされざる者』でさえ「わ . . . 本文を読む
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ふたり

2012-05-05 23:21:26 | 映画
『ふたり』 大林宣彦監督   ☆★  『転校生』に続き『ふたり』を観賞。まったくの初見。なかなか評判がよさそうだったのでこれを選んだのだが、観初めてしばらくすると額からガマの油みたいな汗がたらーり、たらりと垂れてきた。うーむ、これは本当に劇場公開された映画なのか。  まず気になったのは、石田ひかりの喋り方。ぼそぼそと囁くような、ものすごく不自然な喋り方で、独り言を言う時と会話する時の声のトーン . . . 本文を読む
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誕生日の子どもたち

2012-05-02 23:22:55 | 
『誕生日の子どもたち』 トルーマン・カポーティ   ☆☆☆☆  村上春樹訳のカポーティ短編集が出たことを知り、さっそくAmazonで取り寄せた。『ティファニーで朝食を』が非常に良かったからである。子供のイノセンスというものをテーマに編まれた短編集で、カポーティ自身の子供時代を題材にしたと思われる、登場人物が共通する短編が三つぐらいある。中にはクリスマスの思い出なんかをゆるく書き連ねたような短編も . . . 本文を読む
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残菊物語

2012-04-30 21:41:40 | 映画
『残菊物語』 溝口健二監督   ☆☆☆☆  溝口監督の初期作品を鑑賞。1939年の映画である。古い。が、それにしては2時間半と長い。物語は典型的メロドラマである。いわゆる「芸道三部作」の一つで、歌舞伎役者である夫に献身して出世させ、自分は病死してしまう妻の物語。ああ、なんと悲しい。最後は人々から喝采を浴びる夫の姿と、貧乏長屋のせいべい布団の上で息を引き取る妻の姿が対置されて終わる。  メロドラ . . . 本文を読む
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私人―ノーベル賞受賞講演

2012-04-28 12:07:39 | 
『私人―ノーベル賞受賞講演』 ヨシフ・ブロツキイ   ☆☆☆☆☆  ヨシフ・ブロツキイのノーベル賞受賞講演の記録。ブロツキイの『ヴェネツィア』は私のオールタイム・ベストの一つなので、興味をひかれ入手してみた。ものすごく薄っぺらい本であっという間に読める。が、この内容の濃さはハンパじゃない。  駆使される流暢かつ精密ななレトリックはさすが『ヴェネツィア』の作家で、淡々と、しかし丁寧につむがれる言 . . . 本文を読む
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転校生

2012-04-26 23:56:47 | 映画
『転校生』  大林宣彦監督   ☆☆☆★  大林監督は『異人たちとの夏』が好きで(泣いてしまうのであまり何度も観ていないが)、それ以外にも「尾道三部作」などで、ノスタルジーと甘美なリリシズムが溶け合った独特の世界観を持つ映像作家というイメージがある。が、その初期の代表作である『転校生』をちゃんと観たことがなかったので、「日本映画史上に残る大傑作」とのAmazonの紹介文に惹かれたこともあり、DV . . . 本文を読む
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