『黄金のバックル』 ☆☆★
今年もついに大晦日となりました。私も昨日まで仕事に忙殺されていましたが、なんとか一区切りつき、今日は心静かに過ごしたいと思います。皆様も、良いお年をお迎え下さい。
~ ~ ~ ~
刑事コロンボ39番目のエピソード、『黄金のバックル』。今回は同族経営の美術館における殺人で、犯人は女性館長、被害者はその弟である理事と警備員。美術館は財政難から維持が難しくなり、理 . . . 本文を読む
『アリバイのダイヤル』 ☆☆
コロンボ12作目のエピソード。犯人役は『指輪の爪あと』に続いて二度目の登板、常連俳優ロバート・カルプ。『指輪の爪あと』でも短気な犯人像をうまく演じていたが、今回は輪をかけて短気な男だ。題材はアメリカン・フットボール。冒頭スタジアムが映ってチアガールが踊ったり、なかなか華やかである。
が、個人的にはかなり弱いエピソードだと思う。観終わった後の印象が非常に薄い . . . 本文を読む
『悪の温室』 ☆☆☆☆
シリーズ第11作。まだまだ初期の香り漂う佳作。結構好きなエピソードである。本作のウリはいくつかあるが、まずは狂言誘拐というややこしい犯罪が題材であること。『死者の身代金』も狂言誘拐だったので初ではないが、犯人と被害者が途中までチームというのが新しい。また本作が、殺人が起きる前にコロンボが登場する初のエピソードらしい。
二つ目のウリは若いウィルソン刑事の登場。これ . . . 本文を読む
『白鳥の歌』 ☆☆☆★
刑事コロンボ第24作目のエピソード。今回はカントリー歌手が自分の奥さんとコーラス隊の娘を殺害する。犯人役はカントリー界の大御所、ジョニー・キャッシュ。当然ながら、今回のエピソードは彼の歌声で全篇彩られている。ジョニー・キャッシュ・ファンは必見である。
『刑事コロンボ完全捜査記録』によれば、このエピソードは『別れのワイン』の発展型として構想されたという。つまり、コ . . . 本文を読む
『刑事コロンボ カリブ海殺人事件』 W・リンク/R・レビンソン ☆☆☆★
前にも書いた通り私はコロンボのノヴェライズ本を多数所有しているが、活字のコロンボには映像化されていない幻のエピソードというものがいくつかあり、私はその中の『死のクリスマス』と『カリブ海殺人事件』を所有している。『死のクリスマス』はまあボツになったのも無理はないと思われるイマイチなエピソードだが、『カリブ海殺人事件』は . . . 本文を読む
『祝砲の挽歌』 ☆☆☆★
刑事コロンボ28作目。犯人は士官学校の校長。儲からない士官学校を廃校にしようとする創立者の孫を、記念式典中に大砲を自爆させて殺害する。
コロンボ・シリーズの名犯人役として何度か登場することになるパトリック・マクグーハン初登場のエピソードである。私見では、推理の面白さという点では本作は大したことはない。犯人とコロンボの丁々発止のやりとりみたいなものはあまりなく、コロ . . . 本文を読む
『ロンドンの傘』 ☆☆☆
世界中のコロンボ・ファンにとって、ピーター・フォーク氏の訃報はまぎれもなく一つの時代の終焉を告げるものだった。少なくとも私にとってはそうだ。はっきり言って私は、コロンボ好きでは人後に落ちない自信がある。三谷幸喜は有名なコロンボ・ファンで、プロデューサーとコロンボの薀蓄勝負をして勝ち『古畑任三郎』をやらせてもらえることになったそうだが、その勝負にぜひ私も参加したかっ . . . 本文を読む
(前回の続き)
この純然たる知恵比べからの逸脱を不満に思うミステリ・ファンは『殺人処方箋』を低く評価するかも知れないが、いわゆる謎解きに留まらない心理的駆け引きをミステリに導入した点でこれは画期的だったと思う。従来のミステリ・ドラマ、事件が起きて探偵が最後に謎解きをするというパターンのドラマと比較した時、コロンボ作品の斬新さと柔軟性、そして知的スリルの卓越性は明白だ。それは倒叙ミステリという形 . . . 本文を読む
(前回の続き)
たとえばコロンボがフレミングのところへ「担当を外されましてね」と言いにくる場面。フレミングが「約束があるのでお先に」と言うと「ゴードンさんとですか?」(フレミングはコロンボを外すようにゴードンに頼んだ)「違うよ」と言うと「ああ、じゃ女性ですか?」(共犯のジョーンを仄めかす)。いちいち絡みついてくる。
これがもっとも強烈な形で現れるのが、後半のジョーン・ハドソンとコロンボの . . . 本文を読む
『殺人処方箋』 ☆☆☆☆☆
刑事コロンボ一作目。これがオリジナルであり、偉大なる原型である。ここからすべてが始まった。ただし本作は単発のテレビドラマとして制作されたもので、いわゆる刑事コロンボ・シリーズの第一エピソードではない。そういう意味での第一エピソードは『構想の死角』で、つまりこの『殺人処方箋』と次の『死者の身代金』はシリーズ化される前の作品なのである。もともと舞台用の脚本を手直ししてテ . . . 本文を読む