『赤い指』 東野圭吾 ☆☆☆☆
『殺人の門』に続き東野圭吾。ハードカバーの新作である。
個人的には『殺人の門』よりこっちの方が面白かった。『殺人の門』が『白夜行』的な大河ロマンだとすると、こちらは事件発生から解決までを描くよりミステリ的なミステリである。倒叙形式になっていて、『どちらかが彼女を殺した』の加賀刑事が登場する。ということで私はつい『どちらかが彼女を殺した』『私が彼を殺した』 . . . 本文を読む
『BGM』 Yellow Magic Orchestra ☆☆☆☆☆
『Solid State Surviver』『増殖』と売れに売れたYMO、この『BGM』からガクンと売れなくなる。当たり前である。今このアルバムを聴いても戸惑う人の方が多いだろう、それぐらい先鋭的な音楽が詰まっている。これがバカ売れするわけがない。「わけが分からない」「難解だ」「シングルカットできる曲がない」などと言われ . . . 本文を読む
『十字路のあるところ』 吉田篤弘 ☆☆☆★
まとめ買いした吉田篤弘の三冊目。これは小説だけじゃなくて写真がついている。写真は坂本真典という人で、クラフト・エヴィング商會の写真家だ。写真は全部モノクロで、日本の街や建物の外観や建物の内部を撮ったもの。どこかノスタルジックな匂いのする風景ばかりで、なかなか良い。日本の街の風景もなかなかいいもんだな、と思わせてくれる。
吉田篤弘の物語も写真に . . . 本文を読む
『太陽がいっぱい』 ルネ・クレマン監督 ☆☆☆☆☆
ご存知、アラン・ドロンの代表作にして不朽の名作『太陽がいっぱい』である。私が持っているDVDは米国版で、『Purple Noon』というタイトルになっている。どういう意味か、今ひとつよく分からない。
しかしまあ、ここまで名画という言葉が似合う映画も珍しいんじゃないか。私が思うに「名画」というの芸術性が高くなくてはならないが、あまりに難 . . . 本文を読む
『潤一郎ラビリンス〈7〉怪奇幻想倶楽部』 谷崎潤一郎 ☆☆☆★
谷崎の短篇集。怪奇幻想ということで、『日本怪奇小説傑作集1』収録の「人面瘡」のようなものを期待して買ったのだが、さすがに「人面瘡」クラスの傑作は一篇あるかないかぐらいだった。
収録されているのは「病蓐の幻想」、「白昼鬼語」、「人間が猿になった話」、「魚の李太白」、「美食倶楽部」の五篇。「病蓐の幻想」は歯痛に苦しむ男が見る恐 . . . 本文を読む
『Solid State Surviver』 Yellow Magic Orchestra ☆☆☆☆
イエロー・マジック・オーケストラのパブリック・イメージを決定づけたセカンド・アルバム。『テクノポリス』や『ライディーン』など超有名曲が収録されている。特にファンでもないがYMOは知ってるよという人がYMOに持っているイメージは、このアルバムによって形成されたものがほとんどだと思われる。バカ . . . 本文を読む
『競売ナンバー49の叫び』 トマス・ピンチョン ☆☆☆☆☆
大長編が多いピンチョンの、唯一手ごろな長さの長編。昔読んだことがあるが久しぶりに読みたくなって購入した。
ピンチョンの小説はいつも混沌としているが、本書も例外ではない。カリフォルニアに住むエディパという女性が不動産王ピアス・インヴェラリティの遺言執行人に指名され、仕方なくサン・ナルシソ市に行って弁護士に会ったり書類を見たりしてい . . . 本文を読む
『殺人の門』 東野圭吾 ☆☆☆★
文庫で出ているのを紀伊国屋書店で発見して買ってきた。あっという間に読了。
気が滅入る話だ。主人公の田島は子供の頃こそ歯医者の息子で裕福だが、親の離婚、破産、学校のいじめ、などでどんどん不幸になっていく。大人になってからもインチキ商売にかかわって会社を首になったり、とんでもない女と結婚したりとますますドロドロになっていく。しかもその不幸が全部倉持という男 . . . 本文を読む
『The Invitation』 Thirteen Senses ☆☆☆☆
UKロック。あまり期待しないで買ったらこれがかなり良かった。音や曲調は初期のコールドプレイに似ている。シンプルなギターやピアノ主体のアレンジで、叙情的な歌とヴォーカル。哀愁漂うサウンドである。曲のイントロによっては「これってコールドプレイの曲?」と思ってしまうほど似ている。ただしだみ声ヴォーカルのコールドプレイに対 . . . 本文を読む
『空ばかり見ていた』 吉田篤弘 ☆☆☆☆
『78(ナナハチ)』に続いて吉田篤弘本。
当たり前かも知れないが、読後感や世界観は『78(ナナハチ)』にとても良く似ている。これが同じ作家だろうか、というような驚きはない。今回は旅する床屋の物語。やっぱりコマギレの短篇が連なって長編になるという構成だ。それぞれの短篇の舞台や登場人物は違うが、どれにも旅する床屋が出てくる。
旅する床屋はホクト . . . 本文を読む