江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

上野東照宮

2014-06-07 | まち歩き

東照大権現というのは、徳川家康公のことです。人である徳川家康公を神様としてお祀りする際の、神様としてのお名前と言えば分かりやすいかもしれません。東照宮というのは、東照大権現、すなわち徳川家康公をお祀りする神社のことです。世界遺産である日光東照宮をはじめ、全国に数多くの東照宮が在ります。


上野東照宮は上野のお山に在る東照宮です。現在は上野動物園のお隣というイメージがありますが、上野動物園の敷地は、元々は徳川家の菩提寺である寛永寺の敷地であったところですから、上野東照宮も、元はといえば、寛永寺の境内に建てられたものです。
建立は寛永四年(1627年)。徳川家康公の遺言により、藤堂高虎と天海僧正によって、家康公をお祀りする神社として建立されました。現在の社殿は、三代将軍・徳川家光が造営替えをした際の社殿が残るものです。関東大震災や第二次世界大戦で古い建物が少ない東京においては、江戸の面影を残す貴重な建物と言えます。2009年から2013年にかけて修復工事が行われていましたが、それも終わり、現在は修復後の大変美しい社殿を観ることが出来ます。


ちなみに、藤堂高虎を含む藤堂家の墓所は上野動物園の園内に存在します。墓所は非公開で、上野動物園の園内マップにも表示されていないので、あまり知られる存在ではありませんが、動物慰霊碑の後ろの塀の奥に、立派な石塔がいくつも並んでいるのを目にすることが出来ます。上野動物園内の隠れた歴史遺産です。


上野東照宮は、時代小説の中では剣客商売(七)「越後屋騒ぎ」(池波正太郎著、新潮社)に登場しています(作品中は単に「東照宮」)。主人公・秋山小兵衛は、不忍池の湖畔から上野の山を上り、東照宮を参拝し、大仏殿の後ろへ出て、中堂(寛永寺)を拝し、車坂へ向かいます。そして、その途中で男の子が何者かに誘拐されるのを目撃します。小兵衛が歩いた道は古地図[1]で確認出来ますが、古地図には「東照宮」の文字はありません。実は「御宮」と描かれているのが東照宮のことです。


[1] 東都下谷絵図、嘉永四年(1851年)


上野東照宮 東京都台東区上野公園9-88

JR上野駅から約600m 徒歩約8分

京成電鉄京成上野駅から約650m 徒歩約9分


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