江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

柳嶋妙見堂

2012-10-13 | まち歩き

横十間川と北十間川が合流する角地に建つ法性寺(ほっしょうじ)。明応元年(1492年)に開山された500年を超える歴史を有するお寺です。柳嶋妙見堂は、この法性寺境内に在る、妙見さまをお祀りするお堂です。


季節の移ろいに関わらず、常に北の空に在って人々を導く北極星を具像化したお姿が妙見さまです。七曜(仏教で北斗七星のこと)を表した七条の光をまとったお姿から、かつての少年なら80年代の少年ジャンプの人気漫画「北斗の拳」(原作:武論尊、作画:原哲夫、集英社)を想像してしまうかもしれませんが、もちろん北斗の拳とは関係ありません。空は高いビルに囲まれ、夜空は都会の灯りに遮られ、GPSがあれば簡単に方角が分ってしまう現代においては、あえて北極星を眺める人は稀でしょうが、外灯など無かった江戸の空においては、北の空にさんさんと光り輝く北極星はやはり特別の存在であり、故に妙見様も慕われる存在だったのだと思います。


墨田区が生んだ世界的画家、葛飾北斎も生涯に亘り、妙見さまを厚く信仰しました。「北斎」は当初名乗っていた「北斎辰政(ほくさいときまさ)」の略称で、妙見さまのお名前、「開運北辰妙見大菩薩」(北辰(ほくしん)は北極星のこと)に因むものだそうです。


池波正太郎著「唖の十蔵」(鬼平犯科帳(一)に収録、文藝春秋)の中では、火付盗賊改方の同心、小野十蔵にかくまわれている、おふじが、寂しさのあまり、気晴らしに柳島の妙見堂へ参詣に出たという場面で登場しています。


柳嶋妙見堂が登場するその他の作品

  • 池波正太郎著「雲霧仁左衛門(前編)」(新潮社)

柳嶋妙見堂 東京都墨田区業平5-7-7

東京メトロ半蔵門線・都営浅草線・京成線 押上駅から約600m 徒歩約8分


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