超級龍熱

香港功夫映画と共に

李小龍的最佳電影〜精武門⑦ 日本悪客来港!橋本力&勝村淳、その本物の凄味

2024-02-25 10:47:43 | 闘神伝説~李小龍

香港クンフー映画における重要な要素が主人公と憎々しげに敵対し、最後には壮絶な闘いを繰り広げる悪役の存在です。
特に香港クンフー映画の悪役の場合は、その殆どが主人公と同等かそれ以上の優れた格闘スキルを併せ持つ事が要求されます。
ただ李小龍主演『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)が製作された当時の香港&台湾映画の日本人の悪役描写、それは酷いものでした。
殆どの作品に登場する日本人(実際は中国人が演じる)が軍人か侍で、珍妙な丁髷を付け、羽織袴を逆に穿き、何かあると「バッキャロ!」とヘンテコな日本語を叫ぶという、それこそ我々日本人が見たらまさに国辱的な日本人描写が平然とまかり通っていました。
当時の香港映画にそのような侮辱的な日本人悪役描写が定着していた背景には、日本と香港を初めとするアジア各国の過去の歴史や、日本人=悪役の設定が当時のアジアの観客に強い刺激を与え、それが作品自体に強烈なインパクトをもたらし作品のヒットに繋がる、との目論見が各映画会社にあったからでした。
しかしそのような我々日本人から見て残念かつ恥辱的な日本人悪役像が打破される時が来ます。
そう、日本から香港の邵氏兄弟公司に後の“和製ドラゴン”倉田保昭が招聘された時から香港映画界における日本人悪役像が著しく改善される事となります。

ただその頃、ライバル会社嘉禾影業でも邵氏公司と同じ動きが起きていました。嘉禾は『〜怒りの鉄拳』における重要な登場人物である日本人にして怨敵である虹口道場館主鈴木寛、そして鈴木の警護人を演じる2人の日本人俳優派遣を日本の勝プロダクションに依頼します。
こうして日本から香港の嘉禾影業に派遣されて来たのが元プロレスラーにして柔道2段、そして映画『座頭市』シリーズで座頭市のスタンドダブルを演じた勝村淳。そして元プロ野球選手から俳優に転身し、大映特撮映画『大魔神』シリーズで大魔神のスーツアクターを務めた橋本力でした。
香港に到着した橋本と勝村は、撮影前に嘉禾の衣装係から自分たちが劇中で穿く袴を逆に穿くよう執拗に迫られ激しく戸惑います。その理由は以前から香港人には日本人=花魁の誤ったイメージが強く残っていたからでした。
衣装係の執拗な逆袴の求めに遂に怒りを爆発させた橋本は「馬鹿野郎!俺たち日本男児がこんな袴の穿き方するか!袴は自分たちで正しく穿く。なあ?勝村!」「そうよ!それより主役の李小龍ってどんな男だい?」

ここに香港映画の撮影スタジオに陳腐な「バッキャロ!」ではなく、初めて本物の日本語の「馬鹿野郎!」が鳴り響き、屈辱的な花魁袴ではなく、日本男児らしい正しく堂々とした袴姿の日本人が登場する事となります。こうしていよいよ本作『ドラゴン怒りの鉄拳』のクライマックスで中国武術の名手陳眞vs柔道有段者の警護人、そして日本刀を手にした示現流の達人鈴木寛、文字通り中国人対日本人の息詰まる対決の時がやって来ます!

Two great Japanese villains Riki Hashimoto and Jun Katsumura from Fist of Fury.


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龍熱チャンネル更新!“美しき狂気”ジュリア🎂バースデースペシャル🎉

2024-02-21 00:15:50 | 女子プロレス黄金伝説

龍熱チャンネル更新です♫。今回はスペシャル版として本日2月21日にお誕生日を迎えたスターダムのSTRONG女子王者にして“美しき狂気”ジュリアを龍熱が熱く語る「“美しき狂気”ジュリア🎂バースデースペシャル🎉」をお届けします。

今回の龍熱のジュリアへのバースデーメッセージでは、今後の進路が注目されているジュリアのこれから向かう道についても龍熱なりの思いをお話してみました。是非ご覧下さい😊。

リンク先はこちらです→https://youtu.be/zVgt44MbT4M


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龍熱チャンネル更新!君は“最後の本格派”ドニー・イェンを見たか!?

2024-02-19 13:02:03 | THIS IS 甄子丹

龍熱チャンネル更新です。今回は“最後の本格派”ドニー・イェンこと甄子丹登場!龍熱がドニー兄貴との感激の初対面、そしてドニー兄貴の武打星人生のターニングポイントとなった“猛龍スタイル”踏襲までを熱く語ります!

リンク先はこちらです→https://youtu.be/rRYe8LyuG5g

高評価&チャンネル登録もよろしくお願いします♫。


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龍熱チャンネル更新!燃えた!燃えた!燃えた〜!風間健登場!

2024-02-13 12:52:51 | 作品レビュー

龍熱チャンネル更新です。今回から香港映画界で活躍した日本人武打星を語るセクション「🇯🇵レジェンドジャパン🇯🇵」がスタートです!

その記念すべき「🇯🇵レジェンドジャパン🇯🇵」栄光の第1弾を飾るは・・何と風間健!龍熱が語る日本の李小龍の歴史に様々な形で深く刻み込まれた風間健の足跡とは?そしてドラゴン少年だった龍熱にとって風間健とは何だったのか?いま李小龍の歴史上におけるアンタッチャブルドラゴンの真実に「龍熱チャンネル」が迫る!いま聞こえるあの声が!お前の道を強く生きよと!風間健登場!!

 

高評価&チャンネル登録よろしくお願いします!→https://youtu.be/6QBdtljkWhw


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龍熱の昭和プロレス放談82 “最強”高田延彦絶頂!“最凶外敵”北尾光司に激勝!

2024-02-11 18:14:56 | 龍熱の昭和プロレス放談

先週、ズッと買うかどうか迷っていた「俺たちのプロレス」シリーズの「UWFインターナショナルの真実」を購入した事もあって、久々に高田延彦vs北尾光司戦を鑑賞してみました(注:本稿執筆当時)。
この試合、試合前から高田サイドと北尾サイドがルール含めて散々揉めたそうですが、私が思うに北尾サイドはラウンド制を使って判定ドロー狙い、高田サイドは北尾の試合前の発言「自分、打撃は全然OKですから!」を逆手に取って“入っちゃったらゴメン!”的勝ちを狙って双方が試合に挑んだと思われます。

つまり、お互いがプロレスラーにとって不可欠な最低限の信頼関係が良い意味でも悪い意味でも築けないまま試合に挑んだわけで、北尾は当初のワンマッチのみの参戦契約で山崎一夫を破り、そのまま“勝ち逃げ”を狙いましたが、高田率いるUインターは「勝ち逃げする気か?そうはいくかい!」とエースの高田が出て来て文字通りの必勝決戦だったんですね。
で、問題の第3ラウンドの高田が北尾の顔面に入れたハイキックですが、何度見てもかなり強烈な一撃で、北尾が腰から崩れ落ちるようにマットにダウンしてますね。これは完全に高田の“不意打ち”が成功したんでしょう(^。^)。
でもリング上は闘いの場なので、北尾がどんな言い訳をしようと自分たちのリングに北尾を再び強引に引き摺り上げて勝負を迫った高田たちUインター(宮戸&安生&鈴木健含む)の作戦勝ちでしょう。

この高田の勝利は新日での長州力に対する移動バス内での民族差別発言、SWSでのジョン・テンタに対する「お前なんか八百長野郎じゃねえか!?」など、数々の暴言でプロレス界を侮辱して来た“最凶の外敵”北尾潰しを願っていた多くのプロレスファンを狂喜させました。
ただ同時に自分たちの目的を達成するためにはリング上も含めて何だってやってやる的な行動で突っ走っていく高田&UWFインターは、後にその強引過ぎるスタイルのツケを“400戦無敗”の男との闘いで余りにも無残な形で払わされる事となるのでした。

Best match of Nobuhiko Takada against ex-Yokozuna Koji Kitao.


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李小龍的最佳電影〜精武門⑥ 精武英雄変幻自在!第一級表現者李小龍の魅力

2024-02-11 17:56:08 | 闘神伝説~李小龍

李小龍は本作『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)のファイトシーンで怪鳥音、ヌンチャク、そして李八脚(8連続廻し蹴り)と幾つものオリジナリティ溢れる新感覚アクションを披露しました。
同時に『〜怒りの鉄拳』における李小龍は、アクションだけではなく俳優、いえ1人の表現者としても卓越したパフォーマンスを見せています。
それがご覧のスチールの人力車夫、新聞売りの老人、そして電話の修理工といった数々の“変装ルックの陳眞”です。
この“変装ルックの陳眞”によるある意味エキセントリックなまでの表情演技は、李小龍自身が名優李海泉の息子“小李海泉”として何本もの映画に出演した子役時代から積み重ねて来た確かな演技力でした。
特に陳眞が電話修理工として虹口道場に潜入する際、道場の入口前に立った眼光鋭い“猛龍”陳眞が眼鏡をかけた瞬間“間抜けな電話修理工”陳眞に豹変する瞬間は、まさに“表現者”李小龍による圧巻のパフォーマンスとして強烈なインパクトを残します。
長きに渡る香港クンフー映画の歴史、それはアジアの観客たちの「武打片はアクションだけが見せ場。ドラマ部分はオマケ」的な斜めった偏見との闘いの歴史でもありました。
李小龍はその斜めった偏見に対して、自分が子役時代から叩き上げた確かな表現力とアメリカ時代にハリウッド映画界で吸収した都会的かつ洗練されたパフォーマンスを見事に合致させた“変装ルックの陳眞”を何度も披露する事で「李小龍の映画はアクションだけじゃない。ドラマでも観客を楽しませる事が出来るんだ!」との確固たるメッセージを叩き着けたのでした。
つまり“表現者:李小龍”は自分の格闘アクション、表現者としてパフォーマンス、その両方に絶対の自信を持っていた人だったわけです。
最後に生前の李小龍は俳優としての自分をこう語っていました。
「僕は様々な映画で様々なキャラクターを演じる。でもいざ闘いの場面が来た時、僕は一匹の野獣になる。そしてそれこそがSUPER ACTORなのさ!」

Bruce Lee the martial artist and also super actor.Cool pic from Fist of Fury.


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龍熱チャンネル更新!2大レジェンド激突!『新座頭市/破れ!唐人剣』

2024-02-05 13:00:47 | 邵氏兄弟電影黄金時代

「龍熱チャンネル」更新しました。今回は勝新太郎☓王羽、日本と香港の2大レジェンドである座頭市と天皇巨星が激突した衝撃にして伝説の武侠巨編『新座頭市/破れ!唐人剣』(71)を龍熱が熱く濃く語っております。

実は今回のエピソードは邵氏兄弟公司ファンの方々にも楽しんで頂ける内容になっています。そう、70年代香港クンフー映画は何時だってドラマチック!

こちらがリンクです→https://youtu.be/nteNJ53WtAA

高評価&チャンネル登録もよろしくお願いします(^^)。


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李小龍的最佳電影〜精武門⑤ 深刻化する李小龍☓羅維の確執!

2024-02-04 10:39:36 | 闘神伝説~李小龍

『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)は李小龍の最高傑作であると同時に、李小龍が生涯唯一のキスシーンを披露した作品でした。
本作の陳眞(李小龍)と霍麗兒(苗可秀)の悲恋は“精武英雄”陳眞の悲壮感に満ちた一大復讐劇をさらに盛り上げたばかりか、通常は男女間の恋愛模様を驚くほどアッサリと描く香港クンフー映画とは一線を画す形となり『〜怒りの鉄拳』の作品評価を一層高める事となりました。
実際、70年代香港クンフー映画の恋愛描写は欧米の観客が観たらそれが男女の恋愛感情を描いていると気がつかないほど淡白な描写であったのは事実で、それだけ当時の東南アジア一帯の観客が香港映画に色恋より激しいクンフーアクションを求めていた証でした。
そしてこの霍元甲の墓前で陳眞と美しくも激しいキスシーンを演じ鮮烈な印象を残した苗可秀は日本で最も高い人気を誇る香港女優の座を掴み、以後日本の李小龍信者の絶大な支持を得る事となります。
ただこの陳眞と霍元甲の娘のロマンチックなキスシーンを傍らで撮影していた監督の羅維の“ある行為”が本作の主角である李小龍の怒りを買います。
そう、羅維は陳眞と麗兒のキスシーンを撮りながら(恐らくは)イヤホンでドッグレースを聴いていたのでした。無礼と言うには余りに不遜な態度です。
李小龍と羅維は前作『ドラゴン危機一発』(72)撮影時からソリが合わず口喧嘩が絶えませんでした。
やがてそれは香港のマスコミを何度も賑わす大きなトラブルへと進展し、最後にはスタジオ内で激しい口論となった李小龍と羅維が掴み合い寸前となり、そこに警察が駆け付ける事態へと発展します。
では何故その犬猿の仲だった李小龍と羅維が香港クンフー映画史上に刻まれる大傑作『ドラゴン怒りの鉄拳』を最後まで撮り切る事が出来たのか?
それは李小龍と羅維が本作の最も重要なあるシーンに関して、2人が真剣な議論の果てに殆ど唯一と言っていい意見の一致に辿り着いたからでした。
そしてその李小龍と羅維が共に創り上げた最も重要なシーンこそ、本作『ドラゴン怒りの鉄拳』を大傑作と成し得た伝説のラストシーンとなるのです。

Bruce Lee's first and last love scene from Fist of Fury.


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龍熱の昭和プロレス放談81 ビル・ロビンソンを巡る馬場☓猪木代理闘争!

2024-02-02 11:13:24 | 龍熱の昭和プロレス放談

アントニオ猪木の生涯の名勝負と言われる“人間風車”ビル・ロビンソンとのNWF世界ヘビー級選手権。
蔵前国技館で行われたこの試合は1対1から時間切れ引き分けとなり、ロビンソンは日本人レスラーに2フォール負け無しの最強神話を守りました。
ところが、その後ロビンソンはアッサリとジャイアント馬場率いる全日本プロレスに引き抜かれ、今度は馬場のPWFヘビー王座にロビンソンが挑む決戦が同じく蔵前国技館で行われました。
「まさか・・・」猪木信者の不吉な予感は的中し、馬場はバックドロップとジャンピングネックブリーカーでそれぞれ2ピンフォールをロビンソンから奪い、日本人レスラーで初めてロビンソンから2フォールを奪った最初の栄誉を勝ち取りました。
「最強と言われ、猪木でも勝てなかったロビンソンから馬場は2フォール奪って勝った。だから猪木よりも馬場の方が強い」。
この三段階的比較論法には、当時の猪木信者は心底激怒し悔しがっていました。逆に言えば、そうまでして馬場さんは自分の方が猪木よりも格上なんだ、と世間に証明したかったんでしょう。
ただ馬場さんにとっては、ここからビル・ロビンソンに出来た“大きな借り”を返す長い道程が始まったのでした。
まず馬場さんは国際プロレスから移籍して来たキラー・トーアカマタに40回防衛目前だったPWF王座を奪われます。これはPWFルールによる反則負けでの王座移動で、実質馬場さんには殆どイメージダウンが無い事と、国際の吉原社長が「元国際のトップ外人のカマタが馬場君からタイトルを奪った事で国際のイメージアップになった」と大変喜び、国際に恩を売る事が出来たと、まさに一石二鳥の王座転落でした。
で、ここで馬場さんに2フォールを“献上”しているビル・ロビンソンが登場します。究極の善玉×悪玉対決となったカマタvsロビンソン戦は、ロビンソンが必殺のワンハンド・バックブリーカーでカマタを撃破!新PWF王者となります。ここで馬場さんはまず一つロビンソンに“借り”を返しました。
ロビンソンは直ぐにアブドラ・ザ・ブッチャーにPWF王座を奪われますが、これも膝を負傷したロビンソンが戦闘不能になった事での敗戦で、完全なフォール負けではないロビンソンのイメージは殆ど落ちませんでした。
その後、馬場さんはブッチャーをシカゴまで追いかけPWF王座を奪回しますが、何故こんな回り諄い方法を取ってまでロビンソンにPWF王座を取らせたのか?それは全ては自分がロビンソンとの初対決に勝つ事で三段階的比較論法で自分が猪木より強い事を証明するためで、だからと言ってロビンソンに借りた“借り”を返すために馬場さんがロビンソンに直接負けては何の意味もない。
なのでカマタ→ロビンソン→ブッチャー→馬場さんといったタイトルの盥回しをする事で、ロビンソンをPWFヘビー王者に着かせたわけです。
しかし馬場さんのロビンソンに対する“借り”返済はまだ終わっていませんでした。今度は愛弟子のジャンボ鶴田の持つUNヘビー級王座(元々は日プロ時代に猪木が保持していたタイトル)をまたもロビンソンが死闘の果てに奪取します。
それもリターンマッチで鶴田vsロビンソン戦史上最も壮絶なフルタイムマッチの果てにロビンソンがUN王座を防衛し、ロビンソンはチャンピオンのまま帰国する、というまさに破格の待遇となりました。
結局、フロリダまでロビンソンを追いかけた鶴田が何とかロビンソンからタイトルを奪回(それもちゃんとブッチャーの乱入というロビンソンに対する同情票をセッティング)しますが、こうしてやっと馬場さんに2フォールを取られたロビンソンに対する馬場さんの“借り”返済は終わります。
何故ここまで長々と馬場さんとビル・ロビンソンの話を書いて来たか。それはジャイアント馬場というレスラーは約束した事や借りた“借り”はちゃんと返す男だ。馬場は信用できる男だ。との全米での信用はこのような労苦の積み重ねで築かれたと言いたかったからなんです。
逆に言えば、対戦相手に対してはある意味非情に徹し、時に切り捨てる事もあったアントニオ猪木からはビル・ロビンソンだけでなく、スタン・ハンセン、タイガー・ジェット・シン、ハルク・ホーガン、長州力、前田日明など次々と好敵手や愛弟子が去っていきました。

「リングの上は闘いなんだ。敵である相手に情けは要らない!」との猪木の心情もレスラーとしては一理あるからも知れません。
ただ新日から全日に移籍後、そのまま晩年までの殆どを全日で過ごしたロビンソンの姿を見てみると、どのような業界でも如何に人間同士の信頼関係が大切かを改めて思い知らされる思いです。
最後に写真でロビンソンが馬場さんにサイド・スープレックスをかけようと必死の表情を見せていますが、最後までロビンソンの面倒を見た馬場さんも、ロビンソンの代名詞であるダブルアーム・スープレックスだけはロビンソンに最後まで1度もかけさせませんでした。
それは同じダブルアーム・スープレックスの使い手であるドリー・ファンクJrやジャック・ブリスコにはこの技で何度も投げられる事を許した馬場さんの“人間風車”に対する最後の意地だったのかも知れません。

Giant Baba vs Bill Robinson.Baba was only Japanese wrestler who got 2 falls from unbeatable Robinson.


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