超級龍熱

香港功夫映画と共に

THIS IS 甄子丹(80) 「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」④ 高麗虹編

2016-02-25 14:45:16 | THIS IS 甄子丹
「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」④(大結局)
“偉大なる巨漢”サモ・ハンとの勝負インタビューを終えた私は極度のプレッシャーから解放されたからか、心地よい疲労感と共に軽い放心状態でサモ・ハンとカメラマンのフォト・セッションを見つめていました。
そんな私が何気に後ろを振り返ると、そこにスラッと長身で見るからに周りとは違うオーラを放っている超美人が優しげな笑顔でサモ・ハンを見つめながら立っていたんです!そう、その女性こそジョイス・コウこと高麗虹!!本人です!!!
皆さんは「98分署香港レディコップス」と「レッド・リベンジ/復讐の罠」をご覧になった事があるでしょうか?ジョイス演じる女刑事とアグネス・アウレリオの2人がそれこそ女性の肉体限界ギリギリまで挑んだ凄まじい超ド級クンフー・ファイト2連戦を見せている作品です。
私はこの2作品で格闘技経験が殆どないジョイスが美しい顔を血だらけ、汗まみれにしながら、それこそ半泣き顔で孤独な闘いに挑む姿が今も忘れられません。
間違いなくジョイスはこの2作品で香港の女ドラゴン映画の歴史にその名をシッカリと刻みました。そしてその日からジョイスは私の憧れの香港女優となっていたんです。そして今、目の前にそのジョイスが立っているんです!(号泣!!)。

龍熱「Excuse me....are you Joyce Godenzi ?」
ジョイス「Yes !(笑顔)」
龍熱「Wow !! I`m big fan of you for long time !!」
ジョイス「Oh thank you ♪」
龍熱「I love your films like She Shoots Straight.Great film !!」
ジョイス「Thank you ♪(笑顔)」
龍熱「Would you mind take a photo with me ?」
ジョイス「Sure,why not ♪(笑顔)」

既に女優を半ば引退していたジョイスは、まさに伝説の女ドラゴン的存在となっていて、当時も今も取材で会う事はまず不可能だと思っていました。
まさかそのジョイスと本当にツーショット写真を撮れるとは。
もうこの瞬間だけは私の脳裏から隣でカメラに向かってポーズを取っているサモ・ハンの存在が消えておりました(^_^;)。
この後、私にとってさらなるビッグサプライズが待っていました。私はサモ・ハンに「SPL/狼よ静かに死ね」の大判プレスシートに直筆サインを入れて貰うと、意を決して隣のジョイスに「あの・・・ジョイスさんにもサモ・ハン師父の隣(つまりドニー兄貴の顔の部分。兄貴、勘弁してチョーダイ!)にサインお願いできますか?」とリクエストすると、ジョイスは「いいわよ ♪ でもこのプレス、もし貴方が売っちゃったらきっと高いかも♥」とこれまた笑顔で快くサインを入れてくれました(近日ご紹介の予定)。それを横で見ていたサモ・ハンが「とりあえずお前からは500$貰うかな?ガッハハハ!」と大笑いする中、私にとって決して忘れる事が出来ないであろう「SPL/狼よ静かに死ね」主演武打星3人(+伝説の女ドラゴン)とのインタビュー対決3連戦が幕を閉じたのでした。

ドニー兄貴がその“MMA猛爆”路線を初めて導入した「SPL/狼よ静かに死ね」は、ドニー兄貴vs呉京の新感覚&殺気漲るウェポン・バトル、そしてドニー兄貴vsサモ・ハンの新旧本格派武打星の真っ向激突という2つのクンフー・ファイトを生んだ事によって私たち観客の胸に深く、熱く刻み込まれる作品となりました。
繰り返しになりますが、私はこの「SPL/狼よ静かに死ね」から、ドニー兄貴の真の意味での“最後の本格派”としての武打星人生が始まったと確信しています。
それは当時既にコアなマニアの間ではその実力を高く評価されていながら、どうしても広い意味での知名度などで成龍や李連杰の後塵を拝して来たドニー兄貴がその厚い壁を遂に打ち破った記念すべき作品でもありました。
私がこの「SPL/狼よ静かに死ね」という作品をもし一言で言い表すなら「世の中の全ての事柄で、最も評価されるべきは“オリジナル”であり、“パイオニア”である」となります。
この二つのテーマをドニー兄貴は「SPL/狼よ静かに死ね」で全てクリアしました。だからこそ、その後のドニー兄貴を「葉問」シリーズでの大ブレイクが待っていたのです。それはまさに“必然”だったのです。
さて、全4回に渡ってお届けして来ました「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」如何でしたでしょうか?皆さんに楽しんで頂けたら幸いです(^_^)。
今後も当ブログではドニー兄貴の特別企画を多角的に組んでいくつもりですので、どうぞお楽しみに!最後にもう1度、SPL、男たち、熱く、美しく!!

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THIS IS 甄子丹(79) 「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」③ 洪金寶編

2016-02-24 13:15:01 | THIS IS 甄子丹
「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」③
私が某映画雑誌から「SPL」主演武打星3人全員のインタビュー依頼を受けた際、その3人の武打星の中でただ1人、サモ・ハンこと洪金寶だけはインタビューのテーマについて強く要望された事がありました。
それが「サモ・ハンには必ず「死亡遊戯」の謎について訊いて下さい」でした。
勿論、私もその要望には異論はありませんでしたが、逆に「全く無関係な作品の質問を「SPL」の取材で訊いてしまって大丈夫か?」との当たり前の思いが頭を過ったのも事実でした。でもやるしかないんです(キッパリ)。
で、当日に遂に運命の対面を果たしたサモ・ハンと私の様子はこれまでに何度も触れていますので、ここでは細かくは触れませんが、サモ・ハンは私の当初の心配も余所に逆に私の出だしの「SPL」の質問には「あ~あ、また同じ質問かよ?」と気の乗らない様子で答えていましたが、私が78版「死亡遊戯」について、金泰靖vs黄仁植戦について、そしてリーさんこと李小龍について訊き出すと「おっ?お前は他のインタビュアーとは違って、気の利いた事訊くじゃないか?」と隣に座ってる私に対してその巨体を「ググッ」と乗り出すようにして一気に熱く答え始めたのでした!!
サモ・ハン曰く「李小龍が遺した未完の作品「死亡遊戯」の武術指導を任された事は本当に誇りに思ってるよ。当時「死亡遊戯」の未編集のフィルムを観たかって?勿論何度も何度も観たさ!唐龍?ああ、あの野郎の名前はそんな名前だったけな(笑)。唐龍と黄仁植のファイトシーン?ああ、撮ったよ。特に黄仁植には韓国の合気道の武館で散々シゴかれたから、この「死亡遊戯」の撮影の時は逆に俺が黄仁植をシゴキまくってやったからなぁ。
唐龍と王虎の“温室の決闘”が素晴らしいって?そりゃお前、何たってサモ・ハンが指導してるからなぁ?ガッハハハハ!!でもな、香港でもお前みたいに「死亡遊戯」をこんなに褒めて貰った事はなかったよ。嬉しいぜ!なあ、いいかい?(ググッと身を乗り出し)李小龍はな、俺たち中国人の精神を世界中に知らしめた英雄なんだよ!」
この時のサモ・ハンの隣でこの“偉大なる巨漢”の独白に聞き入っている私の心境は「ああ、このまま何時までもこの人とリーさんの話をしていたい!」でした(^_^)。
特に唐龍(即:金泰靖)vs黄仁植戦撮影の事実を当事者のサモ・ハン本人から聞き出せた事は、長年「死亡遊戯」の謎を追い求めて来た私にとっては文字通り全身が燃え上がるような興奮と感動でした。
この金泰靖vs黄仁植戦に関しては、それこそベイ・ローガンも、ジョン・リトルも、デビッド・タッドマンも訊き出せなかった世界的なスクープですし、この快挙に関しては1人の映画評論家として、また1人の日本人として今も誇りに思っています。
そして私の質問に対して懸命に何十年も前の記憶を辿りながら真剣に答えてくれたサモ・ハンには改めて深く感謝したいと思います。
私のこれまでの21年間の香港功夫映画評論家人生において、何度か“勝負インタビュー”があったとすれば、このサモ・ハンとのタイマン・インタビューこそその一つであった事は間違いないでしょうし、目の前のサモ・ハンとのインタビューを無事に終えた私は達成感で胸が一杯でした。
ただこの時、私の胸中には一つだけ個人的な心残りがあったんです。それは今回の来日で恐らくはサモ・ハンと一緒に来日しているであろう“ある女性”との対面が果たせなかった事でした。
ところが、私がサモ・ハンがカメラマン相手にフォト・セッションを行っている様子を見ながら、何気に後ろを振り返ると・・・いました!そこには私が半ば対面を諦めかけていた“ある女性”が艶やかな姿で立っていたんです!
そう、その女性こそ伝説の女ドラゴンにしてサモ・ハン夫人こと高麗虹!!
次回「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」その大結局は、伝説の女ドラゴンこと高麗虹、華麗に登場!!SPL、男たち、熱く、美しく!!

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光と闇に切り裂かれた人類の運命とは!?神木隆之介&門脇麦主演「太陽」公開。

2016-02-23 11:18:53 | 作品レビュー
昨日は都内の中華街で、懐かしい劉徳華主演の電視劇「寶芝林」DVDボックスを購入。でもこれ全20話をDVD3枚に収録という“超力技ソフト”だなぁ!(^_^;)。
でもこの手の「黄飛鴻」系列の電視劇ってまだまだVHSで終わってる作品が多々あるので、是非DVDやBDで出して欲しいですよね。

さて、昨日は都内某所で入江悠監督、神木隆之介&門脇麦主演「太陽」(16)を試写で観て来ました。21世紀初頭、ウィルスによって世界の人口が激変し、夜にしか生きられない進化した新人類ノックスと、太陽の下で暮らすも極貧生活を強いられる旧人類キュリオ、の2種類の人間に分かれます。
映画はキュリオとして暮らしながらもノックスへの強い羨望と憎しみに苦しむ若者2人(神木隆之介と門脇麦)を中心に描かれていくんですが、とにかくキュリオたちの生活描写が暗い。もう見事なまでの暗さで描かれていて、それだけで観ていて十分に気持ちが沈みます(^_^;)。
このトーンが延々と淡々と2時間、まるで観ている側を突き放したような手法で続きます。門脇麦の父親役の古舘寛治の渋い佇まい、ノックスの門番役の古川雄輝の爽やかさなどキャスト陣にも見所はありますが、それも映画の後半の門脇麦を襲う悲劇や、招かれざる帰還者が起こす暴挙のよる大混乱で、映画全体を覆うダークさがマックスとなります!!
劇作家の前川知大主宰の劇団イキウメの舞台「太陽」を原作としている本作ですが、せっかくノックスが太陽光線を浴びるとまるでドラキュラのように焼け死んでしまう、というSFホラーテイストを取り入れているなら、それをさらに広げて、もう少し映画としての娯楽性を高めても良かったのでは、と痛感しました。
作品的には全体のバランスや細かく丁寧な人物描写などシッカリとした作品に仕上がっていましたが、私は前記のSFテイストの中途半端な描き方が気になって、最後まで息苦しく窮屈な印象を持った作品だと感じました。
余談ですが、劇中でノックス社会の象徴として登場する鶴見辰悟ですが、当日の試写場で私の左隣に座って映画を観ていました(^_^)。スラッとしてカッコイイ人でした。
この「太陽」は4月23日から、池袋シネマロサなどでロードショー公開との事です。

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THIS IS 甄子丹(78) 「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」② 呉京編

2016-02-23 04:38:06 | THIS IS 甄子丹
「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」②
私が呉京がドニー兄貴最新作「SPL」に出演している、との情報を初めて聞いたのが「マッハ!」の宣伝プロモーションで初来日したトニー・ジャーが今では伝説化している新宿歌舞伎町の映画館前でデモ・アクションを披露した際、その場に来ていた谷垣健治監督からでした。
その時は健治監督から現場での呉京の人柄なども含めて色々聞いていましたが、その後「SPL」のラフカット、つまりまだTCR入りで編集段階(BGMオンリー)の映像でドニーvs呉京の壮絶なるウェポン・ファイトを観てしまったんです!
いや~これが素晴らしかった!その特殊vsナイフによる荒々しくも的確かつ正確無比な打撃戦!お互いが終始無言で斬り合いながらも、ドニーが次第に呉京を精神的にジワジワと追い込んでいく様が観客にもハッキリと伝わって来る異様なまでのハイテンション・ファイト!
まさにそれまで誰も撮らなかった(撮れなかった)新感覚ハイパー・ウェポン・バトル、ここにあり!!と私は大興奮してしまいました。
で、その呉京との対面はドニー兄貴との久々の対面を果たした僅か数時間後に同じ会見場で実現しました。(さすがに2連戦はキツイけどやるしかない)
会見場に入って来た呉京は意外(?)に背が高いのに驚きましたが、ラフな皮ジャンを羽織って私と挨拶(北京語でした)を交わした呉京の印象は「礼儀正しく、態度がデカイ青年」といった感じでした(^_^)。
呉京は物静かながら自信満々の口調で「この「殺破狼」で先輩の洪金寶や甄子丹と共演出来たのは勉強になりましたね。甄子丹とのファイトシーンでは約50秒間、ノンストップで斬り合いました。僕が1度空に宙に投げたナイフを自分で受け取ってまた斬り着けるカットがあるでしょ?あのシーンは本物のナイフを使ってます。甄子丹の印象?そうねえ、まあ良い先輩ですよ」と、これまたドニー兄貴に関してはちょっと含みのある発言(^。^)。
さらに私が呉京の恩師である袁和平、そして「超酔拳」の監督だった劉家良について訊くと「まあ劉家良は大御所ですからね。でも僕にとっての師匠は袁和平師父なんです。袁師父がいなければ今の僕はいないんだから!」と袁和平大絶賛のオンパレードが続きました。
余談ですが、この呉京とのインタビューではちょっと年配で美人の女性マネージャー(英語堪能)が絶えず呉京にピタッと付いてまして、私に「ねえ、貴方は呉京にどんな質問するの?」とか結構チェックが入ってました。
私にとって呉京とのインタビューは数少ない自分よりも年下の武打星とのインタビューだった事もあり、それほど強い印象を残した取材ではありませんでした。ただこの「SPL」の冷酷非情な殺し屋ジェット役で武打星として完全に一皮剥けた呉京は、その後も数々の武打片の佳作を連打し、昨年は「SPL」の間接的続編「殺破狼Ⅱ」にトニー・ジャーと共に主演します。
この「殺破狼Ⅱ」では前作でドニーが演じた役柄を今度は呉京が演じ、呉京が演じたジェットを彷彿させるナイフの達人を張馳が演じ、前作で流れた同BGMが静かに流れる中、呉京と張馳の2人がドニーvs呉京戦に勝るとも劣らないそれは見事なハード・ウェポンファイトを繰り広げたのでした。
そう、一見クールに見える呉京の心の奥には自分を武打星としてより高みに、そしてより逞しく成長させてくれた「SPL/狼よ静かに死ね」という作品の存在が深く、誰よりも深く刻み込まれていたんですね。
さて、ドニー兄貴、呉京とのインタビュー2連戦を無事に終えた私でしたが、私にはまだこの「SPL/狼よ静かに死ね」の取材における大一番が残されていました。
それはアメリカから日本に飛び立つ予定の飛行機が雪のために遅れたために、私とのインタビューが2日後に変更された“偉大なる巨漢”とのインタビューでした。
そしてその“偉大なる巨漢”とのインタビューで私に課せられた重大な、まさに決して避けては通れないテーマこそが「死亡遊戯」だったのです!!
SPL、男たち、熱く、美しく!!

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THIS IS 甄子丹(77) 「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」① 甄子丹編

2016-02-21 18:32:30 | THIS IS 甄子丹

「SPL/狼よ静かに死ね~完全無欠SP」①
まず何故いま「殺破狼」なのか?それは現在“宇宙最強”と呼ばれるまでのスーパースターとなったドニー兄貴ですが、私はドニー兄貴がその“MMA猛爆”スタイルを初めて導入した「SPL」から、世界がドニー兄貴ことドニー・イェンが本当の意味で“最後の本格派”であると認知したと考えるからです。
ドニー兄貴自身は「あの「葉問」で全てが変わった」と語っていますが、その“予兆”は既に「SPL」から始まっていたのだ!
で、いきなり2006年1月23日の東京に話が飛びますが(^。^)、当時某映画雑誌から「龍熱さん、「SPL」の主演者3人が来日するので、龍熱さんが3人全員にインタビューして下さい」との依頼が来まして、当然その依頼を快諾した私は当日の会見場であるキャピタル東京に向かいました。
ただ実はこの当時、私とドニー兄貴の関係はちょっと微妙だったんです。
それはある心無い人間による行いが原因で、ドニー兄貴を酷く傷つけてしまった事で、ドニー兄貴とその人間の間に入っていた私もドニー兄貴と何年も疎遠になっていたんですね。
でも私はやっぱりドニー兄貴に久しぶりに会いたかったし、直接会ってドニー兄貴との関係を修復したかったので迷わずこのインタビューの仕事を引き受けました。で、会見場に入って来て、直ぐに目の前に立っている私を見たドニー兄貴の表情は、やっぱりちょっと硬かった(^_^;)。

龍熱「Donnie san,long time no see !!」
ドニー兄貴「.......Hey you looks cool hah ?」

でもインタビューが始まると、ドニー兄貴もこれまで私と何度も行ったインタビューなど色々な事を思い出したんでしょう、その堅かった表情が段々柔らかくなっていくのが私にもハッキリと判りました。
そしてインタビューが終わる頃には、ドニー兄貴は何時ものようにリラックスした笑顔で私と話をするばかりか、以前に某人物が自分を傷つけた事についても最後まで一言も私を責めませんでした。そう、ドニー兄貴は“男”でした。
このドニー兄貴と私のツーショット写真は、そのインタビューが終了した直後に撮った1枚なんですが、私もドニー兄貴も素晴らしい笑顔でしょう?
確かこの時、私は上梓したばかりの「香港クンフー映画評論集/龍熱大全」をドニー兄貴にプレゼントしたんですが、ドニー兄貴は自分の載ってる頁を見て「Ohhhh !? Thank you Jiro !! Thank you !!」と喜んでくれました(^_^)。
こうしてドニー兄貴との久々の対面を果たした私ですが、直ぐにその後に今度は「SPL」で狂乱の殺し屋を快演した超新星武打星とのインタビュー第2戦が待っていたのでした!!SPL、男たち、熱く、美しく!!

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THIS IS 甄子丹(76) 「龍熱:緊急臨時増刊号/ドニー・イェン完全特集号」の思い出

2016-02-18 21:36:23 | THIS IS 甄子丹
さて、「THIS IS 甄子丹」第76回は、ちょっと昔のドニー兄貴の思い出話として、私が主宰していた同人誌「龍熱」が緊急臨時増刊号として発行した「“ボストンの虎”ドニー・イェン完全特集号」でいきましょう。
この増刊号を発行した頃は、私は既に商業誌デビューしていたか、する直前だったかと思いますが、このドニー兄貴特集号こそが内容&読者の熱い反響と共に間違いなく同人誌「龍熱」の頂点だったと思います。
そしてこのドニー兄貴特集号は、発行後に谷垣健治監督のご厚意で香港のドニー兄貴本人の手に渡る、というドラマチックな展開を迎えます!!
私は今でも健治監督から聞いた、ドニー兄貴が自分を大特集した「龍熱」を読んだ直後に興奮した様子で健治監督に語った感想の一語一句を覚えています。

ドニー兄貴「このファンジンは凄いぜ!俺が忘れてしまってるデビュー前後の作品までフォローしてるよ。この知野二郎ってどんな男なんだ?この男と1度話してみたいな。健治、俺の携帯の番号をこの知野って男に教えてもいいから是非連絡来れって伝えてくれないか?」

で、私は実際にその後にドニー兄貴の携帯番号を貰ったんですよ。これ本当です。でも・・・私はドニー兄貴に結局電話はしませんでした。
その理由は皆さんも何となく判って頂けると思います。そして私とドニー兄貴の本当の対面はその後の1998年は6月に新宿で実現する事となります。
その後の「ドニー・イェン特集号」ですが、ドニー兄貴の「健治、二郎に言って俺の特集号もう何冊か貰ってくれ!」との御達し(^_^)があり、結局ドニー兄貴は自分の特集号を2、3冊は持っていると思います。
この「ドニー・イェン特集号」、漫画家でドニー兄貴の大ファンのHMさんが香港のドニー兄貴のオフィスに行った時に「龍熱さんのドニー特集号、ちゃんとドニーのデスクの上に置いてありましたよ♪」との事で、まあドニー兄貴も愛読してくれていた事も判って何よりでした(^_^)。いやドニー兄貴の思い出話、話始めると止まりませんねえ!

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熱風!韓国LEGENDS (90) ジャッキー・チェン主演韓国バージョン、その新たなる世界!

2016-02-18 10:04:35 | 熱風!韓国LEGENDS
当ブログでも大期待のドニー兄貴最新作「葉問3」ですが、4月にはもう欧米でブルーレイが発売のようで、このペースだと大陸版ソフトはもっと早いかも知れませんね♪勿論「葉問3」を無事に観れた際には、当ブログで大特集するつもりなのでお楽しみに!あ、国内でも3月に発売予定の「カンフージャングル」2枚組DVDも既に予約しましたので、これも楽しみだなぁ!

さてさて、第90回を迎えていよいよ大台の100回も見えて来ました「熱風!韓国LEGENDS」ですが、今回もジャッキー・チェンこと成龍主演作品の韓国バージョンの話題でいきたいと思います。
実は最近、成龍主演作品「龍拳」(78)の韓国バージョン「唐山秘拳」のオリジナルVHSを含む3本の成龍関連の韓国製VHSを入手しました。まず「唐山秘拳」ですが、私はこの作品は昔から海外の友人コレクターから同オリジナルVHSから直コピーして貰ったDVDを所有していました。
でも今回、韓国現地のショップでこの「唐山秘拳」が何と7000ウォン(日本円で何と700円!)で販売されているのを発見し即購入!やっぱり現在では最低でも30000ウォンはする激レアの韓国バージョンが700円だったらこれは買いでしょう?
で、早速韓国から我が家に到着した「唐山秘拳」のVHSを再生してみると、さすがに格安VHSだけあって、テープの頭が痛んでいたりと状態はイマイチですが、それでもちゃんと最後まで再生していたので一安心でした(^_^)。
この「唐山秘拳(ってジャケットには堂々と掌山秘拳と誤表記ですが(^_^;))」、以前にも触れましたように全編韓国語吹き替え以外にはこれといった別編集シーンはないものの、今後は増々入手困難になって来るテープだと思いますので、今回の格安購入は嬉しかったですね。
さて、2本目は「成龍の一代英雄」なる韓国製VHSなんですが、これは3本目の同じく正体不明の韓国製改題作品と共にまだ再生チェックをしていません。
ただこの「~一代英雄」は私的には「恐らくあの作品では?」と思い当たる作品があるので、これまた時間を作ってチェックしてみたいと思います。
余談ですが、今回はこれら成龍関連作品以外にも3本ほど韓国製VHSを同時購入したんですが、その内の1本は何と張徹監督作品でした。それも韓国製VHSらしくジャケットのカバーからはその作品内容が全く判別できないデザインで、この辺りはさすが韓国ですね(^^)v。
という言うわけで、韓国映画のレア映像&新事実を追い求める「熱風!韓国LEGENDS」、次回もどうぞお楽しみに!

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感動と笑顔満載の最高イベント速報!倉田アクションクラブ40周年記念「和製ドラゴン祭」大成功!

2016-02-12 06:15:04 | ニュース
さてさて、行って来ました!倉田アクションクラブ40周年記念企画第2弾「和製ドラゴン祭」!!当日、私がちょっと早めに都内の会場に到着するとすぐにFacebook朋友の高橋眞人さん(今回アップした写真も高橋さん提供。ありがとうございます♪)と合流。その後も続々と来場者が到着し、これは当日は満員御礼となる事間違いなし!と確信した龍熱でした(^^)v。
開場となり、イベント会場入り口でチケットと引き換えに昨年の舞台「ヤングマスター~僕と先生との十日間」DVDを受けとりました。いや~これが欲しかったのよー!!
倉田アクションクラブ大阪の女性司会者の方も関西弁が出る事も無く(笑)、それでいて手慣れた上品な進行で実に良かったと思います。やっぱり司会はこうでなくちゃね(^^)v。
イベント開始前には会場に設置された2つの大きなスクリーンに、倉田さんと成龍、劉家良、トニー・ジャー、元奎、李連杰、發仔、そしてリーさんこと李小龍などなど超豪華な香港明星たちとのツーショットが次々と映し出されて、私はその後のオープニングムービーとかよりも断然このツーショット写真メドレーの方が気に入りましたねー!
そして本日の主役である“和製ドラゴン”こと倉田保昭の登場!もう場内大拍手!!倉田さんは昨年からズッと中国で陳嘉上導演作品「戦神」を趙文卓や洪金寶と一緒に撮影していた事の報告など聞かせて下さったんですが、相変わらず精悍でした。
その後のイベントも「ファイナル・ファイト/最後の一撃」(89)特別編集版を倉田さんの生解説コメンタリー付きで上映したんですが、ここで個人的なビッグサプライズ!!何と私の隣の席に倉田プロの重鎮でこの「ファイナルファイト」にも出演しているアクション俳優の清水一哉さんがソッと座って下さって「龍熱さん、約束通りに僕が副音声コメンタリーやりますよ♪」と当時の思い出からちょっとヤバい(^_^)裏話まで色々と話して下さいました!
倉田プロの方って清水さんのように優しくて思いやりのある俳優さんが多いんですね。清水さん、本当にありがとうございました。ラダルスキーの話、最高でした(^。^)。また当日ゲストの古川登志夫さん、真地勇志さん、そして武田梨奈ちゃんと倉田さんのトークも、3人のゲストと倉田さんの意外な繋がりが判明したりと大変興味深かったし、梨奈ちゃんはその後の倉田さんへの質問コーナーでも再び飛び入り参加して来まして、ここで“和製ドラゴン”vs“カラテガール”の異色&夢の対決が実現!!いや~素晴らしい!!
あと個人的に超期待していた洪金寶と梁小龍のVTRメッセージも、よくある1分ぐらいの簡単な挨拶ではなく、サモ・ハンが熱く語る言葉に隣の倉田さんが思わず涙ぐんだり、ブルース・リャンが語る「帰って来たドラゴン」の裏話に場内が大爆笑したりと、これまたコアなマニアも大満足のLEGENDSインタビューでした。
そしていよいよ上映の「帰って来たドラゴン」(74)!これまた倉田さんの生解説コメンタリー付きでしたが、倉田さん思わず画面に見入ってしまったのか後半はちょっと無言状態が続きましたが(^_^;)、それでもクライマックスの伝説のファイトであるリャンvs倉田戦では、リャンが倉田さんの頭上を驚異のジャンプ力で何度も飛び越えるシーンで場内から「うわあああ!おおおお!?」との歓声が挙がっていました。
私もこの映画、久々に大きな画面で観ましたが、何度観ても圧巻の決闘シーンでした。
イベントは3月で70歳になられる倉田さんに、これまた倉田プロ重鎮の中村浩二さんが音頭を取ってのサプライズバースデー(って倉田さん曰く「俺、誕生日まだだよ?」)もあったりと本当にアットホームな雰囲気で素晴らしい1日でした♪
中村さんとは会場で初めてご挨拶させて頂きましたが、嬉しい事に私の事もご存知で、とても礼儀正しく挨拶して頂きました。でも中村さんて上半身の筋肉パンパン!で凄かった(^_^;)。
最後は倉田さんご自身が来場者全員をお見送りして下さり、私も含めた皆さんが倉田さんとツーショット写真を撮っていましたね。
倉田さんは私が「いや素晴らしいイベントでしたね!」と話しかけると、何とも嬉しそうな表情で「そう?いやいや~!」と笑顔で握手して下さいました。倉田さん、ありがとうございました(^_^)。
会場の出口では倉田プロの若手の皆さんが礼儀正しく元気にお見送りして下さいましたが、その際に倉田さんの秘書の女性の方から「龍熱さん、ブログでイベント応援して下さり、ありがとうございました。龍熱さんのおかげで沢山の方がいらっしゃって下さいました!」とのお言葉を頂きました。
私はそのイベントがチケット代を支払うだけの魅力があるイベントなら迷う事なく払いますし、そのイベントが私がシッカリと信頼できる人が企画し、また応援のし甲斐のあるイベントなら、今回のように全力で応援します。私は秘書の方のこの温かい言葉だけでもう十分でしたし、本当に嬉しかった。
最後になりますが、今回は会場でFacebook朋友の方々を初め、本当に沢山の方に声をかけて頂きました。私は今回のような素晴らしいイベントの場で、クンフー映画ファンの方々とお話出来たのがとても嬉しかったです。皆さん、ありがとうございました!またお会いしましょう!
最後に一言、「和製ドラゴン祭」大成功でした!そう、合言葉はドラゴォォォン!!

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「“和製ドラゴン”倉田保昭、激闘!十五番勝負」(15) 一撃入魂!「ファイナルファイト/最後の一撃」

2016-02-10 10:00:53 | 作品レビュー
さて、ほぼ一ヶ月間に渡ってお届けして来ました「“和製ドラゴン”倉田保昭、激闘!十五番勝負」も、いよいよ今回が第15回、つまりは大結局となります。
その最終回で取り上げるのは、そう、まさに特集の“ファイナル”に相応しい後藤秀司監督、倉田保昭制作&原案&アクション監督、そして主演を兼任した「ファイナルファイト/最後の一撃」(89)でいきましょう。
倉田さんの武打星人生を大きく区分けすると、デビュー直後の東映時代から、香港で「悪客」(72)などに出演した邵氏公司時代、その後の香港&台湾などでの出演作ラッシュ時代、さらに「帰って来たドラゴン」(74)で日本に凱旋してから「闘え!ドラゴン」(74)や「Gメン75」(75~82)出演などの全盛時代と続きますが、この「ファイナルファイト」はその後、つまり倉田さんが倉田プロモーションを設立し、自らが映画製作に進出した、言わば円熟期に主演した作品です。
映画は香港在住の格闘家である甲斐正彦(倉田さん)が後継者を育成しようと好青年リュウ(任達華)と出会いますが、そのリュウを格闘技大会でベトナムの凶悪な格闘家チョン・リー(楊斯!まさに快演!)に惨殺され、甲斐はそのショックから1度は自暴自棄になるも、一念発起し猛特訓の果てにチョン・リーとの決死戦に挑む!という展開です。
まず、私が本作で驚いたのが倉田さんを初め主要日本人キャストが全編に渡って英語での台詞に挑んでいる事です。それもちゃんと倉田さんは自分で英語の台詞を喋っている!恐らくは世界マーケットを視野に入れての決断だと思いますが、私から見ても倉田さんの劇中の英語の台詞は殆ど違和感も無く、これは相当発音などトレーニングを積んだと察します。
そしてこれまた当時も格闘技ファンの間で大変な話題となった格闘技大会出場者の豪華な面子ですが、まずは巨人ラジャ・ライオン。
撮影中は倉田さんもラジャの奇行(?)は相当苦労させられたそうですが(^_^;)、それでもこのラジャの驚異の巨体は本作に大きなスケール感を与えたと思います。
余談ですが、ラジャ・ライオンは1987年に日本武道館でジャイアント馬場と異種格闘技戦を闘った男として知られていますね。
そのラジャは馬場さんとの武道館決戦前に後楽園ホールに姿を見せると、リング上で馬場さんを挑発し視殺戦を繰り広げるという“前哨戦”を見せていたのは意外に知られていません(^。^)。
さらにストロング金剛。言わずと知れた旧名ストロング小林は国際&新日でトップレスラーとして活躍した人です。ただ金剛が役者に転向するに至ったのは持病の腰痛もありましたが、新日本での藤波辰巳や長州力相手に引き立て役を強いられると言う、ある意味“咬ませ犬”的な扱いに金剛のプライドが著しく傷ついた事もあったと思います。
これらラジャ・ライオンやストロング金剛と「燃えよドラゴン」(73)のボロ役などで知られた楊斯が格闘技大会で激突するんですから、この「ファイナルファイト」が面白くないわけがないでしょう!!
そしてクライマックスの甲斐vsチョン・リー戦。これは数ある倉田保昭の銀幕での闘いにおけるまさにベスト・ファイトになりました。
その壮絶なる甲斐vsチョン・リーの死闘の決着シーンで倉田さんが放つ渾身の空中連続廻し蹴り、これこそ倉田保昭が見せた文字通り魂を込めた“最後の一撃”でしょう。それは70年代初頭からそれこそその身一つで、香港や台湾を舞台に姜大衛、孟飛、陳星、梁小龍、王羽、上官霊鳳、黄元甲、劉家輝、何宗道、王道といった強豪たちと激闘を展開して来た“和製ドラゴン”が私たち観客に向かって叩き着けるかのように訴えかける「俺のクンフー映画に小細工は要らない。ただ肉体と肉体の激突だけで“本物”を見せていくんだ。俺は香港や台湾でこの風を斬り裂く足刀蹴りだけで生き残って来た。俺にはこれしかない。そう、これしかないんだ!!」との“一撃入魂”のメッセージなのだ!!
日本人特有の情感溢れる師弟愛、そして香港クンフー映画で鍛え学んだハイレベルかつパワフルなクンフー・アクションが見事に合致したこの「ファイナルファイト/最後の一撃」は、その後の倉田プロモーション作品「イエロードラゴン」(03)、「柔術」(10)、さらには「レッド・ティアーズ」(12)といった“This is 倉田アクション”の先駆け的作品となったのと同時に、日本を代表する本格派の武打星こそ“和製ドラゴン”倉田保昭である事を証明した記念碑的な作品となったのです。
さて、全15回に渡ってお届けしました「“和製ドラゴン”倉田保昭、激闘!十五番勝負」如何でしたでしょうか。明日に迫った「和製ドラゴン祭」を少しでも盛り上げようと企画したこの特集ですが、皆さんがこれら15本の倉田保昭作品を振り返る事で、改めて倉田保昭という日本が誇る本格派の武打星の偉大なる足跡を再評価して頂けたら、そして明日の「和製ドラゴン祭」をさらに楽しんで頂けたら、企画&執筆者の私としてはこんなに嬉しい事はありません。
さあ、もう言葉は要りません。明日は倉田アクションクラブ40周年記念企画第二弾「和製ドラゴン祭」を思う存分楽しみましょう!そう、合言葉はドラゴォォン!!

「この「ファイナルファイト」はね、今思うと安易な企画でよく突っ走っちゃったなぁと反省もあります。アクションのフィルムスピードも香港と違ってノーマルでやったりもしましたね。この映画は台詞を英語で喋ってますが、それも香港とかアジアではなくてアメリカで当てたいという狙いもあったんです。結果、世界五十何ヵ国で上映されて、アメリカでも興行的に良い評価を受けたので、その点では良かったかな、と思っています。
ああ、ラジャ・ライオンね(苦笑)。僕は最初はラジャじゃなくて新日本プロレスの前田日明を使いたかったんですよ。それが駄目だと言う事でラジャになったんですけど、ラジャは演技してても僕が「カット!」って言う前に僕の方を見ちゃうんですよ(笑)。もう何度言ってもそれをやるんですから困りました。
あと楊斯はそれこそ僕の香港デビュー作品「悪客」の頃からの付き合いで長年の友人ですが、この「ファイナルファイト」の後はちょっと色々あって暫く会わない感じになりましたね(苦笑)。
強敵の楊斯を倒した後、僕が両手を上げて咆哮するシーンがありますが、ここもこの映画を韓国に売る時に「日本人が万歳しているからまずい。カットしろ」と揉めるんです。でもこのシーンをカットしたら、それこそ何にもならないですからね。
だから「この映画は日本映画じゃないんだ。プロデューサーは倉田という日本人だけど、スタッフは全員香港のスタッフだ」と言って、オープニングも全部作り直して香港映画として韓国では上映しましたね」(倉田保昭:談)

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「“和製ドラゴン”倉田保昭、激闘!十五番勝負」(14) ジェット・リーとの激闘!「精武英雄」

2016-02-08 10:37:22 | 作品レビュー
さてさて、残すところ2回となりました「“和製ドラゴン”倉田保昭、激闘!十五番勝負」第14回ですが、今回は陳嘉上導演、李連杰主演「フィスト・オブ・レジェンド/精武英雄」(94)でいきましょう。
言うまでも無く、リーさんこと李小龍不朽の名作「ドラゴン怒りの鉄拳」(72)のリメイクである本作は、恩師である霍元甲を日本軍人藤田剛(周比利)に謀殺された精武館門徒の陳眞(李連傑)の壮絶なる復讐劇を描いています。
映画は日本に留学中の陳眞が日本人の恋人山田光子(中山忍)と共に、光子の叔父で黒龍会の重鎮である船越文夫(倉田保昭!)から恩師が急死した知らせを聞き、急遽上海に舞い戻るシーンから始まります。
本作で倉田さん演じる船越文夫は類まれなる武術の達人ながら、普段は飄々として実に味のあるキャラで、これは倉田さんも俳優として演じ甲斐があったでしょうね(^_^)。
上海に戻った陳眞は無敵だった霍元甲の死に不審を抱き、元甲が最後に闘った虹口道場の芥川龍一(樓學賢)と立ち会うべく道場に乗り込みますが、芥川の不甲斐無さにさらに恩師の死に疑惑を深めていきます。
この道場破りシーンは「精武門」系列映画には必ず登場する、言わば“お約束”のシーンですが、動作導演の袁和平はオリジナル版「~怒りの鉄拳」との差別化を図るべく、李連杰演じる陳眞に敢えて怪鳥音もヌンチャクも使わせず、ただ鉄拳と蹴りのみで群がる門徒たちを片っ端から打ち倒す乱戦アクションを通してその陳眞の“静かなる怒り”を表現しています。
この袁和平の見事なアクション・シークエンスは、続いて登場する陳眞vs霍延恩(銭小豪)の“精武館の当主の座と友情を懸けた闘い”、さらには陳眞vs船越文夫の“日中武道家同士の究極の腕比べ”、そして陳眞vs藤田剛の“恩師の仇と同胞の名誉を取り戻すための決死戦”という3大クンフー・ファイトでも素晴らしい完成度として仕上がっており、私自身はこの「精武英雄」こそが巨匠袁和平の最後のベストワークだと言い切りたいです。
中でも霍元甲の墓前で繰り広げられる陳眞vs船越文夫の一騎打ちは、闘いを逸る陳眞に「待て!もう歳だからなぁ」と気勢を制しながらの船越の先制攻撃で火蓋を切ります。2人は猛然と突きと蹴りを打ち合った果てに、陳眞の“ドラゴンステップ”に戸惑う船越が突風で視界を遮られるのを見た陳眞が、お互いに布で眼を覆い改めて闘いを続行するなど、まさに闘いのあらゆるバリエーションが次々と披露されていきます。
恐らく倉田さん自身にとっても、この「精武英雄」におけるvs李連杰戦ほど思い切り、また力一杯闘いを楽しんだクンフー・ファイトは久しく無かったと思いますし、同時に日本と中国という2つの国の動きに左右されず、ただ己の信じる価値観のみで行動する船越文夫という気骨あるキャラクターは「少林寺vs忍者」(78)の武野三蔵、「激突!キング・オブ・カンフー」(82)の山口江十郎を経て、倉田さんが長年に渡って演じ続けて来た“正しい日本人武道家像”の一つの到達点だったんでしょう。
陳眞と船越文夫の正々堂々とした腕比べは、闘いを終えた2人が以下のような会話を交わして幕を下ろします。

陳眞「何時か、また決着を着けましょう!」
船越「決闘はケダモノたちのやることさ。それに日本には私より強い者が大勢いる」
光子「船越先生は日本一の腕前じゃないんですか?」
陳眞「この人は人を殺めるための武術ではなく、修練における日本一だ!」
船越「(万感の表情で空を見上げながら)霍元甲先生、何時の日か貴方とお手合わせする日を夢見ていた私ですが、貴方がこのような立派なお弟子をお持ちだったとは!」

この2人の会話シーンは私が「精武英雄」で一番好きなシーンで、95年当時に初めて「精武英雄」を観た時は深く、そして爽やかな感動を覚えたのを今もハッキリと覚えています。
そしてこの「精武英雄」は李連杰にとって「ワンチャイ」シリーズと並ぶ代表作となったのと同時に、“和製ドラゴン”倉田保昭にとってもその長きに渡る香港クンフー映画のキャリアにおける文字通り渾身のファイト・シーンとなったのでした。そう、合言葉はドラゴォォン!!

「1994年の6月か7月でしたか、僕の大ファンの陳嘉上監督がブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」のリメイクを撮るので是非!とのオファーが来ました。
僕も主演の李連杰とは1度やってみたいと思っていたので、事前に走り込んだりして撮影に備えました。実際の李連杰との立ち回りで思ったのは、彼は組手や実戦よりも演武とか型の方で見栄えするタイプなんですね。だから画面に写ると、とても綺麗なんですよ。
あと李連杰との対決シーンの撮影初日に、ワイヤーで吊られるシーンで血が滲んで動けないほどアキレス腱を切ったんです。なので李連杰とは一緒にモニターを見ながら上半身だけで立ち回りをしましたね。僕が演じた船越文夫は前半は飄々としているのが後半ではガラッと変わる、というスパイスの効かせ方がドラマのポイントになったと思います。それによって僕が演じた船越文夫がブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」では描かれていなかった日本人の良い部分を担ったわけですから」(倉田保昭:談)

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