るるの徒然

気持ちの赴くままに、つらつらと。

梅の熟度考察・2016

2016-06-23 | 趣味
ある施設の庭の梅の木に実がたくさんついていました。
梅の木は食用目的ではなく観賞用で植えられたもの。
そのため、梅の実は大人が少し梅ジュースを作るのに使ったりもしていましたが、大半が子供の遊び道具になっていました。

先日、子供たちが木をゆすっては実を落とし、拾い集めていました。
どうするのかと見ていたら拾った実の大きさや数を競い合ったり、
野球ボールのように思いっきり遠くに投げてその距離を競ったり、
実を石で割って種まで粉々にしていたりしました。

その粉々に割った実の後片付けをしている時、保護者の方がこう言いました。
「先週や先々週は子供達が実を粉々に割ろうとしても硬くて全く割れなかったんですよ。まだ青い梅だけど中は少しづつ熟してきたってことなのかしらね」

これを聞いてハッとしました。
毎年この時期になると、梅干しを作るのに梅の熟し具合についてあれこれ考えを巡らせる私。
見た目が同じ青梅であっても未熟果と熟したものではその後に大きな違いが出るのでその見極めの方法を色々考えているのですが、実の硬さにも微妙な違いがあるんだと気付かされたのです。
毎年梅干しや梅酒などを作るのに手に取っていますが、ただ触っただけではその差は殆どわからなかったのです。
包丁で刻んだり竹串で実に穴をあけたりしていても硬さの違いには気付きませんでした。
遊びから学ぶとはまさにこのことで、目から鱗。
梅の実を家で収穫するような方にとっては、上記のように割った時の実の硬さがかなり参考になるのかもしれないと思いました。

青梅というのは見た目ではあまりわからないのですが、
そのまま放っておくと徐々に黄色く色づいて柔らかく熟してくるものと、中から種ごと腐ってくる感じになってしまうものがあります。
前者はきちんと熟した果実で、後者は未熟なうちに収穫してしまったもの。
詳しくは過去日記「梅の痛みと熟度」をご覧ください。

青梅のうちに使うには問題ありませんが、
梅干し作りなど黄色く熟した実を使う場合はこの熟度の見極めがとっても大切になってきます。


料理研究家の辰巳芳子さんは著書「味覚旬月」の中で、鎌倉の自宅にある梅の木で収穫した実を使って行う毎年の梅仕事には、決まった順番があると語っています。

梅雨に当たらぬ先の青梅では梅肉エキス、
次は煮梅(青梅の甘露煮)、
その次に梅酒や梅シロップ。
梅雨の雨を1,2回浴びたもので梅干し、
次に淡黄色に熟したもので梅ジャム、
地面に落ちて痛んだもので梅ふきん(この布巾で拭くと木地や漆などの艶出しに効果があるとされる)。


これは、梅の熟し具合とも大いに関係があると思います。
時期の早すぎる梅はやはり梅干しには不向き。
しかしながら完全に木で黄熟になった梅では、梅干し作りには少々柔らかすぎる、という事なのだと思います。
(実が柔らかすぎると梅を塩漬けにしたとき皮が破れる確率が上がると私は感じています)
お店で梅を買うときも同様で、梅干しを作るなら出始め時期に梅を買うより、少し経ってから買うのが良いでしょう。
あ、でも、産地によって収穫時期が違いますから、そのあたりも少し考慮しましょうね。


梅干し作りに関するレシピはちょっと検索すればいくらでも出てくるのですが、
梅の熟し具合や見分け方など梅の選び方についての記述は驚くほど少なく、手探り状態。
でも梅干し作りで大事なのはむしろ材料選び・見極めだと思います。
この時期私のブログでアクセスが最も多くなるのは先に紹介した「梅の痛みと熟度」という記事。
古い記事にアクセスが多くなるという事は、広いように見えるネットの世界でもまだあまり書かれていない分野なのだと思っています。


先日、梅干し作りに適した梅を見つけ購入しました。福島県産の梅です。



「あ~まだ少し青いけどこれはたぶん家で熟すのを待っても大丈夫な梅だ」と思えました。
今の時期、福島の梅は収穫期の中~終盤の間というところ。
未熟な青梅が出回る確率もだいぶ低くなる時期ということもありますが、
それに加えて選ぶポイントがいくつかあります。

多少黄色く色づいている実がちらほらあること、
実に赤く色付いている部分があること、
腐ってたり痛んでいる実が少ないこと、
です。


よく見ると結構赤く色づいてるでしょ。こういうのは放置しておくとどんどん勝手に黄色く熟してくれます。


2日ほど室温に置いて熟成させました。


たまにこういう実もあります。


きちんと熟しているものだと時折こうしたシミそばかすみたいな斑点が見られます。
腐っているのでも悪くなっているのでもありませんからご安心を。
単に見た目が悪いと言うだけです。
斑点は赤紫蘇の色で最終的には目立たなくなるから大丈夫。

推測だけど、こういう斑点とかシミとか部分的に赤くなったりとかした商品より、均一に綺麗な青梅のほうが見た目で商品価値が高くなるんじゃないのかな・・・なんて思っています。だから未熟なものがたくさん市場に出回ってしまうんじゃないだろうかって思うのは、間違っているかな???


因みに腐ってるというのはこういうやつね。


特に、頭やおしりが変色しているものは未熟果で中から腐ってる可能性が高い。

表面が傷んでても頭やおしりが傷んでなければ、痛んだ部分を取り除いて梅酒やジャムなどの材料に使えます。
(梅干し作りには痛んだのは使わない!カビの原因になります)




例年通り梅は袋漬けで、塩分は18%。(関連日記:「梅干し作りに特別な道具はいらない」



そしてこれが今日現在。漬けて三日目。

重石をしなくてもしっかり熟しているので水がきちんと上がりました。


私の母は今年、梅の実が例年よりも早くいつもの大きさに育ったため早々に収穫したのだそうです。
そうしたら、その実が数日も経たないうちに片っ端から腐ってしまったのだとか。
母は30年近く毎年梅の実を収穫しているはずなのに、実の大きさに惑わされ収穫時期を見誤ってしまいました。
ベテランでもそんなミスをするんだと私のほうがびっくり。
実が大きくなったから大丈夫、ではないんですよね。梅って。


梅干しの在庫はまだ十分あるから今年は漬けなくてもいいかな、なんて考えていたのですが、いい梅に出会ってしまったので結局今年も漬けることになってしまいました^^;。

今年もうまくいきますように~!




~関連日記~
私の梅仕事まとめ(過去日記一覧)

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