研究者にとって、師からの恩をいかにしてかえしていくのか?
私も、そんなことを考える年代になりました。さて、どうしましょう?
第一に、研究分野において師を乗り越え、その分野を発展させること。
第二に、後継者を育てること。
最低限、上記2点を達成しようと思います。これだけでも大変ですから、師は弟子の『その後』を見守ってくれていることでしょう。弟子としては、そのための不断の努力を惜しまないこと、それに尽きるのではないでしょうか。
我が恩師も古希を迎えます。そこで、古希のお祝いを新宿で行いました。40名ほどのOG・OBが集い、とても楽しく、また懐かしい会となりました。
思い起こせば、恩師に対して数々の不義理をしています。以前のエントリーでも告白していますが、還暦のお祝いも企画しませんでしたし。また、その後も大きな不義理をしてしまいました。
定年退職後、無理を承知で、恩師に研究室に留まってくれるようお願いいたしました。客員教授として、研究室の学生指導に関して私の至らないところをカバーしていただきました。
恩師の凄さは、学生の実験の混み合わない早朝の時間帯に黙々と実験をし続けたことです。65歳を過ぎてからも、単離が困難とされる嫌気性細菌の新種を発見したのです!
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古希の祝いの会の最後、恩師はスピーチで淡々と語ります。
「先月、最後の論文が受理されました。これで、研究室を完全に去ります」と。
この一言、グッと胸に刺さるものがあります。恩師からは多くのことを学んできたので、これからは、その教えを若い人たちにお伝えしていきたいと思います。