5月11日、谷山中央で写す。
「発句」 くっきりと甍の陰翳夕立晴 「脇句」 青鷺が来て物思ふさま 「第三」 鳥作る暇つぶしにと粘土こね
「発句」 記念碑の装ひ新た若葉風 「脇句」 左団扇で日銀創設 「第三」 疫流行る第二の黒船来たるらん
「発句」 夏の蔓がんじがらめに争へり 「脇句」 或ひは五月の濃密の愛 「第三」 繁殖期生物自由求むらん
5月10日、自宅にて
「発句」 その花を見ずに卯の花腐しかな 「脇句」 時鳥鳴く垣まで遠出 「第三」 昼寝醒めしーんと閑かあの世かも
5月8日、自宅から。
「発句」 夏館望遠レンズが探り出す 「脇句」 ひとり愉しめ蟄居の五月 「第三」 そのうちに招待状が届くかも
5月8日、ベランダにて写す
「発句」 巨花ながら一気に咲けりアマリリス 「脇句」 はえの吹くなか背向く両輪 「第三」 文庫読む優雅な姿勢ベンチにて
5月7日、谷山中央で写す。
「発句」 柿若葉洗濯ものの白づくめ
「脇句」 肩にも載せてゆだちの取込み
「第三」 講師より料理教室上手にて
5月2日、谷山中央で写す。
「発句」 まるまると気づかぬうちに梅は実に 「脇句」 叩き落として夏日に無傷 「第三」 重かった日の丸弁当戦後にて
5月6日、谷山中央で写す。
「発句」 茅花咲く食べられるものみな口に 「脇句」 野遊びの子に味のなきガム 「第三」 コロナ禍に戦禍連想春ゆきて
「発句」 睦みあふ新緑常緑古寺のあと 「脇句」 初夏の樹濃厚接触羨し 「第三」 パチンコに滅ぼさる世の来たるらん
5月3日、ベランダで写す。
「発句」雨だれや五月の昏き日曜日「脇句」ビールばかりの小人閑居「第三」どう作るホームページを忘れゐて
4月30日、谷山中央で写す。
「発句」羊歯萌ゆる崖を滑って降りにけり「脇句」野遊びに癒ゆ背なかの痒み「第三」春夕焼これからの日々大切に
「発句」翅の音甘く蜜蜂花めぐる「脇句」人影のなき郊外のどか「第三」陽炎に茹でられるかにバスが来て
4月26日、谷山中央で写す。
「発句」酸葉噛み懐かしき味思ひ出す「脇句」ひもじかったよ戦中の春「第三」四月尽おとなの飴はほろ苦く