続 ターボの薩摩ぶらり日記

ー俳句と写真の相乗効果をめざしてー 

畑打

2020年02月29日 | 日記


2月26日、谷山中央で写す。

畑打つて土ひと色になりにけり  美慈子
「脇句」
出づる地虫を待つ鳥一羽  ターボ
「第三」
春の茶屋塩羊羹を厚切りに  〃



水草生ふ

2020年02月28日 | 日記


2月27日、谷山中央で写す。

水草生ふ驚くばかり月日過ぐ  立 子
「脇句」
春風起こり消ゆるうたかた  ターボ
「第三」
ゆつたりと番の鴨の残りゐて  〃

水草生ふの読み ミクサオフ
第三句の季語は「残り鴨」

あたたかし

2020年02月27日 | 日記


2月24日、西谷山で写す。

あたたかし脚を組み替へ待つことも  時 彦
「脇句」
寝息すやすや遅日の講義  ターボ
「第三」
つんのめり公園駆けり凧揚げて  〃

凧は新年のこどもの遊びとして、春は凧合戦、連凧といったおとなの遊びとして、歳時記に二季登場する。
第三句は春の句なので、省略されている主語は大の男。


菜の花

2020年02月26日 | 日記


2月25日、谷山中央で写す。

菜の花や月は東に日は西に  蕪村
「脇句」
宙に漂ひ光浴ぶ蜂  ターボ
「第三」
うしろにて鶯啼けり近からん  〃

蕪村は江戸期の俳人のなかで、歌仙を愉しむ姿勢がもっとも共感を呼んでいるようだ。
大岡伸、岡野弘彦、丸谷才一共著「歌仙の愉しみ」では蕪村、几菫、樗長、嵐山の4人が巻いた歌仙を冒頭に掲載している。


紫木蓮

2020年02月25日 | 日記


2月24日、谷山中央で写す。

木蓮の力みなぎる開花どき  美 典
「脇句」
平安朝の春の面影  ターボ
「第三」
礁撫ぜ大河は海へ永き日に  〃
 
歳時記によると、単に木蓮というと白木蓮ではなく紫木蓮をさす。
平安時代には紫は色彩の代表であり「淡い色」は薄紫、「濃い色」は濃紫をイメージしたそうだ。


躑躅

2020年02月24日 | 日記


2月23日、谷山中央で写す。

吾子の瞳に緋躑躅宿るむらさきに  草田男
「脇句」
明度高めて春の撮影  ターボ
「第三」
遠足の手をつなぐまま喧嘩して  〃

ツツジ類ではもっとも早咲きといわれるイワツツジガ咲き始めた。
関東では見かけなかった花だった。


春服

2020年02月23日 | 日記


2月21日、新栄町にて写す。

人形の春服人の前に立つ  青 畝
「脇句」
入学式へぴかぴかの母子  ターボ
「第三」
蜆汁蜆みな食ぶ差歯して  〃

蜆は年間通じて食用に供されるが、歳時記によると、もっとも美味といわれる瀬田蜆の旬が春なので、春の季語になったそうだ。


2020年02月22日 | 日記



桜か梅か、通りがかった老婦人に訊ねると桜と断言した。2月21日、谷山中央で写す。

死支度致せ致せと桜哉  一 茶
「脇句」
終活理由に春の退会  ターボ
「第三」
求愛の雄鳩の首虹色に  〃

木の芽

2020年02月20日 | 日記


画像の楤の芽は2月19日、谷山中央で写す。

木々おのおの名乗り出たる木の芽哉   一 茶
「脇句」
双葉芳し校庭の朝  ターボ
「第三」
ほろ苦き天麩羅もあり花見にて  〃


江戸時代の俳諧師は歌仙を巻くことによって、指導料を連衆から受け取っていたという。
一茶は文化8年5月に江戸の本行寺で川原一瓢(日蓮宗の高僧 俳人)と両吟(主客2人よる歌仙)を巻いたが、その折に100疋の報酬を得た。

  夕暮や蚊が啼き出してうつくしき  一 茶
  すずしいものは赤いてうちん  一 瓢 
(以下略)

まさか布帛100疋を頂戴したわけではあるまいと、全訳古語辞典(旺文社)をめくると動物、布地についで金銭的には「一疋は古くは銭十文の称、のちには二十五文の称」とあった。100疋は時価に換算していくらぐらいか、見当がつかなかった。


春雪

2020年02月19日 | 日記


2月18日、ベランダから写す。

春雪を玉と頂く高嶺かな  朱 鳥
「脇句」
早や笑ひをり山の中腹  ターボ
「第三」
佃煮のぜんまいの渦味見して  〃

今シーズンの初雪は春雪だった。脇句の季語は「山笑ふ」


日照雨

2020年02月18日 | 日記


2月17日、ベランダから写す。

日照雨過ぎ鋤田湯気あぐ花杏  博 秋
「脇句」
ぬれ輝きて川端柳  ターボ
「第三」
春の虹目薬をさし瞬きて  〃

発句の日照雨の読みはソバエ。
季題は花杏として鋤田にも季節感がある。「田を鋤く」は春季で、「田を植う」は夏季。鋤き終って田植えを待つ鋤田は、季感は春から夏への移行期であるが、手許の歳時記には載っていない。

春の雨

2020年02月17日 | 日記


2月15日、ベランダから撮影。

買ひ立てのレインコート着て春の雨  信 子
「脇句」
桃花に負けぬ装ひの色  ターボ
「第三」
椅子のある書肆まで遠出遅日にて  〃

発句者の姓は吉屋。
立春は過ぎたが二月の雨が降っているので、重装備して近くのコンビニへ行ったが、暑いくらいだった。
あとで調べると、このあたりの外気は20度だった。


早春譜

2020年02月16日 | 日記


2月12日、谷山中央で写す。

早春や室内楽に枯木なほ  波 郷
「脇句」
低く囀る樹にこもる鳥  ターボ
「第三」
あたたかな緩徐楽章優しくて  〃

枯木とは広辞苑によると「枯れた木。また、落葉した樹木(季 冬)」
波郷句は冒頭が季語なので、季重なりを避けて枯木は枯れてしまった木と受けとりたいが、それでは室内楽をテーマにした俳句として、納得のいく解釈が得られなかった。
枯木が落葉した樹木、つまり歳時記では同義語の裸木なら、唱歌「早春譜」を踏まえた句と思った。「着飾って交響曲の演奏会にでかけるにはまだ寒いので、自宅にこもってレコードでがまんすることにした。室内で聴くには室内楽に限る」という句意。
しかし、季重なりを避けた名解釈がすでに存在しているのに、自分が知らないだけかもしれない。

消防車

2020年02月15日 | 日記


2月10日、ベランダから写す。

裏町に消防車突進はなやかに  青 邨
「脇句」
火事跡に立つ大黒柱  ターボ
「第三」
散歩道いつの間にやら家建ちて  〃

火事は冬の季題として定着しているが、消防車は省略している歳時記もある。
元禄時代に存在していたか、していなかったかの差かもしれない。