英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・英文讀解のヒント (74) 《for fear that ~》

2017-05-24 | 英文讀解のヒント

・英文讀解のヒント (74) 《for fear that ~》

1  次の英文を音讀または默讀しながら意味をとらへ、下線部については意味を日本語で言つて、または書いてみませう。(※讀み方がわからない語はあとで辭書で調べておきませう)

     In trying to understand honne and tatemae and how these contrasting concepts function in Japan, it is important to examine certain Japanese cultural characteristics, such as a dislike of direct expression and the importance of harmony and ceremony in Japanese life.  The Japanese do not like to express themselves in a straightforward manner for fear that it might hurt others’ feelings, so they are usually careful about what they say and often use tatemae in order to get along well with others.  For example, when a person is visiting someone’s house in Japan and it becomes time for supper, people will often say, “Won’t you dine with us?”  But this is not really an invitation; rather it is a subtle hint that it is time to go home.  To those from other countries, this may seem confusing, but for the Japanese, it is a natural way to interact socially.  So the correct response to “Won’t you dine with us?” is “Thank you very much, but I am not hungry.”  This type of behavior is formulaic in Japanese life.

(25 滋賀大學 2012 4パラ: 2013年1月18日掲載)

 

2  下線部の解説

2.1  <for fear (that)  S  should / might / may / would / will ~>のかたちで「~しないやうに」「~するといけないから」「~するのを恐れて」といつた意味を傳へます。ややあらたまつた感じのする文體であり、口語では しばしば that が省略されます。that 節には未來に起こるかもしれない事態を記すので助動詞を用ゐますが、would や will だとやゝくだけた言ひ方になります。

  設問では、下線部の for の部分をブランクにして、記入を求めてゐました(選擇肢なし)。前置詞 for は、もともと「~に向つて」など方向性を示すところから轉じてさまざまな意味を表はしますが、ここでは「原因・理由」を示してゐるのではないかと思ひます。つまり fear(「恐れ」「不安」)を理由として示し、さらに同格の that 節でfear の説明を加へる構造になつてゐるのでせう。(※文法書では「接續詞」の項に解説があります。)

■諳誦例文

74         He hurried home for fear (that) he might miss his guests.

                彼は來客に會へないといけないので急いで歸宅した。

□參考例文

74.2      I wrote down his telephone number for fear (that) I should forget it.

                忘れないやうに彼の電話番號を書き留めた。

□參考例文

74.3      We hid in the basement for fear that the hurricane would destroy the house.

                ハリケーンで家が壞れるといけないから、私たちは地下室にかくれた。

□參考例文: that 節の部分を句で示す例です。

74.4      I didn't visit you for fear of disturbing you.

                あなたの邪魔になるといけないので訪ねなかつた。

□參考例文: 似た意味を次のやうな表現で表はすことがあります。

74.5      I'll write it down so that I won't forget.

74.6      I'll write it down so as not to forget.

                忘れないやうにそれを書き留めておかう。

□參考例文: 同格の例文が辭書にありましたので、參考までに。

74.7      I had a fear that you might have met with the accident.

                あなたが事故にあつたかと心配しました。

 

3  意味把握チェック

  本音と建前、そして對照をなしてゐるこれらの概念が日本(の社會)でどんなはたらきをしてゐるのか(/どんな風に役割を果してゐるのか)を理解しようとする際には、ある種の日本文化の特性、例へば日本の暮しでは直截的な表現を嫌ふとか(調)和や禮(儀作法)が重視されるなど、について檢討することが大切である。他人の氣持を傷つけないやうに(/傷つけるといけないので)、日本人は自分(の考へなど)をそのまま直接に表現することを好まない。だから他人とうまくやつていくために、日本人はたいてい自分が口にすることに注意をはらひ、度々建前を口にするのである。例へば、日本で誰かの家を訪問してゐて夕食の時間になると、「一緒に食べませんか」と言はれることがよくある(ものである)。しかし本當に誘はれてゐるわけではない。それどころか歸る時間だといふことがそれとなくほのめかされてゐるのである。他國から來てゐる人々には、これは當惑することに思はれるかもしれない、しかしそれは日本人には自然なやりとりの仕方(/交際ひのありかた)なのである。だから「一緒に食事をしませんか」に對する正しい對應は「どうもありがたうございます、でもお腹はすいてゐ(/空腹ではあり)ません」である。この振舞ひ方は日本の暮しでは型どほりのものである。

 

4  意味把握チェックの下線部を參考にして、元の英文に戻してみませう。

 

※下線部以外の解説については、英文末尾に掲げた日付のブログ記事をご參照ください。畫面右の Back Numbers で該當の月・年をクリックし、Calendar で該當日をクリックしてご利用ください。