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オール人力狙撃システム試作機

世界に拡散する伝染病、「不安」

2008年03月15日 15時22分27秒 | 経済関連
現在、全世界に吹き荒れている嵐は、極めて強力な感染症のようなものだ。誰しも「自分がババを引きたくない」という、損失に対する極度の怖れなのだ。

参考記事:

「アニマル・スピリット」とは何か?

「アニマル・スピリット」とは何か~バブル現象について

この記事にも書いたが、連戦連勝の時に積み上げられてきたバランスシートの資産が急速に収縮を始めている、というのが今の状況だろう。多くの投資家たちは、昨年11月以降の「連戦連敗モード」突入を見ているから、「きっと負ける(=値下がりする)だろう」という悲観的な状態となっているのだ。「自分は損失を蒙らないように」と思って、売りに出す(キャッシュに換えたり安全な国債を買ったり)為に価格は値下がりを続けることになる。日本の土地はそうして坂道を転げ落ちていき、デフレの長いトンネルに突入したのだ。今は金融市場でこれと同じことが起こっている。「オレも売らないから、お前も売るな」と、全員が恐怖に耐えることができれば価格下落は止まるのだが、みんな「我が身可愛さ」で売り続けるし、自分自身が大量売り(投資資金は莫大でレバレッジもデカイから)の主体となっているから、下落の流れが判っているので「ベア」に張っている連中もいるだろう。この流れを堰き止めない限り、深刻な経済収縮が起こるだろう。


日本の被害だって、数十兆円規模なんかではないのだ。

日本売り~小銭を惜しんで大利を逃す?(追加後)

このまま円高が続き、株価下落が継続すると、日本が受ける被害はもっと拡大することになる。これまで失った額は200兆円規模なのだぞ?(2月末時点の時価総額は約433兆円、現在はもっと落ちているだろう)こういうのが世界経済全体から、消えてなくなるのだよ。海外投資家が持つ株式60兆円(←コレ、間違えました、ゴメン。今みたら気付いた。150兆円と読み替えてね)のうち20兆円を売りに出されてキャッシュを回収されたら、かつての10000万円割れどころか8000円くらいまで逆戻りするかもしれんのだぞ?日本でそれだけの資金を、勇気を持って買いに行ってる主体はあるのか?誰もいなかったじゃないか。そうなってからでは遅い。

参考記事にも書いたように、「エンドトキシン・ショック」のような状態なのだから、「不可逆期」に突入するのだけは阻止せねばならない。今はまだ「代償期」だろうと思うから、重篤な状態を防げばいずれ回復するだろう。だが、不可逆期になってしまえば、もう後戻りはできなくなる。壊れた部分が多くなり過ぎて、元の状態には戻れないのだよ。FRBが必死になってどうにか「循環維持」に努めてはいるが、原因に対するアプローチではないから、エンドトキシンが大量にある限り循環虚脱に陥ることは防げないかもしれない。

更に深刻な状況をもたらしているのが、不安が世界に蔓延したせいで欧米の大手金融機関が損失を回避しようとして、資金をファンドなどから引き上げつつあることだ。担保を積み増しせよ、と求めているのも同じだ。カーライル系のデフォに続いて、ベア・スターンズまでもが流動性危機に陥り、NY連銀とJPモルガン・チェースが資金供給を行った。これは不可逆期への入り口が、もう目の前に来ていることを意味するのではないかと危惧される。

米国株式は大幅反落、Bスターンズへの緊急融資でクレジット懸念再燃 Reuters

僅か2日前くらいに、マーケットの噂で「ベア・スターンズがヤバいらしいぜ」とか出ていたのを、CEOが事実無根だと打ち消したばかりで、SECもバランスシートに問題はないとか言っていた矢先、こうした事態を招いたのですからね。周りが疑心暗鬼になれば、誰も資金を回そうとしなくなるからこうなってしまうんですよ。


人体には、自分の体を守る為の機構というのがある。免疫系がそれだ。通常の感染症などに対しては、感染源を退治してくれたりする重要な機能なのだが、これもマズイ状況というのが引き起こされることもある。よくある、自己免疫疾患などやアレルギー反応などがそうなのだが、正常な自分の細胞や組織を攻撃してしまう、ということが起こってしまうのである。元々ある有効なシステムなのに、病的状態になってしまって、正常であるはずの自分の体を攻撃する結果をもたらす、ということなのだ。金融機関が担保を求めたり、資金供給を大幅に絞ったりするのが、まさにこれなのだ。過剰な防衛反応が拡大すると、免疫系が悪い影響を与えてしまうようになるのと同じなのだ。様々なサイトカインによる攻撃、免疫担当細胞による攻撃、抗体による攻撃、それらが正常細胞に対して行われてしまうのである。こうなれば、壊死範囲が広がり、ダメージは更に深刻なものとなろう。日本が陥ったデフレとその被害は、これと同じようなものなのである。防衛反応(=個々の損失回避行動)が、結果的に正常組織や有効なシステムを攻撃して機能不全に陥らせ、そうした機能不全を原因として新たな危機が生み出される、ということになるだろう。病気でいえば、多臓器不全(MOF)状態に陥るのである。

米国で起こっている変化というのは、こうした兆候がある。システム崩壊の危機である。

命名するとすれば、こんな感じかな。

・Speculative Assets Crisis (SAC):
事の発端はこれに尽きるだろう。土地でも、株や債券などの有価証券でもよい。勿論、チューリップの球根でも良い(笑)。連続の値下がりとか、投売りとか、そういった危機から始まるだろう。そもそもはリスクを多く取りすぎていることが原因になるのではないか。

・Severe Capital Distress Syndrome(SCDS):
初期の病態から進んで、広い範囲に被害が拡大した状態。ARDSやIRDSに倣って命名すると、こんな感じかな。
不安心理が強まり拡大する、極端なリスク回避行動を取るようになる、借り手の資金調達が困難になる、価格下落で保有資産が減少し損失が拡大する、投資家も貸し手もキャッシュかき集めに必死になる、貸し手からは追証とか担保積み増し等の正常部分への攻撃が始まる、土地や有価証券等資産の流動性がなくなるか大幅に低下する、などが複合的に起こってくるだろう。

・Financial System Failure(FSF)、Credit Insufficiency(CI ):
更に進むと不可逆領域となり、企業倒産やいくつもの銀行破綻などを招くであろう。金融システム全体の機能不全、信用(創造)機能の極端な不足や機能不全という状態を招く。日本で起こった貸し渋りや貸し剥がしということや、新規貸出の大幅な減少、大規模な信用枠の収縮、ということになるだろう。経済全体への影響も大きいだろう。多分この状態になると、通常では効いていた政策手段(例えば利下げ、マネーサプライ、等)に対する感受性(感応度)が著しく低下し、かなり強力な政策パッケージで対応しない限り、脱出困難となるであろう。日本のデフレスパイラル状態を思い浮かべてもらえれば、その深刻さが判るであろう。極端なダメージを受けると、人々の多くは「悲観」「不安」「臆病」との親和性が強化されてしまうため、アニマルスピリットを発揮できる人はもの凄く減ってしまうのであろう。



今後、最悪の事態に向かっていく可能性があるので、本格的な手を打つべきだ。FRB単独では難しいと思われるので、日本が協力を申し出るべきだ。米国金融機関やヘッジファンドのハイエナ?orコヨーテ?ご一行様には、キツイお灸を据えることになったでしょうから、もう勘弁してあげた方がいい。本格的に彼らの多くが倒れるまで放置したら、その被害は全世界に広がることになりますから。
「情けは人のためならず」
欧米人には難し過ぎて判らないでしょうけど、この言葉通りと思います。
彼らを助けることは、結果的には日本経済も世界経済も救うことになるわけですから。


緊急性があるので、ノロノロしている暇はありませんよ。日本の政府は本格的に無能なので、米国の代表者がどこかの筋を使って、外務省経由でもどこでもいいので官邸筋に直接アプローチしてみて下さい。

①まず、日米で詳細を決める以前の段階でいいですから、とりあえず「日本側から出資することが日米で合意、出資予定額は数兆円~数十兆円規模になる見込み」とか、アナウンスだけでいいので取り急ぎ出す。

②交渉の詰めは時間がかかるが、あまり時間はないので、バーナンキから交渉の日本側代表者を1名指名してもらいなさい。学者でも、日銀の人でも、政府の人でも、官僚でも、誰でもいいから、向こうから「信頼できる(できそう)な人間」ということで、FRB議長から指定してもらえば、日本政府はその人を日本側の事務局長とかに任命して、交渉に当たらせればいいのです。

③この代表が決まったら、この代表自身が指名する人をスタッフとして4~5名程度選抜してもらえばいいのでは。そこに、日銀、財務省、金融庁、等のサポート人員を入れる。法関係の人とか、日本の銀行や証券界の実務家もいた方がいいと思いますけど、そこら辺は適当に考えて下さい。

④このチームで日本側の出資スキームの全体像を考えてもらって、米国側に提示することになると思います。それか、スキームを作る際には米国側の人間を入れてもいいでしょうが、向こうの有利な出資は許しませんので悪しからず。細かい部分はとりあえず後回しとして、出資に双方が合意することが肝要です。時間との戦いになるでしょう。

⑤この出資の条件としては、為替介入か米国債売+コモディティ市場(主に原油、小麦、貴金属以外のメタルとか)への売り参加を容認してもらうことを求めます。必ず売るかどうかは為替や市況の動向次第です。米軍とか防衛費の話は、当面ちょっと後回しです。そんな細かい話を詰めている時間はありません。出資の文書に入れる必要はないとしても、別な形で「今後の交渉の際には、日本側主張を最大限尊重する」とか何とか、外交文書の一つとして一筆入れさせるか言質を取っておけばそれでもいいです。


これらのことを日本の政治家に決めさせると、多分、①に到達する前に世界経済が破滅しているだろうと思いますね。何一つ決まらないのですからね。現に日銀総裁でさえ、決めることができないでいるのですから(笑)。彼らにとっては、日本が破滅しようが、世界が破滅しようが、自分たちの目の前にある「お前にだけは負けんぞ」というような、ちっぽけなことにしか取り組めないし関心もないのです。

既に日本市場の資産200兆円をパアにしたのだから、今後10兆円や20兆円のレベルで「損失がいくらになると思ってるのか」とか、そういう論争をやっている場合ではないですよ、本当に。
日本が協力する、って言わない限り、窮状を脱する有効策は次第に尽きていきますよ。打つ手が遅れれば遅れるほど、治療効果も落ちていくので、可及的に速やかに取り組むべきです。


◇◇◇◇


ちょっと追加です。

この前、緊急対策が必要だ、と言って命名したプランは名前がマズイかも。
続・緊急経済対策―「翔べ、日本」(笑)

「とぶ」という音は、「飛びます、飛びます」と同じで(違うか、笑)、所謂「ぶっ飛び」を連想させ、不吉でしたね。もっと別な名前にしておいた方がいいでしょう。

候補としては、やはり「黒い」を入れておきたい。ブラック・ストーンの真似であると思われてしまうかもしれんけど(笑)。
「黒いお金」とか。あまりにダイレクトすぎか。
「黒いカメ」→かめの中にお金貯めてるイメージ
「黒い影」→いかにも陰謀っぽく
「黒い腰ぎんちゃく」→手下っぽい

どれもダメだね。

「ニッポンの火消し」は?どう?
「日本の火消し」
何となく、良さそうに思えてきた。あと、
「バンザイ!ニッポン」
とか。破産したみたい?
「万歳!日本」
諸外国に喜ばれていそうだけど(笑)。





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