いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

日本国政府による辺野古埋立という犯罪

2018年07月29日 17時52分02秒 | 法関係
今年に入ってからも辺野古沖の裁判が行われていたようで、あまり詳しい内容を見ていなかった。申し訳ない。元々、差止め訴訟では太刀打ちできないだろうと思っていたので。

>http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/documents/01honanhanketsu.pdf

ある意味、予想通りの敗訴かと思うが、国の主張にいくら穴があろうとも、裁判所が味方に付いている限り、日本の司法制度ではまともな判決を期待するのは厳しいだろう。

だが、この裁判のお陰で、また国の大問題を見出したような気がするので、書いておきたい。国の犯罪行為を、何としても断罪する必要があるのだ。

参考>http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/henoko/


A) 岩礁破砕許可に関して

(1)国は、岩礁破砕許可が必要であると認識してきた

これは当初の申請が2014年8月28~17年3月31日までの許可期間であったことも考えれば、手続的には「知事の許可が必要」であると知っていた、ということだ。

農水大臣の出した岩礁破砕許可に関する知事権限の停止措置=(取消)処分の執行停止決定の時にも、許可申請が必要であると認識の下、決定を出していた。執行停止決定は15年3月30日である。

>http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b189322.htm

普天間飛行場代替施設建設事業における岩礁破砕等の許可に関し、平成二十七年三月二十三日付けで沖縄県知事が当該事業の事業者である沖縄防衛局に対して行った「県の調査が終了し、改めて指示をするまでの間、当該許可区域を含め、当該工事に係る海底面の現状を変更する行為の全てを停止すること」を求める指示(以下「本件指示」という。)については、この考え方に基づき、同月二十四日付けで同法による審査請求(以下「本件審査請求」という。)及び執行停止の申立て(以下「本件執行停止申立て」という。)が同局からなされ、「合法的に取得した岩礁破砕等の許可の効力を期限を限ることなく実質的に停止させ、岩礁破砕等を行おうとする者の権利義務を変動させるものであることから、本件停止指示処分は、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)に規定される処分に該当することは明らかである」等の主張がなされた。

農林水産大臣は、同法の規定に基づき、本件執行停止申立てについて同局の申立人としての適格を認めるとともに、「本件指示が任意で工事の停止を求めるものということはできず、審査請求人に対し、普天間飛行場代替施設建設事業に係る海底面の現状を変更する行為の全てを停止することを義務付けるもの」などとして本件指示の処分性等も認め、同月三十日付けで、本件審査請求に係る裁決があるまでの間、本件指示の効力を停止する旨の決定(以下「本件決定」という。)を行ったところであるが、本件審査請求については、現在、農林水産省において審査中であることから、これに関するお尋ねについては答弁を差し控えたい。


==========


この審査請求に対する回答はないままだった。最高裁判決時点でも、裁決は出されていない。宙ぶらりんのまんま(笑)。場当たり的にやりっ放し。

国は『合法的に取得した岩礁破砕等の許可の効力を期限を限ることなく実質的に停止』と主張しているので、知事による許可という合法的取得を認識していたことは間違いない。大臣が裁決を出さないことは、国の明らかな落ち度だ。執行停止決定により知事権限だけは制限をしておき、許可期間の時間切れを待っていただけなのだから。審査庁の義務を放棄したに等しい。

防衛省が審査請求と執行停止を取り下げたとしても、農水大臣が執行停止決定を取り消さない限り、沖縄県知事は権限行使を封じられたままだった。
もし、執行停止決定を農水大臣が取り下げたのであれば、防衛省は知事の「指示に背いて」工事を続行したことになる。
執行停止決定が生きていた(農水大臣からの決定取消文書の通知がない)のであれば、国は埋立承認の取消処分だけを違法確認訴訟で攻撃しただけであり、係争委の審査期間も最高裁判決時点でも、裁決を放棄した上で、是正指示のみを出していたということだ。係争委は協議するよう結果に書いたのに、国は完全に無視したのだ。


(2)国は、岩礁破砕許可の取消で、工事が停止する(=違法行為)と認識

15年3月の執行停止決定当時、国は、

・岩礁破砕許可がないと工事ができない(=違法となる)
・現に岩礁破砕を実行(=行為がなければ直ちに停止する必要がない)

と自覚していた、ということだ。

国の言い分は、「合法的に岩礁破砕許可を取得」し、「工事には岩礁破砕は必然で、今も破砕してる」(=なので、許可がないと工事できない、と思っている)のに、取り消されたら困るので、大臣権限により緊急だから「執行停止」を決定したのだ。今、破砕してなくて、これから将来に破砕する気です、ということなら、直ちに執行停止する理由にはならない(緊急性の要件を満たさない)のである。


執行停止決定書(平成26年3月30日 26水管第2801号  林芳正 農林水産大臣)には、


国が事業者である場合も沖縄県知事の許可が必要であることは、私人が事業者である場合と変わりない

普天間飛行場代替施設建設事業が大幅に遅れることとなるため、普天間飛行場周辺住民に対する危険性や騒音の継続による損害、日米両国間の信頼関係への悪影響による外交・防衛上の損害等といった回復困難で重大な障害が生じ、当該損害を避ける緊急性がある』(との審査請求人の申立ては相当である)

との記載があった。これは全て「国の主張」である。


(3)岩礁破砕許可の根拠法

直接的には、条例である。

沖縄県漁業調整規則

○第39条
 
漁業権の設定されている漁場内において岩礁を破砕し、又は土砂若しくは岩石を採取しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。

2 前項の規定により許可を受けようとする者は、第9号様式による申請書に、当該漁場に係る漁業権を有する者の同意書を添え、知事に提出しなければならない。

3 知事は、第1項の規定により許可するに当たり、制限又は条件をつけることがある。


本条例の制定根拠は、主に漁業法65条と水産資源保護法4条など、である。

後で詳述するが、国と沖縄県の裁判では、国側主張が「漁業権を放棄した区域なので関係ない」的なことを言うが、行政の主張とは到底思えないものだ。

水産資源の保護は、現在の漁業の考慮に留まらず、将来にわたる資源の保護培養をも考えるべきことであり、連接する水面であるのだから、水産資源保護法に従い、知事の管理権限に服する、というのが常識的であろう。知事の許可は不要、などという主張は、目先の自己利益しか考えぬ愚か者と見える。水質は、海面に線を引いてきっかり区分できるものでもなかろうに。


水産資源保護法 
○第四条 

農林水産大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、特定の種類の水産動植物であつて農林水産省令若しくは規則で定めるものの採捕を目的として営む漁業若しくは特定の漁業の方法であつて農林水産省令若しくは規則で定めるものにより営む漁業(水産動植物の採捕に係るものに限る。)を禁止し、又はこれらの漁業について、農林水産省令若しくは規則で定めるところにより、農林水産大臣若しくは都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることができる。

2 農林水産大臣又は都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、次に掲げる事項に関して、農林水産省令又は規則を定めることができる。

一 水産動植物の採捕に関する制限又は禁止(前項の規定により漁業を営むことを禁止すること及び農林水産大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることを除く。)

二 水産動植物の販売又は所持に関する制限又は禁止

三 漁具又は漁船に関する制限又は禁止

四 水産動植物に有害な物の遺棄又は漏せヽ つヽその他水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限又は禁止

五 水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止

六 水産動植物の移植に関する制限又は禁止



B) 漁業権に関して

(1)名護漁協の漁業権放棄について

那覇地裁の判決文によれば、名護漁協は第1種及び第2種共同漁業権を知事から免許されている漁業協同組合である(埋立区域含む海域)。
最高裁判決が出される少し前の16年11月28日に、埋立区域の漁業権の消滅(放棄)に同意する特別議決を行った。それ以前は、当該海域の漁業権は放棄されていなかった、ということになる。
仲井真前知事のした(14年12月の)埋立承認の際にも、当該海域における漁業権は残存していた、ということを意味する。恐らく、防衛局は同意申請書等の形式的な文書は出していたかと思うが、特別決議の前までは権利関係で言えば「当該海域の漁業権はあった」と考えられる。

参考までに、こちらの地裁判決
>http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/236/018236_hanrei.pdf

少々古いが、埋立免許の取消理由として、漁業権の残存を指摘されているものだ。最高裁では、原告適格により敗訴したと思うが、それは「漁業権がある」と主張した原告は、名護漁協のような免許を受けた立場ではなかったから、と見られる。


(2)名護漁協の特別決議を沖縄県知事はどう捉えるか

国との裁判で、県側の主張は分からないではないが、差止め訴訟ってことや岩礁破砕許可の権限側と漁業権者との関係性などが、訴訟の建て付けには向いてないというのが、拙ブログの受け止め方である。
漁業権を有する民間人が、国を相手に裁判で争う、というわけではないので、裁判上での話の切り分けがうまくいかない。国や裁判所は、ひたすら「差止め訴訟」とか「原告適格」などという、昔からよくある「敗訴させる手口」を問題にしてくる。訴訟の技術論的というか、テクニック的な部分を問題にされると、重要な点がボカされてしまうのだ。


単純化して言うなら、「漁業権」の全部又は一部放棄は、恐らく条文上の取り扱いとしては自由って主張されるだろうし、これを争う意味はない。国などが言うように「漁業権の放棄に知事の許可は必要ない」というのは、そこだけ見れば正しい。
それは、敢えて「漁業権の放棄」と焦点化しているから、だ。

沖縄県と知事は、国が言うように「刑事罰を与えること」が権限なのだから、民事訴訟とかではなく、刑事告訴で対抗したらよいのだよ。


(3)名護漁協の放棄はどういう手続になるのか

防衛局が言うのは「水産業協同組合法」の特別決議、らしい。

水産業協同組合法
○第五十条 

次の事項は、総組合員(准組合員を除く。)の半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上が出席し、その議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 組合の解散又は合併
三 組合員の除名
三の二 事業の全部の譲渡、信用事業、第十一条第一項第五号若しくは第七号の事業(これに附帯する事業を含む。)若しくは共済事業の全部の譲渡又は共済契約の全部の移転
四 漁業権又はこれに関する物権の設定、得喪又は変更
五 漁業権行使規則又は入漁権行使規則の制定、変更及び廃止
六 第三十九条の六第四項の規定による責任の免除


過半数以上の出席で、3分の2以上の賛成があればいいよ、ということらしい。

だが、本当にこれだけか?
漁業法22条等の「漁業権の放棄」から離れて、もう少し見てみよう。重要条文は8条である。非常に長くて読み辛いが、ご勘弁を。


漁業法
○第八条
 
漁業協同組合の組合員(漁業者又は漁業従事者であるものに限る。)であつて、当該漁業協同組合又は当該漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会がその有する各特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権ごとに制定する漁業権行使規則又は入漁権行使規則で規定する資格に該当する者は、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有する当該特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権の範囲内において漁業を営む権利を有する。

2 前項の漁業権行使規則又は入漁権行使規則(以下単に「漁業権行使規則」又は「入漁権行使規則」という。)には、同項の規定による漁業を営む権利を有する者の資格に関する事項のほか、当該漁業権又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域及び期間、漁業の方法その他当該漁業を営む権利を有する者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項を規定するものとする。

3 漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、その有する特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権について漁業権行使規則を定めようとするときは、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)の規定による総会(総会の部会及び総代会を含む。)の議決前に、その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員。以下同じ。)のうち、当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者(第十四条第六項の規定により適格性を有するものとして設定を受けた特定区画漁業権及び第一種共同漁業を内容とする共同漁業権については、当該漁業権に係る漁場の区域が内水面(第八十四条第一項の規定により農林水産大臣が指定する湖沼を除く。第二十一条第一項を除き、以下同じ。)以外の水面である場合にあつては沿岸漁業(総トン数二十トン以上の動力漁船を使用して行う漁業及び内水面における漁業を除いた漁業をいう。以下同じ。)を営む者、河川以外の内水面である場合にあつては当該内水面において漁業を営む者、河川である場合にあつては当該河川において水産動植物の採捕又は養殖をする者)であつて、当該漁業権に係る第十一条に規定する地元地区(共同漁業権については、同条に規定する関係地区)の区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意を得なければならない。

4 前項の場合において、水産業協同組合法第二十一条第三項(同法第八十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により電磁的方法(同法第十一条の二第四項に規定する電磁的方法をいう。)により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面による同意に代えて、当該漁業権行使規則についての同意を当該電磁的方法により得ることができる。この場合において、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、当該書面による同意を得たものとみなす。

5 前項前段の電磁的方法(水産業協同組合法第十一条の二第五項の農林水産省令で定める方法を除く。)により得られた当該漁業権行使規則についての同意は、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に到達したものとみなす。

6 漁業権行使規則又は入漁権行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。

7 第三項から第五項までの規定は特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更又は廃止について、前項の規定は漁業権行使規則又は入漁権行使規則の変更又は廃止について準用する。この場合において、第三項中「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と読み替えるものとする。



第2項の『漁業権又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域及び期間、漁業の方法その他当該漁業を営む権利を有する者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項』が、本件名護漁協の特別決議の内容を言うものではないか、ということである。
元の漁場の漁業権と、特別決議後の漁業権での決定的な違いは、当該海域を「漁業の区域」に含むか否か、であり、漁業権の分割変更か放棄かを争点とすることなく、「漁業権の内容」により「漁業権行使規則の変更」として取り扱うものである。


第1項から、漁業権を有し漁業を営むことができる者は、漁業権行使規則で資格を認定された者である。
3項により、漁協の決議前に、地元地区居住の漁業権のある漁業者の3分の2以上の「書面の同意」か電子的ファイルによる同意(4、5項)が必要となる。

本件の名護漁協の場合で見れば、7項から

・第一種共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更(3~5項の適用)
・漁業権行使規則又は入漁権規則の変更(6項適用)

と考えられるだろう。

6項とは、『漁業権行使規則又は入漁権行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない』とする規定なので、知事の認可がない限り「漁業権が放棄された、当該区域に漁業権は存在しない」などという主張は、通用しないということだ。


通例に従い、漁業権行使規則又は入漁権行使規則の認可申請を漁協が実施し、その認可が出た後であれば漁協の決議の効力は認められよう。同時に、認可申請にあたり、地元漁民の3分の2以上の同意を得たとする書面または電子的同意書が提示されなければならない。
(よもや、これから文書偽造なり捏造でも始めようって魂胆ではあるまい?)

これが議決前に集まってなければ、特別決議は無効である。


(4)漁業調整規則の違反に対してどうするか

国は、刑事罰で対抗せよ、と主張するのだから、刑事告発するべきだ。工事続行により、17年4月以降に岩礁破砕は実行された。現実に破砕してないなら、知事に認可申請しても問題とはならないからだ。

沖縄防衛局長と、現場で工事を実行している者たちは、条例違反容疑で逮捕起訴される可能性がある(規則52条1項)。

ここで前記A)に戻るわけですよ。
国は、埋立工事続行の為には、岩礁破砕許可が必要であり、これが取り消されると工事が停止してしまい、甚大な被害を蒙る、だから、緊急性と重大性があるので「執行停止を決定」したんだ、と。


破砕許可がないと、工事が違法行為になることを、十分に自覚しているからなのだよ。何なら、被疑者不詳でもいいので、工事現場の連中を海保に連行してもらえ。国が違法工事をやる際には、何らの法的根拠もないくせに、一般国民の身柄拘束を強制的に実施したわけで、今度は身内を連行してもらえ。


C) 最高裁判決の重大な瑕疵

さて、最高裁判決によれば、違法確認訴訟において「前知事のした承認は瑕疵がなかった」、故に翁長知事のした承認取消処分は違法、との認定だったわけである。

ところが、だ。
名護漁協の漁業権問題はどうなったのか?
国の主張によれば、16年11月28日の特別決議でもって当該区域の漁業権放棄が同意された、ということだ。前知事の埋立承認はそれより以前だが?


公有水面埋立法を再度確認しよう。


○第四条 3項 

都道府県知事ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者アルトキハ第一項ノ規定ニ依ルノ外左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ非ザレバ埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ス

一 其ノ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者埋立ニ同意シタルトキ
二 其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ
三 其ノ埋立カ法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ為必要ナルトキ



○第五条 

前条第三項ニ於テ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者ト称スルハ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ヲ謂フ

一 法令ニ依リ公有水面占用ノ許可ヲ受ケタル者
二 漁業権者又ハ入漁権者

(以下略)



さて、5条の2号で言う「漁業権者」の同意(4条3項1号)は、どうなっていたのか?
当該海域の漁業権を有する名護漁協は、16年11月の特別決議以前には漁業権を放棄していなかったことは明らか。国自身が裁判でそう言っている。埋立が実行されると、当該海域の漁業権は将来にわたり消滅してしまうし、その不利益を蒙ることは明らかだ。漁業権の放棄に同意するということは、埋立の不利益(=漁業権の消滅)を経済的に相応の埋め合わせをしてもらうことで我慢する、というようなものだ。


そうすると、14年12月時点での前知事のした埋立承認の処分には、瑕疵があったと言える。公水法4条3項1号の要件を満たさぬまま承認してしまった、ということだ。最高裁の裁判官は、このことを見落としており、十分精査することもなく「瑕疵がない」と安易に断言したも同然だ。


更に、あたかも漁業権者の同意が得られているようなふりをして、国はその事実を隠したまま承認申請しただけでなく、これまでの裁判等沖縄県とのやりとりを経てきたわけで、詐欺的行為に匹敵する。沖縄県を騙してきたに等しいのだよ。

かてて加えて、岩礁破砕許可が必要であることを知りながら、許可申請が不要との独自論を展開し、勝手に工事を続行してきた違法があり、言語道断である。行政がとるべき態度ではない。違法を認識したまま、漁業権は放棄され存在しない、などという、ありもしない論拠だけで違法に許可申請をせず岩礁破砕行為を行ってきたことは明白である。

よって、埋立承認を取り消すに十分すぎる理由があるが、取消処分は最高裁に一度阻止されてしまっているので、撤回事由とするよりない。承認後に発覚した事実であるので、撤回でよいと思う。

参考までに、公水法の取消事由を見れば

○32条

一 埋立ニ関スル法令ノ規定又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキ
二 埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ノ条件ニ違反シタルトキ
三 詐欺ノ手段ヲ以テ埋立ニ関スル法令ニ依ル免許其ノ他ノ処分ヲ受ケタルトキ
四 埋立ニ関スル工事施行ノ方法公害ヲ生スルノ虞アルトキ

(以下略)

となっているので、国のやったことは、各号いずれかに該当するだろう。
埋立承認の撤回になっても、それは自業自得であり、当然の報いだろう、ということだ。



辺野古沖埋立承認の撤回について

2018年07月28日 17時52分58秒 | 法関係
翁長沖縄県知事が埋立工事の停止に向けて、撤回の表明を準備との報道があった。が、何故これほどの時間を要したのか、知事周辺の幹部や法曹諸君の適切な助言もなかったのはどうしてなのか、残念に思う。

しかしながら、最後のチャンスに賭けようとしてくれることについては、感謝申し上げたい。今度こそは、国の鼻っ柱をへし折って欲しいものだ。そこは何としても応援したい。


ただ、現知事が誕生してから、時間だけが漫然と過ぎたことに憤りを感じざるを得ない。また最初の時点から、撤回を表明すべきと拙ブログでは書いてきたので、取消処分を出して敗北の道を選んだことについて、大きな後悔がある。

更には、国が仕掛けた詐欺同然の和解案にあれほど易々と同意してしまい、まんまと自ら罠にハマったことも、かえすがえす残念でならない。笑える程にあからさまな罠なのに、恐らくあれを受け入れるよう知事を唆した人たちがいたのかと思うと、内通者でもいるとしか思えなかった。


報道では、国が撤回の差止めか何かを裁判所に請求するから、工事は続行される、とかいうインチキ解説があったわけだが、国も裁判所もバカで結託しているなら、確実にそうなるわな。だって、法を完全無視できるので(笑)。


沖縄県の公開資料の一番ダメな部分は、国が沖縄県宛てに発出してきた文書を全く載せていない所だ。

そもそも国が県宛てに出した公文書なので、よほどの個人情報が記載されている部分でもない限りは、原則公開で何ら問題ないだろう。これを敢えてさせないようにしているのは、恐らく県庁側の内通者がいるせいだろう。一番肝心なのは、自分たちが主張したい点を大量に書いた文書、じゃない。
「国が出した文書」なんですよ。
以前からずっと言ってるが、15年3月頃から始まった行政不服審査法上の審査請求からの文書こそが、最も大事なんです。それが読めないことが、どれ程の不利になるのか分かっていないのでしょう。

国に公開請求をしても、多分、ほぼ開示拒否されるでしょうね。だって読ませたくないから。けれど、沖縄県にも同じ文書が存在しているので、沖縄県はこれを開示できるんですよ。どうして、それをやらないのかが理解できない。

恐らく、国から「代執行訴訟までの過程の文書類は公開するな」ということで、言われた通りにやってるだけだろう。
国に対抗する手段の大きなものは、情報をできるだけ広く公開すること、なんですよ。弱者が強者に対して取り得る、最も有効な戦法は、情報公開なんですよ。


○15年3月 岩礁破砕許可関連
・「執行停止決定」文書(農水大臣)A
・防衛局が農水省に出した審査請求の文書

○15年10月 埋立承認取消処分関連
国水政第48号~56号、和解後の取消関連文書(第100号前後?)が重要

・「執行停止決定」文書(国交大臣):国水政第 ?号B
・防衛局が国交省に出した審査請求の文書:
・国交大臣が法245条の八に基づき出した是正勧告文書:国水政 ?号
・同、是正指示文書:


○16年3月の代執行訴訟の和解後に出した
・国交大臣の出した「執行停止決定B」を取り消す文書:?
・国交大臣が法245条の七に基づき出した是正指示文書:国水政101、102号
・農水大臣の出した「執行停止決定A」を取り消す文書:?


国(防衛局)が審査請求を取り下げました、なので、審査請求と執行停止は自動的に消滅しました、などという論法は、多分ないと思うが、クズ官僚どもは相当バカなので、何かやらかしているかもしれず、もし「執行停止決定を取り消す文書」が沖縄県側に来てない場合には、国の違法確認訴訟の存在そのものが異常(違法に決まってる、論外w)なので、知事権限が停止されたまま復活されていなければ、不作為などありようがないはず。


仮に「執行停止決定の取消文書」があるとして、
国土交通大臣は、

ア)回復不可能な損害(重大性)と緊急性、公益を理由に執行停止を決定した

のに、これを「取り消した」のは確実。
つまり、『ア)は偽』ということである。もしも国が当初から言っていたように、『ア)が真』ならば、国交大臣はこれを取り消すことができないはずだから、である。国は、沖縄県に対して嘘を言った、ということだ。


行政の処分に関して、審査庁はその権限により職権で「執行停止」ができるんですよ。何故なら、例えば処分庁が誤って処分を実行してしまい、その結果が重大な損害を招くなら、審査庁たる上級庁がその処分の効力を停止する、という安全装置的な役割を担うのは当然だから、だ。


ネット上もよくいるし、調子のいいテレビ評論家なんかだと、いつもその場しのぎの都合のいいことしか言わないから全然気にならないだろうが、首尾一貫性の欠如した国、行政の杜撰さゆえに、毎度コロコロと言うことを変えるってことだな。

さて、石井国交大臣がやってきたこと、というのは、埋立工事続行の為に

①:知事の取消処分の執行停止
②:「取消処分を取り消せ」と指示
③:①の停止を取り消し(=①の嘘を認めた)
④:②の指示を取り消し(=代執行手続きを全部放棄)
⑤:やっぱ「取消処分を取り消せ」と指示(=係争委審査後の別な指示)
⑥:知事の「撤回を停止する」つもり←今ココ


要するに、ただの詭弁士だろ(笑)。毎度毎度、コロコロと言い分を変えてくる、インチキペテン師野郎みたいなもんだ。
緊急性と重大性の要件を否定できないと、大臣が出した「執行停止決定」を取り下げることなど不可能なんだよ。つまり、知事権限(撤回)の「差止め」などあり得ないってことだ。


③と④の取り消した時点で、国交大臣自らが、大臣権限を「全部なかったことにする」って訴訟相手の被告である沖縄県知事に向かって「宣言(=訴訟上の和解)」したんだぞ?


旦那「離婚を取り消せ!」
奥さん「いやだね」
旦那「分かった、じゃあ和解しよう、互いに話し合おう」
奥さん「条件を話し合うなら、和解してもいいよ」
旦那「まんまと引っ掛かったな、離婚を取り消せ」
奥さん「ハア!?」


こうやって騙された奥さんみたいなのが、沖縄県の立場ってことだわ。和解に同意した途端に、騙されたってわけ。違法確認訴訟の顛末は、こういうことなのだが、これをひた隠す国のクズども。
法務省の無能官僚どもが束になってやったのが、代執行訴訟だったってわけ。これに加担したのが、最高裁以下、高等裁判所ってことだ。バカとクズが徒党を組むとこうなる、の図。

法も何も無視して、滅茶苦茶をやった側(国)が、圧倒的権力でもって、いかようにも勝てるって寸法なんだよ。バカほど有利。


撤回は、

・当該埋立予定の海を完全排他的に利用できる法的根拠は、米軍にはない
・国民の当該海洋区域を利用できる権利は、日米安保条約と日米地位協定を根拠に制限できない(国内法がない)

この2点は、福岡高裁那覇支部及び最高裁の判決確定で明らかとなったので、これを理由にしてよい。



合衆国海兵隊に告ぐ。

SACOに基づき、5~7年を目途に普天間基地を返還しておれば、辺野古沖の埋立工事も基地建設も必要がないものを、愚連隊のごとき寄生虫が居座り続けるせいで、大勢の日本国民が、特に沖縄県民が苦しむんだ。

基地建設の理由は、日米地位協定だけであり、辺野古の当該地に新基地を作る根拠は国会が決めたものなど、何一つないんだぞ。諸悪の根源は、海兵隊なんだよ。


何が、自由の海、だ。
米軍に、「航行の自由」などと言う資格なぞ、ないわ。世界最低の、単なる虐殺組織だろうに。
カネの為なら、どんな卑怯で汚い暴力も厭わない、無防備な群衆に平然とミサイルを叩きこみ、無人機攻撃をいくらでもぶっ込める、真の狂暴マシンだろ。

お前らが、人々の自由を奪っているんだ。日本国民の自由や権利を、暴力でもって蹂躙しているんだ。その下請けを、アベにやらせているんだよ。

アベは、米軍の代わりに、日本国民をいたぶり、暴力と恐怖で支配しているんだ。辺野古沖の違法な身柄拘束をやってるのを見て見ぬふりして、それのどこが「法の支配」なんだ。恥を知れ。

マフィアやギャング以下の存在、それがアベ傀儡軍事政権の正体なんだよ。アベの類友が、お前ら愚連隊ども、軍事組織だの情報機関だのといった国家組織の複合的関与、だろうに。


お前らは、アベと同類だ。
まさに、「アベのトモダチ」なんだよ。クズ同士がつるむんだ。


法を無視する、規範を破壊する、常に嘘をつく、他人を騙す、情報支配で大衆を騙し支配する、暴力と恐怖支配が大好きで大得意、人殺しが大好きで止められない、他人からカツアゲでカネを巻き上げる、騙してふんだくる、いつでもどこでもやりたい放題。


それが、アベと米軍の共通点。
困ったら、いつもの「ちゃぶ台返し」。


何万人もの日本人が死んだんだ。
ヤツらのせいで。


この耐え難い苦しみは、虐殺側には理解できないのだよ。ヤツらは殺すことが好きだし、仕事だから、だ。


神は、ヤツらに罰など与えないんだよ。
だって、神はどこにもいないから、だ。
虐殺者どもを野放しにしておくことに、どんな意義があるというのだ?


本物の悪党どもは、永遠に栄華を貪るのさ。
真の暴力こそが、勝利できるんだ。


いつの世だって、同じさ。

ヒトラーが支配していた世界とて、同じようなもんだ。

普通の人々には、どうすることもできないんだよ。

所詮、大衆は大衆でしかない。狂気が法をねじ伏せる、それが世の中の仕組みなのさ。



タイの洞窟の少年たちの救出作戦について

2018年07月06日 08時22分41秒 | 俺のそれ
よく知らなかったのだが、タイの洞窟内に少年たちが閉じ込められているらしい。

水が溜まっており、そこは潜水しないと通過できないので、救出ルートが作れず困っている、との事。


先程、ネット記事で少し見たので、素人考えながら、少し思いついたことを書く。


まず、脱出路の全行程が水没しているわけではないと思うので、水深の深い地点をどう通過するか考えた。

用意するもの

・ビル火災の時に降りる為の避難器具に似た、円筒形のシューターのようなもの
(ウォータースライダーの時のチューブ状のようなもの、周囲が軟かい、形状変形が自由にでき、水を通さないもの)

・タイヤのチューブ(浮き輪状、ドーナツ型)


洞窟の水没地点の距離によるが、チューブを水中を潜らせて、進入地点と脱出地点に両端を設置。このチューブの周囲には、タイヤのチューブ数個のドーナツ状の所を通しておき、設置後空気を入れて膨らませる(浮き輪がわりに使う)。

洞窟の岩肌が鋭利だとチューブに穴が開き、中に水が入ってしまうと通過路にならなくなるので、要注意。

チューブ設置は潜水斑の人たちがやる。
チューブを洞窟水没地点の両端に通せたら、内部の水を抜いて、潜水が必要な地点をチューブ内を通って脱出する。チューブは周囲に浮き輪があれば人が通っても沈没はしないはず。

これだと潜水せずとも通過できるかもしれず、水中トンネル的に使うということである。
救出班の専門の人が1人、先導して、後続に少年を一人ずつトンネル内を進む。映画のエアダクト内をハイハイするように、水中トンネルを進むのである。


水没地点の距離が遠い場合、チューブの連結とか、水中を最初に運ぶ作業が難しいかもしれないが、素材が蛇腹風に延ばせるものであれば、通した後で水さえ抜ければ、周りの浮き輪が支えてくれるかと思うが、どうだろうか。


入口部と出口部は、杭等でしっかりと固定する。人が出入りしても、水没しないようにしておく。


途中で破れたり裂けたり穴が開くと、水が入ってきて最深部に水が溜まるので、危険になるから、素材は丈夫さと水を通さないことが必要。


要するに、ドーナツ状の浮き輪複数個の中心部分に、チューブ状のものを通して、それを水中トンネルとして使う、ということである。
設置さえできれば、チューブトンネル内の水を抜くのは、最悪機械がなくても可能かと。高低差があれば、サイフォンの原理で排水できる。


可能かどうか分からないが、何かのヒントになれば。

できるだけ早く、少年たちが無事救出されることをお祈りしています。


※※11時半頃、追記:

水中に設置するトンネル部分の素材なのですが、丈夫なゴムボートみたいな材料か、飛行機の脱出用シューターの筒状になっている部分で、サイズが合いそうなものはないでしょうか?

恐らく直径50センチ程度あれば、人がハイハイで進むことは可能かと思うのですが、どうでしょうか?
何か、ゴム屋さんとかで、そういう筒状にできるものをご存じであれば、検討したり材料提供とか、お考えいただけないでしょうか?


14時半ころ追記:

救出作業の隊員が酸欠で死亡との報道が。悼ましいことです。残念です。
どうやら洞窟内は距離が相当遠いようなので、空気(酸素)ボンベが切れるらしい、と。

救出作戦の前線基地みたいなのを作っているとは思うのですが、洞窟内をボンベを移動させるのはかなり難しいので、できれば深海探査等でも耐えられるような、耐圧ホースを伸ばすことはできませんでしょうか?


洞窟外の巨大ボンベから、ホースを数百mとか1km先まで伸ばせると、その地点にカラボンベを置いて、充填をしなおせるのでは?

これと似た作業を繰り返して、重いボンベを運ばずとも済むように、耐圧ホースの先を中継地点ごとに伸ばすのはどうでしょうか?バケツリレーでなく、ボンベリレーっぽい方式という意味です。

これだと、奥から戻ってきて空気充填を繰り返せる距離が短縮できるのでは?


・入口ボンベ ~耐圧ホース~
・中継地点A ボンベA1、A2、A3、…… ~耐圧ホース~
・中継地点B ボンベB1、B2、B3、…… ~耐圧ホース~
・中継地点C ボンベC1、C2、C3、…… ~耐圧ホース~
  ……

みたいに、次の地点のボンベに耐圧ホースを通じて空気を順送りにする。ボンベを運搬する手間が減らせるかも、と。パイピングの挿入口と開閉バルブ(コック)が付いているものがあればいい。カラになったボンベに順次、空気充填を繰り返す。

高圧ホースを延長してゆく作業の時、蛍光テープをところどころ巻いた方がいいかも。万が一、トラブルでホースの位置を探す時、見つけ易いように。ネットで探すと専用のジョイントがあるようなので、継ぎ手で先に伸ばしてゆけば、1km先とかまで到達できるようになれば、ボンベ運搬作業は楽になるかもしれないし。


洞窟内の完全潜水が必要でない場所なら、高さが40センチ程度天井まであれば、「いかだ」方式で渡れるかも。
よく大きな川や水辺の向こう岸へ渡るのに、ロープ伝いに行くという方法。

ゲレンデのリフト方式みたいに、ロープを輪にして、水の向こうとこちら側とを連絡させる。ロープを手繰ると、くくりつけてある浮輪か小さいゴムボートで渡り切れるのでは?


完全水没してて、潜水が必要な個所については、上に書いたような水中トンネル式のゴム筒のようなものか、塩ビっぽい蛇腹の筒かをハイハイして渡る。筒の設置さえできれば、くぐり抜けることはできるはず。筒内の水抜きも、普通のゴムホースがあれば、息で吸い出して低い地点に流せば排出できる。よく途上国の車のガソリン泥棒が抜き取る手口と同様だ。


できれば、最前線基地は、潜水必要な洞穴部分の出口側に設置できるといいのだが。それがどれくらい奥なのか、高さがあるか分からないんだが。

洞窟内の地形とか、水没してない地点の状況が全然分からないのだが、一番の難所のトンネル方式だけど、水を抜ける高低差がないなら、ゴムいかだを入口側に並べて設置し、その上に空気ボンベ等を置けるようにする。救命用のほどくと自動的に膨らむやつを持って行ってもいいのでは(空洞内のサイズが分からないので、サイズに合うもの)。

水面に救命いかだみたいなのを中で膨らませて連結して並べれば、最前線基地の代わりになりませんか?


あと、設置したゴム等のトンネル内の水を抜くのに、小型ポンプをゴムいかだに乗せて作動させれば抜けるのでは?

狭い空洞内を向こう側とこちら側で筒状のトンネルを設置するのは大変だと思うが、できないでしょうか?
入口を沈まないように固定できるものがないかもしれないですが、それも、少年たちのいる側に陸地部分に固定する、か、ゴムいかだを連結して並べて、入口部分をそこに挟み込むことで沈まないようにする、とか。


更に追記17時頃:


ゴムチューブっぽい、水中トンネル設置がどうしても難しくて不可能、として、他の案ですが、結構チャレンジになるかと思いますけど、時間との勝負なので、書いてみます。

まず理屈から説明しますと、一番狭い潜水部分を、「水枕のようなゴム製の袋」の形で、ロープで前後から引く、というものです。密閉性があればよく、内腔の空気が10リットル程度あれば呼吸は20分程度は耐えられるのでは。

ゴム製の繭のようなもので、その中に少年を入れて、潜水部分をその袋を引っ張る、ということです。素材が丈夫じゃないと裂けてしまうと大変なので、密閉性と丈夫さが必要です。潜水が必要な部分をその袋を往復させることで、脱出させます。

とは言うものの、本当にゴム製の密閉袋が破れないのか、少年を入れて口を閉じるわけですが、そういう構造を持つものが存在しているのかどうか、は分からないのです。


連絡用ガイドロープを通し、袋の往復に必要な人員を配置して、相互に引くということになります。内部に人が入っていなければ、戻すのは比較的簡単だと思いますが、重量のある人間が入ると、岩盤に擦れたりして外皮が裂けるのではないか、という恐れがあります。それこそホバークラフトの材料のような頑丈さが必要かもしれませんが、水枕ふう、若しくは繭の往復作戦、はどうでしょうか?


今の処、最難関部分の通過方法として、拙ブログで思いつくのは、トンネル方式か、繭方式、くらいです。



これからもっと「自分たちのサッカー」の追究を続けてほしい

2018年07月05日 20時50分11秒 | 俺のそれ
大勢の人々が口ぐちに惜しかった、残念だった、と語り合ったことだろう。

本当に、本当に惜しかった。ここまで悔しく残念な気持ちは、滅多にない。

この責任は、ぼくにもあるのではないかと、反省している。すまない。


大反省会の記事は1日時点で書いており、ネットに公開したのは、ベルギー戦の開始直前のセレモニーの時間帯だった。

それは、試合前の時点で、心の奥底でぼく自身が日本代表の勝利を信じ切れていなかった、ということだ。
その報いを自分で受けたように感じた。


まるで魔法が解けたように、勝ち運が逃げて行った。
ぼく自身の呪いのせいで負けたのかもしれない、とさえ思えた。
あれは、試合前には書くべきではなかった。


本当に申し訳ない。


けれども、世界中に、勇敢に戦う日本代表の姿を見せることができて、とても誇らしく思った。
これが、日本のサッカーなんだ、と、心の中で叫ぶことができた。セネガル戦でも、ベルギー戦でも、年甲斐もなく涙ぐんでしまったぞ。日本のサッカーは、決して惨めで、弱いわけじゃないんだ、って。


こんなに頼もしく、逞しく成長できるんだな、と思った。

選手たちには、戦う力は備わっており、世界と戦う能力は「もう持っていた」んだ。

ただ、それが、うまく機能してなかった、効果的に働かなかった、というだけなんだ。足りなかったのは、勇気と自信だった。それを取り戻してくれてから、再び輝き出した。


あともう少し。
日本のやってきた「自分たちのサッカー」は、今、この場所まで、ようやく辿り着けた。


ベルギーが最後に見せた、電撃カウンターアタックは、日本の目指すスピードとパスを組み合わせたプレーのお手本だ。
コロンビアのドリブル突破への対応、セネガルの高速攻撃、これらの戦いがあったことで、ベルギーの速い攻めにもある程度ついて行けたんだと思う。セネガル戦での高速カウンターを経験したからこその、ベルギー戦での守備のバランスがあった。ただ、最後の1プレーだけは、それができない形になっていたが。幾度かは封じていたんだ。


日本は対戦相手に鍛えられたと言っても過言ではない。

日本のパスサッカーは、以前よりも増して、全体の保持力・パス精度が向上した。一人や二人のレベルではダメで、全般的によくなったことで、戦えるスタイルになった。


何より重要なのが、判断のスピードだ。相手の仕掛けてくる動きは、ベルギーは顕著だったが、凄く速い。襲ってくるレベルが、ハンパない。そこにボール奪取されないようプレーをするのは、大変なのだが、随分と進歩がうかがえる。

判断の速度は、攻撃面でも劇的に効果となって現れた。


少ないボールタッチで、シュートまでつなげられるようになった。速いサッカーをやっていたからこそ、得点に結びついた。

以前は、どれも似た調子だったが、今の進化型はパスワークに強弱がある、という点だ。視野の広さ、判断の速さ、それらの改善が、攻撃面でも良くなっているのだ。パサーに限らず、受け手も同じようにできなければならない。チーム全体の速度が上がれば、チャンスも増える。


短手数で仕掛けることができるので、相手の速いサッカーにも着いていける。

パスワークを、かわす、いなす、呼吸や陣形を整える、相手を走らせる、相手陣地を動かす・崩す、という機能別に使い別けることができつつある、ということ。

攻撃時には、コロンビア戦の先制点のように、香川~大迫、シュート、と一気に行ける時は仕掛ける。セネガル戦でも、柴崎~長友~乾の得点とこれも同様。ベルギー戦の先制弾も拾って~柴崎~原口、シュートまで、と速攻型がうまく決まるようになったのが大きい。


後ろから組み立てて、サイドからパス交換でシュートまで行く、という形も残ってるので、視野と判断の速度の改善は著しい効果を生んだはず。

攻撃面ではそうなのだが、守備ではどうなのか、というと、まだ守備が好きな国~例えばスウェーデンとかスイスとかのようにはできないので、守ってる時でさえ「チャンス」って思える何かが育めるといいのかも。気持ち的に難しいんだけど。


先に書いたように、パスを守備的な形で有効に使いこなせるよう、「試合運び」の面で向上が期待される。その試合の流れの読み、評価、分析、という点で、日本は強豪国に対する「勝ちグセ」がないんだな。いつまでも大金星、の気分じゃダメってことだな。強者のメンタリティというのを学ぶ必要がある。2点リード、ほい、いただきました、的な。野球で言うなら、圧倒的な「クローザー」出てきて、ああ、終わったな、と意気消沈させるようなもの。


日本がもっと強くなるには、そういう相手を畏怖させるような、取りこぼしなし、的な部分が必要。
強者の試合運び、的な部分も。
本格的な守備戦術の研究も。選手の判断の速さが向上しても、ベンチの速さが劣ったままではダメに決まっているのです。


次の4年後に、また夢を膨らませて待っていたい。更なる高みを目指してほしい。


サッカーW杯2018 ロシア大会 ベルギー戦

2018年07月03日 05時03分04秒 | いいことないかな
惜しかった。

が、夢を見させてもらえました。ありがとう。


お疲れさまでした。


見事な原口の先制ゴール。カウンターで、柴崎からのスルーパスを決めた。

乾のゴールも素晴らしかった。

だが、その後の守備に綻びが生じた。

試合運びは2-0までは上出来だった。勝ったと思った。


だが、ここからがまずかった。焦りの見えたベルギーに、不用意な失点をしてから、流れが変わってしまった。

最後は絵に描いたようなカウンターで負けたが、止められなかったのか…と思うが、残念な結果だった。勝ち越し点が終了直前だったのも、凄く残念であった。


やはり、キーパーの質は大きく影響する、ということだった。ベルギーとの差は、本田のFKを止めた相手のキーパーは上だったということかと。


本当にありがとうございました。



サッカーW杯2018 ロシア大会 オレ的反省会

2018年07月01日 16時39分58秒 | いいことないかな
(これを書いているのは、7月1日である。ベルギー戦の結果をまだ知らない。拙ブログの意見は、結果に左右されない。ただ、試合前に公開することは、さすがにできなかった)

まず、決勝Tに進めたこと、これは、素直に有難うと御礼を述べたい。チームはよくぞ戦ってくれました。特に、急造監督の下で、短期間の中で色々なことを示してくれましが、今後日本が強くなる為には反省が必要と思います。そういう意味においても、非常に良い大会だったと思います。


1)サッカー全体について

かつての所謂伝統的な強豪国と、周辺の上位国の実力差はかなり縮小し、スター選手を擁するチームといえども、簡単には勝てなくなった。守備側の研究とか向上が進んだから、ということがあるのかもしれない。DFにも高度な能力を要求されるようになっており、特に状況判断能力が勝敗を分けるような感じになっているかもしれない。

攻撃面では、やはり「スピード」が以前にも増して重視されるようになったと思う。守備側の組織力向上により、局面を打開するにはスピードに乗った攻撃が重要になっているのでは。これは守る側から見ると、中々対策が難しいからだろう。

他には、やはりデータ分析が以前とは比べ物にならないくらいに進んでいて、選手のパフォーマンスは勿論のこと、チーム戦術の理解の上でもかなり大きな影響力を持つようになっていると思う。サッカーは難しくなっている、ということだ。すなわち、スター選手個人の能力だけでは勝つのが容易ではなくなり、まるで将棋の棋譜研究に近づいているのかもしれない。


2)急造監督の脆さを露呈

選手選考はハリルホジッチ監督時代から主に呼ばれていたメンバーが中心だったが、やや偏りが見られた。一般的に言われていたのは平均年齢が高いことだったが、攻撃的選手に速度のある選手層が薄かった。
前項でも触れたが、速度重視のサッカーにおいて、攻守において速度に乏しい選手の起用法は難しいことが多く、西野監督がどのようなサッカーを目指していたのかは、当初から不明だった。

テストマッチが3試合しかなく、条件が厳しいことは分かっていたはずで、わずか1カ月くらいで監督のできることは限られていた。
ハリルホジッチ監督を解任した日本サッカー協会が、西野監督に何を求め、何をしようとしていたのか、全く分からなかった。実際、ガーナ戦とスイス戦では、監督采配は何も機能せず、3バックを試したりしたものの西野監督の目指すサッカーの方向性がバラバラ過ぎて何も見えずじまいだった。

結果が出たのは、本大会の僅か10日前のパラグアイ戦だったが、これもAチーム(レギュラー組)とBチーム(控え組)を適当に入れ替えてみたら、かすかに希望の光が見えてきた、というものだった。ある意味、監督の目指すサッカーを放棄し、半ば匙を投げたに等しいものであった。
よい言葉で言えば「選手の自由にやらせてみる」というもので、監督采配と呼べるものではなかった。ここに、JFAと西野監督と代表選手たちの間では、何の成算もなければ、共通理解となるようなものを有していなかった。

ある種の行き当たりばったりで、八方塞だったのが逆に幸いして、全入れ替えを実行してみたら唯一結果が出せたということだった。

何となく選手任せでやってみたという、偶然の産物だった。別の言い方をすれば「選手の自主性を重んじた」と。


3)西野采配の問題点

あまり書きたい話ではないが、敢えて書く。将来の日本のサッカーが良くなって欲しいから、である。

まず、第3戦で危機を救ってくれたと賞賛された川島には悪いが、本大会での最大のミスは、川島を第1戦から先発させたことだった。
ポーランド戦で入れ替えるわけにはいかない、という事情は、普通の監督ならば分かるだろう。大会最初から替えておけば、その後もずっと川島以外を使い続けられていただろう。
(守備陣の後ろのパス交換で、川島の方が最終ラインとの連係には一日の長があり馴染み易い、ということかもしれないが、川島を先発から外す決断をパラグアイ戦時点で固めていれば、直前合宿で対応できただろう)


もしも、の仮定の話はないことは承知だが、川島が初戦から出ていなければ、セネガル戦で勝ち抜けが決まっていたかもしれない。いや、他のキーパーが出ても、もっと大きなミスをして、負けていたかもしれないという話も分かるし、タラレバはきりがないけれども、西野監督采配によって苦境に陥った可能性が高い。


理由は不明だが、1、2戦に川島を使ってしまったことで、替えるタイミングを逸してしまったわけで、その結果はご覧の通りである。韓国は若手を登用して、ドイツ戦で大活躍を見せたのと対照的だった。日本サッカーの未来を考える上では、川島を先発させるべきではなかった。


もう一つ、結果オーライならいいや、という意見の多い、ポーランド戦の采配である。決勝Tを考えて、疲労のたまった主力を休ませる為、という話は分からないではないが、あまりに無謀、無策だった。


ポーランド戦でのゲームプランが存在しないも同然だった。
先発メンバーの選び方やシステムは監督の考えがあるのだろうから、6人替えたなら、それは仕方がないだろう。一つの決断の結果だから。

ただ、第3戦は次に進む為の重要な試合であり、最悪でも「引き分け」を必要としていたことは分かり切っていたはずだ。

最低限の目標として引き分けなのだから、相手がボール奪取にこなければ、これまで批判を浴びながらも日本が再三やってきた「遅攻」サッカーをここで発揮すれば良かったのだ。
ここでやらずに、いつやるというのだ?


パスを回してボールを保持する限り、相手の強力な攻撃は回避できるのだから、無理して攻めるよりも、安全策を頭に入れて時間を使うべきだった。前からプレスに来るなら、相手を走らせることができるし、陣形を動かせてから攻めるとか、普通に考えられただろう。日本の選手に攻めさせるリスクを頭に入れてないベンチだった、ということである。

幸運にも前半がゼロで折り返しだったのだから、点を取りにいくことを重視するよりも、いかに厳しい攻めを受けないようにするか、守備戦術を徹底させておくべきだった。

しかも攻撃陣を休ませる為に大幅に入れ替えたというのに投入した交替が、大迫と乾という、支離滅裂な選択は、先発入れ替え以上に解せないものだった。

1、2戦の出場時間から見て、大迫ではなくプレー時間の短い本田を入れることだってできた。最終予選でも、大迫がいない時に本田を1トップに入れて豪州に引き分けだったし、本田は右サイドに降りることもトップ下でもできるから、大迫を休ませて本田が第一選択でも良かったのでは?


ポーランドに先制点を奪われて、同点に追い付けないと敗退という場面でさえ、FWの宇佐美を削って乾を投入というのも、普通なら考え難い采配だった。乾は貴重な戦力だと考えていたからこそ休ませておいたはずなのに、しかもイエローカードを1枚もらっていたので2枚目はどうしても避けたい(決勝T1回戦が出られなくなる)ので、起用は原則的に考慮外のはず。


ここでも、右の酒井高徳に替えて本田なり誰か攻撃的選手を投入するのが普通ではないか。なのに、攻撃陣の枚数を増やさない上に、攻撃面で機能してなかった守備的要員の酒井高徳を残し、最も休ませたい乾を使うという選択はどういう根拠で行われたのかが全く理解できない。


岡崎交替の時、大迫ではなく本田を入れるのは、前線でのボール保持時間の長さや粘りを期待するわけで、上がりの遅い宇佐美や酒井高徳のプレー速度に合わせる点でも、最初に考慮されてよい選択肢だったろう。


長くボールを保持する、プレー速度を落とす、パスを回す時間を長くする、といったことは、守備戦術の一つなので、相手にさえ渡さなければ攻撃を受けないわけで、攻撃力の差が大きい相手に対してであっても、ある程度は通用する戦術である。ゲーム終わりに、あんな無様な姿でボールを回させるくらいなら、後半の組み立て時点で、引き分けを意識しながら、リスクを抑制する戦い方を指示するべきだった。前に行く人数が増えれば、反撃がきつくなることは誰でも分かるので、その修正もできないベンチが敗北を招いたに等しい。


西野監督は「1点差負け確定」と、

・セネガルが1点取る(低)
・日本がもっと失点・ファウルする(高)
・日本が1点取る(絶望的)

のリスクを判断した、と言ったわけだが、そんな所でようやくリスク判断を云々するなら、何故試合の最初から考えなかったのかが、全く理解できない。

よりによって、監督自らが自分のチームに対し「点を取り返すよりも、もっと失点して負けそうだ、イエローカードも増えそうだ」と敗者の烙印を押したんだぞ。だったら、最初から、無謀な策を採用して選手にやらせるんじゃない。失点した後の約23分は、攻撃もしていたし、ポーランドへの守備でも凌いでいた。けれども、西野監督の考えによれば、残りの約15分で「日本は失点してしまう」と思っていた、ということだ。たとえ点が入らずとも、0-1負けの結果は同じで、選手たちには戦った証が手に入れられたはずだろう。こんなに後味の悪い思いをすることもなかった。


起用された選手たちは、危ないながらも何とか前半は失点せず、監督の期待に応えたんだ。懸命に頑張って「試合を作って」いたんだ。

なのに、どうして監督采配でチームを敗北に追い込むのだ?


そもそも「日本が1点も取れず、失点する可能性が高い」と思うなら、何故、あのような陣形・メンバーを選んだのか、何故あのような交替カードを使ったのか、何故攻撃を催促し守備戦術の徹底をしていなかったのか、不明なことだらけであった。


別に、ヤマ勘とか勘ピューターとか否定しないけど、日本サッカー界の指導レベルが高まらないと、日本は強くはならない。今回の日本サッカー協会や西野体制を見ていて、今後更に後進国化するという危惧を抱いた。西野続投の声、の報道とか意味不明だが、もし続投しても選手個人の能力に優れた人に依存するサッカーで、時間の蓄積効果は乏しく、次のW杯でも2カ月前に就任した監督にやらせたとしても大差ないだろう。


4)日本が1次リーグで勝ち点4を取れた理由

メンタル面の改善、これに尽きる。昨年から連敗続きで迷走が続いていたし、直前のガーナ、スイス戦でも先が見えないまま、コロンビア戦まであと10日となった。パラグアイ戦に逆転勝ちしたことで、一気に勢いと自信を取り戻した。

本大会では運と勢いは大事だ。甲子園の初出場校が破竹の勢いで勝ち上がるのに似ている。前回惨敗を食らったコロンビア戦に勝利して、自信は確信へと変わっていった(イチロー風)。
全くの麻雀素人が、東1局の親で、リーチ一発ツモ裏ドラ3の親パネをアガったようなものだ。特に役もない「リーチのみ」の手だったのが18000点の大ラッキーに早変わりしたようなものだ。

けど、サッカーにはそうした勝負運のようなもので左右されることはあるし、短期決戦だと勢いはものを言うから。

実際、パラグアイ戦以降、逆転勝ち、因縁の強敵コロンビアに勝利、ミスで先制奪われるも2度追い付き負けなかったセネガル戦、と不敗神話が続いていたわけだ。

「今の俺達は負けない」という自信に溢れていれば、自ずとプレーもそのように好転するだろう。しかし、その自信と果敢さに水を差したのが、ポーランド戦だった。選手たちを躓かせたのは、西野采配だったのだよ。


特に、負けてるのに敗北を受け入れさせた監督采配が、ツキを手放す大悪手だった。
もしも普通にプレーして0-1のままで終わり、同じく勝ち点4のまま通過できていれば、選手たちは困難な状況に立ち向かい、自分たちの手でこれを掴み取ったんだという、敗北の中にも自信につながるものが残ったことだろう。少なくとも、誇りと名誉は守られた。同じ勝ち点4であっても、その重みも選手たちの達成感も違ったものだったはずだ。負けはしたが、勇敢に挑んだ結果だと思えただろう。


ポーランド戦前半までは、まだ運と自信は残していた。ヒヤヒヤながらも、先発したメンバーは持ちこたえた。だが、ポーランドは遂に実力を発揮し、均衡を破った。これまでの結果は、勇気を持って逆境に立ち向かうことで達成してきたが、ここで最も消極的な下策を採用してしまい、戦いから降りることを選んだ。


土壇場になって、1点を奪われることを恐れてブーイングの中ボール回しをするくらいなら、試合開始前から「1点を奪われることを恐れて」おくべきだろう。報道の中には、現実的とか冷徹な判断などと西野監督を賛美している向きもあるが、現実的な判断をする人間は、着手する前に「考えておく」んだよ。

本当に冷徹な判断をする人間なら、希望的観測でもって「ポーランドに勝てる」控え主体の先発を出したりはしない。1点も取れない場合を事前に想定して、選手を送り出す。それでも耐えられる方法を授けておくのが、監督の役割だ。

西野采配が分からない人間は、頭が悪いだの、合理的判断ができないだの、そういうことを言う人こそが、旧日本軍的「無謀な作戦命令」を全面肯定しているに等しいのだよ。局地的判断の是非にしか思考が向かず、戦略目標の判断ができていないから、だ。


引き分け試合は、「今ある戦線を維持せよ」であり、現状維持だ。少なくとも「最悪のシナリオは撤退戦」なので、それだけは回避するような作戦を立てるのが普通。

相手陣地に突撃して相手陣地を奪え(点を取れ)、というのは、かなり強力な作戦であり、自軍の損害が甚大になる恐れはある。自軍の戦力状況がそこまで整ってないと思えば、安易に持ち場を離れるな、自軍の守備陣地を守り抜け、というのが普通の作戦命令だ。

無理気味な攻撃に打って出て、返り討ちに遭い、逆に戦線維持ができなくなって陣地を一つ放棄して逃げ帰ったのがポーランド戦だ。その上、自ら白旗を掲げさせろって、だったら最初から勇ましく攻撃命令なんぞ出すんじゃない。無駄に損害を大きくしたんだ。


実力の裏付けが少ない、勢いと自信は、萎むのも早い。
あっという間に元に戻ってしまう。



前回大会から、少し成長したが、まだ選手頼み、ということなのが日本サッカー界の限界かもしれない。指導層には、能力が不足していると思う。

>https://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/5be5fea4cf35844c644be16c9f798a5f


試合中に、陣形を整えさせたり、適宜修正させる能力を高める必要がある。それは、監督コーチ陣の主な仕事だ。


そして、日本のサッカー界上層部には、サッカーというスポーツの本質について、何らの考えも哲学も有していないのだな、ということは分かった。例えば「予選通過という結果が全て」のような意見は、心の底では思っていたとしても、決して口が裂けても言えないだろう。今回のボール回しの一件は、W杯への冒涜にも等しいものだった。同点ならまだしも、これを恥とも思わぬ、その精神性こそが、日本サッカー界のレベルの低さを表しているだろう。一番の被害者は、選手たちなんだぞ。


時に、勝敗を超えた、プロセスにこそ大事な価値がある、ということは、サッカーに限らずスポーツの本質部分ではないかと、個人的には考えている。例えば「ドーハの悲劇」だって、あの当時にW杯に出ていたら、ラモスやゴンのことなど四半世紀後に思い出すことなど殆どないだろう。けれども、あの時の悔しさがあったからこそ、これほどの時間が経過しているにも関わらず、多くのファンが「心に刻まれた」出来事として忘れることがない、ということだ。

仮に初出場できて、3戦全敗とかで終わっていたなら、カズさんが出てようと松永がどうとか、殆どが人々の記憶に残ることはなかったかもしれない。語り継がれることに価値がある勝負だってあるんだ。たとえそれが、儚く散った場合であろうとも、だ。勇敢に立ち向かった者たちのことは、たとえ結果が敗北であろうと、そう簡単に忘れたりはしない。


サッカー協会、テレビ界の事情、とか、何があるか分からないが、諸手を挙げて西野肯定論で誤魔化すしかないというのも、サッカーそのものより、もっと別に大事なものがあるとしか思えない。それじゃ、強くなれない。