いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

トランプ元大統領の主張する「自動的な機密指定解除は可能」に関する考察

2022年09月15日 16時52分53秒 | 法関係
これまで、米国法に精通した大勢の識者たちが、そんなことは不可能だ、できない、トランプの妄想だ、などと罵倒を続けてきた。

が、当の司法省(DOJ)やFBIらは、大統領の機密指定解除権限が無効であったことは示せず、家宅捜索差押令状は「機密指定情報」とは無関係だ、と公言するに至った。


機密指定解除の根拠について、トランプ側の主張が示されてないとDOJが泣き言を言う(=自力では分からないから、教えてくれw)ので、当方の個人的見解について、説明を試みることにした。


CNN記事はタイトルからして、罵倒レベルが凄いw

"'Ludicrous.' 'Ridiculous.' 'A complete fiction.': Former Trump officials say his claim of 'standing order' to declassify is nonsense"

>https://edition.cnn.com/2022/08/18/politics/trump-claim-standing-order-declassify-nonsense-patently-false-former-officials/index.html

曰く
"But 18 former top Trump administration officials tell CNN they never heard any such order issued during their time working for Trump, and that they believe the claim to be patently false."


そんな命令は存在せず、嘘だ、と言う言葉が投げつけられた。

また、

"Even if Trump had sought to broadly declassify documents, there is a specific process that the president is supposed to follow, the officials said. Declassification must be memorialized and includes careful reviews and notifying agencies such as the CIA, NSA, Department of Energy, State Department and Defense Department."


ということで、大統領が従うべき解除プロセスがあり、各連邦機関側が審査し通知されるのだ、と。

だったら、DOJがそのプロセスとやらの「根拠法」を示してみろ、と要求したのだが、連中は一切の返答を拒んでいるw


連邦法に精通した司法省が、不可能だ、ナンセンスだ、妄言だ、という主張に与するのだから、これはただ事ではない。

が、検討した結果、トランプ元大統領の主張の方が正当である、との結論に至ったので、当方のような法学素人が対抗できるわけではないが、一応、説明をしたいと思うw



まず、普通のプロセスについて、概説された条文がこちら。


5 CFR §1312.1~37

>https://www.law.cornell.edu/cfr/text/5/part-1312



各サブパート毎に、細かい条文と記述があるので、各自ご確認をお願いします。

で、これ以外にも重要法令として、「大統領令E.O.13526」があり、これも細かく規定がある。

>https://www.archives.gov/isoo/policy-documents/cnsi-eo.html


先の 「5 CFR §1312.1~37」と大統領令の対応表、及び実務例が書かれているのがこちら

https://www.ecfr.gov/current/title-32/subtitle-B/chapter-XX/part-2001



分量が多いと読むのが大変なので、殆どの人々は読まずに「答えだけさっさと書け」と言うと思うんだよね。仕方がないことだけどw

最後の対応表のリンク先を読むと

§ 2001.21 Original classification.

の項に、 (4)Declassification instructions の

(i)A date or event for declassification that corresponds to the lapse of the information's national security sensitivity, which is equal to or less than 10 years from the date of the original decision. The duration of classification would be marked as:

Classified By: David Smith, Chief, Division 5, Department of Good Works, Office of Administration
Reason: 1.4(g)
Declassify On: 20201014 or
Declassify On: Completion of Operation



とある。
機密指定と理由の番号を記載、更に、解除条件として、日付か「EVENT」の内容を記載する、という指定ができるのだよ。
イベントは、明示的で紛れのない条件であれば許容されるのである。これがポイント。


話を戻すが、大統領権限の解除に関してはどうなのか、E.O.13526で確認すると


◆セクション1.3の分類権者、大統領が最高権威である

"The authority to classify information originally may be exercised only by:
(1) the President"



以下略


◆セクション1.5  Duration of Classification.で

"(a) At the time of original classification, the original classification authority shall establish a specific date or event for declassification based on the duration of the national security sensitivity of the information. Upon reaching the date or event, the information shall be automatically declassified.

Except for information that should clearly and demonstrably be expected to reveal the identity of a confidential human source or a human intelligence source or key design concepts of weapons of mass destruction, the date or event shall not exceed the time frame established in paragraph


とある。

原則として、"Upon reaching the date or event, the information shall be automatically declassified. "

なので、イベントの設定により、自動解除できるのだよ。
これは、魔法の呪文じゃないぜ?w
法令の文章だよww

こんなものも読めないの?w
米国の法律学者だか、大統領府に精通する専門家だか、マスコミ記者諸君はww

嘘だと言ってた奴等は、脳味噌が腐ってるのか?w



次に、解除プロセスを見てみる。

◆セクション3.5 Mandatory Declassification Review.

機密解除の必須手順として
Except as provided in paragraph (b)

という除外規定以外は、定型的な手順を踏む義務があるが、


(b)Information originated by the incumbent President or the incumbent Vice President; the incumbent President’s White House Staff or the incumbent Vice President’s Staff; committees, commissions, or boards appointed by the incumbent President; or other entities within the Executive Office of the President that solely advise and assist the incumbent President is exempted from the provisions of paragraph (a) of this section.

However, the Archivist shall have the authority to review, downgrade, and declassify papers or records of former Presidents and Vice Presidents under the control of the Archivist pursuant to 44 U.S.C. 2107, 2111, 2111 note, or 2203.



現職大統領の発信した情報(例えばあの衛星画像w)は、レビューが免除されるだろ。

他にも、作成した者が大統領以外の副大統領、補佐官らWHスタッフ、顧問やアドバイザー、その他大統領府の職員らであっても同様にレビュー手順の義務からは除外されるんだよ。


また元大統領の、アーキビストの所有・管理下にある"declassify papers or records " は、アーキビスト(NARA)が機密指定期間やレビュー権限がある、と書かれており、CIAや国防総省などが決めるわけじゃない。

文書(情報)の取扱いはNARAに権限があり、内容的に「指定水準が問題だ、決定に不満がある、秘匿期間を延ばせ」などの文句がある連中は、ISOOなりに申し出て、粉争解決のパネル設置(以前は、国家安全保障会議 National Security Council(NSC)で裁定してた)で揉めるか(まずはISOO局長が仲裁して各機関に決定を通知)、最終判断は大統領への上訴、となっている。

機密指定の水準や期間などに文句があるヤツは、まずは「名乗り出る」はずなんだよw
NARAの通知が気に入らない、と手を挙げるんだよ。

ODNI やDOJがレビューするわけじゃないって、最初から言ってるだろw



ここまで、まとめると、

・自動的な機密指定解除はできる
・イベント指定でも解除可能
・義務的解除手順は大統領と関連スタッフには適用されない
・大統領による指定解除に文句があるなら、直ちに名乗り出ろ
(NARA、ISOOの裁定や、パネル設置・大統領裁決)



では、話を更に戻して、初期の例示を書くねw

§ 2001.21 Original classification の

’ Declassify On:  ’の項に何て書くか、の問題では?

ここに例えば「大統領執務室からの持ち出し」とか「ホワイトハウスからの持ち出し」と指定すれば、部屋(or 建物)から出た途端に機密指定は解除される。


これを誰が作成するか?
大統領府のスタッフだろうね、多分w


情報が、
元の情報A ~CIAがオリジナル情報を管理
元の情報B ~DoDがオリジナル情報を管理

などにあり、メールで大統領補佐官らに資料が送られて来て、それを基に大統領への説明文書Cがスタッフにより作成されたら、文書Cがオリジナル情報となるでしょ?

その解除条件を「部屋から持ち出したら機密指定解除」とDeclassify On:  に指定していると、それは自動的に発動する。


元の情報AやBは、一部公開になるかもしれないが、オリジナル情報は何ら損害を受けてはいないわけで。
公開したのは大統領なので、最高決定権者が決めた分類だからねw


もし仮に、CIAの高官が「直接CIAで作成した文書を紙で持参」してトランプに渡した場合だと、自動的な指定解除にはならないが、情報管理側はCIAの担当者になるはずなので、提供者側で機密情報か解除済かが、分からないわけがないだろw
「紙が返却されなかった」事実は確実に把握されるだろw
ならば、返却を申し出るとか、必ず応答があるはずだが?ww



トランプ大統領が就任後に、自力でこうした機密指定解除条件とか、レビュー手順とかを知ったわけではなく、恐らく誰か精通した人が解説して教えてあげたのではないかと思う。

その人は、法令に基づき「本当のこと」を話したのだろうね。
それを受けて、トランプ大統領が「自動的に機密指定を解除するよう条件設定をしろ」と命令したはずなので、首席補佐官とかが全く知らないというのも、どういうことなのかと疑問に感じるよねw


つか、大マスコミに登場する解説者って、殆ど無能の役立たずで、デタラメ解説を並べるしかできぬ法律音痴しかおらんのかな、と驚いたわw

ああ、上述した解釈はオレの素人判断なので、間違いかもしれませんのでwwあんまりデカい態度にはなれないんだけどさw



CNN記事で指摘してた

”there is a specific process that the president is supposed to follow”

とやらの、大統領が従わなければならない必須手順があるんだろ?ww

CIAやODNIらが、大統領にも課してると主張する「義務的手順」なんだろ?ww

それを、さっさと出してみろw

条文も書けよ?w



※一部、誤記を訂正しましたw

DOD→DOJ
国家安全会議→国家安全保障会議


トランプ元大統領の家宅捜索におけるDOJ/FBI の異常さ

2022年09月10日 12時27分28秒 | 法関係
司法省やFBI の主張がいかに狂ってるのか、という点について、説明してみたい。


機密情報の取扱いについての話なので、分かり難いことが多い。そこで、簡略化した本と図書館の例で説明をしてみようと思う。


DOJの主張する、最高機密(外国軍隊の核に関する情報)が「トランプによって違法に盗まれたものだ」ということが本当なのかどうか。


喩えが何かを次に列記する。

1)図書館

これは各連邦機関のことである。元となる機密情報を管理している場所、でもある。以下のように呼ぶ。

・国防総省:国防図書館
・CIA:CIA図書館
・国務省:国務図書館
・ODNI:情報図書館
・NARA:公文書館

古くなった本(機密情報)は現在の業務に不要とか機密低下の為、各図書館からNARAの公文書館に送られ、情報公開対象となる。非公開期間は本のレベルによる。


2)本

機密情報のこと。とりあえず、DOJ主張に従い、TOP SECRETの最高機密情報だけを考える。この情報のオリジナルを

・トップシークレット:本A

と呼ぶ。これは世界にこの「1冊」しか存在しない。
本Aには、「外国軍隊の核に関する情報」が書かれている。

本(機密情報)には類似のものが存在し、それらは便宜的に「本X」と本の後にアルファベットを付記して呼ぶことにする。


3)特級司書

各図書館(連邦機関)に配置されている、トップシークレットの情報管理者のことを、こう呼ぶことにする。

DOJの言う本Aの管理者は、WP紙によると "a designated control officer"と呼ぶ情報管理者がいるそうですww(ホントかよ?w)

また、本Aは、大統領や閣僚級、許可された特定政府高官しか読むことができない、特別な本だそうです。


4)ブックカバー

本には、「○○書店」と書かれたブックカバーがかけられているので、こう呼ぶ。

これはFBI が言うTOP SECRET、SECRET 、Confidentialなどと書かれたファイルかフォルダーを指す。
要するに、中身を保護(カバー)するもの、だね。
FBI が言うには、家宅捜索で大量に押収したのが、このブックカバーだった、ということです。



もう一度、DOJ/FBI の主張をザックリ書くと、

ア)トランプは「本A」を盗んで違法に保管した
イ)FBI がトランプ邸から押収した文書は、「本A」だ
ウ)トランプ邸には大量にブックカバーが残っていた、だから、まだ「本X」などを何冊も隠してる
エ)「本A」を外部に漏らしたスパイだ
オ)本は政府の所有物だ、他の本も違法に棄てた

付随して、トランプが本Aを盗んだのはスパイだからだ、とか難癖を言ってるわけですねw


一方、トランプ側の反論は

カ)「本A」は盗んでないし、漏らしてない、紙は誰かが運んだだけ
キ)そもそも押収物の紙は、「本」ではない
ク)ブックカバーは情報じゃない、誰が運びそこに置いたか不明だよ
ケ)大統領退任前に機密指定解除したので、機密漏洩にはならない
コ)邸内にある押収物等の「紙」は「本」ではない、本の一部の参照用コピーだ



DOJや大マスコミの言う、ゲームチェンジャーがブックカバーだ(主張ウ))、という妄言があるが、例えば「お菓子の空箱」机の引き出しに入っていた、という事実をもって、「さてはお前がお菓子を万引きしてたんだろ、中身のお菓子をまだ隠し持ってるだろ、早く出せ」などと濡れ衣を着せて、難癖つけてるようなもんだw

それで家宅捜索は合法だ、って言うバカがいたら、遭ってみたいわww


DOJ/FBI が嫌疑を吹っかけてきてる主張の根本的な問題として、トランプ邸に存在した紙類が、全部「本だ」というものがある。

本とは、各連邦機関が所有・管理しているオリジナルのことであって、
"offical records"
でなければならない。


それに、各図書館には特級司書がいて、情報の全アクセス者を見張っているのだが?

本が紛失した場合、特級司書が毎年チェックしてるから、これほどの長期間に渡り紛失が発覚しない方がおかしい。
存在が確認できないことが判明したら、図書館の側から、「本Aがない」という申立てが出るはずだが?

もし国防図書館の本だったなら、そこの特級司書から「本Aが盗まれた」と申告されるだろ?

だが、DOJは「本A」がどの図書館の本なのか、というのを誤魔化しているのだ。自分たち(ODNIも)で勝手にreviewしてた、と言ったのだ。

それに、国防機密と言っておきながら、「本A」が国防図書館のものかどうかを確認してもらう為に、国防総省の特級司書を呼んで現物確認の手続きさえしてないのである。


トランプ側主張のキ)及びコ)は、除外規定たる

44 U.S. Code § 2201

"does not include any documentary materials that are…
(iv) extra copies of documents produced only for convenience of reference, when such copies are clearly so identified."



に基づく主張である。

参照用のコピー紙は、確実に「本」ではない。

ニューヨーク・タイムズ紙がトランプ大統領の現役時代のエピソードとして、CIA高官が配布した「紙の資料」を、面白いからという理由で「貰っていいか」と要求されてOKしてしまい、それを回収しなかった、と言った。
その時点で、CIAが説明用資料として「複製物を配布」(しかも複数人に)したものであって、それはオリジナルの機密情報ではない。

オリジナルはあくまで「offical records」である。それは通常、各連邦機関のサーバー内に保管されているもの、だ。


主張ケ)についても、機密指定解除に係る大統領の権限は広範な裁量権が認められているので、個別の図書館側から阻止できる場合は殆どない。

例えば、大統領補佐官とそのスタッフが、国防やODNI図書館の本を読んで得た知識(機密情報)を基にして、大統領に対する説明用文書を作成し、それをコピーしてたとしよう。
トランプがそれに手書きで何かを書いており、NARAが本だと認定(=Presidencial records)しても、文書内容に関する機密指定は解除されているので、違法性は問われれない。


これをスパイだ、違法だ、と騒いでいるのが、DOJ/FBI だけなのである。
彼らには、情報管理元(図書館)が有する機密の指定をしたり解除したりする権限は与えられておらず、唯一あるのはDOJの現行法体系の条文解釈を答えたり述べたりする権限だけである。

そもそも、特級司書に文書を見せず、裁判所に呼びもしないのに、何が分かると言うのか。本の貸出先管理もやってる特級司書なのに、「いつトランプに貸し出したか、どの本を貸したか」さえ誰も知らない、なんてことが有り得るわけがないだろうにw
トランプが勝手に本を借りたまま、ずっと返却してない、って、そんなマヌケなことがそうそうあるわけがないだろうにw


更に問題なのが、トランプ大統領が「機密指定を解除した」と主張しても、特別なトップシークレットは情報の管理元たる、国防総省やCIAらが反対したら解除できないのだ、みたいな主張をしているのが、DOJ/FBI とか擁護者たち(法曹資格者も含まれる)や大マスコミの記者連中なのだ。

この連中は、「トランプが機密指定を解除をしても、それは無効だ」という主張の法的根拠を示したことが一度でもあったか?w

誰が、そんな「独自ルール」を決めたのかね?w


根拠法を示してみろ、と何度も要求してるのだが、提示してるのを一度も見たことがない。

トランプ側主張ケ)に対する、反論の根拠となる法令及び条文を示してみろ。


出せなければ、それは嘘を言った、ということだ。

法的根拠のない主張をしたと認めたということなんだよ。これを、言いがかりとか難癖とか、ペテンと呼ぶのでは?ww


えっ?
同じくケ)の根拠法を先に言え、って?

嫌だねww
DOJが無効だ、の論拠を言わない限り、答えないw


DOJには強い味方、"a designated control officer" が付いてるんだろうから、オレみたいなド素人に尋ねるまでもなく、即、分かるだろうにww

オレが指摘したCIPAも知らなかった、アホ連中には教える義務なんざ、あるわけないだろww


司法省はCIPA及び付随する裁判所規則に違反してトランプ元大統領の捜査を行った

2022年09月05日 15時55分04秒 | 法関係
DOJ(司法省)がトランプ邸の家宅捜索をやった後、またまた墓穴を掘ってくれたw

それは、裁判所の許可や押収物リストが開示される前に、無断で「押収物の証拠写真」を公開したことだ。
この写真撮影は、FBI 捜査の証拠採取の際に「定型的に実施」されるそうで、公判前の捜査記録(日本では「書類」と呼ぶ)に該当し、一般的な刑事訴訟手続では開示は違法とされる。


DOJの犯罪は、これだけではない。

機密情報に関連する刑事事件の手続法に、CIPAがあるが、それに違反している可能性が高いのだ。


"18a U.S. Code Compiled Act 96-456 - CLASSIFIED INFORMATION PROCEDURES ACT"

>https://www.law.cornell.edu/uscode/text/18a/compiledact-96-456



通常は、機密情報に関連する刑事事件の起訴・公判についての手続きとなるが、起訴前及び不起訴事件においてもこれに準ずる手続となるはずだ。

何故なら、不起訴事件の場合でも司法長官は議会報告義務が課せられており、起訴事件以外のものは、不起訴事件か起訴前事件なので、不起訴事件の時にはCIPAを無視して手続できる、ということは機密情報保護の観点からも、想定し難い。

従って、不起訴事件及び起訴前においても、同等の機密情報の保護義務が課せられていると考えるべきであろう。


また、これに付随して、連邦最高裁判所が規則を制定する義務が課せられている。

>https://www.law.cornell.edu/uscode/text/18a/compiledact-96-456/section-9


CIPAの要請に従い、1981年に次の裁判所規則(部分的に改訂されてきた)が作られた。それがこちら

"Security Procedures Established Pursuant to Pub. L. 96–456, 94 Stat. 2025 , by the Chief Justice of the United States for the Protection of Classified Information"

>https://www.brennancenter.org/sites/default/files/Security%20Procedures%20Established%20Pursuant%20to%20PL%2096-456.pdf



当方の見解では、DOJはこの規則にも違反して、トランプ邸の家宅捜索後の情報開示を行い、違法に押収物の「保管、管理」を行ったものであると言える。

以下に、その見解を述べる。


1)DOJ/FBI の主張している事実

端的に言えば、トランプが大統領退任後に保管していた「紙束」(NARAが回収、またはFBIが差押えたもの)が、NARAの所有物か機密指定解除されてない「機密情報」であって、個人宅に存在してるのが違法だ、と。

主張点
ア)紙束は、核文書や国防等の機密情報だ
(=だからトランプは指定解除できないぞ、隠匿所持も違法だぞ)

イ)紙束は、連邦政府の所有物だ
(=国防省やCIA等の各機関が所有する機密情報だ)
(※もしNARAが所有すべき記録の場合だと、CIPAの適用となる機密情報ではない可能性が高まる)



2)CIPAのいう機密情報とは

DOJが主張ア)をもって、トランプがスパイ防止法違反だ、隠匿の罪§1519にも違反してるぞ、と言うのだから、「機密情報」crassified information(以下、CIと呼ぶ)に該当すると見做すのは当然である。


定義はこちら

>https://www.law.cornell.edu/uscode/text/18a/compiledact-96-456/section-1

条文中の
"to require protection against unauthorized disclosure for reasons of national security and any restricted data"

の通り、いくらトランプが指定解除だと言おうが、DOJにとっては「無許可の情報開示から保護されなければならない、CI なのだ」ということでしょうね。



3)FBI が家宅捜索で差し押さえた押収物がCI の場合、何が問題か

裁判所規則の2に以下の記述がある。


In any proceeding in a criminal case or appeal therefrom in which classified information is within, or is reasonably expected to be within, the custody of the court, the court will designate a "classified information security officer."


裁判所の管理下にある、或いは管理下に置かれるであろうことが合理的に予想される刑事事件、機密情報が含まれる、或いは、含まれることが合理的に予想される事件、という点である。

本件は、刑事訴訟手続に則り、FBI が家宅捜索差押令状の交付を受けたものであるので、間違いなく刑事事件である。更に、起訴前であっても起訴が予想できる裁判所の管理下にある事件の場合であれば、本条の適用を受ける、ということだ。

※17時頃: 条文の日本語解釈がおかしかったことに気付いたので、修正を加えました


即ち、"classified information security officer"  機密情報管理官(正式名称分からないので、とりあえず、命名、以下CISOと呼ぶ)の選任が必要だということ。

司法省は、この選任を怠って、逆に、裁判所に対し「押収物の開示請求」を行っているのだから、規則違反の誹りは免れまい。


同様に、押収した機密情報の文書類(materials)の保管についても、厳しい条件が課されているのである。


例えば7のB

"Classified information submitted to the court must be placed in the custody of the classified information security officer or appropriately cleared court personnel who will then be responsible for its safekeeping. "

保管の責任者はCISOが負うので、そもそも選任していない時点で規則違反ですねw
司法長官または代理担当者が、裁判所にCISOの候補者を推薦し、裁判所が選任しなければならないので、DOJはそれを怠った過失が認められる。

トランプ邸の保管状況が劣悪だとか言う前にw司法長官が自ら違法を犯したんだよ。


規則3のSecure Locationでも、

"The classified information security officer must make necessary arrangements to ensure that the security requirements of the Executive Branch applicable to the level and category of classified information involved are met and must conduct or arrange for such inspection of the secure location as may be necessary. "

と、裁判所内の手続を行う安全な場所の確保が必要だ。CISOがいないのに、どうやって安全性を確認できたの?w


”the security requirements of the Executive Branch applicable”

とあるように、機密情報のレベルやカテゴリー等により、情報管理元たる行政機関が「要求する水準」の安全性が必要なのに、押収物が「どの行政機関の管理する機密情報なのか」すら特定してないだろ?


4)DOJは何故CIPAの手続を適用(準用)をしなかったのか

DOJ及び司法長官は、CIPAにおけるDOJの履行義務について、熟知していた。所管官庁なので、それは当然だ。

CIPAに伴う最高裁判所規則も、制定権は連邦最高裁判所長官にあるが、規則改定には
司法長官(DOJ)・国防長官(DoD)・国家情報長官(ODNI)
が意見を述べることができ(事実上の合意事項ということかな?)、機密情報に係る訴訟手続においては、DOJの果たす役割が大きいことを知っていたはずだ。


DOJは最初から、何もかも知った上で、トランプ邸の家宅捜索と押収物の杜撰な取扱いをやったのさ。素人でもあるまいし、よもや知らなかった、などという言い逃れはできないぞ?w


ここまでの所、DOJの主張ア)が真実である場合、DOJのやった手続は違法である。

機密情報の保全措置を履行すべき義務があったにも関わらず、それら全てを無視した重大な懈怠がある。


だが、もし主張ア)が真実ではない場合、DOJ及び司法長官は、CIPA上の法的義務を負わない。何故なら、トランプが保管してた紙が「CIではない」からだ。

つまり、CIPAの適用条件を熟知していたDOJがこれを適用してなかったのは、トランプ邸からの押収物が"classified information"ではない、と知っていた可能性が高い。



主に機密漏洩だと馬鹿騒ぎしてるのは、アーキビストでもないしCISOでもなく、DOJ/FBI(の特定官僚?)とNYTimesや大手マスコミなんだぞ?

殆どの機密情報の管理元たる国防総省やODNI が、大慌てで情報保護を訴え出てないのもおかしいだろ?


犯罪と疑惑のでっち上げ効果を狙い、大手マスコミと一体となってDOJ/FBIが仕掛けた国策捜査の可能性が示唆されよう。